ちょっと金獅子やクイーン等の前に組み込んでみました。
感想にもあったけど文章がテレスターレみたいな感じなのは分かってるので逆に訂正してくれてる人には感謝です。
では虫型の話したぶん前編です。
さてあれからと言うものエルネスティとメイルベーゼは通常運転をしていた。
何とも充実した毎日を過ごしています。
銀鳳騎士団の砦として建築された[オルヴェシウス砦]完成後、学園を卒業したのも短くとも良い思い出だった。
ちなみにエルネスティの計らいでメイルベーゼが様々な研究開発するための小さな町程の場所を砦に隣接する形で与えられていた。
元々、シルエットナイト以外にも幅広くやっていたメイルの才能を遺憾なく発揮してもらう為と近いうちに来る二個中隊規模の部下のためである。
流石に組織行動に慣れてるメイルベーゼにも部隊が充てられて二個中隊が与えられる。
だがゲテモノ揃いの部隊になることは目に見えて分かる。
来る団員は全員、メイルベーゼの思想に着いて行ける若手の騎操士と鍛治師が追加で入団予定である。
工房には最新鋭シルエットナイト[カルディトーレ]と単座型量産仕様にされた[ツェンドリンブル]が並んでいる。
更には現在、調整中の中隊長機も並んでいて新しい時代の騎士団だと思えるがある二人のおもちゃ箱の空間はぶっちゃけ混沌と化していた。
そこにはさんざん弄くられていたエルネスティのおもちゃ箱、名付けて[トイボックス]と試作中の獣型と虫型、チャリオットなど他に類を見ないゲテモノがずらりと並んでいた。
「銀色坊主のやろう、メイルが来てから更に生き生きしてやがんな」
「それはメイルもだと思うがね。親方」あのお披露目戦から二人の仲は更に深まった。
それはもう朝から晩までだがメイルペーゼの場合、周りへの配慮やコミュニケーションは欠かしてない
それに同年代と過ごした時間がないのだろう
大人の中に混じって正騎士として日々を過ごしていたから新鮮なんだろう
エルネスティに近しいキッド、アディ、バトソンと5人であれこれしてる時もあるので年相応で微笑ましいことだ。
エドガーとは模擬戦以来、仲が良いしディートリヒとも馬が合うようだ。
ダーヴィドとも技術者として鍛治師としてお互い良い刺激になっている。
ヘルヴィーとも………これはメイルペーゼ本人に悪いがとても男に見えず女に見えるので関わりやすいのだろう
自然と女性陣ともすぐに仲良くなってる。
美容やらなにやらで非常に盛り上がっているようだ。
こうして開発もとい趣味に費やす日々を送っているが今日も様々な実験の始まりである。
「もうトイボックスは弄ろうにも限界ですね」
「だね。あとはまた新規に作ってフィードバックするしかないと思うよ」
「そう言えばデュエルレヴィーラは良かったんですか?まだ試せるかと思うんですけど……」メイルペーゼ発案のバックパックを更に改良したミッションパックシステムによってかなり拡張の幅が拡がっているので試せる範囲はトイボックスの比ではない
「そうなんだけど原点に戻りたくてね。エルと一緒だよ。専用機………その素体をね」
「そうですか、確かにこれはオプションワークスの試作実験機の色合いが濃いですから………となるとメイルはどんなシルエットナイトを目指しているんですか?」
「ゴールのない無限の可能性を秘めた………永遠の相棒、そんな感じかな」エルネスティとしてはいやエルネスティにしか分からない前世の記憶、それがある分、実に刺激される。
シンプルから様々な方向に派生して原点に戻るなんてこれはこれで好きなエルネスティである。
「良いですね。ならそちらを優先してもいいですけど………」
「でも今はダメ、虫型は故郷の山岳警備団に必要な存在だから」話を聞くと足場の悪い山岳地帯から魔獣の群れが押し寄せてくるのだがその侵攻を防いでいるのが山岳警備団らしい
それなら山岳から降りて戦った方が良いのでは?と思うがそうもいかないらしい大事な補給ルートであるしそして鉱山でもあるので手放せないのだ。
そこでメイルペーゼは山岳によく見かける虫を参考にした。
壁すら走れる三次元機動や山岳での機動性など、様々なメリットがあり故郷の山岳警備団もそれを望んでいる。
一応、試作型の方は回しているが実戦にはまだ耐えられないが成果は上々である。
その為、ある意味で虫型には並々ならぬ思いがあるがエルネスティとしてはある意味、許せないことがあった。
「理由は分かりました。ですが酷いですよ。悩みがあるなら言ってください!メイルも立派な銀鳳騎士団の仲間なんですから」
「………と、言うわけで虫型の幻晶騎士、名付けて幻晶蟲[シルエットビートル]に少しばかり力を貸してあげたいと思います」とメイルペーゼが止める間もなくエルネスティがみんなを集めてシルエットビートルの説明をしていた。
「メイルペーゼの故郷はすごいわね。いろんな意味で」
「これまたなんと言ったもんか」
「だが実際に成果が出てるなら1日でも早く欲しいだろう」
「まあ良いか、ちょうど一段落してきたしな」と主要メンバーから同意を得たのでさっそく開発が始まったが少しだけ待った。
何でも現地からの実地記録の資料と機体を運んでもらってるとかでしばらくすると遠くから何かが物凄い勢いで来た。
「こりゃあずいぶん聞き慣れた音だな」何かもう何が来るのか分かりきっていた。
ツェンドリンブルだ。
「ツェンちゃん、もう配備されてたんだ」
「けどオイラも話しにしか聞いてないけどまだうちにしか本格的に配備されてないって言ってたような………」と話してる間も近づいて来てメイルペーゼを見つけるなり非常に嬉しそうに操縦席から一人の騎操士が飛び降りて来た。
みんな慌てるが騎操士は杖で風の魔法[エアクッション]を使い見事に着地する。
「よお!メイルちゃん、頼まれた試作機持って来たぜ!」とメイルペーゼに駆け寄るなり肩を叩き久々に会えたことを喜んでいたが一同としてはツェンドリンブルの方が気になる。
「いやー、にしても人馬は良いなぁ!こいつは便利で仕方ねぇぜ、本当によお」
「もう量産してたんですね」
「あたりめぇよ。マーリー公爵様は初っぱなから人馬の価値に気づいていた。ましてやお前が考えたならハズレなんかありゃしねぇからな!」とどうやらいつぞやのお披露目の時にはすでに量産体制を整え始めていたそうだ。
そうこうしてる間にキャリッジからエーテルリアクターの唸りが響き渡った。
それにはエルネスティは興奮を隠せず騎操士に問い掛ける。
「この音は……あの中に入っているんですね?早く見せてください!」
「お?あんたが噂の団長か、慌てるな逃げやしない、さぁてこれこそが現在開発中の虫型シルエットナイトさ!ライルお披露目だぜぇ!」キャリッジから出て来たのは虫、まさに虫であった。
だが金属の身体が人の手で作られたと嫌でも分からせる。
例えるなら蟻や蜘蛛がモチーフになってるのか?
四足の足に背中には背面武装と同じく杖が二つあり蟻で言うお腹にあたる部分がある。
「おおおおおおお!!試作機と聞いてましたがかなり洗練されてますね!」
「まあ2年前から改良を続けていたから……でも」
「なるほど、でも実戦にはまだ遠い、と………ではさっそく始めましょう!」とこのあと虫型幻晶騎士に乗っていた山岳警備団の人からお礼を言われたので親方達もゲテモノとはいえ悪い気分はしなかった。
てなわけでさっそく二人は乗り込みエルネスティがメイルペーゼの説明の元、動かすわけだが若干アディの目が怖かったのは内緒である。
ともあれ動く様を見て各々団員から感想が出てきた。
「うん、まさに『おおおおおおお!!壁を歩けるとは実に面白いです!』………」足先の鉤爪のようなので器用に壁に張り付き水平に走る動きを見たディートリヒは言葉を無くした。
「まさになんだ?ディート『すごい跳躍力ですね!跳ねまくりです!』『ストランド・クリスタル・ティシューの伸縮性があるからだけどねって衝撃に備えないとヤバ『へぶしっ!』ごめん遅かった』…………すまん悪かった」と通常ならあり得ない高さまで跳躍し四足で着地するそれを繰り返し見てるとアレに自分も乗らされるのか?と心配になり呟いたエドガーだったが、きっとディートリヒも同じ考えなんだろうと察し謝った。
「うわ~、本当に虫みたいだね」
「ガシャガシャした音がまた不気味さを増してるわね」女性陣は虫は苦手のようで本当の虫をそのままスケールアップしたようなそんな感じがして仕方ない
だが不気味と思ってもこの虫型に詰め込まれてる技術に鍛治師達は興味津々であった。
「どうやって壁に張り付いているんだ?」
「それよりストランド型の伸縮性を利用するなんざ考えもしなかったぜ」
「でも親方、あれだけ出来て何が足りないんですかね?」
「背面武装もあるから火力は確保出来てるし」
「動きもそこまで悪い訳じゃなさそう」と話してるうちにエルは満足したのか虫型から下りて来た。
めっちゃ肌がテカテカしてる。
「おう、ずいぶん楽しそうじゃねぇか」
「はい!それはもう自分になかったアイデアがたんまりと詰まってましたので………ですがメイルの言う通りこれは改良が必要ですね」とここで銀鳳騎士団、慣例のエルネスティによる説明会………
「で、改良点はなんなんだ?」
「はい、この虫型ですが確かに性能は大変良いですが未だに操縦性等が確保出来ていません、それに大多数を相手にすると考えると火力不足です」
「大多数を相手にするだと?」エドガーの疑問はごもっともである。
大多数と言ってもそれならこのフレメヴィーラでは当たり前に近い、魔獣の方が数が多いのはけっこうあるからだ。
「エドガー先輩の疑問はごもっともです。ここからはメイルに説明してもらいます」と交代してメイルはある地図を広げる。
「山岳警備団を苦しめてるのは[シェルアント]と呼ばれる魔蟲です。主に山岳地帯に生息している魔蟲です」
「あー、それならわたしでも知ってるぞ」
「魔獣[シェルケース]と似たような生態をしてるって聞いたわ」ディートリヒとヘルヴィーの知識は一般的であるし騎操士学科に居れば習う魔獣の豆知識だ。
「それはあってます。けど[シェルアント]にはもうひとつ特徴がある」
「メイルちゃん、もうひとつの特徴ってなに?」
「もうひとつの特徴は[シェルアント]の女王、[クイーンシェルアント]です。クイーンの餌は主に鉱物で、摂取した種類によって繁殖速度と配下の甲殻の硬度が極端に変わることです。例えば一般騎に使われてる素材と国王騎に使われてる素材で一番弱いソルジャータイプの強さも変わって来ます」
[シェルアント]はシェルケースと似たような生態をしてるが違いとして鉱山などに生息し地下に巣を作る。
そしてクイーンシェルケースは単体で旅団級だがクイーンシェルアントは単体では中隊級程の脅威でしかないが問題は繁殖能力だ。
その繁殖速度は最低でもクイーンシェルケースの3倍であり希少鉱物など摂取すれば更に加速する。
そこまで説明するとエドガーの疑問は消えた。
「成る程、殲滅するにも狭い空間で突入出来る数も限られる。だから大多数を相手取れる火力が必要なわけか」
「はい、操縦性も例えるならテレスターレとカルディトーレのようなもんです」実に分かりやすい例えだ。
テレスターレに乗ったこともある団員は特にだ。
「でもエルもメイルも普通に動かしてたろ?」とキッドは見たまんまの感想を言うがそれは違う
「あれはフルコントロールでやってたから、通常の操縦じゃあそこまではいかないよ」そもそも制御術式は完全に一からのスタートなのでエルネスティからすればよく2年の月日でここまで出来たな~っと称賛している。
彼の"前世"でそっちに手をあまり出していないからだ。
「とりあえず制御術式は僕とメイル、あとキッドとアディも手伝ってください」
「ツェンドルグの時と同じってことだな」
「虫はあれだけど………エルくんが言うならオッケー!」
「では機体は親方達とテストランナーはエドガー先輩とディー先輩にお願いします」
「あれ?わたしは?」
「ヘルヴィー先輩達、第3中隊はまだツェンドリンブルの機種転換の真っ最中ですし今のところはそちらに集中してください、もちろん終わったら手伝ってもらいます」と確かにエドガーもディートリヒ、二人はカスタマイズされた中隊長騎の慣熟訓練は終わってるがヘルヴィー達、第3中隊は未だ………まあ脚を担当していたアディの擬音混じりの説明によりあまり進んでいない
「親方達はもう2機程、製造してください」
「まあ山岳警備団が頭下げたんだ。おめぇら早速取りかかるぞ!」おー!と全員、散らばり各々が動き出した。
「エル………ありがとう」
「いいですよ。仲間じゃないですか」
「もう!エルくん、イチャイチャしすぎ!」
「いやアディ、イチャイチャしてないだろ」と一つ嵐が去ってはまた団長の指示でまた嵐、でも銀鳳騎士団は今日も忙しくも楽しく過ごすのであった。
その頃、オルヴェシウス砦を目指す一団がいた。
「教官、覚えているかな?」
「覚えてるに違いないっすよ!」
「そうそう一番弟子のアタシを「いーや!俺が一番弟子だ!」ウルセェエ!テメェが一番なわけないだろ!」
「な・に・が・だ!オメェーみたいなチチバケを一番弟子にするわけ「セクハラじゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」ごっぱぁぁぁああああ!!!!」
「まったく理解出来ない、このバカ二人が選抜を生き抜くなんて」
「まあ実力だけならツートップだからな二人は」
「わらわは関係ないぞ、教官とまた同じ鎚を振るえるならな」
がんばれ銀鳳騎士団の常識人達よ。
更なる嵐?が来てるかもしれない…………たぶん
[試作虫型幻晶騎士(名称なし)]
メイルがライヒアラに入学する2年程前に故郷で開発された機体。
最初は開発に難航したが山岳警備団の全面的な協力の元、実戦での貴重なデータを収集し何度も何十と改良を繰り返した経歴がある。
現在はサロドレヴィーラで確立させた新技術を応用する事で2年前とはかなり変わったがそれでも現場の要求を満たしたとは言い難い
今後、銀鳳騎士団もといエルネスティに魔改造されるかもしれない………