陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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バイト先の店が潰れる夢を見たんですよ。その時の僕はめちゃくちゃテンション上がってましたね。…嫌いじゃないんですよ?ただめんどくさいんです。

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24話

 

 疾斗による招集で事務所にある俺の部屋にAugenblickのメンバーが集まっていた。結花は俺の姿を見るやいなや顔をしかめて、見るからに不機嫌になっていた。

 

 

「それで?リサの側を離れてこんなとこで雄弥は何してんの?今のリサの状態知ってるんでしょ?」

 

「知ってる。知ってるからこそ外に出てきた」

 

「…何言ってんの?」

 

「まぁまぁ結花落ち着いて。雄弥がここにいるってことは、リサの側にいるよりも重要なことがあるんじゃないかな」

 

「彼女より大事なことって何?」

 

「リサを治す方法を考えた。みんなには力を貸してほしい」

 

「治す方法って…雄弥お前何言ってんだ。素人が思いつくことで治るようなものじゃないだろ」

 

「いや、俺は先に話を聞いたが、わりといい考えだ。何よりゼファーがそれに乗った」

 

「ゼファーが!?」

 

 

 基本的に自由を与えてくる自分たちのマネージャーだが、考えなしというわけでもない。マネージャーへの信用は低いが信頼は高い。あの男が話に乗ったということは、それだけ可能性が高いものだと意味する。そのため大輝と愁は話を聞く態勢になり、結花もまだ納得できてはなさそうだが耳を傾けてくれている。

 俺はゼファーや疾斗に伝えた俺の考えをみんなに伝えた。話を聞いた三人は、呆れが半分、やる気が半分といった反応だった。

 

 

「ま、たしかに悪くはないな」

 

「ちょっとリスキーな気もするけど、ゼファーが動いてくれてるなら酷いことにはならないね」

 

「俺はもちろん雄弥に手を貸すが、お前たちはどうする?」

 

「はっ!そんなの決まってんだろ!俺もその話乗ってやるぜ!」

 

「僕も賛同するよ。結花はどうするんだい?」

 

「…条件がある。それと、その案を少しイジらせてもらうよ」

 

「条件?」

 

「うん。雄弥が隠してること(・・・・・・・・・)を教えて」

 

「!?」

 

「雄弥が隠してること?…別に隠し事の一つや二つ誰だってあるだろ?」

 

 

 結花が言ってるのは間違いなく俺の体のことなんだろう。友希那たちが言うわけないから、今回の件で気づいたのか。リサに続いて結花にまで気づかれたか。…いや、いっそこの場にいるメンバーには伝えたほうがいいのかもな。

 

 

「大輝、雄弥が隠してるのは可愛らしい秘密とかじゃないよ」

 

「…どういうことだ?」

 

「…結花、話してやるよ」

 

「うん。知ってるのって友希那ぐらいかな?」

 

「後は紗夜と日菜…それと疾斗とゼファーだな」

 

「疾斗も?」

 

「ああ。ゼファーの指示で俺を監視してたわけだしな?」

 

「監視って…なんでそんな」

 

「やっぱ気づかれてたのか…」

 

 

 こうなったらいっそこういった裏事情も洗い流しておくか。…ていっても疾斗が俺を監視してたってことぐらいなわけだが。全部共有しておいた方が、作戦の精度も上がりそうだしな。

 

 

「…俺の昔を知っているからゼファーの指示で監視してたんだろ?どの立場(・・・・)として監視してたのかは知らないが」

 

「そうだな。…あの謎だらけの組織のトップエージェントが何を思って芸能界入りしたのか、それを探るってのが目的だった。完全に記憶が飛んでるようだったが、記憶がなくても暗示を受けていたら組織と連絡を取れる。だからずっと監視してた。絶対に繋がっていないという確信は取れなかったからお前が前に入院したあの事件が起きるまで監視を続けてた」

 

「…お前、仲間を…!」

 

「ははっ、…殴ってくれていいぜ?リーダーなのにメンバーを一番信じてなかったわけだからな」

 

「チッ!」

 

「…雄弥の過去はわかった。それで疾斗は何者なわけだい?君だけはずっと隠してきたけど、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」

 

「…そうするか。その方がフェアだしな」

 

 

 疾斗は天井を仰ぐように椅子を傾けて目をつむり、椅子を戻すと同時に目を開けた。どうやらどう話すか決めたようだ。俺達は疾斗に視線を向けて言葉を待つ。…俺はある程度知ってるんだけどな。

 

 

「まず最初に得た立場は警察だった。…親父が警察だったから元々知り合いはいてな。親父が事件で犠牲になって、犯人への復讐を機にそのまま非公式ながら警察に入った」

 

「待て待て!警察ってそんな簡単に入れないだろ!」

 

「…親父がいた場所が特殊でな。公安警察にいてな。俺はそこにゼロって呼ばれる人間の一人として加入したってわけだ」

 

「…どうやって?そんなとこって相当なことしないと入れないでしょ?」

 

「警察よりも、公安よりも早く犯人の場所を割り出して復讐を果たした。ま、つまりは殺人だな。それを終えたところで公安の人が来てな。その人がちょうど知り合いでそのまま加入させてもらった」

 

「…疾斗が…殺人?」

 

「馬鹿な」

 

「ははっ、そう思ってくれるのは嬉しいが…花音がいなかったら俺はとっくに国際指名手配されてるよ。…殺人の才能があるらしくてな、人を斬れば斬るほど命の重みを忘れるし、呼吸と同じだって思うんだよ」

 

「それを花音が繋ぎ止めてるのか」

 

「あいつの笑顔のおかげでな。止まることができるんだよ」

 

「…ゼロでもそんな仕事は滅多にないはずだ。日本は基本的に捕まえることに全力を注ぐからな。別の立場でそうなるんだろ?」

 

 

 俺の指摘を受けて疾斗は乾いた笑顔を浮かべた。どうやら疾斗が話すタイミングを奪ってしまったらしい。…ま、いいだろ。

 

 

「潜入捜査…いわゆるスパイってやつだな。それをするためにヨーロッパのとある組織に入ってる。一応そこは公安と連携を取るが、お互いに腹の探り合いをしてる。だから二重スパイがいるんだが、俺もそれをやってる。それでそっちの仕事の時がたいてい殺人ってわけだ」

 

「やっぱりな。ゼファーと知り合ったのもそっちだろ?」

 

「…まぁな。ゼファーに出会って、ゼファーが作った組織にも入ってる。日本に滞在できる口実としてAugenblickにも入った」

 

「そんな事情があったのか…」

 

「…話してくれてありがとう。…次は雄弥の番だよ?」

 

「そうだな」

 

 

 飲み物を入れ直して一息つくことにした。流石に疾斗の話が大きかったからか、大輝と結花は頭の整理が必要そうだしな。ある程度把握してた俺とそういう話に慣れてる愁は、すぐに受け入れることができた。話を聞いたところで接し方を変えるわけでもないしな。

 

 

「よし、整理できた!」

 

「結花も大丈夫か?」

 

「うん。大丈夫だよ」

 

「それじゃ俺が隠してることだな。…まぁ疾斗ほどエゲツない話でもないが、…俺は長生きはできない」

 

「へ?」

 

「は?」

 

「…短命…ってわけでもないよね?」

 

「まぁな。…俺は怪我の治りが異常なぐらいに早い。その代償が寿命ってわけだ」

 

「どれぐらい生きれるか把握してるのか?」

 

「そんな細かく把握できねぇよ。…無人島の件と今回の件で怪我を速攻で治したから、…まぁ50代半ばってとこじゃねぇか?この先も事故に合えばその分寿命も縮むが」

 

「…そっか。それをリサは知ったんだね?それを知って受け入れられなくて…」

 

「…ああ。…俺の責任だ。あの時は話すべきじゃなかった。たとえ約束を破ることになっても」

 

「約束…、なるほどな。約束したから話せって言われたわけか。それで約束を破りたくなかったから話した。その結果が今回の事故か」

 

「……ああ」

 

 

 重たい空気が流れた。仕方ないか。メンバーの一人が早く死ぬとわかったのだから。…そして、そのせいでリサが今の状態になったとわかったのだから。

 

 

「こんな重たい空気はいらないよ!」

 

「…結花?」

 

「疾斗のことも雄弥のこともわかった。これでメンバー間の秘密が無くなったわけじゃん?それで関係が変わるわけでもないし、私達はAugenblickであり続ける。そうでしょ?」

 

「はっはっは!そうだな!結花の言う通りだ!…これでお互いの関係がスッキリしたわけだしな!」

 

「だよね!それじゃあさっき聞いた雄弥の考えだけど、私の答えはこうだよ。内容を少し変えたら力を貸してあげる」

 

「だぁー!なんだよ!今の流れなら参加だろ!?」

 

「大輝は黙ってて」

 

「はい…」

 

「どう変える気だ?」

 

「人数を増やす。みんな(・・・)にも協力してもらう。それができたら私も手伝うよ。だから雄弥は声をかけてきて」

 

「うし!そうとなれば手分けして「雄弥だけでやって」…えー」

 

「そのほうが熱意が伝わるだろうからね」

 

「わかった」

 

 

 結花が言うみんなってのは、言葉通りなんだろうな。全てのバンド(・・・・・・)の人達に声をかけて協力してもらう約束を得てくること。それが結花が出した条件。

 まずは、…場所からしてパスパレに声をかけるか。何人かはいるだろう。

 

 

「それじゃ俺は行くから」

 

「おう!しっかりな!」

 

「雄弥…、私だってリサのことが心配だから。やるからにはこっちの方が確実だと思って言っただけだから」

 

「わかってる。結花が優しいってことは知ってるよ」

 

「…ばか」

 

 

 照れ臭そうにそっぽを向いた結花を三人がイジり始める。妙なことだが、俺はそれを見て力をもらった気がした。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「彩ちゃん集中できてないわよ」

 

「ご、ごめん千聖ちゃん」

 

「…千聖さん。少し休憩にしましょう」

 

「…そうね。その方がよさそうね」

 

「腹が減っては戦はできぬ!ですね!」

 

「イヴさん、それは違いますからね」

 

 

 日菜ちゃんを除いた四人で練習をしてるんだけど、リサちゃんと雄弥くんが事故に合ったと聞いたから私は練習に集中できないでいた。みんなも話を聞いたときは動揺してたんだけど、なんとか切り替えれてるみたい。

 

 

「お二人のことは心配ですよね。…お見舞いに行きますか?」

 

「うーん、なんか雄弥くんは平然としてそうなんだけど…」

 

「前がそうだったものね」

 

「では、リサさんのオミマイに行きませんか?ヒナさんも誘いましょう!」

 

「そうね。湊くんはついでに、ぐらいでいいでしょうね」

 

「ち、千聖ちゃん。いくら何でもそれは…」

 

「そうだぞ。人間性を疑われるぞ?」

 

「ほら雄弥くんもこう言って……へ?」

 

「「「え?」」」

 

「どうした?」

 

「な……え……ゆうやくん?」

 

「他に誰に見える?」

 

 

 小首を傾げて私の目をしっかりと見返してくるのは、間違いなく雄弥くんだ。私は元気そうにしてる雄弥くんを見て目頭が熱くなった。そんな私に雄弥くんは頭をなでてくれた。

 

 

「何泣いてんだよ」

 

「だ、だってぇ…」

 

「ユウヤさん。アヤさんを泣かせるのはヒドイですよ!ブシドー失格です!」

 

「退院しただけなんだがな」

 

「あ、あはは…交通事故に合ってなんですぐに退院できるんですかね?」

 

「丈夫だからな」

 

「限度があるでしょ。……どうやらもう大丈夫なようね?」

 

「白鷺がそう見えるならそうなんじゃないか?」

 

「…もぅ」

 

 

 みんなと話してる雄弥くんを見てたら本当に、体も心も大丈夫になったんだって分かった。千聖ちゃんのお墨付きだしね。…けど、退院したからってここに来る人じゃなかったような?

 

 

「雄弥くんは何か話があって来たの?」

 

「…彩にまで分かられるようになったのか」

 

「どういう意味!?」

 

「話…ですか?」

 

「…頼みたいことがある」

 

「え……えぇ!?」

 

(雄弥くんから頼みごとをされる日がくるなんて…)

 

 

 雄弥くんの手が私の頭から離れて、雄弥くんはみんなの顔を見回せるように1歩さがった。

 

 雄弥くんは話し終わったら深々と頭を下げていた。私達にそんなふうにするなんて思ってなくてとても驚いたけど、もちろん雄弥くんに協力することにした。雄弥くんには助けられてばっかだったから、是非力になりたい。そんな思いが強かったんだ。

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