陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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今日が最終回になるのは、狙ってました!(何回も諦めかけた)

過去最長かと思います。
8000字超えくらいだったような。


最終話

 

 全てのバンドメンバーから参加を表明してもらい、それによって結花も正式に協力してくれることになった。週末に行うべきだったんだろうが、そんなに待つことはできない。月曜日に退院し、祝日だったから全バンドに一日で声をかけることができた。

 そして、木曜日の夕方にそれ(・・)を行うことにし、急ピッチで準備を進めた。…まぁゼファーの手腕のおかげで大した苦労もなく間に合ったのだが。とりあえずドヤ顔がウザかった。

 

 俺は当日である今日、病院に来ていた。もちろんリサを連れ出すためだ。俺が退院した日に先生と宮井さんには話をしていて、リサを退院させることになっている。

 

 

「…あまり褒められた行動ではないよ?」

 

「でしょうね。それに乗った先生も大概ですけど」

 

「耳が痛いなー。…でも、実際問題、今井さんは君と過ごしたあの日が一番眠れてたようだった。病院にいるより、君といたほうが良さそうだ」

 

「…そうですか。もっと顔を見せに来るべきでしたね」

 

「疲労した顔を見せるのかい?逆効果だよ。君は今井さんのために今日という日に向けて準備してきた。だから会えなかった。…それでいいじゃないか」

 

「……はい」

 

「手続きは終えてある。好きなタイミングで連れ出すといい。宮井さんはちょうど今井さんの病室にいるよ。彼女、空いた時間は必ずそこにいてくれてたよ」

 

「宮井さんにも礼を言わないと、ですね」

 

「はははっ!僕も彼女も、君が企画したアレ(・・)に行けるからそれでチャラだよ。…ま、一言ぐらいはあっていいかもね」

 

「先生もありがとうございました」

 

「気にしないでくれたまえ!病院の常連なんていない方がいいんだからね!」

 

「ははっ、たしかに」

 

 

 先生と別れてリサの病室に向かう。宮井さんの他にも顔見知り程度で覚えた看護師もいて、会うたびに軽く話をしていたら時間を食ってしまった。

 ノックをすると宮井さんが返事をしてくれて、それで中に入った。リサの様子は安定してるようで、宮井さんと一緒にこっちに視線を向けていた。「おはよう」と声をかけたら、宮井さんに「もうお昼過ぎてますけどね」とツッコまれた。

 リサの側によると、リサが少し体をこっちに移動させた。俺はリサの頭を胸に抱え込むようにしながら、その状態で宮井さんと話をすることにした。

 

 

「……シュールなんですけど」

 

「気にしないでください。今さらですよ」

 

「それもそうですね。…今から退院ということでいいんですね?」

 

「はい。宮井さん、今までありがとうございました」

 

「いいんですよ。好きでやってることですから。…今後はできればプライベートで会いたいですね」

 

「そうですね…って、リサ痛いから抓らないでくれ!」

 

「あぁリサちゃん違うのよ!?病院で看護師と患者としては、もう会わないようにしたいですねってことだからね!」

 

 

 宮井さんの必死の弁明のおかげで、リサは自分が勘違いしたのだと理解し、抓っていたところを今度は癒やすように優しく撫でてくれた。…今日のリサは調子がいいな。よかった、これなら大丈夫そうだ。

 

 

「それじゃあリサ。退院だから服を着替えてくれ。結花がリサの服用意してくれたから」

 

「湊くんは外に出ましょうねー」

 

「もちろんですよ!?」

 

 

 まさか宮井さんにからかわれる日が来るとはな…。リサが声を出してはいないが笑ってくれていて、それを見て俺も宮井さんも嬉しくなった。俺はリサの着替えを宮井さんに渡して部屋の外で待った。

 

 

(やっぱりリサは笑顔じゃないとな)

 

 

 久しぶりに見たリサの笑顔は、今までの疲労をなくすほど温かかった。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 雄弥と手を繋ぎ、宮井さんを始めとした看護師さん達や先生達に見送られながら病院を出た。アタシと雄弥は病院の入り口あたりで一度だけ振り返ってお辞儀をした。

 結局雄弥が色んな人達と話し込んじゃったから、時間はもう放課後の時間だね。まっすぐ家に帰るものだと思ってたんだけど、歩く方向が全然違った。アタシが雄弥の手を引くと、アタシの言いたいことが伝わったみたいで、雄弥は頬を緩ませながら優しくこう言ってきた。

 

 

「これからライブだよ」

 

 

 あたしの頭を真っ白にさせるには十分過ぎる言葉だった。

 

 

☆★☆

 

 

 雄弥の言葉通りライブ会場に連れてかれて、関係者用の入り口から中に入った。楽屋の前には必ずどの人、あるいはどのグループ用なのか貼ってあって、どれも知ってるバンドばかりだ。…というか全部集まってた。アタシはもちろんRoseliaの楽屋に連れてかれたんだけど、…合わせる顔なんてないって思ってたから気まずかった。

 

 

「リサ姉……りさねぇ!!」

 

「…っ!」

 

「よかった…リサねぇ…うぅ」

 

「あこちゃん…ずっと…心配してたもんね」

 

「うん…うん!」

 

「今井さん…間に合ってよかったです」

 

「リサ、おかえりなさい」

 

 

 なん、で……なんでこんなに、みんな優しくしてくれるの?アタシ、みんなの前から逃げ出したのに!

 

 アタシの思いを知ってか知らずか、あこに正面から抱きつかれ、残りの三人にも囲うように抱きつかれた。アタシはそれが嬉しくて、だけど罪悪感もあって、声を出さないようにしながら涙を流した。

 みんなアタシが喋れない、いや喋ろうとしない(・・・・・・・)ことを知ってるから、特に何も言ってこなかった。

 

 楽屋にあるテレビをつけたらステージの様子が見えて、香澄たちポピパのメンバーが映ってた。…そういえば、今日ってどういう趣旨のライブなんだろ?

 

 

『みなさんこんにちはー!今日は"Augenblick復活ライブ"にお越しいただいてありがとうございます!私達はオープニングアクトを勤めさせていただくバンドの一つ、Poppin'Partyです!』

 

「!?」

 

「リサ何も聞いてないの?今日は雄弥たちAugenblickのライブなのよ。盛大にやるから他のバンドも巻き込む、だそうよ」

 

 

 …雄弥の企画…じゃないよね?雄弥はそういうことしなさそうだし、結花か疾斗かな?

 

 

「雄弥の演奏に追いついたリサならぶっつけ本番でも大丈夫だろうってことで私達も誘われたの」

 

 

 いやいやいやいや!あれは、みんなの支えがあって、会場の盛り上がりもすごかったからギリギリできたわけで、アタシだけの力じゃ無理だからね!?

 

 

『ううー』

 

『あれ?香澄ちゃん緊張してる?』

 

『キラキラドキドキが止まらない!』

 

『だと思ったよ!それと!キラキラドキドキじゃ会場の人達に伝わんねぇからな!』

 

『ええー!キラキラドキドキはキラキラドキドキだよ?』

 

『今の香澄の気持ちはワクワクだろ!』

 

『そう、それ!』

 

『有咲は本当に香澄のこと好きだよね。以心伝心だよね』

 

『はぁ!?ち、ちげーからな!』

 

『え、有咲ちゃん香澄ちゃんのこと好きじゃないの?』

 

『え?有咲そうなの…?』

 

『なっ!……す、好きだよ

 

『有咲ー、それじゃあ聞こえないよー?』

 

『聞こえてるだろ!?…あーもう!好きだよ!』

 

『私も好きだよ!』

 

『はいはい、私達のトークで時間使うわけにもいかないから、そろそろ始めよっか』

 

『そうだね、さーや!それじゃあ皆さん聞いてください!』

 

 

 あ、あははー、こんな大舞台なのに香澄たちはいつも通りだね。そういえば前に言ってたっけ、『みんなと一緒なら何でもできる気がする!』って。ほんと、前だけを見据えてるよね。…羨ましいや。

 一つのバンドで3曲やらせてもらえるみたい。Augenblickまでだいぶ時間がかかることになるけど、ワンマンライブってわけでもなくなってるし、別にいいのかな?

 

 

(復活ライブなのにワンマンライブじゃないってどうなんだろうね…)

 

『蘭緊張してる〜?』

 

『さ、流石に緊張するでしょ。こんな大舞台なんて思ってなかったし』

 

『だよね!いつもと同じ場所って思ってたから私も緊張するよー』

 

『せめてつぐのとこのケーキがあれば』

 

『…それで緊張が解けるのか?…ここはやっぱりあれしかないか』

 

『ともちん、それやったらお客さん帰っちゃうからね〜?』

 

『うぐっ、じゃあどうすんだよ』

 

『なら掛け声しかないね!今日こそみんなやってよ?』

 

『…やらない』

 

『えぇー!なんでー!?』

 

『あ、そうだ蘭〜』

 

『なにモカ?』

 

『マイクオンになってるから〜、私達の声全部お客さんに届いてるよ〜。幕のおかげで姿だけ隠れてるって感じ〜』

 

『なぁ!?それ早く言ってよ!』

 

『もう遅いよ〜』

 

『時間が来たなー』

 

『あーもう!"いつも通り"やるよ!』

 

 

 うわ、なにこのやり取り、可愛いんだけど…。これの映像記録貰えたりしないかな?

 

 

「そういえば、このライブはたくさんのカメラがあって、色んな角度から撮ってくれてるようですよ。…後にこのライブ映像、オープニングアクトも含めたもので販売するのだとか」

 

「そうなんですか!?お姉ちゃんと買いに行こーっと!」

 

「あこちゃん、…たしか参加したグループには…無料でくれるって…話だったよ…。姉妹関係なく…一人一枚…貰えるって」

 

「やったーー!!」

 

「……え?うちには3枚来るってこと?」

 

「…そうなりますね」

 

「…そう」

 

 

 雄弥と結花と友希那、うん、3枚だね。将来家を出るときのことを考えたら一人一枚貰えるのってありがたいことだよね。手元に今日のがあるんだから。

 

 

『ミッシェルー、美咲は今日来れないのかしら?せっかくの大舞台だから六人でやりたかったのだけど』

 

『…み、美咲ちゃん』

 

『あー、安心してこころ。美咲は裏方の仕事を手伝うって言ってたよ。…だから、このステージにいるのは五人だけど、美咲が裏で支えてくれてるから、実質六人だよ』

 

『そうなのね!よかったわ!』

 

『これで心残りはないね!こころん!』

 

『そうね!』

 

『ふっ、伝説の彼らの大舞台だ。私達はそれに恥じぬものをしようじゃないか』

 

『薫さん、頭打ちました?』

 

『そ、それはいくらなんでも酷いと思うよ。美咲ちゃん』

 

『薫の言う通りだわ!みんなをもっともっと笑顔に!今日を最高の一日にするわよ!せーの!』

 

『『『『『ハッピー!ラッキー!スマイル!イェーイ!』』』』』

 

 

 大物だ。あのグルーブもはや大物だよ。なにあのステージの用意。オープニングアクトでサーカスでもする気なの!?それを考えるだけでもすごいけど、まさか本当にステージで使うなんて…。この後の人やりにくいだろうなー。

 

 

『ふふっ、随分面白いものを見させてもらえたわね。見ている人も演奏している人も、まさしく全員が笑顔になったわ。さて、私達も負けないわよ!もっともっと盛り上がれるわよね!!』

 

 

 ゆりさんまで出てきてる!?いや、まぁたしかにハロハピの後を務めれるのってグリグリかそれこそ大本命のAugenblickしかいないけどさ…。グリグリの後もプレッシャーが…。たしか後はアタシ達とパスパレだけだよね。

 

 

「あ、言うのを忘れてたけど、私達Roseliaはオープニングアクトに出ないわよ」

 

「!!?」

 

「Augenblickと対バンライブするのよ」

 

「対バンライブと言っても、楽しむのが目的なんだそうですけどね。…元々対バンライブ自体は前々から疾斗さんと大輝くんが考えてたそうで、それをするタイミングを探してたそうです」

 

「それで…復活ライブと一緒に…対バンライブもやろう…ということになったそうです」

 

「あこたちのカッコイイ演奏を見せつけるんだよ!」

 

 

 同じステージで、雄弥と演奏できるの?…でも、今のアタシはお世辞にもベストの状態なんて言えないのに。こんな状態でライブするの自体控えるべきなのに、まさか対バンライブなんて。

 

 

『うぅー、緊張が……』

 

『えー?なんでー?こんなに盛り上がってるんだよ!るんっ♪てするじゃん!絶対楽しいよー!』

 

『日菜ちゃんのそのポジティブさが羨ましいわ』

 

『じ、自分も緊張が…』

 

『さ、サムライならこれくらい…』

 

『もう、みんな固いなー。やれること全部やったんだから、後は出し切るだけじゃん?今さらウダウダしても何もないよ?』

 

『日菜ちゃん。…そうだね!』

 

『まさか日菜ちゃんにそんなこと言われる日が来るなんて』

 

『ふへへ、でも日菜さんらしいですよ』

 

『そうですね!あ!エンジン組みましょう!』

 

『いーねー!るるるんっ!!ってするよ!』

 

「まさか日菜が…」

 

「あの子も成長してるということね。…パスパレは日菜にとって大切な場所なのでしょうね」

 

「そうですね。…でも、その姿を見れてよかったです」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 とうとうアタシ達の順番が来た。衣装は燐子と打ち合わせしてたようで、AugenblickとRoseliaで色違いの衣装になってた。雄弥が退院したのってたしか月曜日だよね?なんで間に合ってるの?

 

 アタシのそんな疑問をよそに、とうとう対バンライブが始まった。曲数自体向こうのほうが多いから選びたい放題、こっちはアタシが声を出せないから選ぶ曲が限られてくる。

 

 なにより、ベースを弾こうにも手が震えてベースが弾けないでいた。

 

 そんなアタシを、後ろから抱きつくように包んでくれた人がいた。それはもちろん雄弥で、雄弥はアタシの両手に重なるように自分の手を置いて、それで演奏を始めた。もちろんそれはやりにくいから、部分部分でしか弾けてなかったけど、アタシにはそれでも十分だった。

 

 

(楽しい、すっごい楽しい!)

 

 

 こうやって雄弥に包まれながらベースを弾くのは、アタシがベースを始めた頃と一緒だ。雄弥がアタシにベースを教えてくれてたけど、どうしても弾けない時もあった。そんな時は決まって雄弥がこうしてくれて、アタシの手を動かして弾き方を教えてくれた。

 段々とアタシが自分で手を動かすようになったら雄弥がアタシから離れて自分の本来の立ち位置に戻っていった。ちょっぴり寂しかったけど、雄弥の笑顔が見れたらそんなのどうでもよくなった。

 調子を取り戻したアタシは、今までで最高の演奏ができた気がした。会場も大盛り上がりしてくれて、雄弥たちに負けないぐらい、アタシ達Roseliaの演奏も受け入れてもらえた。

 

 

「さて、そろそろライブも終盤になってきたな……ええーじゃない!…ここからがこのライブの本番だ(・・・・・・・・・)

 

「次の曲はリベンジだ。"Verbindung-絆-"」

 

「っ!?」

 

(まさか、…大丈夫なの?雄弥)

 

 

 アタシが驚いて横を見ると、結花と雄弥がマイク位置を移動させてた。マイクの位置を移動させたのは、AugenblickとRoseliaのちょうど真ん中だった。それにどういう意味が込められてるのかが分からない。

 雄弥のベースの音から始まって遅れるように他の楽器の音が乗る。そして結花の歌声が乗っていくんだけど、

 

 誰もが驚くことが始まった。

 

 

 結花がサビを歌わない。

 

 

 雄弥が一人で歌ってて、雄弥の隣にいた結花はそこから離れてRoseliaの方に近づいてくる。

 

 いや、正確にはアタシの方に(・・・・・・)

 

 結花はアタシの背中を押すようにして移動させた。戸惑うアタシは助けを求めてRoseliaのみんなに視線を送るんだけど、みんな笑顔で見送ってるだけだった。みんなグルなんだね…。

 雄弥の隣まで移動させられて、アタシが雄弥と並んでマイクの前に立つ。サビ以外は結花が歌う。2番のサビに入ったけど、アタシは声を出せなかった。雄弥はそれでも前だけを見据えてベースを弾きながらサビを歌い上げる。 

 

 次はもうラスサビだ。そこはまた結花がわざと歌わないだろうね。だから雄弥一人になっちゃう。

 

 

(本当にそれでいいの?)

 

──いいも何も、歌えないよ

 

(何で?このライブの意味はわかってるでしょ?)

 

──Augenblickの復活ライブでもあって、アタシのためのライブでもある。だからみんなの選曲は、必ず最後の一曲をメッセージ性が強いものにしてた

 

(雄弥に嫌われると思ってるの?)

 

──きっと嫌われない。雄弥はそんな人じゃないから

 

 

 横をチラッと見たら雄弥は笑顔で、だけど力強く、頼りがいがある表情で一度だけアタシを見て頷いてくれた。

 

 大丈夫だ。…アタシは声を出してもいいんだ。雄弥は受け止めてくれるから。

 

 気づいたら、ラスサビに入ったところでアタシも雄弥と一緒に歌ってた。ベースも一緒に弾いて、声を思いっきり出してた。

 

 

「リサ、綺麗な声だな」

 

「雄弥……ありがとう♪」

 

「リサ姉!」

 

「あこ…、みんなも」

 

 

 演奏が終わったらRoseliaのメンバーにもみくちゃにされた。みんな声が綺麗だ、素敵だって言ってくれて、アタシの悩みは何だったんだろって思うぐらいだった。けど、ライブはまだ終わらなかった。雄弥が舞台袖に行ったと思ったら、何かを手に持って戻ってきた。

 またアタシは結花に引っ張られて真ん中に移動させられる。雄弥と真っ直ぐ目を合わせると、雄弥がいつもより、今まで以上にカッコよく見えた。アタシが入院してる間の数日でどれだけ成長したんだろ。

 

 

「リサ。伝えたいことがある」

 

「えっと…なに?このステージで言っちゃって大丈夫なやつ?」

 

「さぁな」

 

「えぇ!?」

 

「本当は帰国した次の日(リサの誕生日)に言うつもりだったけど、ここで言いたい。リサ…結婚してくれ(幸せになろう)

 

「……ぇ」

 

 

 雄弥がそう言って手に持ってた小箱を開けた。そこには指輪が入ってて、ラピスラズリが嵌められてて、かるくだけどペリドットの装飾もあった。派手すぎず、それでいてオシャレになってた。

 アタシは目を丸くして両手で口を隠した。言葉も出ない。嬉しすぎて、雄弥にそう言ってもらえるなんて…。

 

 

「必ず幸せにするし、ずっと側に居続ける。リサだけを愛して、リサとこの先を生きていきたい。末永くな(体を治してな)。駄目か?」

 

「ううん。…だめ、じゃない。…アタシ…でいいの?」

 

「リサ以外ありえない」

 

「…でも…」

 

(あね)さん!幸せになってください!」

 

「っ!?」

 

 

 驚いて声がする方に目を向けると、観客席の最前列まで移動してきた瑛太くんたちがいた。…ライブ、見にこれたんだ。よく見たら宮井さんも先生も、父さんと母さんも叫んでる。「幸せになれ」って、そう言ってくれてる。

 

 

「姉さんはずっと苦労されてきた!兄貴はもう大丈夫ですから!だから、もう抑えなくていいんです!幸せになっていいんです!」

 

「そうだよリサ姉!自分を隠す必要なんてないよ!」

 

「今井さん。…正直になってください…!」

 

「あなたの幸せを、自分で無くしてはいけません」

 

「リサ。掴み取りなさい。私達はいつだってリサを支えるし、応援するわ」

 

「みんな…」

 

「リサ、どうするの?」

 

「結花…答えは…決まってるよ。……雄弥、アタシなんかでよければ、喜んで」

 

「…よかった」

 

 

 「遅くなりすぎた誕生日プレゼントになっちまったな」なんて言いながら、雄弥の手で、アタシの左手の薬指に指輪を嵌めてもらう。サイズはピッタリで、アタシと雄弥はみんなの前だということを忘れてキスをした。お互いを強く抱きしめて。幸せを噛みしめるように。無くさないように。今まで一番幸せな気持ちで。

 

 

「さてさて、それじゃあ幸せのお二人さん。あと2曲いくぞ!」

 

「…っ!ご、ごめん!って、へ?あと2曲?」

 

「ああ。リサが作った"アングレカム"と、全員でやる(・・・・・)スペシャル曲だ」

 

「あ、あれやるの!?は、恥ずかしいんだけど…!」

 

「俺はあれ好きだけどな」

 

「ふぇ!?」

 

「それでは聞いてください。"アングレカム"」

 

(ちょっ、友希那!?)

 

 

 友希那が強引に始めたけど、なんとか演奏を始めることができた。雄弥が隣で一緒にベースを弾いてくれて、サビになったら、アタシと友希那と雄弥と結花の四人で歌ってた。2番に入ったらAugenblickの演奏も混じりはじめた。

 演奏が終わると同時にステージが拡大、というか元々これでも狭くしてた方だったみたいで、本来の大きさになった。そこから現れるようにポピパ、ハロハピ、グリグリ、Afterglow、パスパレが出てきた。

 

 

「最後の曲は全バンドでやるぞ!"クインティプル☆すまいる"!」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「いやーライブ大成功だったね!」

 

「リサも元気になったし、雄弥との結婚も決まったしな!」

 

「あぅ。それ言われるとまだ恥ずかしいよ」

 

「俺はそうでもないけどな」

 

「雄弥はそうだろうね!」

 

 

 ライブが終わったら香澄にマイク越しで大声で祝福された。驚いてたらそれにみんなが乗って次々と祝福されて、アタシは恥ずかしさで茹でダコみたいになった。結局雄弥に抱き上げられてそれでトドメを刺されたんだけど、幸せに満たされたからいいや。

 

 それに、アンコール曲も楽しかった。想定してなかったみたいだけど、結花が「"陽だまりロードナイト"歌いたい!」って言ってアンコール曲はそれになった。

 

 

「お二人さん。これで終わりだと思ってる?」

 

「は?」

 

「え?まだあるの?」

 

「ライブは終わりだけど、やることあるでしょ?ね、こころ」

 

「そうよ!二人のハネムーンがあるでしょ!」

 

「は、ハネムーン!?」

 

「学園祭で雄弥が取ってくれたハワイ旅行のやつ、これをハネムーンで使うよ〜。ちなみにみんなで行くからね!」

 

 

 なにそれ!?雄弥、学園祭でなにしたの!?

 




最終話ですが、エピローグをやらないとは言ってません!(おやつの時間までお待ちください)

いつの間にか高評価くださった皆様ありがとうございました!把握できてなくてごめんなさい!
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