「トリックorトリート!!」
「ふぇぇ!?」
「あ、日菜ちゃんだ!」
「汐莉ちゃん、愛彩ちゃん、トリックorトリートだよ!」
「え?え?ま、ママー…」
「日菜ちゃん、トリックorトリートってなにー?」
「今日はハロウィンでしょ?ハロウィンの時はね、これを言って遊ぶんだよ!お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ〜って!」
「お、お菓子今ないの…」
「食べちゃった!」
「へ〜?なら、イタズラだね〜♪」
日菜さんが目を細めて楽しそうにニヤニヤしてる。日菜さんのことは、ママも分からないって言ってたから、何か大変なことされそう…。イタズラってどんなのだろ…。お花には何もしてほしくないんだけど……、でも…イタズラだし…。
「ひっく……うぅ」
「おねぇちゃん!?」
「え?え!?汐莉ちゃんどうしたの!?どこか痛いの?」
「うぅん…。イタズラ…されるって……お花には何もしてほしくないんだけど……でも、イタズラ…だから」
「あ~、よしよし。それなら大丈夫だよ〜。イタズラっていうのは、相手が悲しまないようにしないとイタズラじゃないんだよ。だから二人の大切なものには何もしないよ」
「うぅ……ほんと…?」
「もっちろん!君たちのパパにそう教わったからね!パパの言うことは信じれるでしょ?それに、あたしって君たちのパパに言われたことは守るし」
「…うん」
「よかったねおねぇちゃん。それで日菜ちゃんのイタズラってどんなの?」
「ふっふっふ〜。この紙袋に入ってるのを使ってイタズラするんだ〜♪」
日菜さんに連れられて、私たちの部屋に入る。何されるかドキドキして待ってると、日菜さんが袋の中から
〜〜〜〜〜
「汐莉〜、愛彩〜。……あれ?さっきまで日菜と何かしてたはずなんだけど…。部屋の方かな?」
「ママー!」
「わっ、もうどうしたの〜?愛彩……ってその格好」
「えへへ!どうどう?愛彩似合ってる?」
「うんうん♪チョ〜似合ってるよ〜!」
「わ〜い♪ほら、おねぇちゃんもー!」
「ありゃ?汐莉は恥ずかしいのかな〜?」
「…うん」
「そんなとこに隠れてないでこっち来なよ〜」
「ヤ!」
「ママにも見てもらわないとね!」
「え?きゃっ!?」
私が壁に隠れてると、後ろにいた日菜さんに抱っこされちゃった。ママに見られるのが恥ずかしくて、ママの方を見ないようにした。ママにほっぺを突かれてもプイってした。それでもママは諦めなくて、今度はほっぺにキスされた。ビックリしてママの方を見たら、ママがイタズラっ子な顔しててやられたってなった。
「汐莉も可愛いじゃん!」
「うっ…でも…恥ずかしいもん」
「あはは!テレちゃって〜。愛彩と対になってるんだね〜」
「そうだよ!スタッフさんに言ったら二人の分も作ってくれるって言うからさ。せっかくだし対にしちゃって〜って言ったらこうなったんだ〜」
「なるほどね〜。天使がモチーフかな?それで翼が一つずつ、か。これはパパにも見てもらわないとね☆」
「ぱ、パパはだめ!すっごい恥ずかしい!」
「えー?ユウくんなら汐莉ちゃんのこと褒めてくれると思うけどな〜」
今度は愛彩を抱っこしてた日菜さんが、キョトンってしながらそんなこと言ってきた。愛彩はパパに見てもらう気満々で、ママもパパは褒めてくれるって言ってきて…。……本当に…パパ褒めてくれるかな?
「汐莉が嫌なら、愛彩だけでもパパに見てもらおっか♪」
「うん!」
「だ、だめ!」
「え?汐莉は恥ずかしいんでしょ?」
「ま、愛彩だけはダメ…。私も……パパに見てもらう…」
「そっか。パパは地下にいるから、二人で呼んできてくれる?」
地下にいるってことは、パパはベース?の練習をしてるってことで、それもお仕事って言ってた。お仕事の邪魔になるんじゃないかって思ったけど、ママが呼んできてってことは、行ってもいいってことだよね。
愛彩と一緒に慎重に階段を下りていく。電気はあるんだけど、地下だからかな、いつものよりちょっと暗め。暗いのが嫌いな愛彩の手をギュって握ってあげながらドアを開けると、中からパパの演奏が聞こえてきた。パパやママが使う楽器は、知らない人からしたら何の曲の演奏かわからないような、そんな楽器なんだって。でも、私も愛彩もこの音が好きだった。
「…こんなとこか」
「パパー!すごかったよー!ドドドーンってしてた!」
「愛彩?汐莉も…、どうしたんだ?」
「ママがパパ呼んできてって」
「そっか。少し待っててくれるか?」
「うん!」
楽器とか、よくわからないやつとかもパパはすぐに片付けた。ややこしそうだったのに、なんですぐにできるんだろ?私がパパをボーって見てたら、愛彩を抱っこしてたパパに私も抱っこされた。
「え?」
「それじゃあ上に行こうか。愛彩そこのボタン押してくれるか?」
「これー?」
「そうそれ」
「うん!…にゃあっ!?」
「電気を消したから暗くなるのは当然なんだがな…。愛彩、パパも汐莉もいるから安心しろ」
「うぅ…パパぁ〜」
パパは両手が塞がってるから、パパに抱きついてる汐莉を私がナデナデしてあげる。そしたらパパにありがとうって言ってもらえて、愛彩にも言ってもらえた。それだけでも嬉しかった。
「お、来たきた〜」
「ユウくんお疲れ〜。それとお邪魔してまーす」
「来てたのか」
「うん!ハロウィンだからね!」
「理由になってないだろ」
「えぇー?でも汐莉ちゃんと愛彩ちゃんのその衣装持ってきたのあたしだよ?」
「そうだったのか。ありがとう日菜」
「どういたしまして〜」
私たちは椅子に下ろされて、パパもママの横に座って日菜さんとお話してた。日菜さんはパパと話してるとき、すっごい顔がキラキラしてる。ママの時もそうなんだけど、でもパパの時はちょっと違う気がする。よくわからないけど。
「二人ともパパに褒めてもらえた〜?」
「…あ!まだ!」
「ちょっと雄弥?」
「褒めるってなに……あぁそういうことか」
「ユウくんのそういうとこって相変わらずだね〜。大学入ってから鈍感になった気がするけど」
「そう演じてたらそうなったんだよ。それはともかく、汐莉も愛彩もよく似合ってる。可愛いよ」
「「ありがとうパパ!❁」」
パパに褒めてもらえてすっごく嬉しかった。恥ずかしかったけど、パパが褒めてくれたから、もう恥ずかしくないや。
〜〜〜〜〜
『ハロウィンはやっぱりいろんな人のとこ行った方がるんっ♪てするよ!』
そう言われた私と愛彩は、二人で手をつないで、反対の手でそれぞれママに渡された籠を持って出かけた。どこに行けばいいか分かんなかったけど、ママとパパが教えてくれたとこに行くことにした。
「おねぇちゃん!お星さま!」
「ほんとだね。……おっきい家」
「すみませーん!」
「ちょっと愛彩!?」
「はーい。ちょっと待ってくださいね〜。…あれ?リサさんとこの…汐莉ちゃんと愛彩ちゃんだっけ?」
「はい。有咲さんですか?」
「そうですけど…どうしたの?」
「トリックorトリート!」
「はぁ!?」
愛彩が言ったら有咲さんがビックリしてた。もしかしてお菓子がないのかな?そう思ってたら中から別の人が出てきた。…あの髪の毛どうなってるんだろ?
「有咲〜どうしたの〜?」
「今リサさんとこの子が来たんだけどな。トリックorトリートって言われてさ。…ってか香澄!いちいち抱きつくな!」
「えー?いいじゃん別にー」
「よくねぇ!」
「有咲のイジワル。今日はハロウィンだから来たのかな?」
「は、はい」
「ママが最初にここに行けーって!」
「そっかそっか〜。それにしても二人ともそれ可愛いね〜♪」
「ありがとうございます」
「やった♪」
香澄さんとお話してる間に、有咲さんがお菓子を取りに行ってくれてたみたいで、飴玉をもらえた。お礼を言って帰ろうとしたら、不思議なお姉さんことおたえさんに止められて、おたえさんからはうさぎのぬいぐるみをもらえた。
『ハロウィンでぬいぐるみ渡すって聞いたことねぇ!』
って有咲さんが言ってたけど、嬉しいからなんでもいいです。皆さん優しくって、次は商店街のパン屋さんに行くことをオススメしてもらった。"やまぶきベーカリー"さんらしい。
「いらっしゃいませ〜。あれ?可愛らしいお客さんだね〜」
「さ、沙綾ちゃんどうしよう〜!この子たちすっごく可愛いよ!」
「りみりんは落ち着こうか。雄弥さんとリサさんとこの汐莉ちゃんと愛彩ちゃんだよね?今日はどうしたの?」
「えと、おたえさん達にここに行ったらいいって教えてもらって」
「トリックorトリート!」
「あはは!なるほどね〜。もちろんお菓子あるよ〜」
「ハロウィン用の美味しいパンが作られてるんだよ?」
「やった〜!」
沙綾さんから、顔があるかぼちゃの見た目をしたパンをもらえた。美味しそうで食べたかったけど、今食べたらママのご飯が食べれなくなりそう…。でもいい匂いがしてて…。
「おねぇちゃん。食べていいかな?」
「でも、そしたらママのご飯が…」
「あぅ、ママのご飯も食べたい……」
「あ、それなら私の方からママに聞いてみるね?」
「え」
「私も沙綾ちゃんと一緒にお願いしてみるね」
沙綾さんが携帯電話でママとお話ししてて、りみりんさんもママにお願いしてくれた。沙綾さんから携帯電話を渡されて、愛彩と一緒にママの話を聞く。夜お腹が空かないようにしてくるならOKって言ってもらえて、遅くならないように気をつけてとも言われた。
「沙綾さん、りみりんさんありがとうございます」
「ありがとうございます!」
「よかったね〜二人とも」
「その条件なら、次は羽沢珈琲店かな?」
「私もそれがいいと思うよ」
羽沢珈琲店はママの後輩さんがいるお店で、同じ商店街の中にあるからすぐ近くだね。コーヒーは苦くて飲めないけど、ジュースもあるおかげで、何回も行ったことがある。たしか店員のお姉さんの名前は羽沢つぐみさん。とーっても優しい人。
「いらっしゃいませ〜。あ!汐莉ちゃん、愛彩ちゃん。可愛いの着てるね!ハロウィンだから仮装してるのかな?」
「はい。日菜さんが貸してくれました」
「日菜ちゃんねー、すっごい優しいんだ〜!」
「あはは、そうなんだ。あ、そうだ!ハロウィン限定のケーキあるから食べていって。ジュースはいつも通りオレンジでいいかな?」
「うん!」
「いいんですか?」
「いいよいいよ!ハロウィンなんだし、可愛いの見せてもらったもん!あとで一緒に写真撮る?ひまりちゃんと巴ちゃんとモカちゃんもあそこにいるし」
「とるー!」
つぐみさんに案内してもらったら、蘭さん以外の人たちが揃ってた。蘭さんはお家の用事があるみたい。でもお家に行ってもいいんだって。だから次の場所は蘭さんのお家。
「二人とも可愛い〜!」
「ひぃちゃん落ち着きなよ〜。警察に突き出すのヤダよ〜?」
「誘拐しないからね!?というかそんなのリサさんと雄弥さんに怒られるじゃん!」
「…怒られる、で済むといいね〜」
「あの二人、家族のことになったら手のつけようがないからな」
(?パパもママもすーっごい優しくって、たまに怒られることもあるけど、恐くないよ?)
巴さんたちが言ってることはよくわかんなかったけど、ケーキとジュースを貰って、一緒に写真撮ったらお店を出た。次に行くのは蘭さんのところ。蘭さんは私の先生で、厳しいけど優しいの!上手くできたら「いい感じだね」って言って頭ナデナデしてくれるもん!
「蘭さん、お邪魔します」
「お邪魔しまーす!」
「おや?可愛いい子たちが来たね。娘に何か用かい?」
「あ、大先生」
「大先生!」
「はははっ、大先生は少しむず痒いな…。それでどうしたんだい?」
私は今までのことを話して、蘭さんに会いに来たことを伝えた。おじさんはすぐに蘭さんのとこに案内してくれて、中には着物を着ててキレイな蘭さんがいた。愛彩が蘭さんに飛びついて、私は蘭さん側に近づいた。
「うわぁ〜!蘭ちゃんキレイ!」
「そ、そんなことないでしょ…」
「蘭さん、キレイですよ?」
「うっ…。ぁ、ありがと…。それで今日はどうしたの?」
「あのね!蘭ちゃん!トリックorトリート!」
「えぇ!?」
〜〜〜〜〜
「うーん、汐莉たち大丈夫かな〜」
「心配か?」
「そりゃあ心配だよ。あの子たちしっかりしてるけど、まだ4歳だよ?」
「リサちー心配性だね〜。こころちゃんとこの黒服さんたちが見守ってくれてるんだから大丈夫だよ!」
「そうだけどさ〜」
雄弥と日菜はどこか楽観的過ぎなんだよね。日菜は言わずもがなってとこだけど、雄弥も楽観視してるのが意外だよ。いや、まぁ何があっても雄弥はすぐに駆けつけるだろうけどさ〜。
「こころのとこは今日パーティーだったっけ?」
「らしいな。ハロハピメンバーとパスパレメンバーもそこに行ってんだったな」
「そうそう!あたし以外のパスパレメンバーは行ってるよ〜。だから、汐莉ちゃんと愛彩ちゃんはもうすぐ帰ってくるんじゃないかな?」
「ハロウィン用の菓子もそろそろできるし、丁度いいよな」
「無事に帰ってきてくれたらね?」
「日菜も雄弥くんも楽観的ね。リサの気持ちもわかってあげなさいよ」
「「それは無理かな」」
「…あなた達は……」
さっきまでお菓子の出来具合を見守ってた紗夜が、日菜と雄弥に苦言を言ってくれる。二人とも、汐莉と愛彩のことを気にかけてないのは分かるんだけどね。紗夜もそれは分かってるみたいだから、あんまり言及しないんだけど。それに、心配しなくていい理由が他にもあるしね。…アタシからしたら、半々だけど。
「ママただいまー!」
「ただいま」
「帰ってきたわね」
「楽しめたようだな」
アタシと日菜が玄関まで迎えに行って、心から笑顔を浮かべる愛娘を抱き上げる。渡した籠にはいろいろとお菓子が入ってる。みんなには後でお礼を言っとかないとね。
「ママ!あこちゃんとリンちゃんにもそこで会ったんだよ!」
「そうなんだ♪二人にも家に入ってもらおっか?」
「うん!」
「汐莉ちゃん、いろいろ周ってみてどうだった?」
「楽しかったです。それと日菜さん、ありがとうございます。コレ、みんな可愛いって言ってくれました」
「それは汐莉ちゃんが可愛いからだよ♪」
「ふぇ…?」
あはは、汐莉ってば顔が真っ赤だね。…うん、アタシの娘だ。こういうストレートな言い方に弱いのはホントにアタシそっくり。それで何度雄弥にドギマギさせられたことか。
あこの携帯に電話をかけて、家に招待する。まだ近くにいたみたいで、5分もかからずにあこと燐子が家に来てくれた。雄弥と紗夜が増えた人数分の飲み物を新しく用意して、作ったお菓子もテーブルに置いてくれた。
「あれ?パパ、2個多いよ?」
「ん?それでいいんだよ。…そうだ、汐莉もおいで」
「うん?」
今度は雄弥が玄関に向かって行って、汐莉がその後ろを付いて行く。アタシは紗夜と燐子晩御飯の準備も始めて、日菜とあこが愛彩と遊んでくれてる。しばらくしたら玄関の方から元気な声と落ち着いた声が新たに聞こえてくる。時間通りに来てくれたんだね。
「やっほーリサ。元気にしてるー?」
「もちろん。結花も元気そうだね」
「いつでも元気だよ〜♪」
「お邪魔するわ」
「うん。友希那もいらっしゃい。すぐに用意できるからテーブルで待っててくれる?」
「わかったわ」
友希那と結花が持ってきてくれたお菓子も、汐莉と愛彩の戦利品の一つとして籠に入れた。二人は晩御飯を全然食べれないだろうけど、今日は仕方ないね。アタシもそんなことあったし、明日からはお菓子をご飯代わりにしない生活に戻ってもらわないと。お菓子が代わりになっていいのは、イベントの時だけだからね。
家族とRoseliaメンバーと結花と日菜。こんなに家に人が来てくれるのも珍しい。アタシもそれに浮かれちゃって料理にミスが出ちゃいそうになった。それを察した雄弥にミスを防いでもらったんだけどね。
「…あの、料理中にイチャつかないでもらえます?」
「戦力外通告…しちゃいますよ?」
次書くのは高校生に戻ります(ハロウィンじゃないです)