陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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今回はちょっと短いです。(普段に比べたら)


5話

「ユウくーーーん!!」

 

「だから飛びついてくるなって言ってるだろ。……そのうちドア壊れそうだな」

 

「ええー、飛びつかないとあたしじゃなくなーい?それとドアは大丈夫でしょ。ユウくんのマネージャーさんに言って補強してもらってるし」

 

「日菜らしさなんてわからん。あと人のマネージャーをこき使うなよ」

 

「ぶーぶー」

 

 

 ま、今日も飛びつけたし良しとしますか!ユウくんには用があって来たわけだし、さっそく本題に入ろうっと。

 

 

「ユウくん、昨日リサちーと何かあった?リサちー今日すっごいご機嫌だったんだけど」

 

「昨日?…別に特別なことはなかったぞ?」

 

「ん〜、じゃあリサちーとデートしたの?昨日までのリサちーはぼうっとしてたのに今日学校で会ったらるるるんっ♪てなってたし。リサちーがそうなるってことはユウくんが拘ってるんでしょ?」

 

 

 あたしがこうやってユウくんに踏み入った内容をグイグイ聞くことは珍しいから、ユウくんも真剣に昨日のこと思い出してくれてる。

 

 

「たしかにリサとは昨日デートしたな。…けど特別なことは本当に何もしてないぞ?普段とちょっと違うことだとリサの家に泊まった(・・・・・・・・・)ぐらいだな」

 

 

 リサちーの家に?「えぇーー!?」……あれ?

 

 

「彩ちゃんどうしたの?」

 

「…俺はこの部屋を溜まり場にした覚えはないんだがな」

 

「ど、どうしたのって日菜ちゃんを連れ戻しに来たんだけど…。そ、それより雄弥くんリサちゃんのお家に泊まったの!?」

 

「まぁな。けどこれってそんな驚くことか?」

 

「驚くよ!雄弥くんもアイドルなんだよ!アイドルって普通恋愛禁止なんだよ!?」

 

「そういうもんなのか。けど俺は別に恋愛してないから、やっぱ驚くことじゃないだろ」

 

「そうは言ってももし週刊誌の人ととかに目撃されてたら大騒ぎだよ!?」

 

「それぐらい揉み消す」

 

「か、カッコイイ…」

 

 

 彩ちゃんがあたしの代わりにユウくんから話を引き出すのかと思ったら違う方向に話が進んじゃってる。しかも彩ちゃんはフリーズしちゃってるし。

 やっぱり自分で聞き出すしかないか〜。あたしを連れ戻しに来たって言ってた彩ちゃんがこうなってる間にでもね!

 

 

「ユウくんはなんでリサちーの家にお泊りしたの?今まであんましてないんでしょ?」

 

「あまりと言っても中学1年ぐらいまでは泊まりに行くことがあったぞ?…昨日泊まったのはリサに頼まれたから」

 

「ふーん……そっかそっか。うん、なんとなくわかったからもう聞くのはいいや」

 

 

 リサちーの中でなにか踏ん切りがついたからなのか、それとも誘ってから踏ん切りがついたのか、そこはどっちでもいいけど、とりあえずリサちーの調子は戻った。むしろ前よりるんるんっ♪て感じだからこれからのリサちーはユウくんに積極的になるのかな。

 

 

(お姉ちゃんには釘をさされてるし、リサちーの邪魔はしたくなかったけど、その時(二人がくっつく時)が来るまではあたしも楽しみたいしね♪)

 

「パスパレって活動自粛中とはいえ練習はしてるんだろ?戻らなくていいのか?」

 

「はっ…!そうだった!日菜ちゃん戻るよ!」

 

「えー、あたしもう出来るから練習いらないんだけど。彩ちゃんだけ戻ったら?」

 

「ぐさっ、…日菜ちゃんたまに容赦ないよね」

 

「なんのこと?」

 

「日菜も彩と戻れ。他のメンバーとの動きの確認はこういう時しかできないだろ」

 

「そ、そうだよ日菜ちゃん。まだまだやることはあるんだよ」

 

 

 動きの確認か〜。それは一人じゃできないし、メンバーがいる時にやったほうがいいってのは分かるけど。

 

 

「千聖ちゃんが来てないから意味なくない?」

 

「そ、それは…」

 

「一人来てないのか?」

 

「そうなんだよね〜。まぁ千聖ちゃんはあたしたちの中で1番忙しいから仕方ないんだけどね」

 

「なるほど。…ま、一人いなくてもある程度は練習できるだろ。俺はこれから別件があるから」

 

「はぁ、それじゃあ仕方ないか〜」

 

 

 ユウくんがそう言うならあたしも戻らないとね。動きの確認って言っても彩ちゃんたちがまだ演奏の方練習中だからな〜。…ユウくんたちの動画でも見とこっと。

 それにしても別件ってなんだろ?はっきり言わないってことは新しい仕事とかかな?…それとも。

 

 

「はぁ〜、これはあたしもウカウカしてられないな〜」

 

「日菜ちゃん何の話?」

 

「ううん、こっちの話。…けど、そうだなー…それなら!」

 

「日菜ちゃんなんでそっちに戻るの!?」

 

「ユウくんとデートする約束取り付けてくるー!」

 

「で、デート!?だからそういうのは駄目なんだってばぁ〜!」

 

 

 すぐに引き返したからユウくんはまだ部屋にいた。荷物を纏めてるところを見ると、そういうこと(・・・・・・)で合ってたみたいだね。

 

 

「日菜?」

 

「ユウくんは今から誰かと会うんだよね」

 

「まぁな」

 

「じゃあやっぱり今日は無理か〜」

 

「俺に予定がなくても日菜は練習があるだろ」

 

「あはは、まぁね〜。それでさユウくん。次のオフはいつ?その時あたしと遊ぼうよ」

 

「いいぞ。時間作れそうなのは……この日か」

 

 

 ユウくんの手帳を覗き込んでユウくんの指定した日を確認する。この日は…、あたしも予定入ってないしバッチリだね♪

 

 

「楽しみにしとくね♪」

 

「ひ〜な〜ちゃ〜ん?」

 

「彩ちゃん彩ちゃん、彩ちゃんは相手怖がらせるの向いてないよ。今のはむしろギャグ?」

 

「うぅー、雄弥くーん!」

 

「はぁ、向いてないことするからだろ。日菜の用も済んだことだし今度こそ連れていけよ」

 

「…ごめんなさい」

 

「……彩、めげるなよ。パスパレが堂々と活動再開できるようにこっちも動くから」

 

「…ありがとう。けど、自分たちでもできる限りのことはしたいから」

 

「はっ、言うようになったな」

 

「うん!みんながいるから!」 

 

「そういえば彩ちゃんはユウくんのこと好きなの?」

 

「ひ、日菜ちゃん!?…や、ちが……、雄弥くん、あのね!」

 

「彩…日菜に遊ばれてるだけだから。落ち着け」

 

「ふぇ?……日菜ちゃん!!」

 

「あはは!やっぱり彩ちゃんおもしろーい!男の子の免疫なさすぎだよー!」

 

「し、仕方ないじゃん!女子校にいるんだもん!」

 

〜〜〜〜〜

 

 

「雄弥ってお優しいよね〜」

 

「…盗み聞きか、そういうのって趣味悪いって言われないか?結花」

 

「気づいてたくせに…」

 

「そっちの用事は済んだのか?」

 

「バッチリ!」

 

 

 たしか、インタビューかなんかだったな。この前のライブの後にもメンバー全員でインタビューは受けたが、新メンバーの結花とリーダーの疾斗だけ追加の分があったらしい。というか疾斗に丸投げした。

 

 

「立ち話もなんだし、行こっか☆」

 

「テンション高いな」

 

「人と仲良くなれるのって楽しいことじゃん?」

 

「知らん」

 

「あははっ、みんなが言ってた通りの人なんだね〜」

 

 

 あいつら人のことなんて言ったのだろうか。大して興味もないから内容を聞くなんてことはしないんだけどな。

 やって来たのは結花が前々から行きたかったらしいカフェ。メンバーと出かけるという結花の企画では、俺が最後らしい。それでも行きたいカフェがあるって…、女子ってわからないものだな。

 

 

「ここのティーセットが美味しいらしいんだよね〜」

 

「あっそ。ならそれでいいや」

 

「てきとうすぎない?もうちょっとメニュー見て悩んだりしないの?」

 

「そう言う結花も頼むもの決まってるんだろ?悩む必要性がない」

 

「ちぇー、せっかくのデート(・・・)なのにさ〜」

 

「デート、ね」

 

 

 男女が二人で遊んだらデートって呼ぶのかもしれないけど、これからする話からしてそういうのとは違う気がするんだよな。

 

 

「週末の仕事の打ち合わせも兼ねてるんだろ?」

 

「そうだけどさ。…少しぐらい楽しんでもよくない?みんなとはワイワイしてたんだよ?」

 

「あいつらはあいつら、俺は俺だ。同じことをする意味がわからん」

 

「えぇー。ま、私が脱線させるけどね☆」

 

「…好きにしろ」

 

「そうします!」

 

 

 この後は全く予定がないってわけでもないんだよなぁ。今日は家族全員で晩飯を食べるって話だったし。…いつもは全員が揃うことないからな〜、俺とか友希那が時間バラバラだから。

 

 

「わぁ〜美味しそう!!」

 

「そうだな」

 

「もっと楽しんでよね〜」

 

「それなりに楽しんでるからいいだろ」

 

「…まぁ及第点かな」

 

「なんの評価だよ…」

 

 

 二人ともティーセットを頼んだとはいえ、何種類かの中から選べるから注文した物が違う。俺はストレートティーとチーズケーキ、結花はミルクティーとモンブランだ。

 談笑、というか結花の話にしばらく付き合いながらゆっくりとケーキを食べていき、二人とも食べ終わって一息ついたところで週末の話を始める。

 

 

「それにしても週末の仕事ってなんか意外だな〜」

 

「…審査員(・・・)だからな。トップバンドってわけでもないんだがな」

 

「雄弥ってホントに自分たちの評価知らないんだね…。凄い注目を浴びてるんだよ?」

 

「興味ない」

 

「えー」

 

「それで、そもそも結花はこの話を受けるのか?俺たちは行っても行かなくてもいいらしいぞ」

 

「雄弥は受ける気ないの?」

 

「どっちでもいい。この話を持ち込んできたマネージャーの目的は結花だしな。俺はオマケみたいなもんだろ」

 

「それは言い過ぎなんじゃ…。……でも、そっかぁ、私に色んなバンド見させるのが目的なのか〜」

 

「だから結花が決めろ」

 

 

 ……本当に俺をオマケとしてついていかせるってわけじゃないんだろうけどな。あのマネージャーのことだ、俺を放り込もうとする理由があるはず。ただし、それはAugenblickではなく、俺個人が関係してること。

 

 

(わざわざ選択肢を与えてるってことはそこまで重要じゃないんだろうが、結花も呼んでるってことは、行ったほうがいいんじゃね?ってことか)

 

「…よしこの仕事受けよう!」

 

「了解。マネージャーに伝えとく」

 

「自分たちの腕に自身がある人たちばっか集まるやつだもんね!見に行って損することはないでしょ!」

 

「そうだな」

 

「あ〜ワクワクしてきたなぁ。FWF(・・・)の審査員か〜」

 

「…観察するのはいいが、仕事はしろよ」

 

「任せてよ☆」

 

 

 …きっとボーカルしか見ないんだろうな、こいつ。はぁ、フォローするのも仕事のうちなのか。

 この後も結花の行きたいところについていき、帰る時間になるまで振り回されることになった。

 

 




☆9評価 kyorochanさん ワッタンさん 
☆8評価 ユーアグさん ありがとうございます!
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