「泊まり?」
「うん」
「俺はいいけど、いきなりって両親に迷惑じゃないか?」
「…聞いてみる」
やっぱり最初から考えてたってわけじゃないのか。リサは母親に電話をかけた、と思ったらすぐに電話が終わった。早いな。しかもあの笑顔を見たらどう言われたのかもわかる。
「OKだって!」
「だろうな。着替えとかはないし、一旦家に帰ってからそっち行けばいいか」
「その必要はないんじゃない?」
「は?」
「雄弥の服とか何着か家にあるって母さんが言ってたよ」
「……わけがわからん」
「…あはは〜、アタシも知った時は頭抱えたよ〜」
考えても仕方ないか、あるものはあるんだ。明日はリサの家から出勤すればいいわけだな。
「んじゃ店出るか」
「そうだね」
「あ!雄弥さんお帰りですか?店長ー!雄弥さんが帰りますよー!」
「………雄弥?」
「…あいつら馬鹿だからレジ打てないんだよ」
「えぇー…」
モヒカンたちと筋トレ男がレジ打てないのは、100歩譲っていいとして、フクロウのおっさんはたしかレジ打てるんだがな。レジのドロアーが開く勢いにフクロウがびっくりして爪が食い込むから嫌なんだとさ。
店の奥からアロハシャツにグラサンという場違いな格好で爺さんが出てきた。この人が疾斗の爺さんでここの店長。元大富豪で、自分で稼いだ金は遺産として家族に遺さないって決めてるんだとか。だから赤字になるのを理解しておきながらこの喫茶店を作って、はぐれ者を雇って給料を与えてるらしい。
「……もうしばらくツッコミしたくない」
「リサのキャパを超えたか」
「はっはっは!なんだ坊主、えらい別嬪さんを捕まえてるじゃねぇか!」
「べ、べっぴん…」
「幼馴染だ。それとこいつはウブだからあんたのノリにはついていけねぇぞ」
「むむっ!それは悪かったなお嬢ちゃん。…いやな、お前たちのことは孫のように思ってるからな〜。4人のうちの誰かがさっさと結婚でもしてひ孫の顔を見せてくれねぇかと思ってよ」
誰が孫だ。どう思うかはそりゃあそっちの勝手だが、あいつらと兄弟ってのは遠慮する。
「軽くセクハラまがいなことを言ってるぞ。…あんたの孫に期待しとけよ。あいつは答えだすのを避け続けてるだけなんだから」
「…あいつの信条がそのまま本人を束縛してるからな〜。遅かれ早かれ答えは出さないといけないんだがな。でないと結局全員を泣かせることになるからな」
「だろうな。ま、それは本人に言ってやれ。爺さんっ子なわけだし」
「本人を前にすると儂も甘やかしちまうからなー!」
「…会計してくれね?」
「おぉ忘れとったわ。んじゃ雄弥の分だけを請求しようかの」
「ええ!それは悪いですよ!アタシも払います」
「受け取らんぞ〜」
「こういう爺さんだ。というか死ぬまでに稼いだ金を使い切るのを目標にしてるんだぞ?店としての体裁を保つために一応会計はするけど、どれだけ客が来ても赤字だからな」
「……」
ま、反応に困るのが当たり前だわな。ついでにこの喫茶店は3階建てで、1階と2階が喫茶店、3階が爺さんの生活空間だ。地下もあって行き場のない奴らが泊まれるようになってる。しかもエレベーターが用意されてる。
これだけで十分お金を使っているのだが、まだまだ有り余ってるのだとか。だから時給も高く設定してるらしい。学生からしたら神バイトと言うやつだ。ただ個性的な奴らを受け入れられるかが課題だがな。
「他の連中にもまた来いって言っといてくれ」
「わかった」
「えと、ごちそうさまでした。すっっごく美味しかったです!」
「嬉しいね〜。お嬢ちゃんもまた来てくれや。すぐには慣れないだろうから雄弥と一緒にな」
「はい!」
会計を済ませて店を出る。そのときに毎回恒例のモヒカンたちの敬礼での送り出しがあり、リサの思考が停止したからリサを抱えて店を出ることになった。
…後日聞いた話だとリサの親衛隊になるとか言ってたらしい。あいつらは女子への免疫ないからな〜。パスパレのメンバーが来たら親衛隊はどうなるんだろうな。解散かな。
〜〜〜〜〜
……今日はいろんなことあったな〜。さっきの喫茶店のせいで他のことが違う日の出来事みたいに思えてくるけど、全部今日の出来事なんだよね。
あの人(モヒカンさん)たちも別に悪い人たちじゃなかった。接客が終わったらみんなで集まってたけど、タバコ吸うわけでもないし、賭け事もしてなかった。
ちょっと話を聞いてみたらみんなと一緒のとこに就職したいらしい。学校の勉強は全然できないから体を使う仕事、目指してるのは大工さんだって言ってた。就職するときに有利になるように資格の勉強と専門用語、使う道具とかの勉強を助け合ってやってるんだって。アタシ感動しちゃったよ〜。
(ほんとに、今日は印象深い1日だったな〜。雄弥にグチャグチャになったアタシの気持ちをぶつけて、いろんな人に出会って、こうやって雄弥に抱えられてる。…………ん?
「〜〜っ!雄弥おろして!」
「お、やっと復活したか。…暴れるな、落ちるぞ」
「わ、わかったから!大人しくするから早くおろして!」
雄弥に優しくそっとおろしてもらって、自分の足でしっかりと立つ。誰かに見られてないか気になって慌てて周りを見渡すけど、特に人は見当たらなかった。アタシはそれに安心してほっと胸を撫で下ろすと、ある意味1番知られたくなかった人物に声をかけられた。
「リサさん奇遇ですね〜」
「も、モカ!?」
み、見られてた!?…いやいや、モカがニヤついてないってことは見られてないはず。ここはアタシが墓穴を掘らなければやり過ごせる!
「その方がリサさんとよく一緒にいるっていう人ですか〜?」
「う、うん。アタシの幼馴染で友希那の弟」
「どうも、湊雄弥です。君はリサの後輩か?」
「そうで〜す。リサさんと同じ学校に通ってて、同じとこでバイトしてる青葉モカちゃんで〜す。どうぞよろしく〜」
「よろしく青葉」
「モカでいいですよ〜。名字呼びはあまり慣れてないので〜」
「そうなのか。なら、よろしくなモカ。俺も雄弥でいいぞ。名字だと友希那とかぶってややこしいからな」
「りょうかいで〜す。よろしくお願いしま〜す。雄弥さん」
い、意外と気が合ってる?お互いマイペースなはずだけど、うまいこと波長が合うってことかな。
「それでモカは何してるの?1人ってことはバンド練習じゃないよね?」
「はい〜。今日は気が赴くままに歩いてました〜」
「そ、そうなんだ」
「おかげで収穫もありましたよ〜」
「収穫?なにかあったの?」
「それはもう特大のものが〜」
と、特大の収穫?ま、まさか見られてたの!?…そ、そんなことは、ないよね?
「リサさんのお姫様抱っこですよ〜」
「〜〜っ!!」
見られてたーー!!なんでよりによってモカに見られるの!?いや他の人でもダメだけど!
「な、な、なんのことかな〜」
「リサさん動揺を隠せてないですよ〜?しかも顔が真っ赤ですよ〜」
「うぅ〜……」
(……リサさんを弄ってたら思ってた以上に乙女な反応してる。弄ってるこっちも恥ずかしくなりそう〜)
「モカぁー、このことは誰にも言わないでほしいんだけど…」
「…そ、それはどうしましょう〜」
「……おねがい」
(リサさんってこんな可愛い人だったっけ?…こ、ここで簡単に承諾したらモカちゃんのキャラが崩れる気がする)
「もかぁ〜」
「……仕方ないな〜。リサさんにそんな顔で頼まれたらさすがのモカちゃんも自重しますよ〜」
「ありがとう!!」
(いつもお姉さんキャラのリサさんがもーのすっごく子供っぽい〜。……こういう一面もあるってのを知れただけ良しとしますか〜。それに、バイトで二人だけのときの話のネタにはできるし〜)
よ、よかった〜。なんとかモカの口止めに成功したよ〜。口止めしてなかったら、モカが言いふらすってことはなくても周りの子を利用してくるからな〜。
「雄弥さんはあたしに気づいてそうだったんですけどね〜」
「へ?」
「あたしがリサさんたちを見かけたときにチラッとこっち見てましたし〜」
「そういや見たな」
つまり?雄弥はモカのことを把握しときながらそのままあたしを抱えて歩いていたと…。ふーん、そうなんだ〜。
「……リサ?」
「も、モカちゃんはすぐに帰らないといけないので〜、……お邪魔しました〜!」
「モカは明日学校でね!!」
「えーー!」
「雄弥は今からちょーっと話しようか」
家まではもう少しあるし、丁度いいかな〜。
〜〜〜〜〜
久々に、本当に久々に雄弥に思いっきり説教した。効果があるかはわからないけれど、少なくともああやって抱えたまんま外を歩かないことは約束させれた。…あれ自体は嬉しかったけど、場所がダメだよね。
「二人ともおかえりー!お父さんも帰ってきてるし、ご飯にする?それとも二人で先にお風呂行く?」
「母さんその選択肢おかしいよね!?」
「そう?ご飯食べるのかなんて普通でしょ?」
「そっちじゃないよ!後の方!」
「後の方?…お母さんなんて言ったか忘れちゃったわ〜。リサ教えてくれない?」
「わざとでしょ!」
「そんなことないわよ〜。で、さっきお母さんはなんて言ったのかしら〜」
「……い、言えるわけ無いじゃん!」
なんで母さんはこうやって弄ってくるかなー!…そりゃあ雄弥が家に来るのは久々だけどさ。前も言ってたけど、母さんたちにとっても雄弥は自分たちの子って感じなんだよね。
「あなたーー!リサが男を家に連れてきたわよー!」
「母さんその言い方わざとだよね!」
「なんだと!?どこの馬の骨だ!この俺の目が黒いうちはリサを……なんだ雄弥くんか。雄弥くん娘のことをよろしく頼む」
「言ってることが180度変わってますよ」
「それで式はいつ上げるんだ?」
「な、何いってんの父さん!」
「そうよ、何言ってるのよあなた。二人はまだお付き合いしてないのよ?結婚はまだ先でしょ。雄弥くんは18歳にもなってないし」
「それもそうだな。付き合う時期も大切だな」
「そうよ、あの時間は結婚とは一味違う幸せな時なんだから」
「懐かしいな……。二人は付き合ってるんだったか?」
「父さん!!」
「いえ、お付き合いはしてませんよ。俺なんかにリサは勿体無いですから」
……また雄弥はそんなこと言って。アタシはそういうふうに言われるの好きじゃない。一般的には謙遜してる人って感じで印象いいんだろうけど、付き合いが長いアタシたちにはそれが本心なんだってわかる。本当に雄弥は自分のことを卑下にしてる。
「…そうか。雄弥くん君は自分をそう評価するんだろうけど、少なくとも俺と妻はそう思っていないよ。君になら本当にリサを任せられると思っている」
「……ありがとうございます」
「さっ!それじゃあご飯にしましょうか!実はさっき丁度できたところだからできたてなのよ〜」
…帰ってくる時間を予想してたんだろうな〜。ほんとにこういう所は敵わないな。
(なんでお赤飯炊いてるの!!)
~~~~~
「……どうしよう」
「俺は床でいいぞ」
「それはダメ。ちゃんと体が休まらないでしょ」
「そうは言ってもな。
何を困ってるかと言うと、雄弥の寝る場所なんだよね。夕飯を4人でワイワイしながら食べて、順番にお風呂入ったあとに問題が起きてさー。
ーーーーー
「母さん、うちに布団って余ってなかったっけ?」
「え?…あ~ごめんごめん、クリーニングに出しててまだ取りに行ってないのよ(本当は湊さんのとこに置いてあるけど)」
「ええ!?それじゃあ雄弥はどこで寝てもらうつもりだったの?アタシは布団があると思ったから呼んだのにー」
「俺はリビングのソファでいいぞ」
「「それはダメ」」
「雄弥くん。勝手知ったる相手とはいえ君は客人だ。そんなとこで寝かせるわけにはいかない」
「ですが、他に寝るとこがないのでは?」
どうしよー、完全にあてが外れちゃったよ〜。空いてる部屋がないのもそうだけど、そもそも布団がないことには…。
「あ!解決策思いついちゃったわ♪」
「おぉ!早速思いついたのかー、さすが母さんだな!」
「……ものすごく嫌な予感するんだけど」
「なーに言ってるのよ。リサにとっても嬉しいことよ?」
「その顔は絶対に違うよね…」
「それで、解決策とは?」
「雄弥くんがリサと同じベッドで寝たらいいのよ。元々寝る部屋自体はそうしてもらうつもりだったしね☆」
「だとさ」
「な、なっ!…そんなの寝れるわけないじゃん!……恥ずかしいもん」
母さんは本当に何考えてんの!?年頃の男女二人を同じベッドで寝させるって…、しかも自分の娘にそうさせようとするって。
「えー、寝れるでしょ?リサのベッド少し大きめだから二人入れるはずよ?」
「そういうことじゃないの!!」
「じゃあ、どういうことなのかしら〜。言葉にしてくれないと最近の若い子の気持ちわからないわ〜」
「うぅ」
「…あ、もしかして
「な…!この変態!もう知らない!!」
「母さん、それはいくらなんでもなー」
「あの、そっちってどっちですか?」
「ほら、雄弥くんは純粋なんだから。変なことを吹き込むわけにはいかないんだぞ」
「そうだったわね。…けど最低限の知識はいるわよね〜。学校で習う前に芸能界に入っていったのだし」
「母さん雄弥に余計なこと言わないで!ほら雄弥も行くよ!」
「話しについて行けんが…まぁいいか」
「けどリサ
「本番?ライブのことですか?」
「雄弥は黙ってて!母さんもそういうことは友希那の家に任せればいいことでしょ!」
母さんの言葉に反応する雄弥を引っ張っていって自分の部屋に入る。雄弥を部屋に招くのは久々とはいえ、前回の時と大きく変わった箇所とかはない。大体の物の配置は一緒。
幼馴染とはいえ、アタシだって年頃の女の子なわけで、異性をしかも好きな人を自分の部屋に招くのは緊張する。なんでかわからないけど、今になって心臓の鼓動が早くなる。
「家に来るのもそうだけど、リサの部屋に来るのも懐かしいな。前に来たのっていつだっけ?」
「あたしも覚えてないかな〜。けど、あの日よりは前なのは確かかな」
「少なくとも3年ぶりか。…所々変わってるのも当然か」
「わかるんだ」
「なんとなくな」
ーーーーー
とりあえずアタシがベッドに座って、雄弥にはアタシの椅子に座ってもらってる。まだ寝る時間ってわけでもないしね。
「そういえば次のライブの日程って決まってるの?」
「いや決まってないな。…しばらくはライブしないだろうな」
「なんで?」
「パスパレが活動自粛中だからな。俺たちにも責任があるのも確かだ。裏でコソコソしてたわけだし」
「あー。あれのことか〜。それなら納得」
雄弥はパスパレのことそんなに気にかけてないだろうから、他のメンバーがライブしないって決めて雄弥もそれに従ってるのかな。まぁ音楽関連の番組以外にも出てるし、しばらくはそっちばっかりになるのかな。
「Roseliaはどうなんだ?FWFのコンテストが近づいてるんだろ?」
「それに向けて練習中ってとこだね。雄弥たちのライブを見れたおかげでみんな気合十分って感じ。……少なくともアタシ以外は」
「そういや友希那に言われて今日は練習休んでるんだったな。……まだ早い時間だが今日はもう寝るか」
「え…」
「一昨日のライブの日からまともに気が休んでないんだろ?なら今日は早く寝たほうがいい」
「そ、そうかもしれないけど…雄弥の寝る場所の問題は解決してないよ?」
アタシがそう言うと雄弥がきょとんとしてる。何を言ってるんだ?って感じ、…ということは──
「だから俺は床で「ダメって言ってるでしょ」……じゃあ今日はねな「それは論外」…どうしろと?」
母さんの思惑通りになるのは癪だけど、そんなこと気にして雄弥に影響が出るほうがいや。だから、これはアタシが勇気を持てばいいんだ。
「……ふ、二人でベッドで寝よ」
「リサはそれでいいのか?」
「う、うん……」
「……わかった」
やっぱり緊張してるのはアタシだけ、雄弥は顔色一つ変えなかった。アタシが壁側に寝て雄弥が横に入ってくる。アタシが落ちることがないようにっていう配慮らしい。
恥ずかしくて心臓がバクバクする。アタシは壁側を向いて寝転ぶことでなんとか気を紛らわせていた。けど、同時にまた不安が出てきた。
(雄弥は全然緊張してない。…アタシはやっぱり"幼馴染"って範囲からはどうやっても抜け出せないのかな)
それはつまりずっと雄弥に異性として、一人の女性として見られないということなんじゃ……。
「……ぐすっ」
「…リサ?泣いてるのか?」
「ないてない」
「涙声なんだけど」
「ないてない!」
雄弥を避けるように強めに言って体を丸める。自分で自分を抱きしめるように。…そうしてるのに、布団もちゃんとあるのにアタシは寒かった。心が冷えきってるんだ。
そうしてると昼間と同じぬくもりがアタシを包んでくれた。アタシが間違えることなんてない。雄弥の温もりだ。
「……ばか」
「なんのことかわからんが、ごめん」
「……雄弥にとってアタシは"ただの"幼馴染なんだよね」
「…どういう質問だ?」
「こうやって一緒に寝ても、密着しても雄弥は緊張しないんでしょ!」
「どうなんだろうな」
「とぼけないで!」
アタシは不安を、不満を、胸に渦巻く気持ちをぶつけるように思いっきり雄弥の胸を叩いた。さすがの雄弥も呻いたけどアタシは何度も叩いた。悲しくて涙が止まらなくて少しずつ力が抜けていく。もう叩く力が入らなくなって雄弥の腕の中でうずくまる。
「雄弥がいてくれるのも、…アタシが幼馴染だからなんだよね。…そうじゃなかったら、側にいてくれないんだよね」
「かもな」
「…っ!!」
「けどな、俺たちはもう出会ったんだ。出会って今がある。そのことは変えようがない事実だし。俺は出会えてよかったと思ってる。…リサは違うのか?」
「違わない…違わない!…けど、だけど、そのせいでアタシは…」
苦しい思いをしてる、なんてことをアタシは言えなかった。それは言っちゃいけない気がして、雄弥を傷つけるんじゃないかと思って。
「…アタシ、むちゃくちゃだよね。…雄弥にはもっといろんな人にあってもらって、幸せになってほしいのに。……雄弥の横に、雄弥のバンドに知らない女の子がいるのが嫌だなんて。………ほんとうに…嫌な女だよね」
「そんなわけ無いだろ。リサのその思いは俺にはわからないけどさ、それでもそれは真っ当な気持ちなんだと思う。だから自分を責めないでくれ」
「でも…アタシ、たぶん嫉妬深いよ?独占欲も強いと思う」
「それを否定してどうなる?それも含めてリサだろ?自分を抑えなくていいから。前にも言ったろ?甘えてくれって」
「…そう、だったね」
(そうだ、雄弥はこういう人なんだ。アタシは思いを偽らないでいいんだよね)
雄弥の胸に耳を押し当てる。雄弥の心臓の音を雄弥のぬくもりを感じる。………あれ?
「雄弥…緊張してる?」
「そうなのか?」
「だって心臓の音、おっきく聞こえるよ?」
「じゃあこの状況に緊張してるってことか」
「そっか…ゆうやも…そうなんだ♪」
「…機嫌よくなったな」
「まぁね☆おやすみ!」
「おやすみ」
な〜んだ、雄弥も緊張するんだ。よかった、これってつまりアタシを女の子として意識してくれてるってことだよね!これがスタートラインかはわからないけど、アタシの気持ちは固まってるわけだし、もっと雄弥がアタシを意識するようにアプローチすればいいんだよね♪
〜翌朝〜
「あらリサご機嫌ね。昨日の夜いいことでもあったのかしら?」
「あはは、ちょっとね」
「あらあら、結局お楽しみだったのね〜」
「そっちじゃないから!」
「雄弥くん、リサの抱き心地はどうだったかしら?」
「だ、だき!?…か、かぁさん、ちがうってばぁ」
「?…柔らかかったですよ」
「雄弥黙ってて!!」
「…抱き合って寝ただろうに」
「母さんが聞いてるのは違うやつなの!」
「違うやつって何のことかしら〜。あたしは雄弥くんの言う意味で聞いたのよ?朝早起きして二人の様子見たもの。ほら証拠写真」
「なんで写真とって……」
「それで?リサは何と勘違いしたのかしら〜」
「〜〜っ!知らない!!」
朝から母さんにイジられるなんて、思ってなかった。次があったら今度は部屋の鍵閉めよ。←それはそれでイジられるとは気づいていないのである。
〜〜〜〜〜
「うーん…」
「日菜ちゃん?どうかしたの?」
「彩ちゃんならわかるかな〜」
「え?なんのこと?」
「実はね──」
日菜ちゃんの話を聞くと、雄弥くんたちのライブがあったのは日曜日、月曜日に学校で会ったリサちゃんはなんか調子悪そうだった。話しかけても上の空って感じだった。それは昨日もそうだったんだけど、今日会ったら調子が戻ってた。むしろよりるるるんっ♪てなってたとのこと。…最後のるるるんっ♪はわからないけど、話からして前より生き生きしてたってことかな。
「彩ちゃんはどう思うー?」
「さすがにあたしもちょっと…」
「はぁー、やっぱ彩ちゃんは無理か〜」
「ひどいよ!!……あ、もしかして恋、とか?」
「鯉?リサちーの家に池はないはずだよ?」
「そっちじゃなくて!…その、好きな人が…できたとか?」
「なるほどねー。……好きな人、か。よし!ちょっとユウくんのとこに行ってくるねー!!」
「えぇ!!だめだよ日菜ちゃん!」
私の制止を聞かずに日菜ちゃんは飛び出して行っちゃった。日菜ちゃん事務所内走っちゃだめだよ!というか足速すぎるよ!
「…どうしよぉ」
「彩さん、日菜さんを連れ戻してきてください」
「相手にご迷惑をかけてしまうと思います」
「だ、だよね。ちょっと行ってくるね!」
「彩さんファイトです!」
イヴちゃん、日菜ちゃんを連れ戻しに行くだけなんだからファイトは大げさ……でもないか。頑張れ私!
今イベントの☆3の綿菓子食べてる紗夜が可愛いですね。なぜガチャなんだ!
お気に入り登録数が300件突破しました。もう、なにも言葉が出ないです。