ライブ映像見てエモい気分になれたからまたある程度安定したものが書けるかと。(ある程度ストックあるので、数話先ので調子戻るかなってとこです)
今日は雄弥たちAugenblickのライブの日。朝からニュースで流れてた雄弥の事務所のことを問い詰めたけど、心配いらないって言われた。たしかにニュースを見るかぎり、前社長が退職したことで会社は活性化するだろうなんて報じられてる。…前までどんなんだったんだろ。
雄弥は会場のチェックとか直前の打ち合わせのためにもう出発してる。アタシたちRoseliaは午前中だけ練習して一旦解散。その後また集合してから出発する予定なんだ〜。
「久々に雄弥のライブ見にいけるなんて楽しみだね!友希那」
「リサ気持ちはわかるけどこれから練習するのよ。集中できないなら…」
「ごめんごめん。練習始まったらちゃんと集中するからさ♪」
「はぁ、だといいのだけど」
「そんなこと言うけど友希那も実は楽しみだったりするんでしょ?」
「…否定はしないわ。あの子のライブはまだ片手で数えられるぐらいにしか行ってないのだから」
「……そうだね」
雄弥がデビューしてから何度かはライブを見に行った。それは友希那に今の目標ができるまでの短い期間だけ。アタシは時間を作って見に行くことはできたけど、友希那がいないんじゃその気にはなれなかった。それに、あの頃は合わせる顔がなかった。
「湊さん、今井さんおはようございます」
「おはよう紗夜」
「おはよー。さすが紗夜!来るのが早いね〜」
「そういうお二人も時間に余裕を持って来ていますね」
「いやー、なんか落ち着かなくてさ〜」
「…今井さん、練習には集中してくださいよ」
「あはは、紗夜にも言われちゃったな〜。友希那にも言ったけど大丈夫!練習が始まったら集中するから」
アタシってそんな信用ないかな〜。いや、今落ち着きがないのは自覚あるんだけど…、2人に言われるってことは相当ソワソワしてるってことか〜。
「うわっ、友希那さんたち早いですね!」
「…みなさん……おはようございます」
「あこ、燐子おはよー。2人も早めに来てるね?」
「うん!今日は雄弥さんのライブがあるって思ったら落ち着かなくって!」
「…それで、あこちゃんと…いつもより…早めに来たんです」
「その気持ちわかるな〜。アタシも落ち着かなくってさ〜。けど練習は練習で集中しないと2人に怒られるよー?」
「だいじょーぶ!今日はドラム叩きたい気持ちが強いんだ〜」
「あこちゃん…今日の練習で……できなかったことを…ライブで分析するって…張り切ってるんです」
「あこそんなこと考えてたんだ!あこは偉いな〜」
「えへへ、でしょ!あこは超カッコイイ自分を見つけたいんだー。紗夜さんからの宿題だし!」
宿題?……あ~、前に言われたことあこなりに気にしてたんだ。あこはほんと偉いなー。雄弥に直接教わってるのにライブでも楽しむだけじゃなくて勉強する気だなんて。アタシも見習わなくちゃ!
「3人とも時間よ。準備はできてるかしら?」
「バッチリだよ☆」
「あこも準備できてます!」
「わたしも…」
「そう。今日は時間が短い分内容の詰まった練習にするわよ」
友希那、いつもより気合入ってるな〜。…今日のライブは楽しみなだけじゃないんだ。友希那なりに覚悟をして聞きに行くんだね。…あの日から見に行かなくなったライブだしね。
〜〜〜〜〜
「うわ〜、会場大きいな〜」
「さすがは人気バンドですね」
「アイドルでもありますしね」
「……人が…いっぱい」
「りんりん大丈夫!?」
「……」
客席は人混みの中じゃないのを雄弥が用意してくれてるらしいけど、会場の入り口の人の多さは考えてなかったな〜。関係者用の入り口から入れなくはないんだろうけど、それはそれで目立つし…。
「……」
「ゆーきな。どうしたの?」
「リサ…。……知らない間に雄弥がここまで大きくなっていたと思うと」
「うん。アタシも想像以上だよ」
「……それよりこれからどうしますか?既に開場はされているようですがあの人の多さです。少し待っても中に人が多くいるのは変わらないですし」
「そうなんだよね〜」
紗夜が気を利かせて話題を変えてくれた。過去を思い出すとどうしても暗くなりがちだから正直助かった。
それはそうと、ほんとこれからどうしよっか。燐子にあの人の多さは酷だろうし、やっぱ目立つの覚悟で関係者用から入る?
「お前ら中に入らないのか?」
「へ?」
「ああ!ゆう「…あこちゃん騒いじゃだめ」」
燐子ナイス!あこの大きな声で雄弥のこと言ったら今頃とんでもないことになってたからね〜。
「なぜ雄弥がここにいるのかしら?」
「そうそう、メンバーで最終チェックするとか言ってなかった?」
「そんなのすぐに終わった。今はそれぞれのやり方でモチベーション整えてんだよ」
「雄弥くんのやり方は散策か何かなの?」
「やり方の一つとしては、な。いつもは部屋で寝てるが、今日は客を招待してたし、一応様子見も兼ねて出てきた」
「そう。でもちょうどよかったわ。実は──」
「……そういうことか。それなら付いてこい。裏口から入れてやる」
「裏口からって」
「そっちのほうが席にも近いからな。理に適ってる」
あ、中に入ったあとのことも考えてくれてるんだ。それにしても、今更だけど他のお客さんから離れてた関係者席ってそんなのあったっけ?
(これ、関係者席というか…)
「もはやVIPね」
「す、すごい。すごいよりんりん!」
「…そ、…そうだね」
「わざわざここまでしてもらわなくても…」
「そこはうちのリーダーの配慮だ。こういう席の中でも一番ステージ見やすいとこにしてくれたようだしな」
「…今度お礼に伺わなくては」
「しなくていいぞ?『感謝してほしくてしたわけじゃない』って言われるのがオチだ。一応俺からは伝えとくけどな」
へー、リーダーのこともわかってるなんてなんだかんだでバンドに馴染めてるんだね。周りに興味を示さない雄弥が…、案外ウマが合う人なのかな。
「あなたたちはライブのテーマを決めてるのよね?今回のテーマは何にしたのかしら?」
「それあこも気になります!」
「たしか、"とことん楽しむこと"だったな。演奏をふざける訳じゃないが、ここに来た全員が楽しめるライブにする。そんなんだった気がする」
「そう」
「ま、期待は裏切らないさ。セットリストも難しめなのが多いしな」
「それは期待できますね」
「雄弥」
「うん?」
「えっと……頑張ってね」
「ああ」
ステージを目にしてから雄弥が段々と仕事モードになっていったのがわかった。いつも感じることがない雰囲気。表情とかは何も変わらないけど、意識が変わっていくのは感じ取れた。だから咄嗟に声をかけようとして、普段殿違いに戸惑って全然言葉が出てこなかった。
「リサもよく見といてくれ」
「!……もっちろん!」
だから、こうやって雄弥から言われただけでもアタシは凄く嬉しかった。鼓動がうるさく聞こえるぐらいアタシは雄弥の一言に揺さぶられたんだ。雄弥はそろそろ戻らないといけないらしく、すぐに席から離れた。…ライブ衣装に着替える時間とかいるしね。
「…リサ姉と雄弥さんってなんで付き合わないの?」
「あこ!?」
「私、リサなら雄弥を任せられると思ってるわ」
「友希那まで何言ってんの!?」
うぅ、なんか久しぶりにこのことで弄られてる気がする……。あこは純粋にそう思ってるんだろうけど、友希那は絶対に違うよね!口元ニヤけてるの隠せてないからね!
結局この状態に見かねた紗夜と燐子が仲裁してくれるまでこの話題が続いた…。
〜〜〜〜〜
「あ!雄弥さんが出てきた!」
「ギターを持ってますね。ということは最初は雄弥くんが歌うのでしょうか」
「たぶんそうかな〜。基本的にギターの人が歌うってスタンスらしいから」
「…他の方も……出てきましたね」
「リーダーの秋宮がベースなのね。スティックを持ってる梶がドラムかしら?」
「どういうローテでやるんだろうね〜。そこも見どこかな?」
「うわ、お客さん元気だな。どこからそんな元気出るんだか」
「いやライブでそのテンション貫くの雄弥ぐらいだからな!?」
「最初から最後まで同じレベルのパフォーマンスを」
「プロ意識か?それなら最後まで盛り上がって全力尽くしやがれ!」
「大輝みたいな暑苦しいのはごめんだわ」
「この……リーダーも言ってやってくれよ」
あれ?メンバーが3人しかいないのにMC始まってない?4人目の毛利愁くんがいないけど、これも何かの演出ってことなのかな。
「人それぞれだろ」(謎の高音)
『『ぶふーっ!!』』
「はっはっはっはっは!あー腹いてー!!やっぱそれおもしれーなー!」
「…疾斗の声おかしくないか?それヘリウムガス?誰かのイタズラか?」
「メンバーの誰かだよ」(ヘリウム声)
「そんなやつがいるのか…。……あー、そこで笑い死にしそうな大輝が犯人か。分かりやすいな〜、犯人ならもっとうまく隠せよな」
「完全に濡れ衣だな!」
「じゃあまだ来てない愁が犯人なのか」
「愁のやつ遅いな」
「あいつのライブ衣装は今回凝ってたからな〜。着るのに手間取ってるんだろ」
「それは問題しかないだろ」(ヘリウム声)
「ちょっ、疾斗、その声で喋らないでくれ。笑い堪えるのキツイ」
…カオスってこういうことを言うんだね。もう漫才見せられてる気分だよ。面白いんだけどさ。あこなんて笑いが止まらなくて苦しそうにしてるし、紗夜と友希那も笑いを堪えるのに必死になってる。燐子はあこの心配してる分まだ耐えてるかな。
「お、やっと愁が来たみたいだぞ。ったく、何手間どってんだよ」
「ごめん、慣れてなくてさ」
「「「……誰だお前」」」
「酷いよ!誰が着させたと思ってるの!僕も好きでこの衣装来てるんじゃないからね!」
アレも込みでのネタなんだろうけど、ほんとに何してんの?反応を見るかぎり、たぶんだけど雄弥の仕業だよね。4人目のメンバー、毛利愁くんが
あこが「もう限界!」って言って床に転がり始めた。完全にツボにハマったのかな〜。燐子に任せよ。アタシも自分で手一杯だし。
「さてと、罰ゲーム込みのライブを始めますか」
「え!?僕この衣装のまま始めるの!?」
「キーボードだから大丈夫だろ。時間も押してるんだから」
「俺のこの声は?」(ヘリウム声)
「そのうち治るだろ」
「お前ら災難だな」
「大輝には体をはってもらう」
「え?」
「さて場も温まったところで始めるぞ!盛り上がっていくならやっぱこの曲だろ!"Leidenschaft"」
強引に雄弥が押切って始まったAugenblickのライブは、さっきまでの雰囲気とは打って変わって見る者・聞く者を引き込む力強いものだった。
雄弥はギターボーカルを難無くとやり遂げ、他のメンバーもなにかしらのパフォーマンスを挟みながら演奏する。…ベース弾きながらバク宙って人間技じゃないよ。
3曲連続した演奏(曲が終わるごとに梶くん周りに仕掛けがあって後ろとか横に飛ばされてた)を終え、リーダーの秋宮くんの声が元に戻ったところで毛利くんの女装も終了した。…もう少しあのままでいてくれたら化粧の勉強になったんだけど。
その後はAugenblick恒例の楽器交換。ローテーションが組まれてて、今回は雄弥→梶くん→毛利くん→秋宮くんだった。やっぱりあたしにとって雄弥のベースが1番参考になった。アタシにベースを教えるためにギターの練習と並行してベースも練習してくれてたから、なんだよね。
「……パンチが強すぎるライブだったけど、私たちが超えるべき課題が明確になったわね」
「そうですね。あそこまでのパフォーマンスは私たちに不要ですが、メンバー同士の掛け合いは必要ですね」
「アタシと紗夜は竿隊として合わせれるとこあるだろうし、リズム隊としてドラムのあことも合わせれるかな〜。それができるようになったら友希那や燐子とも!なんてね♪」
「リサ姉それすっごくいいよ!Roseliaがもっともっとカッコよくなれる気がする!ね、りんりん!……りんりん?どうしたの?」
「……まだ、…
「言われてみればそうね」
その場に残ってライブの余韻に浸る人もいるけど、全員が残るなんてことはありえない。それはつまり、ライブがまだ終わってないってこと。…アタシはこの日初めて雄弥関連で人に激しく嫉妬することになったんだ。
「察しがよすぎるぜお前ら!最高かよ!…お望み通りアンコールだー!」
そう言ってステージの床から4人が飛び出してきた。お客さんはすごい盛り上がってる。けど、今回はいつもと違う。
「そして初解禁情報だ!今まで空白だった俺たちのボーカルを紹介するぜ!」
「初めましてみなさーん!今日からAugenblickのメインボーカルをさせてもらうことになりました。藤森結花(ふじもりゆか)です。よろしくお願いします♪」
今まで空白だったメインボーカル。それが決まったのはいい。けれどその人は女の子だった。男だけってことに拘りがあるわけじゃないって雄弥は前に言ってた。だからこうやって女の子が入る可能性ももちろんあったんだ。
だけど、
アタシは、
なんてこったオリキャラ増えた。あーそれとこれで1章終わりです。
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☆9評価 セツナの旅さん イカさん ありがとうございます!