俺の初期艦は大和型一番艦。 作:たま
ある日のこと、俺は仕事を全て片付けて鎮守府を散歩していた。
するとどこからか。
「提督!来てくださーい!」
そんな声が聞こえてきた。
大和でも暁でもないその声。声の元を探っていると、
工廠の前に来ていた。
「やっときてくれましたね!」
そこに、ピンク髪の少女が立っていた。
「君は確か......明石だったかな?」
「知ってくれているんですね!はい、工作艦、明石です。」
「呼んでいたのは君か?」
「はい、私です。提督がなかなか工廠に来てくれなかったので呼んでみました。私からの用は特にありませんよ。あ、忙しかったですか?」
「いや、俺も暇を持て余していたからな。話し相手になってくれるのなら助かる。」
「それは良かったです!」
「そういえば明石はいつからこの鎮守府にいたんだ?」
「大和さんが来るちょっと前からです。」
「ん?でも大和は確かこの鎮守府に来たときは1人だったと言ってた気が...」
「実はまだ会ってないんです。」
「会ってないのか!?...今までどうしてたんだ?」
「それはもう...頑張りました。」
「そ、そうなのか。じゃあ明石はこの鎮守府に異常に資源が少ない理由とか大和に艤装がない理由は知っているのか?」
大和よりも先に鎮守府にいるのなら知っているのかもしれないと、そう思ったのだ。
「一応知ってますよ。大本営から提督に聞かれたときは答えろと言われています。」
「じゃあ話してもらえるか。」
「はい、ではまず資源の話をしましょうか。普通、鎮守府に資源は支給されることは知ってますよね。」
「あぁ、一応。」
「では、なぜこの鎮守府には資源が支給されないのか。それは大和さんの過去に関係してきます。」
「大和の過去だと?」
「実は大和さんは......世界を壊滅させようとしていました。」
「大和が世界を滅ぼす!?どういうことだ?」
「少し昔の話をしましょうか。」
―とある鎮守府に三人の艦娘と、ある提督だけがいました。
提督はとても心がきれいな人でした。
艦娘と提督は仲良く任務をこなしていました。
ところがある日。
三人の艦娘が任務に出ているときでした。
なんと、鎮守府に深海棲艦が攻めてきたのです。
艦娘のいない鎮守府にはもうなすすべがありません。
その鎮守府は簡単に制圧されてしまいました。
深海棲艦が攻めてきたと知って帰還した艦娘達でしたがもう時すでに遅し。
艦娘達が見たのは無惨にも破壊し尽くされた鎮守府と、
一人の男の死体でした。
艦娘達は泣きました。
ですが三人の内一人は泣いていませんでした。
一人の艦娘は補給もせず海に出て行きました。
二人の艦娘はあとを追って海に出ました。
そしてその事件の三日後に水面に浮かぶ三人の艦娘と、破壊し尽くされた鎮守府、そして大量の深海棲艦の死体が発見されました。
「発見された艦娘は大和さん、と暁ちゃん、そして私の三人です。わかりましたか?」
「お前達にはそんな過去が...」
「覚えているのは私だけのようです。資源が支給されない理由は大和さんを海に出さないため。大和さんの艤装がないのも同じです。」
「これだけの事があれば大和は解体されてもおかしくないはずだが...」
「それはもちろんこの世界のためです。本当にこの世界が危険なときは桁違いな実力を持った大和さんに出撃命令が下されると思います。」
「そうか。それなら大和が拳で深海棲艦に勝てたのも納得がいく。」
いくら大和型といえど拳で深海棲艦を水平線の彼方まで殴り飛ばせるはずがない。
「提督!こんなところにいたんですか!暁ちゃんが待ってますよ!」
大和が工廠の前に立っていた。
「...提督、そちらの方は...?」
どうやらほんとうに大和は明石のことを忘れているらしい。
「あぁ、彼女は...」
「工作艦の明石です。よろしくね、大和。」
「あ、私のことは知っていただけているんですね。
明石さん...聞いたことあるような気が......」
「それより何か用だったのか?」
「あ!そうでした!晩御飯の用意ができましたよ。冷める前にはやく来てください。って言いに来たんでした!」
「お!そうだったか、それは楽しみだ。」
「では提督、また来てくださいね。」
「ん?何言ってるんだ?晩御飯だぞ。」
「そうですよ。明石さんも一緒に食べましょう。ちょっとつくり過ぎちゃいましてね。」
「ではご一緒させてもらいます!」
とても嬉しそうに歩く明石だが、どこか表情は曇っているような気もする。一緒に過ごしてきた仲間に忘れられるのは辛いだろう。
大和の問題はありそうだが、俺は提督として三人と過ごしていく。
暁、大和、明石、この三人が揃ってこの鎮守府。
明石も暁に自己紹介を済ませたとこだ。
さぁ、
「「「「いただきます!」」」」
自分で改めて読み直すと時間軸が変なことになっていたので鎮守府案内編は忘れてください。
いつも誤字報告とても助かってます。ありがとうございます。
それでは次回をお楽しみに!