陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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わりと難産
というか、友希那さんの誕生日回なのに、出てくるのがラスト。
粗茶は友希那さんを書けない……orz


番外編:未来
友希那誕生日回


 今日は、ママの大切なシンユウさんで、パパのお姉ちゃんの湊友希那さんのお誕生日。パパもママも友希那さんのことを大切にしてるのは、見てて私でもわかった。だから、私も愛彩もパパとママのお手伝いをしたいと思った。それで、何ができるかなって考えて、ケーキのお遣いをしようって思った。

 

 

「ママー、愛彩とケーキ買ってくる」

 

「え…えぇ!?二人だけじゃさすがに…。ママは料理の準備があるし…、パパが帰ってきてから三人で行ってもらうのじゃダメかな?」

 

「大丈夫だもん!いけるもん!」

 

「うーん…、でもなぁ……」

 

「愛彩も行くから大丈夫だよママ!おねぇちゃんと二人ならできるよ!」

 

「……うぅ……、どうしても行きたいの?」

 

「「うん!」」

 

「じゃあお願いしようかな〜。……心配だけど。ちょっと待っててね、お財布と地図用意するから」

 

 

 ママが部屋に行っていつも使ってるお財布とちっちゃいお財布を取ってきた。ちっちゃいお財布にはヒモがついてて、首からさげれるんだって。これならお財布がなくならないね。

 お財布を貰って、お店の名前が書いてある手作りの地図も貰った。もしもの時ように、ひよこさんの形をしたブザーも貰った。尻尾についてる青いのを抜けばいいみたい。周りの人が助けてくれるし、パパにも連絡がいくんだって。

 ケーキ屋さんには予約してあるらしくて、名前を言ったらすぐにくれるみたい。その時に私と愛彩のご褒美も買っていいって言ってくれた。

 

 

「ママ!行ってきまーす!」

 

「行ってきます」

 

「うん!行ってらっしゃい!車と不良には気をつけるんだよ〜。あと野良犬にも気をつけてね。あ、カラスにも気をつけてね。それから道がわからなくなったら、近くにいる優しそうな人にお店の場所聞いてね。地図を見せたらわかってくれるはずだから。あと、変な人にはついて行かないこと。お菓子くれるからってついて行っちゃダメだよ?それから「ママ、大丈夫だから」…そう?」

 

「二人でちゃんとお遣いしてくるね」

 

「頑張るからね!」

 

「…うん。ちゃんと帰ってきてね?」

 

「うん。何かあったらこのひよこさんのだよね?」

 

「そう。周りに人がいなくても、パパが絶対に助けてくれるからね」

 

「ひよこさんは愛彩が持ってるよ!」

 

「大事にしてね?」

 

「うん!」

 

(…後で"あの人"に連絡しとこ)

 

 

 心配そうにしてるママに手を振って、愛彩と手を繋いで出発した。右手に地図を持って、左手は愛彩と繋いでる。愛彩は私と繋いでる右手を大人しくさせて、その分何も握ってない左手をブンブン振ってる。

 パパやママのお手伝いはするけど、こうやって私たちだけで何かするのは初めて。だから絶対にぜーったいに成功させたいんだ。

 

 

「あら?たしかあなた達は雄弥とリサの子供ね!」

 

「え?」

 

「んー?あ!こころちゃんだ!」

 

「こら愛彩!こころさん!でしょ?」

 

「呼び方なんて気にしてないわ!好きに呼んでくれていいのよ!それより、二人だけでどこに行くのかしら?」

 

「友希那さんの誕生日ケーキを買いに行くんです」

 

「お遣いなの!」

 

「まぁ!それは立派ね!でも、二人だけで大丈夫かしら?」

 

「大丈夫だよ!ママが地図書いてくれたもん!」

 

「これがその地図です」

 

「さすがはリサね!それと、二人が買ってきたって知ったら友希那も喜んでくれること間違いなしよ!」

 

「ほんと!?」

 

「えぇ!ぜーったいハッピーになって、最高のスマイルをしてくれるわ!」

 

「「やったー♪」」

 

 

 どうやらこころさんも、途中まで方向が一緒みたい。それで途中まではこころさんと三人で、いろんなお話しながら歩いた。たまに黒服の人がチラチラみえたんだけど、あれはいったい何だったんだろう?

 

 

「それじゃあ私はこっちだから!二人とも!お遣い頑張ってね!」

 

「うん!こころちゃんありがとう!」

 

「ありがとうございました。こころさんもお気をつけて」

 

「汐莉はもう少し遠慮なく話してくれていいのだけど…。まぁいいわ!今度はうちに遊びに来てちょうだい!歓迎するわ!」

 

 

 こころさんはすごい人だ。あの人が笑顔じゃない時なんて見たことがないもん。ずっとニコニコしてくれてて、一緒にいるだけで笑顔になる。ママもお日様みたいなポカポカした感じなんだけど、こころさんもお日様みたいな笑顔。でもどこか違う。

 

 

「あ!おねぇちゃん!あれがケーキ屋さん?」

 

「え?……あ、あれだ!」

 

「やったー!おねぇちゃん!早く行こ!」

 

「ま、待って愛彩!ひっぱらないでー!」

 

 

 急に走り出そうとする愛彩をなんとか落ち着かせながら、お店の中に入る。…それでも早歩きになったけど。お店の中はオシャレになってて、いろんなケーキも並んでた。

 

 

「いらっしゃいませ〜。ってあれ?もしかして…汐莉ちゃんと愛彩ちゃん?」

 

「へ?……あ、花音さん?」

 

「ほぇ?…ほんとだ!花音ちゃんだ!」

 

「うん、正解だよ♪今日は二人だけ?パパとママは?」

 

「いないよ!愛彩とおねぇちゃんだけで来たの!お遣いなんだよ!」

 

「え…、あの雄弥くんとリサちゃんが…二人だけに任せたの?」

 

「二人でお願いしたんです。お手伝いしたいって」

 

「あ、そういうことなんだ。それであの人も

 

「花音さん?」

 

「ううん。気にしないで。友希那ちゃんの誕生日ケーキだよね?すぐに持ってくるから、二人でそこの椅子に座っといて。このオレンジジュースはサービスだよ♪」

 

「やったー!ありがとう花音ちゃん!」

 

「ありがとうございます」

 

 

 二人並んで座って、貰ったオレンジジュースをストローを使って飲む。カジュウ100%っていうやつみたいで、すごいオレンジって感じがした。花音さんは誕生日ケーキを箱に入れて、ロウソクとかも付けて袋に入れてくれた。その後にジュースのおかわりとケーキを一つずつ、またサービスしてもらうことになって、今度は三人でテーブルに座った。

 

 

「美味しい♪」

 

「ほんと?よかった〜♪」

 

「これ、新しいやつですか?」

 

「そうだよ。明後日から販売するやつなんだ〜」

 

「食べちゃっていいんですか?」

 

「うん。試作だからね」

 

「しさく?おねぇちゃん、しさくって何?」

 

「えっと…わかんない」

 

「試作っていうのは、お試しってことだよ。本当にこれでいいかなー、味とかデザインもこれでいいかなーって確かめるの。だから二人が美味しいって言ってくれて、私助かっちゃった」

 

「ほんと!?」

 

「うん。ほんとだよ」

 

「えへへ〜♪」

 

 

 試作……。ママも試作を作ることあるのかな?いっつも「できたよ〜♪」って言って食べさせてくれるから、わかんないや。そう思っていたら、お店の奥から別の人が出てきた。あれ?あの人ってたしか…。

 

 

「花音お客さん来てた?…って、お!汐莉ちゃんと愛彩ちゃんか!二人とも元気にしてたか?」

 

「疾斗くん、声が大きいよ」

 

「わりぃわりぃ。お遣いか?」

 

「うん!友希那さんのケーキ買いに来たの!」

 

「なるほどな〜」

 

「ケーキありがとうございます」

 

「ん?あぁ、試作のやつか。いいっていいって」

 

「疾斗くん、子どもたちは?」

 

「ぐっすり寝てるよ」

 

「子ども?」

 

「あ、二人は知らなかったんだね。実は赤ちゃんが産まれたんだ〜。会ってみる?」

 

「赤ちゃん!会いたい!」

 

「私も…!」

 

 

 その後、二人……正確には四人の赤ちゃんを見て、いっぱいお話をしてお店を出た。(花音さんとの子と、美咲さんとの子と、イヴさんとの子なんだって。普通に駄目なことだよね)お店を出て、後は来た道を通って家に帰るだけだったんだけど、お店を出てすぐに怖い人にぶつかっちゃって、それでケーキが……。

 

 

「あぅ……ケーキが……」

 

「愛彩…」

 

「こらこらお嬢ちゃん達ぃ、ケーキが台無しになって落ち込むんも分かるけど、先に謝るべきちゃうんかい?」

 

「ぁ…、ご、ごめんなさい!妹がぶつかっちゃって!」

 

「ぶつかったことは、まぁ謝ってくれたしいいんだがな。手に持ってたソフトクリームでズボンが汚れた。どうしてくれんのかな?」

 

「ぁぅ…あの、それは

 

「しっかり喋らんかい!」

 

「ひっ!……ひっく……うぅ…」

 

「おねぇちゃ…」

 

「君が汚したのにお姉ちゃんに庇ってもらうて…。恥ずかしくないんかい!」

 

「きゃっ!……うっ…ううぅ、あああぁぁぁぁ!!」

 

 

 愛彩が怖さに耐えれなくて、泣き出したのと同時にひよこさんについてる青いのを引っこ抜いた。そしたら「ピリリリリリ!!」ってデッカイ音が鳴り響いて、疾斗さんが店から駆けつけてくれた。

 

 

「な、なんじゃそのひよこ!?音うるさ過ぎ!」

 

「汐莉ちゃん、愛彩ちゃんどうしたの?」

 

「あああぁぁぁ、ケーキが…!ソフトクリっ…っく、おじちゃ…あぁぁぁ!」

 

「愛彩…お姉ちゃんがいるから泣きやんで、それじゃ疾斗さんも分かんないよ」

 

「あ、わかったから大丈夫」

 

「え!?」

 

「汐莉ちゃんは愛彩ちゃんをよろしくね♪」

 

 

 疾斗さんに頭を撫でられて、愛彩のことを任された。お父さんさんとは違う手…でもどこか安心させられるような手だった。私は愛彩を抱きしめて、泣き止むまでずっと頭を撫でることにした。そうしてたら花音さんも出てきて、私と愛彩を店の中に入れてくれた。

 

 

「兄ちゃんよ。ちびっ子を泣かせたのはさすがにやり過ぎたとは思ってる。だが落とし前はつけてもらわな筋が通らんのだわ」

 

「まぁそうだよな。クリーニングとかでいいんじゃね?」

 

「そういうこっちゃないんだよな。誠意ってもんも見せてもらわないと」

 

「それはあの子たちの父親に言ってくれ。今お前の後ろにいるから」

 

「なに…ぐっ!は、なせ!」

 

「テメェ俺の娘に何した?」

 

「落ち着けー。愛彩ちゃんがぶつかっちゃったらしくてな。ケーキは崩れ、手に持ってたソフトクリームはこの人のズボンを汚して、それで怒鳴られて泣いちゃっただけだから」

 

「なるほど」

 

「ゲホッゴホッ!…そういうことだから、落とし前をだな…」

 

「あったあった。このひよこ便利だよなぁ」

 

「話聞けよ!」

 

「真相は全部これで分かる。目のとこがカメラになっててな、録画されるんだよ」

 

「なっ!?」

 

「で、映像再生さしてみたけど、お前…わざとぶつかるように歩いたよな?」

 

「くっ…。こうなったら実力行使で金を巻き上げたらぁ!オメェら出てこい!」

 

「娘を泣かせたんだ…。血祭りにしてやるよ」

 

「…え?店の前が地獄絵図になんの?まじで?」

 

 

 パパが駆けつけてくれたけど、なんか怖い人がいっぱいゾロゾロ出てきた。あんなに大勢いるんじゃ…。どうしよう…私が愛彩のことちゃんと見てなかったせいでパパが!

 

 

「うーん…。お店がこんなので有名になってほしくないんだけどな〜」

 

「ですよね。ただでさえ叩けば埃しか出てこない家なのに…」

 

「あ、美咲ちゃん帰ってたんだ。おかえり」

 

「ただいま。…あー、疾斗さんも楽しそうな顔しちゃって…」

 

「お、お二人は心配じゃないんですか?あんなにいっぱいいるのに!」

 

「だってあの二人が負けるなんてありえないし」

 

「軍人さんにも負けないもんね〜」

 

「…ぇ」

 

 

 お二人の言った通り、パパと疾斗さんはめちゃくちゃ強かった。1回も殴られてないし、蹴られてもいなかった。どこからかモヒカンさん達も出てきて、パパたちのお手伝いしてた。5分もしないうちに全員倒しちゃって、怖いおじさんたちはパトカーで連れてかれてた。お巡りさんがみんな疾斗さんにケイレイしてたんだけど、なんでだろ?

 

 

「汐莉、愛彩もう大丈夫だから」

 

「パパ…パパーー!」

 

「よしよし、お遣いしようとしてくれてたんだってな。ありがとう」

 

「パパ…ぐすっ…でも…愛彩のせいでケーキが…」

 

「愛彩のせいじゃないさ。それに、あのケーキなら瑛太たちが分けて食べるってさ」

 

「ふぇ?」

 

「兄貴と姉さんのお子様が届けようとしたケーキ!僭越ながら我々で食べますのでご安心を!」

 

「パパ……この人たち、誰?」

 

「グハッ!」

 

「…汐莉、この人たちが家を建ててくれたんだからな?覚えてないのは仕方ないけど」

 

「ふぇ!?ご、ごめんなさい!!」

 

「なっ!謝らないでください!汐莉様が覚えていないのは致し方ないことでありますから!」

 

「さ、様だなんて…。パパー!」

 

「よしよし、汐莉たちにはこのノリは無理だよな」

 

 

 私と愛彩がパパの背中にしがみついたら、瑛太さんが落ち込んでた。…悪い人じゃないんだけど、よく分からないから怖い。パパが「助かった」って言ったら復活して帰っていったけど。

 

 

「さてと、ケーキをどうすっかな…」

 

「…ごめんなさい、パパ」

 

「ごめんなさい…」

 

「うん?…あぁいやいや、そうじゃなくてな。どういうケーキを作ろうかな(・・・・・)って」

 

「…え?ケーキを…」

 

「…作る?」

 

「無くなったなら作ればいい。だろ?疾斗」

 

「おう!材料は好きに使ってくれ!花音と美咲もサポートしてくれるぞ!」

 

「頑張ろうね、汐莉ちゃん愛彩ちゃん!」

 

「危ない作業もないから、好きにできるよ」

 

「愛彩…」

 

「…やる。…やりたい!!」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「なんてことがあったわけだ」

 

「そう。それでこのケーキなのね」

 

「…友希那さん……ダメでした?」

 

「うぅ…」

 

「まさか。とても可愛いケーキだわ。こんなの今までで見たことないもの。ありがとう汐莉、愛彩。本当に嬉しいわ」

 

「う、うぅぅー」

 

「ちょっ、ちょっと何で泣くのよ」

 

「ちょっと友希那ー。うちの娘泣かせないでくれるー?」

 

 

 台所からリサが料理を運びながらそう苦言を呈してくる。その後ろからは結花も出てきて苦笑いしてる。これじゃあ私がイジメてるみたいじゃない…。雄弥は二人を慰めててこっちのことは無視してるし。

 

 

「リサ!?わ、私は別に…」

 

「あはは!友希那ってば人泣かせ〜」

 

「結花…からかわないでちょうだい…」

 

「ま、汐莉も愛彩も嬉しくて泣いてるんだろうね」

 

「友希那に嬉しいこと言ってもらって泣くって…、さすがリサの娘だね♪」

 

「ちょっとどういうこと〜?」

 

「「友希那さん」」

 

「な、なぁに?」

 

「「お誕生日、おめでとうございます!」」

 

「…!ありがとう」

 

 

 日中はお父さんとお母さんと結花、そしてお願いして雄弥にも来てもらって5人で過ごした。と言っても、私って音楽以外が全然だから、結花が行きたいところに家族で行くってなった。「友希那の誕生日だから友希那の希望言ってよね〜」なんて苦笑されてしまった。いろいろ考えたけど、結局猫カフェになってしまって恥ずかしかったわ。お父さんとお母さんの慈愛に満ちた目が突き刺さって…。

  夜はこうしてリサや汐莉、愛彩にもお祝いしてもらえた。本当に嬉しいことだわ。Roseliaメンバーや他のバンドの子からもお祝いのメッセージを貰えたし。そうそう、二人がお遣いしてる時は秋宮くんがこっそり見守ってくれてたのだとか。ありがたいことね。今度お礼しに行かないと。…それはともかく。

 

 

「愛彩。たしか他の子は"ちゃん"付けで呼んでるのよね?なんで私だけ"さん"なのかしら?」

 

「ほぇ?友希那さんは友希那さんだもん」

 

「…そう……私だけ…

 

「友希那」

 

「…なに?結花」

 

「ドンマイ☆」

 

「シメるわよ」

 

 

 雄弥から後で聞いたのだけど、白鷺さんと瀬田さんにも愛彩はさん付けなのだとか。私だけじゃないと分かったのは良かったけど、それでも少し複雑だわ…。私、雄弥の姉なのだし、もう少し打ち解けてくれたって…。

 

 

 




明日は雄弥の誕生日回ですよ〜
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