陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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サブタイトルからわかる通りの人物です、


ママの大事な後輩

「汐莉ちゃん、愛彩ちゃんやっほ〜」

 

「あー!モカちゃんだ〜!やっほ〜!」

 

「まい!モカさんって言わなきゃダメだよ!」

 

 

 わたしは数ヶ月ぶりにリサさん達の家に来た。二人とも忙しい人っていうのもあるんだけど、わたしもいろいろと忙しくしてるからね〜。それで、インターホンを押したら出てきてくれたのが、お二人の愛娘である汐莉ちゃんと愛彩ちゃんでした〜。この二人もちゃんと元気だし、汐莉ちゃんはしっかりお姉ちゃんしてるみたい。

 

 

「気にしないでいいよ〜。わたしは二人と仲良くできて嬉しいし〜。ところで、パパとママは?」

 

「今お庭にいるよ〜!」

 

「お花のお世話をしてるんです」

 

「なるほどね〜。二人は何してたの〜?」

 

「クッキーできるの待ってるの!」

 

「冷めたらお皿に並べるんです。まだ熱いから、いつ冷めるかなーって愛彩と見てたんです」

 

「そっかそっか〜。いや〜、いいタイミングだね〜。リサさんのクッキーを食べれるなんて〜」

 

「ママだけじゃないよ!パパも一緒だし、愛彩とおねーちゃんも手伝ったんだよ!」

 

「そうなの?凄いね〜」

 

「少しだけ、ですけどね」

 

「それでも十分凄いよ〜。流石だね〜」

 

 

 あの二人に育てられたら、間違いなく家事スキルはレベルが高くなるよね〜。この年齢でもうクッキー作りを手伝えるわけだし。…そういえば料理も手伝えるんだっけ。蘭が軽くダメージ受けたって前に言ってたな〜。汐莉ちゃんは、蘭に生花を教わるようになったんだとか。

 最近聞いたことを思い返しながら、二人の頭を偉い偉いって撫でると、二人とも嬉しそうに目を細めた。……そういえば、髪質は二人ともリサさん寄りなんだっけ。こうやって目を細めて喜んでる時の表情もリサさんによく似てる。雄弥さんにやってもらってる時ってこんな顔だったし。

 

 

「あれ?モカ来てたんだ」

 

「連絡してくれたらよかったんだが…」

 

「あ!パパ!ママ!」

 

「愛彩、クッキーはもうできそうか?」

 

「うん!」

 

「よかった〜。汐莉もありがと♪モカはいいタイミングに来たね〜☆」

 

「モカちゃんの嗅覚は優れてますからね〜」

 

「たまたまだろ」

 

「ぶっちゃけちゃいますとそうなんですけどね〜。休みが取れましたし、蘭から汐莉ちゃんと愛彩ちゃんの話を最近聞いたので、会ってみようかな〜って」

 

「なるほどな」

 

 

 雄弥さんは、汐莉ちゃんと愛彩ちゃんと一緒に仲良くクッキーをお皿に乗せていった。リサさんは5人分の飲み物を用意するために台所に向かっていった。さすがにわたしも手伝おうと思って、リサさんについていくことにした。

 

 

「モカはお客さんなんだから、ゆっくりしててよね〜」

 

「いやいや、連絡もせずに来ちゃったわけですし〜、それにリサさんとこうやって肩を並べて何かをするのも久しぶりですしね〜」

 

「…もぅ。そう言われたら断れないじゃん」

 

「いぇーい。作戦勝ち〜」

 

「調子にのらない。…まぁでも、たしかに懐かしいし嬉しいね。アタシがバイトを高校卒業したら辞めちゃったわけだし、ライブの時ぐらいだもんね」

 

「それも大学の途中からは、全然でしたけどね〜。Roseliaがデビューしちゃいましたし〜」

 

「…そうだったね。でも、付き合いはこうやって続いてる。嬉しいよ」

 

「……リサさんもズルい人ですね。誰かさんの影響ですか?」

 

「そうかもね♪」

 

 

 まぁ、今娘と一緒にリビングで楽しく会話してるあの人の影響なんだろうね〜。影響といえば影響だけど、ある程度の耐性がついた結果が今のリサさんなんだろうな〜。それでも慣れないことだからかな、リサさん自身ちょっと照れくさそうにしてる。

 

 

「Afterglowの調子はどう?」

 

「『いつも通り』ですよ〜」

 

「ならよかった♪」

 

「ところで、リサさんも紅茶派になったんですか?」

 

「まぁね〜。花音とか千聖にいろんなカフェに連れてってもらったし、雄弥も言ったら連れてってくれるしね。なにより、クッキーには紅茶でしょ♪」

 

「それもそうですね〜。紅茶にもこだわりが?」

 

「もっちろん☆クッキーの味にあったやつを作るようにしてるんだ〜♪」

 

「楽しみですわ〜」

 

 

 リサさんのクッキーは、高校の時からすでに美味しかった。「雄弥の胃袋掴むんだー!」って言い出してからは、さらに磨きがかかり始めて、お店に出せちゃうレベルのクッキーが作られるようになった。雄弥さんの胃袋を掴むよりも先に、Roseliaメンバーとか、わたしみたいに仲のいい人たちの胃袋が掴まれたんだけどね〜。

 

 

「ママ、モカちゃん!クッキー食べれるよ!」

 

「うん、ありがと♪紅茶も用意できたし、みんなで食べよっか」

 

「うん!」

 

 

 リサさんと一緒に紅茶を運んで、5人でテーブルを囲んだ。天気がいいからということで、庭で食べることになって、丸テーブルに椅子が5個。…この家に無いものってなんだろう〜?

 席は、雄弥さんの右に汐莉ちゃん、愛彩ちゃん、リサさん、そしてわたし。雄弥さんとリサさんを隣にしようと思ったんだけど、リサさんにここに座らされたんだよね〜。雄弥さんが隣にいると容赦ないツッコミがすぐに来るんだけどな〜。

 

 

「ママ!今日もクッキー美味しい!」

 

「そう?愛彩と汐莉が手伝ってくれたおかげだね!」

 

「ほんと!?」

 

「ほんとほんと!ね?雄弥」

 

「そうだな。最初の方の作業がわりと大事だけど、それを二人がやってくれたわけだし」

 

「だって!おねーちゃん!」

 

「…うん。…よかった」

 

「おやおや〜?汐莉ちゃん照れちゃってる〜?」

 

「なっ!て、照れてません!」

 

「おぉー、反応がリサさんに似てますな〜」

 

「え?そうなんですか?」

 

「そうなの?ママ」

 

「……ど、どうかな〜。自分じゃ分からないな〜」

 

 

 リサさんも誤魔化しますね〜。ぜーったい自覚があるはずなんですけどね〜。けど、リサさんがそういう判断ならこっちにも考えがありますよ〜。

 

 

「それなら僭越ながら、モカちゃんがお教えしましょ〜」

 

「ちょ、モカ!?変な話にしないでよ!?」

 

「そこは信じてほしいですな〜。大丈夫ですよ。わたしが知ってる話となりますと、バイトの時が大半ですからね〜」

 

「…そういえばそうだな」

 

「わたし達ってリサさん経由が多いですもんね〜」

 

「聞きたい!ばいと?のお話聞かせて!」

 

「えぇ…」

 

「ま、愛彩。ママが困ってるよ」

 

「え、ママ。ダメなの?」

 

「う、うぅーん…」

 

「いいんじゃないか?昔のことを聞かせてやっても」

 

「……あんまり恥ずかしくない話にしてよ」

 

「もちろんですよ〜」

(序盤は、ですけどね〜)

 

 

──────────

 

 

 あれはリサさんとわたしのバイトのシフトが被ってる日のことじゃった。

 

──モカ、なんで昔話風なのかな?

 

 そこは気にすることではないのじゃよ〜。えーっと、そうそう、その日は店長が病気でお休みすることになって〜、代わりに雄弥さんが店にいたのだ〜。社員どころかバイトのメンバーでもない雄弥さんだったけど〜、その辺は毎回誤魔化してやってたんだよね〜。もちろんバレたら店長はクビになるけど〜。最終的に隠し通せてたよね〜。

 とりあえず、雄弥さんがお昼からお店にいて〜、先にリサさんが入店して、わたしがその1時間後に入店だったんだよね〜。それでお店に行ったら〜、ピンク色の空間が広がってたので〜す。

 

 

「やっぱりこうしてるのが好きだな〜」

 

「俺の心音聞くのが?」

 

「うん。雄弥の体温を感じれるし、雄弥がアタシの目の前にいるって実感できる。何よりも、雄弥に異常がないってことがわかって安心できるよ」

 

「リサ…」

 

「助けてくれたことはずっと感謝してる。あの時のが最善の手だってこともわかってる。……でも、雄弥が死んじゃうかもって思いはもうしたくないよ」

 

「大丈夫だ。俺が狙われる理由もないし、リサだってもう狙われることなんてない。もうあんなことは起きないから、ずっとリサの側にいれる」

 

「……うん。…ゆうや」

 

「リサ」

 

「はいカット〜」

 

「!!?」

 

「よ、モカ。おはよう」

 

「おはようございます、雄弥さん。リサさんも」

 

「う、うん。お、おはようモカ」

 

「リサさんはウブウブですな〜。雄弥さんみたいにドンってしたらいいのに〜」

(本当はそんなことされたくないけどね〜。そしたらこの二人がイチャイチャするの止めれなくなっちゃうし〜)

 

「そ、それは無理かな〜」

 

 

 雄弥さんから離れたリサさんは、お菓子コーナーのポップを貼りに行った。顔がちょっと赤くなってたけど、やっぱり恥ずかしいんだね〜。雄弥さんは相変わらず堂々としてる、というか周りに無関心だけど〜。

 

 

「雄弥さんも、人目を気にしてみたらどうですか〜?」

 

「気にする必要がないだろ。普段の生活もライブもどれも同じだ。俺の基準を元に行動する。モカだってライブの時に人目を気にしないだろ?」

 

「それはそうですけど〜。それって同じにするものですか〜?」

 

「するもんなんだよ。細かく分けれるなら話は別だが、人目を気にしながらだと生きにくいだろ?」

 

「なるほど〜。勉強になりました〜」

 

「…嘘つけ」

 

「いやいや、頭の片隅に残しとこうって気持ちにはなりますよ〜。モカちゃんはモカちゃんで、我が道を進むって決めてますけどね〜」

 

「……そうか。何かあったら力になるぞ」

 

「え?」

 

「友達だろ?」

 

 

 きっとこの時のわたしは、ポカーンってしてたんだろうなぁ。だって、雄弥さんにそう言われるって思ってなかったから。なるほど、これがリサさんが言う「ズルい」ってやつなのかな。

 リサさんが戻ってきたら入れ替わるように雄弥さんが休憩に行った。あの人昼間から店にいたのに、今になってやっと休憩なんだとか。リサさんに注意されるのも仕方ないね〜。

 

 

「雄弥と何話してたの?」

 

「なんともない話ですよ〜。あ、でも〜、リサさんが雄弥さんのこと『ズルい』って言うのは、なんとな〜く分かりましたよ」

 

「…ふ〜ん?」

 

「別に取ろうだなんて思ってないので〜、そうやってほっぺ膨らませるのやめてくださいよ〜。そういうのは、雄弥さん相手にしてください」

 

「ゆ、雄弥は関係ないでしょ!」

 

「え〜?だって今のリサさん可愛かったですよ〜?」

 

「か、かわ!?………もぅ、モカ!からかうの禁止!」

 

「は〜い」

 

「リサ、ちょっとコレのことで聞きたいんだが」

 

「え、なになに〜?って雄弥!休憩中なんだから事務作業も禁止!」

 

「いや、座ってできるから「禁止!」…でもやることないし」

 

「はぁ〜、ならお客さん来るまでアタシが話し相手になるから。さ!中に戻って!」

 

「いってらっしゃ〜い」

 

 

 今日は暇な日だから、ホントにゆっくりしてもらって大丈夫なんだよね〜。だから、雄弥さんの休憩が終わるまで、二人の会話を盗み聞きするモカちゃんだったのでした〜。胸焼けするほど甘い会話だったけどね〜。

 

 

───────────

 

 

「こんな感じだったんだよ〜」

 

「パパとママってずっとラブラブなんだね!」

 

「あ、あはは〜」

 

「…パパ、お仕事してる時にそういうのって大丈夫なの?」

 

「今考えると、…よくないな」

 

「ちなみに〜、その時の様子がこの写真だよ〜」

 

「うわ〜、すっごーい!!」

 

「パパとママが…こんな…」

 

「ちょっ!モカ!?なんでそんな写真が!」

 

「隙だらけでしたよ〜?雄弥さんは気にしてないってだけで、気づいてたと思いますけどね〜」

 

「まぁな」

 

「ゆ・う・や?」

 

 

 リサさんを宥めつつ、娘にフォローを入れる雄弥さん。こういうのってリサさんがやること多かったけど〜、今になってはリサさんがずっとフォローする側ってわけでもないみたいだね〜。いや〜、ほんとによかったよ〜。

 家族の仲睦まじいやり取りを見させてもらって、晩御飯までお世話になっちゃった。汐莉ちゃんと愛彩ちゃんと仲良くなれたのは、素直に嬉しいね〜。

 

 

「それじゃあモカ、気をつけてね。雄弥もちゃんとモカを送ってあげてよ?」

 

「ああ」

 

「このままこっそりと二人でデートしますか〜?」

 

「こらこら」

 

「しないぞ。俺にはリサがいるから」

 

「ゆうや…」

 

「あー、はいはい。ごちそうさまでした〜」

 

「また来ますね」

 

「うん!いつでもおいでね〜」

 

「……リサさん」

 

「どうしたの?改まって」

 

「リサさんが先輩でよかったです」

 

「ええ!ちょっ、恥ずかしいってば!どうしたの急にそんなこと…、モカらしくないじゃん」

 

「言いたかった気分なんですよ〜。リサさんの恥ずかしがってる可愛い顔、久しぶりに見れてよかったで〜す」

 

「もう!次はこういうのしないでよね!」

 

「はーい」

 

 

 ゴーイングマイウェイなモカちゃんですから、そこはどうなるか不明ですけどね〜。

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