陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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 Roseliaのプールイベント、スバラです!!
ガチャの結果?(∩ ゚д゚)アーアーきこえなーい(悪くなかった)

今回はあの人物が登場です。


23話

「…そろそろ就寝時間になるんですけど」

 

「もうそんな時間ですか」

 

「…てっきり今日連れ出すと思ってましたが、違うんですね」

 

「そのつもりだったんですけどね。思ってた以上にリサの状態がよくなかったので」

 

「リサちゃんとお話できました?」

 

「いえ。ずっと俺が話しかけてるだけでしたよ。…リサは先程寝ましたが」

 

 

 眠っているリサに目を向けながら、宮井さんと話をする。リサの状態は予想以上に悪かった。リサの小さな仕草でリサの意思を汲み取りながら会話をしていたが、それは長く続かなかった。

 突然リサの目の焦点が合わなくなり、ここではないどこかを見ているようだった。きっと昔の俺もこうだったんだろうなと思いながら、それでもリサの側に居続けて声をかけ続けた。リサはそのうちそっと目を閉じて先程眠りについたというわけだ。

 

 

「湊くんはこれからどうする気ですか?」

 

「…リサを取り戻しますよ。心を塞いでしまったのならそれをこじ開けます。話さない理由はわかりませんが、俺はそれを受け入れられる(否定しない)確信もありますしね」

 

「どうやってそうするか考えてるんですか?医学の世界でもこれといった明確な方法はないんですよ?」

 

取り戻せます(・・・・・・)、確実に」

 

「…考えはあるみたいですね。湊くんは明日にでも退院できますけどどうします?」

 

「退院します。わりと忙しいことになるので、早く退院できるなら助かります」

 

「そうですか。…今日はここで寝るんですよね?」

 

「そうですね」

 

「わかりました。ではまた明日。おやすみなさい」

 

「はい。おやすみなさい」

 

 

 宮井さんが出ていったところでもう一度リサの様子を確認する。魘されてる様子もなく、とても穏やかな表情で眠っている。それに安心した俺はリサの手を握り、椅子に座ってベッドに突っ伏すように眠りについた。体勢は悪いがそんなヤワな体じゃない。一日ぐらい大丈夫だ。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「リサちー…なんで」

 

「雄弥くんのことを全て聞いたから、ですよね?湊さん」

 

「そうね。…タイミングからしてその可能性が非常に高いわ」

 

「ユウくんのことを?」

 

「ええ。事故に合う前に雄弥と電話したのだけれど、リサに隠し事をしていることに気づかれたから全てを話す、そう言っていたわ。話すタイミングには気をつけると言っていたのだけど…、リサに迫られて断れない状況になったのでしょうね」

 

「それで全てを知った今井さんは…」

 

「リサの想像を超えてたのでしょうね。…受け入れられなかったのでしょう」

 

 

 あの子は繊細だものね。雄弥と並んで生きていく未来を何よりも楽しみにしてたはず。だから、雄弥が長生きできないと知って、取り乱した。そして雄弥がリサを庇って交通事故にあったことで、自分のせいで雄弥の寿命を縮めた。そのショックで今の状態に…。

 

 

「お姉ちゃん、リサちーはどうやったら治るの?」

 

「…わからないわ。お医者様もはっきりしたことは言えないって仰ってたし」

 

「なんで!」

 

「仕方ないじゃない!精神的なことは個人で変わるのだから!…確実な手段なんてないのよ」

 

「…ユウくんは?ユウくんならリサちーを治せるんじゃないの!?」

 

「かもしれないわね。…おそらくそのために今奔走してるのでしょう。早朝に連絡が来たのだけど、今日退院してるそうよ」

 

「もうですか!?いくら何でもそれは……ぁ」

 

「…また寿命削ったの?」

 

「そう…なんでしょうね。本人の意志…ということになるのかしら、起きたときには治ってたそうよ」

 

「それは…」

 

「リサちーが大切だから、かな」

 

 

 日菜の予想で正解なのでしょうね。リサのことが大切だから。すぐにリサと話せるように、入院も最短で終わるようにしたかったのでしょう。

 意識がなくてもそうなるということは、それだけ雄弥がリサを想っているということ。それ自体は嬉しいことなのだけれど、雄弥の場合は特殊だから複雑ね。

 

 

「友希那ちゃん。あたし達ができることってないの?」

 

「…今は特にないわね。雄弥の代わりにリサの様子を見に行くぐらいかしら」

 

「なにか、何かしようよ!」

 

「日菜」

 

「だってリサちーはあたし達の友達なんだよ!?」

 

「もちろん私も何かしたいわ。でも、雄弥が『信じて待っててくれ』って言ったのよ。だから私は待つわ。雄弥が下準備を終えたら改めて手を貸すことになるのだから」

 

「…そうなの?」

 

「雄弥くん一人で全てをしようというわけじゃないのでしょうね。…だから日菜、今は待ちましょ」

 

「うん…」

 

 

 雄弥が何を考えて、どういうことをしているのかは分からない。だけど、電話で聞こえてきた雄弥の声は、今までで一番頼もしい声だった。決意に満ちて、やることを明確にしていたらしく、言葉の一つ一つに力や想いがこもっていた。

 

 

(雄弥、信じているわよ)

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 路地裏にある楽器屋。チンピラやヤンキー達が集まりそうな場所にあるのにそういった輩が一切近づかない場所にその店はある。そんなおかしな店に俺は来ていた。

 

 

「なんだ…こんな所に何のようだ?」

 

「ここに売ってあるやつを買いに来たのと、もう一個用事があるってだけだ」

 

「ほう?……ならまずは会計だな」

 

 

 弦とピックを買い、会計を済ませる。ここの店長はとても面倒くさそうに、愛想悪くしているが、その演技(・・・・)に付き合う気はない。

 

 

「あんたに頼みがあってきた。ゼファー(マネージャー)

 

「…なんだそっちのか」

 

「俺が裏側に首を突っ込むわけ無いだろ。…マネージャーとして力を貸せ」

 

「貸せ…か。大きく出たな」

 

「俺を監視していたこと、元社長を野放しにしていたこと、ファーストの入国をわざと見逃したこと。そのツケを払ってもらうだけだが?」

 

「よく気づいたな?」

 

「疾斗を介して監視していたことは、Augenblickが結成した時から気づいてた。特に害がないから放置してただけだ。あのバカを野放しにしていたのは、お前がだらけたからだろ。そしてファーストの入国は、組織を探るため。違うか?」

 

「正解だ。ポンコツ社長とファーストが接触したときは笑いが止まらなかったけどな。そんなことしたら、探り放題(・・・・)になるからな。私なら接触しないな」

 

「そんな話はどうでもいい。もう一度言うが、力を貸せ」

 

「正解したわけだし、それぐらいはしてやるよ」

 

 

 ゼフレス・オルランド。俺達Augenblickのマネージャーにして、人材発掘の天才。裏側で言えば最大限警戒されている人間であり、誰も手を出さないことが暗黙の了解となっている。年齢不詳で、いつどこで生まれたのかも分かっていない。魔法でも使っているのかと疑うぐらい見た目の変化が激しい。この店にいる時は初老のようになり、マネージャーとして動くときは30代半ばのような見た目になる。疾斗が言うには、10代の見た目に戻ることもあるらしい。一言で片付けると、怪物だ。

 

 

「それで、この私に何を頼みたい?社会での渡り歩き方か?お前の体の治し方か?…それとも、彼女の精神状態の治し方か?…ぐっ」

 

「俺の女にちょっかいかけたら、あんたでも潰すぞ」

 

「ふっふっふっ、お前ぐらいだよ。この私にそうやって脅しをかけてくるのは。…意味がないとわかっているだろうに」

 

「その時は刺し違えてでも消してやるよ」

 

「おー、怖い怖い。…まぁ、お前の頼みはどれでもないのだろ?」

 

「当たり前だ。お前にはマネージャーとして(・・・・・・・・・)力を貸してもらうからな」

 

「なるほど、なるほど。敏腕マネージャーに頼みたいことか。…随分と大掛かりなことをするんだな?」

 

「お前の期待ほどじゃない。ただ単にあまり悠長にしてる時間がないからお前にも働いてもらうだけだ」

 

「くっくっく。…いいじゃないか雄弥。お前、今のほうが断然良い目をしているぞ。やっとスタートラインに立ったようじゃないか。随分と時間をかけたな?」

 

「まぁな。…お人好しのおかげだ。恩は返すものだろ?」

 

「違いない。それじゃ、具体的な話を聞こうか」

 

「ああ」

 

 

 ゼファーに今考えていることを話した。話し終えたらゼファーは腹を抱えて笑いながら「青春じゃねぇか」と、俺の案に乗ってくれた。どうやらゼファーの目からしても特に修正の必要がない案らしい。ゼファーにやっておいてほしいことを伝え、俺は店を出た。店の地下に行けばさらに手を借りれただろうが、あそことは関わりたくないからな。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 店を出て路地裏からも出た所で疾斗に待ち伏せされていた。どうやら今の俺の状態は、疾斗のセンサーに引っかかるらしい。…ま、元からAugenblickにも巻き込まれてもらう予定だったし、呼び出す手間が省けてよかった。

 

 

「よう雄弥、これからどうする気だ?」

 

「そのことについてはちゃんと話すさ。Augenblickの残りのメンバーも呼び出してくれ。これからやること、リサを取り戻す方法を考えた。お前らにも手を貸してもらうから、そのことについて話す」

 

「ならばよし!いやー、ここで『一人でやる』なんて言ったらぶん殴ってやろうと思ってたが、その必要がなくてよかったよ」

 

「殴られるのは大輝にやられたあの一回で十分だ」

 

「はは!違いないな!」

 

「…お前たちには俺の身勝手に巻き込まれてもらう」

 

「気にすんじゃねーよ!リサは俺達の友達だし、なにより仲間の頼みだ。手を貸すに決まってんだろ!」

 

「ありがとよ」

 

「いいってことよ!それじゃあ、呼び出す場所は事務所でいいよな?」

 

「ああ。そのほうが都合いい」

 

「にしてもよかったのか?ゼファーなら体の治し方知ってるだろ?」

 

「あいつの情報をすべて鵜呑みにするほど馬鹿じゃないんでな。隙を見せれば厄介事に巻き込まれるだろ?」

 

「…たしかに。安全な厄介事に、だけどな」

 

「関わること自体が御免だ」

 

「それがいい」

 

 

 必ずリサの心を救ってみせる。リサに与えられてきたものを、今度は俺がリサに与えてみせる。

 そして、その後に俺の体を治す手段を探す。なんとしてでも。

 




マネージャーさんはね、多忙すぎるんですよ。だから余り出てこないのです。…と、いうことにしておきましょう。
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