時間ができたとポジティブに考えよ…。寝てるだけだけど。
日菜と紗夜と私の三人で集まっていたけれど、練習があるから日菜とは別れた。日菜も練習があったらしいのだけれど、そっちにいかずに私達と話をしていたらしい。紗夜が怒りそうな事だったのだけれど、珍しく紗夜は注意するだけで終わった。…気持ちが分からない訳じゃないものね。
リサを欠いた四人で練習していたのだけれど、やはりリサがいるのといないのとでは練習の精度が全く違う。休憩を挟むタイミングも異なるし、そもそも練習の空気自体違う。やはりリサはRoseliaに必要な存在だわ。リサ以外ありえない。
「…友希那さん…そろそろ、休憩に…しませんか?」
「…そうね。ごめんなさい、ついつい休憩を無視してしまってるわね」
「いえ…気持ちは…わかります。…練習に…打ち込んでないと…おちつかないんですよね」
「ええ」
「やはり今井さんにいてもらわないと…。ですが、今井さんがいなくては練習できないようではいけませんね」
「リサ姉の負担が増えますもんね」
「そういうことです」
「けど休憩は必要です!あこ、外のカフェで飲み物買ってきま……あれ?お姉ちゃんからだ」
「巴さんから?」
「……あこ、この場で出てちょうだい。スピーカーにはしなくていいから」
「へ?あ、はい」
姉に懐いてるあこが練習のことを話していないわけがない。そして宇田川さんもそれを知ってて電話をかけるような人でもない。つまり、練習中に電話をかけてくるということは、それだけ大事な用事だということね。
「そ、そうなんだ。…うん。ありがとうお姉ちゃん」
「それで、巴さんは何と?」
「えと、雄弥さんがこっちに来るそうです。なんか、全部のバンドに頼みごとをしてるらしくって、Roseliaが最後なんだとか」
「頼みごと?雄弥くんがですか?」
「はい。お姉ちゃんはそう言ってました。ちなみに、他のバンドは雄弥さんに協力するって言ってるみたいです」
「…湊さん」
「このタイミング…雄弥…頼みごと。予想はついたけど…雄弥の口から聞くしかないわね」
「そうですか」
「では…改めて…休憩ということで。あこちゃん…カフェ行くんだよね。…私も行くね」
「うん!」
あこが燐子の手を引くように外に出ていき、私と紗夜だけが部屋に残った。飲み物は持ってきているし、どうやら紗夜がクッキーを焼いてくれてきたようだから、それを二人で食べながら休憩することにした。
「湊さん。…雄弥くんの頼みごとというのはもしかして」
「おそらく紗夜の予想通りよ。…ただ、日菜はまだこのことを聞いてない」
「あの子に限って雄弥くんの頼みごとを断ることはないと思うのですが…」
「日菜の考えは読めないものね。…雄弥がこうやって回ってるのは結花の指示ね」
「そうなのですか?」
「ええ。雄弥は人に頼みごとをしないから、最初はAugenblickだけのつもりだったのでしょうね。そこで結花が割って入った。それで他のバンドにも協力を仰いでる。そんなとこでしょ」
「…よくそこまでわかりますね」
「どっちも分かりやすい性格なのよ。日菜みたいな子の場合考えを読むなんて無理ね。あの子の場合は、同種の人間が感覚で理解する。それだけよ」
「そう…ですね」
「…雄弥か。あるいは紗夜、あなただけよ」
「え?」
まさか自分もカウントされると思ってなかったのでしょうね。紗夜は跳ねるように顔を上げて目を丸くしていた。…そんなに驚く…ことだったわね。
「私には無理ですよ。…一番日菜の側にいる時間が長いのに私には何も分からないんですから」
「今は日菜に歩み寄ってるでしょ?それなら分かるようになるわよ。雄弥以上に日菜のことが分かるようになるわ」
「そうでしょうか?」
「ええ。私がそうなったのだもの。…雄弥のことが全くわからなかった私が」
「湊さん…。そう、ですね。そうなれたらと思います」
紗夜は柔らかい笑顔でそう言った。ここでこの表情ができるのだから、紗夜も日菜のことを分かるようになるわね。二人が仲良くしている光景が見れるのもそう遠くないのかもしれないわね。
「…それにしても宇田川さん達遅いですね。飲み物を買って戻ってくると思ってたのですが」
「外で飲んでるのかしら?」
「すみませーん!遅くなりましたー!」
「いえ、まだ休憩中ですので」
「お客さん…来ました」
「雄弥ね。入って来なさい」
「お邪魔します」
「雄弥くん…。
「まぁな。じっとしてるわけにもいかないしな」
この子は…、それでリサがどうなったか自分が一番痛いほどわかってるでしょうに。…過ぎたことをとやかく言っても仕方ないわね。あこと燐子はそのことを知らないわけだし。
「雄弥さん。お姉ちゃんが言ってた頼みごとって何ですか?」
「巴から聞いたのか?」
「さっき電話で少しだけ。内容は聞いてないんですけど」
「そうか。それじゃあすぐに話すか。練習もまだあるようだしな」
「ええ。そうしてちょうだい」
雄弥の口から話されたことは、大方私の予想通りの内容だった。紗夜も同じようで特にリアクションもなかったけど、あこと燐子は驚いていた。それもそうね。現状を考えたらそんなこと普通やらないものね。
他のバンドにはおそらく一つだけ伏せて話してるのでしょうね。だから全バンドが参加してくれてる。
「本当に…するんですか?」
「ああ。これしかないと思ってる。…今のリサの状態を考えたらあまり悠長にしてられないしな」
「…雄弥、あなたは
「
「……わかったわ。協力しましょう」
「湊さん!」
「実際にリサに会ってそう判断したのなら、私は雄弥を信じるわ」
「……わかりました。湊さんがそう言うのなら」
「あこもやります!リサ姉の力になれるのなら!」
「あこちゃん…。うん、そうだね!」
「ごめんな。Roseliaには一番辛い役目をさせることになる」
「…馬鹿ね。リサはRoseliaのメンバーよ?当然のことじゃない」
「友希那…」
「雄弥くん。日菜とも話をしてきてください」
「わかってる。…それじゃ」
雄弥は最後に深々と頭を下げてから出ていった。…全く、そこまでリサのことを想って行動できるようになった弟に、力を貸さないわけないじゃないの。
「さ、練習を再開するわよ!」
「はい!リサ姉にカッコイイ!って言われるようになってみせます!」
〜〜〜〜〜
あーあ、最近るんっ♪てすること減ったなー。なんでだろ?パスパレにいる時は楽しいんだけど、パスパレから離れた途端つまんなくなっちゃう。前まではそんなことなかったのにな〜。
「あれ?ユウくん?」
「日菜……、ここにいたのか」
「うん。想い出の公園だからね。ここなら何かるんっ♪てすること思いつくかな〜って思ったんだけど」
「思いつかなかったか」
「うん」
あたしが座ってるベンチにユウくんも座った。…やっぱり、お姉ちゃんといる時かユウくんといる時がいいよね。彩ちゃんといる時も楽しいんだけど、お姉ちゃんとユウくんは格別って感じ。
「日菜?」
「ちょっとだけ」
「…わかった」
ユウくんとの距離を詰めて、目を閉じてユウくんの肩に頭を預ける。ユウくんにはリサちーがいるし、これも本当は駄目なんだろうね。リサちーの今のことを考えたら最低なことだと思う。でも、あたしの心は今もユウくんを求めてるから。
「…ねぇ、ユウくん」
「どうした?」
「ユウくんはリサちーが好きなんだよね?」
「ああ」
「だよね」
「いったいどうしたんだ?」
「ううん。ユウくんにまた断られたら諦めれるかなって思っただけ」
「…日菜……」
駄目だね。全然駄目だ。あたしはやっぱりどうしてもユウくんが好き。お姉ちゃんみたいに割り切れない。
あたしは今まで何でもすぐにできた。だから何でも手に入れられた。それですぐに飽きて違うものを探してきた。ギターはお姉ちゃんが始めたから、あたしもギターをやりたいって思った。お姉ちゃんみたいにカッコよく弾きたかったから。
お姉ちゃんと約束した。お互いに勝手にやめたりしないって。そんな約束したことなかったから嬉しくて、パスパレにも残ってるしギターを続けてる。
いつだってお姉ちゃんと同じようにしてきた。お姉ちゃんと同じ人を好きにもなった。けど、これで初めてお姉ちゃんとは違う道を進むことになった。お姉ちゃんは割り切ることができた。
ユウくんのことが今でも好き。この気持ちが消えない。こんなの初めてだ。飽きることなく、諦めることもできずに求め続けるなんて。
「リサちーに怒られちゃうね」
「まったくだ」
「ユウくんがあたしを拒まないからだよ?」
「そんなこと言うか?」
「あはは!…でも、ユウくんも拒めるようにならなきゃ。あたしはこの気持ちが消えないから、ユウくんがしっかりしなかったらすぐに浮気になっちゃうよ?」
「それだけはない。日菜、俺がなびくなんてことはないぞ」
「…うん。わかってるよ。だから、せめて横にいることを許してほしいな。それだけでも…」
「…それは……リサに話さないとな」
「リサちーを治したらね!」
「日菜、分かってたのか?」
ユウくんがやろうとしてることの話かな?大体わかってるよ。彩ちゃんから連絡もあったしね。…内容は本人から聞いたほうがいいかも、なんて言ってたけど、そこで伏せられたってあたしには分かるよ。リサちーや友希那ちゃんに負けないぐらいユウくんのこと理解してる自信があるもん。
「もちろん協力するよ。リサちーに元気になってもらわないと困るし、何よりリサちーは大切な友達だからね!」
「…ありがとう日菜」
「あ、でも交換条件でいこうよ」
「交換条件?まぁ、難しくないことなら」
「簡単だよ!」
「そうなのか?」
「うん!あたしを抱いて!」
「……おい」
「冗談だよ冗談♪…ハグして」
それぐらいならってユウくんはあたしのこと抱きしめてくれた。これだよこれ。これがあたしは好きなんだ〜。ユウくんの温もりに包まれるこの感じが好き。
ユウくんは……油断してるね。えい!
「っ!!」
「んっ…んん…んちゅ…ぷはっ!」
「日菜!」
「えへへ!ユウくんが甘いから駄目なんだってば!あたしを見くびらないでほしいな〜」
「…教訓になったよ」
「この調子でもっと教訓を増やそっか!」
「調子に乗るな」
「ちぇー。ま、いいや!」
えへへ〜、ユウくんとディープなキスしちゃった♪さてさて、対価は貰ったし、あたしもそれに見合っただけのことをユウくんに返さなきゃね!
「ユウくん!大好き!」
「…友達としてなら俺も好きだよ」
「あたしはそっちじゃないな〜。…ね、もしもの世界ならさ、あたしとユウくんが付き合ってたこともあるのかな?」
「…リサと出会ってなかったらあるかもな」
「なるほどね〜」
そういうとこだよ、ユウくん。そういうことを言うからあたしはユウくんのことを好きでい続けちゃうんだよ。
ユウくんは退院してすぐに行動してたみたいで、禄に食事を取ってなかったみたい。気が緩んだユウくんは空腹を自覚して、空腹過ぎて辛そうにしてたからあたしはすぐに近くの飲食店にユウくんを連れ込んだ。デート?いやいや、非常事態だよ。
「もう一度輝くために」のヒロインがなぜ紗夜日菜になったか、それはこの回を書いたら書きたくなったからです!…水着イベの紗夜さんが美し過ぎなのも関係してます。他のみんなはキャッキャしてる絵なのに、あなたお一人(以下略)
さてさて!
次回 最終話になります。
明日の同じ時間に更新されますよー\\(۶•̀ᴗ•́)۶//