「これでちゃんと話せるようになっただろ」
「あ、あー、…ほんとね。ありがとう雄弥」
「どういたしまして」
「よし!それじゃあ早速あこがやりたがってたやつやろっか☆……て、なに?この音楽」
「…友希那さん。なんでスキル使ってるんですか?」
「知らないわよ。勝手にこうなったわ」
「スキルの使い方も言っとくか」
友希那だけじゃなくて、リサと紗夜にも使い方を教えておいた。こういうのは纏めて教えてたほうが楽だからな。スキルの使い方を教えたら、今度はアイテムの調合の話になり…。
「いっぱい作ったから、みんなにもあげるね♪」
「ありがとうリサ」
「今井さん、ありがとうございます」
「こ、こんなに回復薬を:(´◦ω◦`):」
「あこ…ここまで回復薬持ったことないや…」
まぁ、こんな感じで経験者と初心者で反応が違うんだよな。あこがやりたがってるクエストは、初心者がやるクエストでもある。だから、あこも燐子も俺もここまで回復薬を持っていても持て余すだけになるのだが…。
「…リサ、俺のアイテム欄が回復薬で埋まったんだが、俺だけ渡される量がおかしくないか?」
「だって雄弥ってすぐに無茶しそうじゃん?」
「そんなことないぞ?」
「ほんとかなー?」
「今井さんの判断が正しいかと( ˘ω˘ )」
「あこもそう思うよ。雄弥さんって二つ名がある数少ないプレイヤーなんだけど、その名前が"バーサーカー"だもん」
「バーサーカー?紗夜はなんのことか分かる?」
「いえ、私もそういう用語には疎いので」
「説明しますね(`・ω・)ゞバーサーカーとは、日本語で言うところの"狂戦士"です。イメージとしては、ダメージを鑑みずに攻撃一辺倒の人が相応しいですね( ´•௰•`)」
「つまり、雄弥は…」
「ダメージや残りの体力を見ずに戦う人です(´Д` )」
「やっぱりアタシの判断はあってんじゃん!」
むぅ、たしかに俺はバーサーカーなんて呼ばれてるらしいが、そこまで狂った戦い方なんてしてないぞ。そうやって冷めた目で見られてもな…。
「別に俺は一人で好き勝手に戦って、それで死んで迷惑をかけてるってわけじゃないぞ?むしろ、まだ1回も死んだことないしな」
「え、そうなの?」
「そうなんだよリサ姉。それも含めて、バーサーカーって呼ばれてるわけだしね」
「まだ一緒にプレイしたことがないんですけど、聞いた話によると、雄弥さんは初見の敵が相手でも死ぬことがないんです( ˙ㅿ˙ )体力が尽きるまでに敵の攻撃パターンを分析しきって、その後は全部避けるんです( ✧Д✧)」
「…たしかにバーサーカーと呼ばれても仕方ないですね」
「まったく、雄弥は…」
「……でも、やっぱりアタシは、雄弥に無茶なことしてほしくない」
「いや、リサ、これゲームだから」
「関係ないの!ゲームでそうするってことは、現実でもそれに似た場面で同じことするってことでしょ!アタシはそんなのヤだ!」
「雄弥さん( ._. )੭⁾⁾」
「…わかったよ。もう少し大人しく戦う。…それと、それならリサが俺を助けてくれよ」
「…え?」
「俺は戦闘で前衛になるから、それで後衛のリサたちを守る。リサはヒーラーなわけだし、それで俺を守ってくれ」
「ぁ……うん!」
さてと、少し時間を取ってしまったな。そろそろクエストを開始することとしよう。そう思った時、俺より先にあこが話して、まだクエストが始まらないこととなった。
「雄弥さん!それ装備変えてないですよね!」
「初期装備からは変わってるぞ?」
「そうじゃなくて!入院してた時のやつままですよね!レベルに合ったやつにしてくださいって言ったのに!」
「雄弥さん?٩(๑`^´๑)۶」
「…だってな、どれがいいのかよく分かんないし」
「そこは調べましょうよ!」
「とにかく、今日は私達が装備を見繕いますね(#^ω^)」
「…わかった。よろしくな」
結局最初に装備屋に行って、武器と防具を一新することになった。あこと燐子が話し合って候補をあげていき、それをなぜか俺じゃなくてリサが決めていった。ま、リサのセンスは信じてるからダサい装備にはならないだろ。なっても気にしないが…。
「……リサ、これを選んだ理由は?」
「え?カッコイイじゃん!」
「今井さんの好みが色濃く出てますね」
「そういえばリサってこういうの好きだったわね。昔もシンデレラに憧れてたわけだし」
「そうなんですか!?リサ姉可愛い!!」
「今井さんらしいですね(*´ `*)」
「ア、アタシの話はいいの!…雄弥はそれ嫌だった?」
「別に。これでいいよ。ありがとう、選んでくれて」
「う、ううん。なんかこういうのも、服選びと同じ感じがして面白かったし」
どんな装備かって?全身白銀の鎧ですけどなにか?…ま、俺の職業はどうしても鎧になるからな。そこは仕方がない。鎧は基本的に機動力が落ちるが、その中でもこれは速く動けるほうだ。その分他のより防御力が下がるが、俺としてはこの方がありがたい。
パソコンから一旦目を離してリサに顔を向けると、リサもこっちに気づいたようで、ウィンクをしてきた。…どうやら俺が機動力を気にしてるのは見抜かれてたらしい。
予定よりも時間を使ってしまったが、これでやっとクエストを始めれるな。クエストを受注しに行った時に、紗夜が「なぜずっと同じことを喋るのですか?」と聞いたときは深くにも笑った。なんとも紗夜らしいことではあるんだがな。……その時に顔を赤くしながらも睨まれたのは言うまでもない。
「リンダさんはこの鉱山の中にいるんだよ!」
「…懐かしいな」
「そうですね(*ᵕᴗᵕ)⁾⁾ここは誰しもが来る場所ですからね( ˘ω˘ )」
「…ちょっと薄暗くない?」
「鉱山の中だとこんなもんだよ、リサ姉」
「…不安なら離れないようにしとけ」
「うん…」
「きらぽんいるかなー?」
「あこ、きらぽんって?」
「超レアな敵のことだよ!きらぽんは攻撃してこない代わりに逃げるのが早いの!きらぽんから手に入るアイテムがレアで、欲しいんだけどなかなか遭遇することもなくて」
「そういう敵もいるのですね」
「ここにはフィールドボスってのもいるけどな」
「それは何なの?」
「簡単に言ったら超強い敵だ。ここは初心者が来るとこだが、フィールドボスは上級者でも簡単には倒せない程の実力がある」
「なぜそのような敵がここに…」
「ある意味運営の戦略とも言えますね( •ω•́ )✧『今は敵わないけど、必ず倒してやる!』と思わせてゲームを続けてもらいたいのだと思います(´˘`๑)"」
あ、そういう理由だったのか。てっきりただの嫌がらせかと思ってたが、そうじゃないんだな。運営側への理解ができてなかったか…、いや別にどうでもいいんだけどな。……与えるダメージがゼロだったのもそういうことか。
「でも、フィールドボスがいる場所には行かないので、大丈夫ですよ!」
「そうなの?それならそのフィールドボスというのは、気にしなくていいのね」
「なら安心だね…きゃあ!」
「えい!」
「白金さん、今のは?」
「弱いモンスターですね。鉱山には突然襲ってくるモンスターもいるので」
「そうですか」
「あこありがと〜」
「どういたしまして!あこにかかれば楽勝だけどね〜」
「あの氷川さん?盾を構えてますけど、どうかされました?」
「いえ、まだ残っているかもしれませんので」
「だ、大丈夫ですよ!」
「そうですか。ですが、また襲われる可能性もありますので」
「ってあれ?友希那と雄弥は?」
「「「え?」」」
あこがリサを助けてくれてる間に、一人でどこぞへと歩いていっている友希那の後を追う。もうこの辺から強いモンスターが出現するようになってるしな。
「困ったわね。みんな勝手にどこに行ったのかしら」
「それはこっちのセリフなんだが?」
「あら雄弥、あなたは一緒なのね」
「友希那が勝手に動くからな。ついてきたんだよ」
「私は勝手なことなんてしてないわよ」
「……そうだな」
ゲームになるとポンコツ具合が如実に表れてくるな。しかもこうやってポンコツを発揮して、そのことを言われたら認めないし。…こういうとこが子供らしいというか、リサの言う「可愛い友希那♪」なんだろうな。
「とりあえずみんなと合流しましょう。道は…あの人にでも聞いてみましょう」
「道なら覚えて……ん?人?待て友希那!それは!」
「え?……ガイコツ?」
「チッ、やるしかないか!」
初心者だから仕方ないが、友希那のやらかし方がすごいな!…ヘルスケルトンソルジャーに声をかけるって、笑いのネタにしかならないが、ここでは笑ってる場合じゃない。あこも燐子もRoselia全員に楽しんでもらいたいと思ってるはずだ。つまり、死者はだしちゃいけない。全員でクエストを達成する必要がある。
ならば友希那を守らなければならない。だから俺は友希那とヘルスケルトンソルジャーの間に割って入って、振り下ろされる剣を自分の剣で防ぐ。
「友希那は離れたところで隠れてろ!」
「何言ってるのよ!私だけそんなことできるわけないじゃない!」
「だったら安全圏でスキルを使え!どのみち友希那の職業はサポート担当なんだからな!」
「くっ…わかったわ!」
このゲームの良いところは、初期からあるスキルでも使い道がずっとあることだ。特にサポート役になる"ヒーラー"や"吟遊詩人"は、ずっとそのスキルを使っていける。
吟遊詩人の初期スキルは、単純に攻撃力を上げるだけ。だが、それはスキルのレベルが低くても効果が分かりやすく出る。要は、火力がよく上がるのだ。
ヘルスケルトンソルジャーが人型のモンスターなだけあって、攻撃がわかりやすい。人型ということは、人の体でできる動きしかしないということだからな。…ま、その分被ダメージがでかいんだろうが、避けれるなら関係ないことだ。
「こいつ、なかなかしぶといな」
「…それ、たぶんそのガイコツも思ってるわよ」
「それはないだ…ろっ!」
「倒せたの!?」
「……みたいだな。…警戒しとくにこしたことはないが、とりあえずみんなと合流するぞ」
「わかったわ。早く行きましょ」
友希那を先に行かせて、俺がその後ろを歩く。ペースをわざと遅くして、ある程度歩いたら剣を横に振るいながら後ろに振り向く。その剣がざっくりと
「…雄弥?どうかしたの?」
「いや、なんでもない」
「??」
今度は友希那の横に並んで歩く。もう警戒の必要はないから、あとは突然飛び出してくるような敵を気にしとけばいい。
「あ、戻ってきた!」
「雄弥!友希那!大丈夫だった?ケガは?」
「私は大丈夫よ」
「…雄弥さんは体力減ってますね」
「何かと戦ったんですね」
「まぁな。ヘルスケルトンソルジャーを倒してきた」
「ええ!?∑(ºロºlll)」
「白金さん?そんなに驚くことなんですか?」
「ヘルスケルトンソルジャーというのは、上級者でも強敵と言わしめるモンスターの一種です。どれぐらいかといいますと、後衛である私やあこちゃんでもバッサリやられます:(´◦ω◦`):」
「雄弥そんなのと戦ってきたの!?えと、たしかヒールは…えい!えい!」
「リサ、そんなにヒールかけなくても大丈夫だから。今の体力でも問題ない」
「ダメ!アタシがそんなのヤだから!……もしも、なんて……そんなの怖いよ」
「……ごめん」
結局、
前回のと今回ので終わるかと思いきや、予想外にも次回に続きます。