細かいことは気にしてはいけません。なんせガルパ自体が時空の歪みの中に存在してるのですから。
それと、やってみて分かりました。この小説の設定上トコナッツパークは難しすぎるww
「雄弥聞いてよ!」
「…いきなり部屋に入ってくるなよ」
「そんなのはいいの!」
「そんなの…ね。で、どうした?」
「友希那がプール行くんだって!」
「行きたいなら結花も一緒に行ってこいよ」
友希那がプールに行くらしいから俺たちも行こう、みたいな展開にしたいんだろうな。だが俺はプールに興味がない。海外ライブ控えてるしな。
詰め込み過ぎても調子が悪くなる。だから適度に体を休める必要があり、今日もそのために家にいる。暇だからベースを触ってはいるんだがな。軽くベースを引きているところに結花が来たわけだが…、プール行く気満々だな。もう用意してるし。それなら尚更友希那と一緒に家を出ればよかったものを。
「友希那に断られたの!」
「…は?」
「今日はRoseliaだけで行くから付いてきちゃ駄目って」
「なら諦めろよ」
「やだ!」
「子供か…」
「私ウォータースライダー乗ってみたいもん!行きたい行きたい!」
「友希那には駄目って言われたんだろ?」
「私が雄弥と行くのは駄目って言われてないからね!お願いー、行きたーいーのー!」
結花が駄々をこねる子供のように俺の服を引っ張り始めた。結花の今までの生活を考えたら、ウォータースライダーに乗ったことがないのも事実だろう。授業以外でプールに入ったことすらあるのか疑わしい。
服を引っ張る結花の手を押さえ込んで放させる。最近分かってきたが、こういう時の結花は年齢が退行するし、感情もさらけ出す。行きたいという願いと断られたらどうしようという不安、瞼を伏せつつもその二つが混ざった目で見てくる。
「リビングで待ってろ。準備するから」
「…!いいの?」
「行きたいんだろ?他に予定もないしついて行ってやる」
「やった!ありがとう!」
飛び跳ねるように勢いよく離れ、スキップしながら部屋を出ていく結花を見送る。今思い出したが、友希那が断ったのって単純にチケットが余ってないからだよな。リサがバイト先の店長から5枚貰って、俺がRoseliaで行ってこいって言ったんだった。人気があるとはいえ当日券もある。それで結花と中に入るとしよう。
〜〜〜〜〜
トコナッツパーク。あこやリサは知っている場所のようだけど、残りの私達は来たことがない。燐子はこういう人が多い所を苦手とするし、私や紗夜はこういう所に来る必要性を感じないから。
「え…水着がいるの?」
「プールですよ友希那さん!?」
だから私がこうやって水着を持ってこなかったことも仕方がないと言えるわ。トコナッツパークという言葉だけに意識が向けられていて、水着がいるということを忘れていた。…今朝結花と話をしたけども、その時に"プール"という単語も出た気もするけど、私は悪くないわ。
「園内にも水着を買う所があるようですし、そこで買うとしましょう」
「そうだね。せっかくだし友希那に似合うやつを買わなきゃね♪」
「普通のでいいわよ…」
「合うのが…あるといいですね」
「…燐子、言外に私を貶してるのかしら?」
「えぇ!?…そ、そんなこと…ないですよ?」
「ふふっ、冗談よ」
「友希那さんが…冗談を言った…!」
「あこ?シメるわよ?」
「ひぃ!!」
こうやってメンバーとやり取りすることも大切。もっとメンバーのことを知らないといけないって、最近分かったから。思えば雄弥たちのバンドもそうだった。メンバー間の絆が強くて、お互いを分かっているから、お互いに配慮しながらも本気でぶつかり合って高め合える。
「友希那って最近過激になった?」
「そうかしら?そうだとしたら雄弥の影響ね」
「あ〜………ん?アタシの雄弥は過激じゃないからね!!」
「今井さん。さらっと惚気けないでください」
水着を売っているお店に移動して、みんなに選んでもらった。リサが選んだのは露出が多いようなもので、紗夜は学校の水着と変わらないものを選んできた。…あなたが着てるのはそれより露出多いのだけど。
最終的に燐子が選んでくれた黒い水着を買うことにした。さすが衣装を普段から考えて作ってくれてる燐子ね。とても素敵なものだわ。
「ありがとう燐子。これ気に入ったわ」
「い、いえ。…気に入ってもらえて…よかったです」
「お〜!友希那が可愛いの着てるー!」
「え?まさか結k「友希那ー♪」」
「あ、雄弥さんだ。こんにちは!」
「久しぶりだな。相変わらず元気そうだ」
「あこの取り柄ですから!」
あなた達露骨に私から目線外すのやめなさいよ。結花を引き離すのを手伝いなさい。この子の方が力強いから私一人じゃどうにもできないのよ。
引っ付いて離れようとしない結花を燐子がどかせてくれて、やっとのことで私は解放された。リサたちに視線を向けると、頑として目を合わせようとしない。あの子たちには何かしら仕返しが必要かしら。
「友希那の水着可愛いね!」
「ありがとう。燐子が選んでくれたのよ?」
「へ〜、さすが燐子だね!」
「ありがとう…ございます」
「結花は海に行った時と同じ物なのね」
「まぁね〜。こうやってプールに来るって思ってなかったし、何着も買うのもなーって」
「…だそうよ?リサ」
「うっ、ま、まぁそれは人それぞれじゃん?」
そう言ってしまえばそうなのだけど、あなたは服とか買いすぎじゃないかしら。どれも着回してるの知っているし、着る機会が減った服を売っているのも知っているけど。本人がちゃんと整理できてるから何も言わないけれど。
「ところで結花はなんで来たのかしら?私、今日はRoseliaのみんなと過ごすと言ったはずなのだけど」
「うん分かってるよ?
「面白い割引?」
「うん。
その言葉が放たれた瞬間、周囲の温度がどことなく下がった気がした。みんなで恐る恐るリサの様子を伺うと、リサは笑顔のまま固まっていた。こういう事に疎い雄弥がリサの側によって気にかけているのだけど、逆効果になるとしか思えないわ。
「…今の話ほんと?」
「ん?カップル割引のやつか?」
「そう」
「本当だぞ。バレないだろうし、割り引けるならやっちゃおうって結花が言ってな」
「ふーん?それを雄弥はOKしちゃったわけか〜」
「そうだな」
「……ゆうやの」
「うん?」
「雄弥の馬鹿!!」
いっそ気持ちいいぐらい大きくて綺麗なビンタの音が響いた。雄弥の頬には紅葉ができて、リサは怒ったままどこかへと歩き始めた。あこと燐子が急いでリサの後を追いかけて、私と紗夜も少し遅れて追いかける。
「…女心は分からないのね」
「友希那、この世全てのことが分かっても女心だけは分からないものらしいぞ」
「馬鹿ね。分かる努力をしなさい。行くわよ紗夜」
「はい。雄弥くんは反省してくださいね」
〜〜〜〜〜
「…ごめんね雄弥。失言だったね」
「結花は気にしなくていい」
「でも…」
「俺とリサの問題だ」
「……わかった」
謝ったけどやっぱり雄弥こういうのを背負わせてくれない。全部自分のせいにする。甘やかされてばっかなのは嫌なのに…。
そう思って俯いていると私の手が引かれる。それはもちろん目の前にいる雄弥の手で、顔を見ると何とも思ってないような表情をしてる。元から表情の変化が全然ないからよく分かんないけどね。
「結花が楽しみにしてたトコナッツパークだ。その結花が楽しまないでどうする」
「そうだけどさ…」
「楽しめないって言うなら今から帰るぞ?」
「それは駄目。…ふぅー、うん。楽しもっか」
「そうこないとな。リサのことは本当に気にしなくていい。どうするかは考えたから」
「早いね!」
女心が分からないって言ってるのに、そんな早く決めても大丈夫なのかな。どことなく心配で、でも雄弥とリサなら大丈夫かなって思ったりもする。
最初に来たのは私が乗りたいって言ってたウォータースライダー。高くなるけど、順番を結構スキップできる優先券も買ってあるからスイスイ進む。上まで上がったら、ちょうどRoseliaが出発するとこだったんだけど…、あれ大丈夫なのかな。
「ま、吹っ飛ぶことはないだろ」
「だといいんだけどね〜。なんか不安だよ。ところでこれって五人でやるやつなのかな?」
「…いや、二人用でもいけるみたいだぞ。一人でもいけるみたいだがどうする?」
「二人で!ところで雄弥、今日は私を楽しませてくれる?」
「いいぞ。忘れられない日にしてやる」
「やった♪…でもそういうのは彼女に言いなよね〜」
「たまに言ってる」
「ならよし!」
周りの人が彼女じゃないの!?みたいな反応したけど、こうやって二人でいるのって第三者からしたらカップルに見えるんだね。…それにしても、そっか〜。これがカップルの気分なんだね。リサが普段からああなるのもわかるかも。
「それじゃあしゅっぱーつ!」
「落ちるなよ」
「それなら手握ろうよ」
「わかった」
ボートにある取ってを掴んで、反対の手を雄弥の手と繋げる。離れないようにしっかり指を絡ませてね。最初は緩やかなんだけど、コースが進むにつれて勢いも出てくるし、大きいカーブもある。
「ひゃっほー!」
「これ凄いな」
「ねー!次のカーブもっと凄いらしいよ!」
「へ〜?」
勢いがまた強くなって、このウォータースライダー最大のカーブ地点に向かっていく。そこに着くまではすぐなんだけど、私はその短い時間の間に移動した。場所はもちろん雄弥の所。繋いでた手を離して、ボートを掴んでいた手も離す。代わりに腕ごと雄弥の首に回した。そのためにはもちろん体を雄弥に重ねるようにする。雄弥は文句を言いたそうな顔をしたけど、すぐにカーブに突入するから、私が振り落とされないように、私と繋いでた手を腰に腕を回してくれた。
「えへへ〜、カップルみたいだね♪」
「…今日くらいは付き合ってやるよ。それと口閉じてろ。舌噛むぞ」
冗談のつもりで言ったのに、雄弥は真剣にそう返してきた。予想外の返しだったから急に今の状態が恥ずかしくなった。でももう移動はできない。せめて緩んでしまってる顔を見られないようにしようと雄弥に強く抱きついた。
ウォータースライダーが下に着くまでずっとその状態で、下のプールに飛び出すのに合わせて雄弥から離れた。
「これわりと面白いな」
「だね〜。他も回りたいけど、これはもう1、2回は乗ってみたいかも」
雄弥とそう話しながらプールの縁に歩いて行ってると、先に滑ってたRoseliaのメンバーがいた。大はしゃぎのあこと、ちょっと泣いてるリサと呆れてる友希那。どういう状況なんだろ。紗夜と燐子は平気だったみたいだけど。
「…予想以上の出来だったからそれを怖く感じてリサが泣いた。あこはこういうの好きだから問題なくて、友希那も案外楽しむタイプだから泣いてるリサに呆れてる。そんなとこか」
「こういうのは分かるんだね」
「まぁな」
「雄弥さん…」
「燐子?」
「あの…お二人が楽しむのは…口出ししませんし…できることでも…ないんですけど……、さっきみたいに…くっつくのは…流石に駄目だと…思います」
さっきのくっついてるやつって、もしかしなくても今やってきたウォータースライダーのことだよね。最後は直線になるからもしかしたらって思ってたけど、まさか燐子に言われるとはね。
「あははー、だよね〜」
「今日は見逃してくれないか?」
「「え?」」
「今日は結花にここを楽しんでもらう。そのためならなんだってする。だから、リサの方のフォロー頼めるか?」
「それは……」
「わかりました」
「…氷川さん?」
「藤森さんがここを楽しみにされていたことは見ればわかったわ。そういうことならあなたは絶対に彼女を楽しませなさい。こっちのことは任せてもらっていいから」
「助かる」
「でも、最終的には今井さんと話してね?」
「わかってる」
置いてけぼりになってる私と燐子をよそに、雄弥と紗夜は話をまとめてしまった。私は雄弥にまた手を引かれて移動する。さすがに話についていけてないのに決められるのは嫌だから、雄弥の手を引っ張って立ち止まる。
「…なんで?」
「結花に楽しんでもらいたい。それ以外に理由はない」
「それでもしリサと関係が崩れちゃったら…!」
「そんなことにはならない」
「なんで!?なんでそう言い切れるの!?」
「リサを信じてるから」
「ぇ…」
「リサなら分かってくれるって信じてる。だからこれでいいんだよ」
…敵わないな〜。この信頼はどこからくるんだろ。私が知らない二人だけの絆ってやつかな。それをリサに言ってあげたらいいのに。
この後は雄弥の好意に甘えることにした。激流下りとかウェーブプールとかも楽しかったし、休憩がてら温水プールで駄弁ったりした。晩御飯もレストランで食べて、最後は水上ショーだね。
「水上ショー楽しみだね♪」
「ライブの参考になればいいな」
「今日はそういうの抜き!」
「わかったから叩くな…」
自分で仕事の選択をしてるとはいえ、雄弥って仕事脳だよね。こういう時に仕事のこと考えるってどうなんだろ。今日は私が目一杯楽しませてもらったけど、雄弥は楽しんでくれたのかな。これも仕事って考えてたら…嫌だな。
「…雄弥」
「…リサ?」
「ちょっといい?」
雄弥が私に視線で聞いてくる。もちろん断ることなんてできないから、頷いて私は二人から離れた。少し離れた所に友希那たちがいて、その様子を見る限り四人ともリサにゴーサイン出したんだね。それなら何の心配もいらないや。
「大丈夫そう?」
「ええ。もう心配いらないわ。結花も一緒に水上ショー見ましょ?」
「…!…いいの?だって今日はRoseliaで過ごすって…」
「ふふっ、もう大丈夫だからいいのよ。あなたが一緒にいてくれるなら、だけど」
「いる!私も友希那と一緒にいたいから!」
「…ごめんなさい。突き放すようなことをしてしまって…」
「ううん。いいよ。雄弥が付き合ってくれたし、水上ショーを一緒に見れるんだから!」
「ありがとう」
Roseliaのみんなに暖かく迎えられて、私は雄弥が言ったように忘れられない一日を過ごすことができた。雄弥は薄々気づいてたみたいだけど、こんなに大きいプールは初めてだし、いろんなアトラクションを楽しめた。
─それに一日だけのプリンセス気分を味わうこともできたから
ちなみに、雄弥とリサはすっかり仲直りしてた。相変わらずのベッタリ具合だったね。あと、リサの我儘に一日付き合うことになったんだって。それっていつものデートと変わらないよね。
次回やったら、この作品の更新止めます。
クリスマス回やお正月もやる予定がありません。
ゆりさん小説を始めとした他の小説に集中させていただきます。