どういうことかと言うと、Roseliaのバンドストーリーで言えば、1章の最後の方のフェスのコンテストがまだなんですよね。
そのうちさらっとやります、ちょっと触れる程度です。
「ごめん、遅くなった」
「う、ううん。急に時間作ってもらったのはこっちだし…。それにそんなに待ってないから」
「いやそれでも遅れたのは俺の責任だ」
友希那に無理やりデートのセッティングをされたアタシは、学校が終わってすぐに雄弥と待ち合わせをしていた。家に帰る時間も勿体無いって友希那が考えたみたい。
それにしても雄弥は真面目だなー。こういうとこは紗夜の影響なのかな?…いや普通に考えたら芸能界で生きてきて身についたことかな。
「今日は練習ないのか?」
「あるんだけど…友希那が気分転換してこいって」
「そうなのか。この前のライブで何か気に食わないことでもあったか?」
「ううん。ライブは面白かったよ?Roseliaのみんなも楽しんでたし、自分たちの課題も見つかったしね」
「それはよかった。……となると、結花のことか」
「あ、あはは〜。わかっちゃうんだ…」
雄弥は相手の気持ちがわからない。そのくせしてこういうことは敏感に察せるんだよね〜。
「…びっくりしたよ。まさかメンバーが増えるなんて思ってなかったから」
「演出の一つだからな。隠すようにメンバー内で意見が固まってたんだ」
「そうなんだ…。まぁ、それもそうか。下手に喋って情報が漏れたら意味ないもんね」
「そういうことだ」
雄弥の手を握って、雄弥の隣りを歩く。たったそれだけのこと、今までも偶にしてきたことだけど、それでもアタシの心は満たされていく。
けど、それと同時に心に靄がかかるのもわかる。それはやっぱり藤森さんのことが頭をよぎるから。
「…リサ?」
「……藤森さんはどういう人なの?」
「結花?…あいつも努力家だな。元々音楽活動に興味があって芸能界入りはしてたらしい。けど自分の実力に納得がいかないからグループに属さないでいたんだとさ」
「へー、芸能界って融通きくんだ」
「まぁな。ただ、そういう奴は基本仕事が来なくなる」
「あ、なるほど。じょあ藤森さんはなんで?」
「俺たちは元々ボーカルを探してたからな。4人でデビューして、4人でローテーション組んでライブを乗りきってきたから4人組って思われてるけど」
「じゃあ雄弥たちの基準と藤森さんの基準が一致したからボーカルに?」
「そういうこと」
なるほどね〜。努力家…か。そこまでやっててバンドに入れるなんてラッキーだよね。雄弥たちの自由性のおかげって感じがする。
「他に聞きたいことがあるんだろ?…むしろそっちが本題な気がする」
「……うん」
聞きたいこと…というか、きっと問い詰めるって感じになる気がする。自分を抑えれると思えない。前みたいにもう頭がグチャグチャになってるんだもん。
(やだ…聞きたいけど、聞きたくない…。嫌われる、こんなめんどくさい女の子なんて思われたくない……)
俯いて黙り込んでるとアタシの体が何かに包まれた。いや、何かなんてわからないわけがない。このぬくもりもこの匂いもよく知ってるから。大好きな人のことだから。
目を開けて目線を上げるとやっぱりそこには雄弥の顔があって、アタシは雄弥の腕の中にすっぽり収まってた。それを認識すると肩の力が抜けていくのがわかった。それと雄弥の手を強く握ってることに今気づいた。
(手を握るのが強くなったからこうしてくれてるのかな…?)
「ゆう、や…」
「何で泣きそうになってるのかよくわからんが、リサに聞かれることは全部答える。それで俺がリサから距離を置くなんてことはないから。だからリサのやりたいようにしてくれ」
「…ゆうやぁ」
「だからなんで泣くんだよ」
仕方ないじゃん…。わからないってのは本当なんだろうけど、それは顔を見たらわかるけど、アタシが不安に思ってることを聞かないで答えてくれるんだもん。
雄弥が片手で頭をゆっくり撫でてくれて、空いてる手で抱きしめてくれる。アタシはこの状態にすごく幸せな気分になる。嬉し涙を流しながら雄弥の胸に顔をうずめる。
「最近リサはよく泣くな」
「半分以上雄弥のせいだよ…」
「……そうか。ごめんな」
「すぐには許さないからね」
「それは…大変なことになった」
「思ってないくせに。…それよりさ、雄弥。藤森さんとデートってほんと?」
気持ちが落ち着いてきたところで聞きたかったことの本題に入る。聞く勇気は出たけど体は震えてる。…こわい、紗夜は雄弥がいなくなるなんてことはないって言ってたけど、不安は消えない。
「デートってわけじゃないだろ。メンバーになったから相手のことを知りたいってことじゃないか?」
「それなら2人きりの必要はなくない?みんなと一緒でいいんじゃないの?」
「そうなんだけどな、一人一人のことを知るためにはこの方がいいってことになってな」
「それは誰が言ったの?」
「結花」
「…へー」
「どうかしたか?」
「今さらだけどさ。下の名前で呼ぶなんて、仲がいいんだな〜と思って」
「機嫌悪くなってない?」
「さぁ?」
「……同じバンドのメンバーだし、名前呼びにしようってなったんだよ。他のメンバーは名前呼びで一人だけ名字呼びってのも浮くだろ?」
「…そうだね。けど雄弥がそこまで仲良くなる必要あるの?いつもならある程度距離作るじゃん」
「バンドメンバーは……仲間だろ?仲間と距離作ってどうするんだよ」
それもそうだよね。ちょっと考えればわかることなのに、普段のアタシなら気付けることだろうけど、今はわからなかった。本当に嫌な女の子だな、アタシって。雄弥が知らない女の子と馴染むのが嫌だなんて。
「リサ調子悪いのか?もしそうならすぐに帰って休んだほうが」
「それはダメ!」
「ダメって…」
「……あ、…調子悪いのはそうかもしれないけどさ。……もう帰るなんて嫌」
「家族と喧嘩…なわけないか」
「うん」
「…わかった。リサが満足するまで一緒にいるよ」
「ほんと?嘘じゃないよね?アタシさっきから変なことばっか言ってるんだよ?自分で言うのもなんだけど、情緒不安定だよ?」
「当然だ。俺が嘘つかないのは知ってるだろ?」
「うん♪」
やった!雄弥が一緒にいてくれる。それがすごく嬉しくってアタシはもう一度、今度は思いっきり雄弥に抱きついた。それこそ日菜と同じぐらいの勢いで。
「ママー、あのおねぇちゃんたちなんでずっとくっついてるの〜?」
「こら!そっとしてあげなさい。あの子達は今甘酸っぱい青春を送ってるんだから」
「ぎゅーってするのがせーしゅんなの?」
「ん〜、あなたにはまだ難しいわね。あの子達ぐらいになったらきっと分かるわ。…あ~懐かしい、私にもあんな時があったわね〜」
(………、すっごい恥ずかしぃーー!!!そうだったここ外なんだった!普通に公園でなにしてんのアタシたち!!)
「リサ顔真っ赤だけど本当に大丈夫か?耳まで赤いけど熱じゃないのか?」
「しょ、しょんなわけない!」
「呂律もまわってないぞ」
「……うぅ。だ、大丈夫ったら大丈夫!」
「あら、あのお兄ちゃんやり手ね」
「ママー、あのおにいちゃんはすごいひとなの?」
「そうねー…、ああいう子の相手は苦労するわよ〜」
「すごいひとだから?」
「そういうこと」
「あのおねぇちゃんはだいじょーぶなの〜?」
「あの子はきっと一途な子なのよ。だからこの先も大変だとは思うけど、彼女なら超えられるわ」
(なんでずっと冷静にこっちのこと分析してんの!しかも地味に的確だし!)
「…雄弥、行こ」
「ほんとに大丈夫か?……ダメだと判断したらすぐに帰らせるからな」
「うん。ありがと」
(とりあえずすぐにここから出よ。恥ずかしすぎるから!)
「あー!あのおねぇちゃんたちおててつないでる!ラブラブなんだね!」
「初々しいわ〜!」
(なんでわざわざ声大っきくして言うのよ!わざと!?…ほんとに恥ずかしい)
すぐに手を離そうとしたけど雄弥が手を話してくれなかった。顔が真っ赤になってるアタシが心配だからだって。…優しさが追い打ちをかけてるよぉ。
〜〜〜〜〜
放課後デートだと時間が限られてるから遠出はできない。だから大抵はよく行く所に誘うらしいんだけど、アタシと雄弥は幼馴染でよく一緒に行動してるからこそ、こういう時にどこに行こうか迷っちゃうんだよね〜。
「リサ、どこ行くか決めれてないのか?」
「う、うん。ごめんね、呼んだのこっちなのに」
「謝らなくていい。ほとんど友希那が決めたんだろ?」
「本当にお見通し、だね」
「今回のは分かりやすい。リサならいつも自分から呼ぶだろ?」
「それもそうだね。…推理にすらならないね」
「だろ?…それで行くとこに迷ってるなら俺が知ってる店でいいか?」
「え…うん、もちろん♪雄弥のオススメのとこに案内してよ☆」
「一気にテンション上がったな」
だって雄弥が自分から提案するなんて珍しいんだもん♪どこに行くんだろ。前の楽器店みたいに知る人ぞ知るって雰囲気のお店なのかな。
「晩飯は家で食べるだろ?だから軽いので済む喫茶店行くぞ」
「おぉー、喫茶店か〜。さすが芸能人だね♪」
「芸能人は関係……あるのか?」
「迷うんだ…」
「芸能人になってから知った店だから関係あるのか迷ってるんだよ」
「あ~なるほど」
たしかに、雄弥は学校に通ってないから知ることなかったのかもしれないね。学校に通わないのも…アタシたちのせい、なのかな。
雄弥が高校をどう思ってるのか、そこも確かめなきゃ。目を逸らしてきたことに向き合わなくちゃ。
「…雄弥はさ、高校通いたいって思わなかった?」
「高校か…。どうだろうな、今の生活に不満はないしな。…そう考えると通いたいとはならないな」
「そっか…」
「…この生活も俺が選んだことだ。リサが責任を感じることなんてないぞ」
「……うん」
アタシが暗く思うことは察せるんだね。……少なくともそっちのことは直感でわかるようになってきたってことかな?
そうだと嬉しいな。雄弥も少しずつ変わってきてるってことだから。…ただ察せても理由はさっぱりなんだろうけどね。日菜がそうってことは似た感じの雄弥もそうなんだろうね。
「着いたぞ」
「お〜。雰囲気あるね〜、木組みの喫茶店なんだ」
「喫茶店って落ち着ける場所の方がいいだろ?ここは店の中でそういう空気が漂ってるのか、騒ぐやつがいなくてな。たまにここで打ち合わせもする」
「仕事の話もここでするんだ…。あたし中に入ったら浮いちゃわない?」
「見た目は浮くかもな」
「……」
「けどすぐに溶け込める。わりと見た目のパンチが強いやついるからな」
「例えば?」
「店員」
「……」
(なんで店員さんが見た目派手なの!?)
そう言えば雄弥の行きつけの場所ってけっこう特徴的な人多いよね。そういうの無自覚に好きだったりするのかな…。たしかに個性的な人って面白いけどさ。
お店に入ると本当に落ち着いた雰囲気のところで、これはもう勝手に黙っちゃうなーって思った。けど雄弥の話通り個性的な人たちが多かった。
・モヒカン集団(暴走族じゃないらしいし、不良でもないとか。しかも雄弥のこと慕ってるとかわけわからない)
・ひたすら筋トレをしてる人(ホームレスらしい、けどボディビル大会で優勝したり入賞したりしてるとか、…そのお金はどうしてるんだろ)
・頭にフクロウを乗せてる人(勝手に乗られたらしい、その後もずっといるんだとか。お風呂入るときと寝るときは離れてくれるらしい)
この人たちはここでバイトしてるんだとか。働いてる人が見当たらないのはおかしい気がするけど、暇な時は好きにしてていいらしい。それはそれで売上とかお店としてとかは大丈夫なの?って思った。
「な?落ち着く店だろ?」
「雰囲気はね?店員さんたちが強烈過ぎて逆に落ち着かないよ」
「注文が届いたあとはあいつらも好き勝手やってるからな。全員完全にプライベート状態になるんだよ」
「それお店としてどうなの…」
「店長の方針だからいいだろ。かたっ苦しいのが嫌なんだとさ。あと世間からのはみ出し者を放っておけないんだとか」
「いい人なんだね。…似た性格の人雄弥のバンドにいなかった?」
「ここの店長は疾斗の爺さんなんだよ」
注文が届いた後は雄弥の言うとおり本当にプライベートが確保された。極力お客さんに絡まないって…もうツッコミしなくていいや。
雄弥と頼んだパフェの食べさせ合いをしたり、ライブのことを話したり、またデートする約束をしたり。アタシの心は今度こそ満たされていった。今度は靄なんてなかった。
だから今日はこれで終わり
なんてことにはできなかった。
「ねぇ雄弥。お願いがあるんだ〜」
アタシはアタシの我儘を押し通すことにした。もっと一緒にいたい。
「今日は家に泊まりに来て」
ガルパ内のイベントは可能な限り盛り込んでいきたいなーって思ってます。時間の進みが遅いのでいつになるかはわからないですけど。
☆9評価 アクアランスさん libra0629さん ありがとうございます!