陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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・ライブブーストの回復アイテムも尽き、スターも尽きました。ちくしょー!
・スヌーピーの作者曰く、人は気持ちが落ち込んでる時ほど良い作品を作れるとか。ってことは最近気持ちが上向きな僕はそろそろ限界がくるんですかね。
・投稿時間ってみなさん的に何時がいいですかね?このままでいいですか?


10話

 …何があってこうなったのだろうか。

 現状を確認しよう。俺は今日、事務所にある自分の部屋にいた。練習は個人練習だけだから、学校に通っていない俺は午前中と昼間に練習し、クールダウンを終えてから服を着替えた。それから少しゆっくりしようと思って休憩がてらスケジュールのチェックを始めたんだ。そうしてたらリサが押しかけてきて抱きつかれた。ちなみに泣いている。

 突然のことだ、意味がわからないだろう。俺もわからない。わかるのはなぜか芸能事務所に入り込めてるリサが抱きついて泣いていること。以上だ。

 

(……Roseliaが解散でもしたのか?…いや流石にそこまではいかないか)

 

 心当たりはそれしかない。というかそれ以外のことは知らない。バイトのことはあまり聞かされてないし、部活のことも聞いてないからな。

 

(リサっていろんなことやりすぎじゃないか?いつか倒れてもおかしくない気がしてきた)

 

 

 なんて考えながらとりあえずリサをあやす。こちらもそっと抱きかえし、落ち着かせるためにゆっくりと髪を撫でる。

 

 

「……落ち着けるか?」

 

「…もう、ちょっと」

 

「ゆっくりでいいぞ」

 

「うん…」

 

 

 なるほど、確信した。Roseliaで何かあったんだろう。そしてリサが泣くということは、その中心には友希那が関係している。…と、なると……いや憶測の域は出ないし、リサに聞くしかないな。

 

 

「…ぐすっ。……ありがとう、もう大丈夫…だから」

 

「…そうは見えんが、リサがそう言うなら……リサ?」

 

「雄弥に甘えていいんでしょ?」

 

「……好きにしろ」

 

 

 リサは泣きやんで離れたと思ったら俺の体を背もたれ代わりにした。お互いに背中を合わせるとかじゃなくて、俺の胸にリサの背中が寄りかかってくるほうだ。

 

(まぁ座椅子に座ってるから自然とそうなるか)

 

 俺の部屋にも西洋風のいわゆる普通のイスはある。が、それとは別に部屋の一部は畳があってそこにはちゃぶ台と座椅子がある。もちろん座布団も。何でかというと和風が好きだからだ。

 

 

「…こうやって甘えるの小学生以来だね」

 

「中学入ってからはなかったな。思春期がどうとかで」

 

「雄弥には思春期なんてなかったもんね」

 

「みたいだな」

 

 

 男子たちは急に下ネタに目覚め始めてたな。わけがわからん。女子は女子で、恥じらいを覚えるか……ぶっとんだ思考になるかだな。…女子もわけがわからんな。

 

 

「Roseliaで何があった」

 

「…すぐに本題に入るんだから」

 

「多少は待った」

 

「……そう、だね」

 

「まだ無理そうか?」

 

「…ううん。話せる、かな」

 

 

 そう言いながら両手で俺の両手を引き寄せる。ふむ、まだダメだったみたいだ。…やっぱり俺には人の気持ちがわからないということか。だが、今リサが求めてることはたぶんわかる。

 

 

「雄弥?」

 

「これでいいんだろ?」

 

「うん。ありがとう」

 

 

 リサの体を包むように腕をまわす。どうやらそれが正解だったらしく、リサは完全に体をこちらに預けてから今日の出来事を話してくれた。

 友希那が業界の人と話していることをあこと燐子が目撃+視聴。Roseliaを仲間として見ていなかったことに紗夜も失望して出ていったこと。友希那の居場所ができたと思ったらバラバラになったことが、それを止められなかったことが悔しいみたいだ。

 

 

(姉は何をしているんだか……俺の姉らしいと言えばらしいけど)

 

「アタシ…どうしたらよかったのかな…。友希那の目標は知ってるし、それを支えたいけど…、Roseliaにそのことを話せなかった」

 

「そこは友希那の責任だろ。……リサはこのままでいいと思ってるか?」

 

「そんなことない!アタシはRoseliaが好きだもん!最近は友希那も昔みたいに歌うときに笑顔が出るようになったし、みんなも演奏するとき笑顔でアタシも楽しいもん」

 

 

 リサは視線を下げてはいるが、それでもはっきりと自分の思いを吐き出した。…ほんと、俺のとこ来なくても解決できただろうに。

 

 

「答え出てるじゃないか」

 

「え?」

 

「Roseliaをこのままで終わらせたくない。それがリサの思いなんだろ?ならあとは行動に移すだけだ。Roseliaのみんなが、なにより友希那が気づいてないことを教えてやれ」

 

「みんなが…気づいてないこと」

 

「さっき自分で言ったことだぞ?」

 

「……あ」

 

 

 やっと気づいたようでリサは表情を明るくしてこっちに視線を送ってくる。その表情からリサの答えと俺が考えた答えが一致しているであろうことを察する。

 

 

「それじゃあ、さっきも言ったがあとは行動するだけだ。不器用なメンバーを再集結させてこい」

 

「あはは、だからそれ雄弥に言われたくないことだと思うよ?……ごめんね、結局頼っちゃって」

 

「リサもまだまだ子供ってことだな」

 

「ふーん…そんなこと言うんだ。ま、いいか。それじゃあ行ってくるね♪」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

 どうやら完全復活できたようだな。ウィンクして出ていったし。…具体的にどう動くのかは知らないが、あの様子だと問題ないだろう。その答えは家に帰った時に友希那の様子を見ればわかる。…俺はもう少しここに残る必要がある。やることが増えたからな(・・・・・・・・・・・)

 リサがなぜ難なく芸能事務所に入ってこれたのか。まっすぐ俺の部屋に来れたのか。それは、

 

 

「…隠れてないで部屋に入ってこいよ」

 

「やっぱバレてたか」

 

「疾斗、何考えて動いた」

 

「抽象的だな。…ま、事務所の前で女の子が泣きそうになってたら気にかけるだろ。深入りはしねぇよ」

 

「どうだか…。で、残りの二人は?」

 

「ははっ!さすがだな〜」

 

 

 疾斗が残って他二人がいなくなることはないだろ。特に大輝は。

 

 

「いやー、盗み聞きする気はなかったんだぜ?」

 

「嘘つけ。というかそんなことする暇あったらさっさとパン屋の娘に告白してこい」

 

「うぐっ…それは、まぁ…な」

 

「ヘタレが」

 

「……俺だけ当たり強くね?」

 

「一番興味津々だったのはどうせ大輝だろ」

 

「それも正解だね。僕はまぁ成り行きかな」

 

「愁!それはせこいぞ!」

 

 

 なんか大輝のやつが喚いてやがるが、そんなんどうでもいいんだよ。何かしらの罰ゲームは三人に用意するからな。……ライブでアドリブさせるか。

 別に俺は気にしないが、リサがこのこと知ると怒るだろうからな。罰はこちらで執行しとけばいいだろ。今はRoseliaのことに集中させたいしな。

 

 

「……なんか雄弥の沈黙が怖いんだけど」

 

「しゃーない。大人しく罰を受けるとしようぜ。何させられかわかんねぇけど」

 

「そういう沈黙なのか…」

 

「それについては追々でいいさ。それより他にも用があるんだろ?疾斗がいるわけだし」

 

 

 俺が言えたことではない(らしい)のだが、疾斗は自由奔放な人間だ。我が道を行く、それを体現してるとも言っていい。もちろんそれは本人の信条にもとづいているわけだが。つまり、普段ならリサを案内してそこでいなくなるはず。そうじゃないということは、別件だろう。

 

 

「本題は今週末に迫ったライブのことだ」

 

「ライブ?なにか問題があったっけ?」

 

「またなんか思いついたとかか?」

 

「いや、俺達のじゃない(・・・・・・・)

 

 

 なるほど、パスパレのデビューライブのことか。たいして興味ないからどうライブするのかは知らないが、三人の真剣な顔を見ればある程度のことは察せる。だが、ここは俺も内容を知っておいたほうがいいのだろう。Augenblickとしてなにかするのだろうから。

 

 

「大輝、知ってることを話せ」

 

「逆になんでお前は知らないんだよ……。ったく、デビューライブといや聞こえはいいが、口パク、エア演奏で乗り切らせるらしい」

 

「…練習の意味は?」

 

「元から無かったんだろうね。とりあえず先にファンを集めて後から追いついた実力を見せさせる、そんな考えでもしてたんじゃない?」

 

「なるほど」

 

 

 なるほどなるほど、そういうことか。だから疾斗がキレてるのか(・・・・・・・・・)。バレれば即刻活動停止。最悪の場合芸能界いれなくなるし、デビューでやらかしたとなればマスコミが食いつく。そうなればあの五人はそれを一生引きずってこれから生きていかないといけない。

 

 

(上は失敗するなんて考えてないんだろうが、リスクがあまりにもデカすぎる。事務所にとってはただのヒヨッコ。トカゲの尻尾切りみたいな考え方でもしてるのか)

 

「そんなわけで俺たちはもしもの時フォローすることになる」

 

「とはいえ最終的にはあいつらがその場で乗り越えられるかだ」

 

「わかってる。だから手伝えることは手伝う」

 

「へー」

 

「雄弥は興味ないのか」

 

「後輩だろうが興味ない」

 

「テメェ」

 

「ただし」

 

「あん?」

 

「リーダーがご立腹ならそれに付き合うさ」

 

「素直じゃないね」

 

「ははっ。んじゃま意見が固まったところでやりますか!」

 

 

 疾斗は案外周りのことを大切にする人間だ。『悲しみが待ってる未来ならどんなことをしてでも変えてやる』なんてことを言ってのけたこともあるしな。その手段の一つとしてアイドルはたしかに有効なんだろう。そしてそんなアイドルになる後輩たちを守りたいんだろう。

 

(ほんとうちのリーダーは難儀な性格だな)

 

 まぁただ、それに付き合って退屈したことはないから俺も手伝うんだがな。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「ただいま」

 

「おかえりなさい雄弥」

 

 リビングに行くとそこでは友希那が待っていた。リサの働きかけがうまいこといったのか、友希那の表情はいいものになっていた。

 

「友希那……」

 

「…あなたに忠告されていたのに私は間違えてしまったみたいだわ」

 

「リサから聞いた。それで何かに気づいた友希那はどうするんだ?」

 

「それも考えてあるわ。明日メンバーを集めるわ」

 

「…ま、考えがあるならそれでいいさ」

 

 

 目に力がこもってる。いい方向に進むだろうし、Roseliaもやっとバンドとして最低限のラインに立てるだろう。

 

 

「……私は馬鹿ね。リサに言われないと何にも気づけないんだもの。雄弥に言われたこともその時にならないとわからなかったわ」

 

「すぐになんとかできるようにはならないだろ。自覚できたなら少しずつでも前に進め。友希那は急ぎ過ぎなんだよ」

 

「けれどこれは私の性分だから…簡単には治せないわ」

 

「だからゆっくり、な。ひとまずはFWFにむけて、それが終わったら一旦自分を見つめ直せばいい」

 

「そうするわ。……ありがとう、それとこんな姉でごめんなさい」

 

「謝るな。俺は友希那にもリサにも返しきれないものを貰ってる。できるだけのことを返すだけだ」

 

「それでも、ありがとう雄弥」

 

「…はぁ、それなら受け取るが、俺よりもリサに感謝しろよ。相当動いたことだろうしな」

 

「わかってるわ。それも明日リサに直接言うつもりよ」

 

 

 随分と素直な反応だな。ま、珍しいものが見れたからそれでいいか。これで俺も自分のことに集中できる。

 




疾斗はこころみたいにみんなの笑顔が大好きな人間です。
☆9評価 Faizさん 優希@頑張らないさん ありがとうございます!
☆4評価 アスパラーメンさん ☆1評価 このよさん ありがとうございます!手厳しい評価でございます。
それと、誤字報告ありがとうございます!こんな小説でも指摘してもらえるなんて、気をつけて書きますがまた間違えてたら指摘してください。
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