俺の初期艦は大和型一番艦。 作:たま
目が覚めた。
時計を見てみると長い針は6を向いている。
(この時間まで大和が起こしに来ないのは初めてだな...大和に何かあったのか?)
大和は普段5時には起きて朝食を作り始めてるはず。それにも関わらず、まだ何の音も聞こえてこない。
とりあえず、大和の部屋まで行ってみることにした。
扉ノックし、名前を呼んでみる。
「大和、起きてるか?」
返事はかえってこなかった。
不安に思った俺はドアノブに手をかける、鍵は掛かってないようだ。
「大和、入るぞ!」
無事を確かめたい。その一心だった。
部屋に入るととても良い匂いがした。
(今はそれどころではない!)
「大和!」
布団の方を見てみると、大和は普通に寝ていた。これで一安心、と思ったが、あらためてもう一度大和を見てみるとあきらかに顔が赤かった。
「ん......あ、提督......おはよう...ございます。」
寝たままだが、こちらを向きながら大和は答えた。そして時間を確認して、大和は少し焦った表情を浮かべる。
「提督、今すぐ朝ごはん作りますね。」
立ち上がろうとする大和を俺は制止する
「おはよう大和、少しじっとしていてくれ。」
「...?なんですか?」
大和の額に手を置く。
「て、提督?いきなりなんですか?」
熱い。
「大和、気分は悪くないか?頭が痛かったりしないか?」
「どうしたんですか提督、そういえば少し頭痛がするような...」
疑問は確信へと変わった、大和は風邪を引いている。
「今日は1日休んでいていい、大和は風邪を引いている。」
「な...そんなことないですよ!子供じゃありませんし、私は大丈夫です!」
そう言う大和は鼻声で、だるそうにしている。
「私が寝ていたら提督は何もできないじゃないですか。」
「そ、そんなことは......」
家事諸々は大和にやってもらってるし、仕事も手伝ってもらったりしているが、しているが...
「だ、大丈夫だ!多分なんとかなる。」
「で、でも...」
「今日は寝て風邪を治せ、治ったらまた色々手伝ってもらうからな。」
「...そこまで言うなら今日はお休みをもらいます。でも、もしものときは私に言ってくださいね。」
「あぁ、任せろ。」
そう言って大和の部屋を出た。
「さて、やるとするか。」
まずは朝ごはんからだ。
大和は風邪を引いている。風邪と言ったらおかゆだろう。
「どうつくるんだったかな...」
何せ今までまともに料理などしてこなかった。おかゆの知識はほとんどない。水とご飯を火にかけて、味つけに塩をかければ完成だった気がする。
「まぁ、なるようになれだ。」
とりあえず形はおかゆになった。お腹が減っているだろうし、はやく大和に食べさせてやりたい。俺は大和の部屋に急いだ。
「大和、入るぞ。」
ノックしてそう言うと、中から
「はい、どうぞ」
と聞こえてきた。
扉を開けると大和はちゃんとまだ布団でよこになっていた。
「おかゆをつくったが、食べられるか?」
「お腹は空いてますね。」
大和は上半身を起こした。
それはよかった。俺は鍋の蓋を開けて、大和にスプーンを渡した。
「...ありがとうございます。それではいただきますね。」
「ど、どうだ?」
「...そうですね。提督らしい味ですかね。」
「俺らしい味?」
「はい、提督らしい味です。」
「俺らしい味...そういえば味見するの忘れていたな。」
「じゃあ食べてみてください」
「そうか、じゃあもらおうかな。」
大和がスプーンを差し出してくれたので、受け取ろうとすると、大和は首を横にふる。
「違いますよ提督、あーんですよ。」
「あ、あーん?」
「ほら、はやく」
勢いよく行くことにした。
「...これが俺らしい味か、不味くはない...かな?」
「この味、私は好きですよ」
「そうか!それはよかった!」
大和の口に合ったなら作った甲斐があった。
「ごちそうさまでした。提督、おかゆありがとうございました。」
「おう。気にするな、普段俺がしてもらってることだ、少しでも恩を返したいしな。」
大和から食器を受け取り、俺は後片付けをすることにした。
「じゃあ俺は仕事に戻るとするよ。ちゃんと休むんだぞ」
「わかってますよ」
去り際にそう言って俺は部屋を出た。
(大和はいつもこれ以上に大変なことをしているのか...まったく、大和には頭が上がらないな...でも、さすがにあーんは恥ずかしかったかな...)
大和が普段してくれていることの大変さを知った提督。これ以上の難題が待ち受けていること、今日頑張り過ぎて次の日には自分が熱を出すことを彼はまだ知らない。