陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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昨日のゆりしぃが出てたニコ生見ました?仲良く三人でただカラオケをするっていう最高の時間でしたよ。リリイベもファイナルライブも行けないからあれ見れてほんとによかったです。どうにかしてあの映像を保存したいものです。

失礼、今回は日菜ちゃん回です。


8話

 

 俺たちのライブの日が近づいてきた。それはつまりパスパレのデビューライブが近づいていることも意味する。そして今日から色んな場所で一斉にポスターが張り出されるらしい。…ということは紗夜も日菜がギターをやる(もう始めてるけど)ことを知るのだろう。

 今日は打ち合わせぐらいですぐに解散となったのだが、俺は解放されなかった。別に呼び出されたとかじゃない。この前カフェでリサと撮った写真のことは、想定通り仕事ということで片付けることができたからな。

 

 さて、ではなぜ解放されないのかと言うと、

 

 

「ねぇねぇー!今からデート行こうよ〜!リサちーとデートしたってあたし知ってるよ〜」

 

 

 日菜に捕まったからだ。たしかに前に出かけるという流れにはなったが、デートとは言ってなかっただろ。男女で出かけたらデートになるのか?

 

 

「帰りたいんだが」

 

「いいじゃん!リサちーとは一日中だったんでしょ?今からだと半日だけのデートなんだよ?」

 

「関係ないだろ」

 

「ぶーぶー!いこーよー!」

 

「…わかったから離せ」

 

「ほんと!?やったーー!!」

 

「抱きつくな。離れろ」

 

 

 腕にしがみつかれていたから離れろといったのに、OK出した瞬間抱きついてきた。事務所の中だからいいが、これが外でスクープ大好き人間に写真撮られたら大変なことになるんだぞ。(事務所が)

 

 

「で、どっか行きたいとこでもあるのか?」

 

「ううん!何も考えてないよ!」

 

「…よくそれで誘ったな」

 

「元々誘う予定はなかったんだけどね〜。ユウくんがいるの見たらるんっ♪てきたんだ〜」

 

 

 つまり完全に気分で決めたと。…なんでもいいけどよ。あ、晩飯はどうするか聞いとかないとな。家に連絡しないといけないし。

 

 

「晩御飯?一緒に食べようよ〜。リサちーには手厚くしてたんでしょ?」

 

「なんか対抗しようとしてない?」

 

「リサちーの邪魔はしたくないけど、あたしだってユウくんと遊ぶの好きだからさ〜」

 

「リサの邪魔?」

 

「ユウくんにはわからないことだから気にしないでいいよ。厄介事ってわけでもないし」

 

「そうか」

 

 

 棘のある言い方だが、実際に俺がわかることじゃないのだろう。いつもふざけてるような日菜が真面目な顔で言うのだから。

 

 

「今日は晩飯食べたらそれで終了、でいいな?」

 

「ま、仕方ないか〜。帰りが遅いとあたしも怒られちゃうし」

 

「決まりだ。それじゃあ出発するぞ。どこ行くかは歩きながら考えればいいだろ」

 

「時間がもったいないもんね」

 

「……だから離れろ」

 

「じゃあその代わりに手を繋ぐからね〜♪」

 

 

 そう言って俺の手を取った日菜は急かすように引っ張る。走ると危ないから早歩きぐらいのペースでそれに応えるのだった。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 デート♪デート♪何すればいいかなんてわかんないけど、デートしてるって思うだけでるるるんっ♪てきちゃうな〜。リサちーにバレたら何か言われそうだけど、ちょっと遊ぶぐらいは許してくれるはず。

 

(こうやって一緒に遊ぶのも2年ぶりぐらいかな?) 

 

 お姉ちゃんがだんだんあたしのことを避けるようにって、中学生のときに出会ったユウくんにいつも相談してたっけ。まー相談って言ってもユウくんは対人関係のことが一番わからないから、あたしがすっきりするまで話を聞いてもらうってだけだったけど。

 …あ!お姉ちゃんのことが嫌いだったとかじゃないからね!ユウくんに話すことであたしの中の不安をちょっと和らげたってことだから!お姉ちゃんのことは嫌いになったことなんてない。昔っから大好きなんだ〜♪

 

 

「あ!ユウくんここ行こうよ!」 

 

「…展望台?ちょっと距離あるんじゃないか?」

 

「だからいいんじゃん!今からならちょうど夕陽が見れるだろうし、戻ってきてご飯食べる、どう?」

 

「珍しくまともな考えだな。そうしようか」

 

「ちょっと引っかかるけど…ま、いいや!早く行こ〜」

 

 

 そこまではバスで行けるみたいだし、バス停もすぐそこにある。あとはバスの時間が気になるぐらいかな。

 ユウくんの腕をグイグイ引っ張ってるけど、ユウくんはなんだかんだであたしに合わせてくれてる。手を繋ぐのをやめて腕を絡ませるけど、ユウくんは何も言ってこない。

 

 

「タイミングがいいな」

 

「え?…ほんとだ。あと2分で来るなんてラッキーだね♪」

 

「ああ」

 

「ユウくん…怒ってる?」

 

「は?なんで?」

 

「だってあたし腕絡ませてるんだよ?手を繋ぐって言ってたのに」

 

「気にするなら最初からやるなよ。……怒るようなことでもないだろ。今日は日菜の好きなようにすればいい」

 

「……うん!」

 

 

 やった!ユウくんにまで避けられるようになったらあたし壊れちゃうかも…、その心配は必要ないみたい!よーし、今日はとことん甘えちゃおーっと。

 

 

「………バスってなんでこんな酔うんだろうな」

 

「あ、そういえばユウくん乗り物苦手だったんだよね。ごめんね」

 

「……空と、海なら大丈夫だ。……陸のはダメ」

 

「陸上を生きる人間なのにね」

 

「………せめて、窓を開けれたら。…このバスは無理なタイプか」

 

 

 目的地までもう少しあるんだけど、ユウくん大丈夫かな…。顔色も悪くなってきちゃってるし、どうしよう、どうしよう。あたしが展望台行きたいなんて言ったから…。

 あたしが俯いてるとあたしの頭にそっと手をのせられて、そのまま優しく引き寄せられた。こてん、とあたしの頭があたったのはしんどそうに窓にもたれてるユウくんの胸だった。ユウくんの方を見ると、あたしの目を見ながら優しく頭を撫でてくれた。

 

 

「自分を責めるな」

 

「で、でもあたしが行きたいって言ったからユウくんがしんどい思いしちゃってるんだよ」

 

「反対しなかった俺に責任があるんだ。日菜は悪くない」

 

「そんなことない。そんなことないよ。悪いのはあたしだよ…」

 

「……それよりさ、いつもみたいに明るい日菜でいてくれよ」

 

「…え?」

 

「そのほうが酔いも気にならなくなるだろ?」

 

「…う、うん!」

 

 

 そこからあたしはいっぱいユウくんと話した。ユウくんの気が紛れるように笑顔で、今までるんっ♪てきたことをいっぱい話した。

 その効果が出たのか、ユウくんの顔色も少しはマシになったんだ〜。それでね、降りる場所に着くまでユウくんがずっとあたしの頭を撫でてくれてたの!そのことにるるるるんっ♪てなっちゃった!

 

 

「着いたな」

 

「着いたね〜。ユウくん具合は?」

 

「日菜のおかげでマシになった」

 

「それならよかった〜。それじゃあ展望台に登ろっか!」

 

「ああ」

 

 

 二人分のチケットを買って(ユウくんが奢ってくれた。リサちーも言ってた、ユウくんは相手にお金を使わせないって)エレベーターで上まで上がっていく。

 時間は想定通り夕方。だから町が綺麗な夕陽で染まっているのを見渡すことができた。

 

 

「綺麗だね〜」

 

「そうだな」

 

「…ユウくんに無理させちゃったけど、来れてよかった」

 

「日菜がそう思えるならこれぐらい付き合うぞ」

 

「あはは、ありがとう。けどそんな頻繁にこういうとこ誘うのはやめとくよ。あたしはユウくんにしんどい思いをしてほしくないから」 

 

「……そうか。…偶には呼ぶんだな」

 

「うん。だってあたし星空見るの好きだからさ。ユウくんと一緒に天体観測してみたいし」 

 

「わかった。その時が来れば予定を空けとく」 

 

「ほんと!?ありがとう!ユウくん大好き!!」

 

「そういうのは惚れた男ができた時に言え」

 

「…はーい」  

 

 

 惚れた男に、か。…あたしがそう思える相手なんてできるのかなー?今はあたしにとってユウくんが一番なわけだし。これが異性としてなのかはあたしにはわからないけどね。

 

 

「帰りのバスの時間見たか?」

 

「……見てなかったね」

 

「なら降りるか。日もだいぶ落ちてきてるわけだし」

 

「そうだね」

 

 

 展望台から降りてバスの時間を見ると今度は10分後だった。さすがに行きも帰りもピッタリ、なんてことにはならなかったよ。

 

 

 

 

 

 

「う〜ん♪ほんとに綺麗だったね〜」

 

「そうだな。それで何か食べたいものあるか?」

 

「なんだろうな〜。とりあえず薄味なのは嫌!」

 

「そういやそうだったな」

 

 

 特に豆腐とかほんとに駄目なんだよね〜。あれって味ないじゃん!豆腐の魅力なんてさっぱりだよ!あたしからしたら皆無だよ!

 

 

「あ!ここにしようよ!」

 

「イタリアンか」

 

「ユウくんもここでいい?」

 

「いいぞ」

 

 

 2年前はユウくんと色んなお店行ったけど、なんだかんだでイタリアンは行ったことなかったと思う。せっかく久しぶりにご飯食べに行くんだもん、行ったことない場所にしたいよね。

 

 

「うわ〜!綺麗なお店だね!」

 

「そりゃあここは高級な店だからな」

 

「え、そうなの?」

 

「わからないで言ってたのか…」

 

「じゃあ、あたしたちだと場違い?」

 

「そうでもないだろ。日菜はデビュー直前のアイドルで、俺は現役の芸能人だからな。それに…」

 

「それに?」

 

 

 あたしたちが入り口で話していると、店員さんが近づいてきた。名札を見るとどうやらオーナーさんみたい。……オーナーって接客する人だっけ?

 

 

「お久しぶりでございます。湊様、今日はお二人様でよろしいでしょうか?」

 

「お久しぶりですオーナー。はい、今日はこの通り二人ですし、プライベートです。この子がここで食べたいと言ったので寄らせてもらいました。席は空いてますか?」

 

「左様でしたか。ありがとうございます。個室が空いておりますのでそちらにご案内させていただきます」

 

「ありがとうございます」

 

(え、え?え?ユウくんってそんな大物だったの?高級店のオーナーと知り合い?)

 

 

 あたしが固まってると、ユウくんに手を繋がれて先導される。お店の雰囲気にあてられたのか、なぜかあたしは今すごく恥ずかしくって顔を赤くして視線を下げてユウくんについていった。

 案内された部屋のドアを見ると『VIP』の文字が…。あたしの処理能力を超える出来事の連発であたしはフリーズするしかなかった。

 

 

「日菜大丈夫か?調子が悪いなら」

 

「だ、大丈夫。調子が悪いとかじゃないから」

 

「それならいいが」

 

 

 メニュー名だけじゃどんなのか判断できなかったけど、その度にユウくんが説明してくれた。それでるん!ってきたのを注文したんだけど、混乱から抜けれなかったあたしはユウくんに食べさせてもらうことになっちゃった。それでさらに思考が停止したんだけどね。

 

 

 

 

「あの店どうだった?」

 

「美味しかった、かな?正直あんまわからなかったよ」

 

「なんか混乱してたみたいだからな。ま、日菜もまた行くことあるんじゃないか?」

 

「そうなの?」

 

「もしかしたら、な」

 

「へー」

 

 

 すっかり日が沈んだ町の中を二人並んで歩く。ユウくんがあたしを家まで送っていってくれるんだ〜♪るるるんっ♪てきたから今もユウくんの腕に抱きついてる。なぜかいつもより落ち着くというか、居心地がいい感じ…。

 

 

「ほら家に着いたぞ」

 

「…もう着いちゃったか〜」

 

「なにを残念がってるんだよ」

 

「えへへ……」

 

「日菜?」

 

「……えい!」

 

「…っ、!!」 

 

「っん」

 

「…お前、なにして」

 

「あはは!ユウくんでもびっくりすることあるんだね!それじゃあまたね〜、おやすみ!!」

 

(リサちーの邪魔にはなりたくない…んだけどな〜。…たまになら、いいかな)

 

 ユウくんの呆けた顔なんて始めてみた。もしかしたらあたししか見たことないのかも知れない。そう思うとすごく嬉しかった。寝るときにこのことを思い出して、その度になぜか恥ずかしくって落ち着かなかった。…お姉ちゃんに静かにしなさい!って言われちゃった。




え、メインヒロイン?もちろんリサですよ。ただ氷川姉妹も好きなんです。そんなに焦点が当たるかはわかんないですけど。

☆9評価 ゆう@0119さん ありがとうございます!
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