陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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機種変する→Roseliaのスマホケースにつける→スマホの方がデカイ→orz(使うけどね)
今週はドタバタするのでストックが尽きるかもです。足掻いてみますけど、単位の方が大事なので。


6話

「おっはよーー!」

 

「…なぜリサが俺の部屋に来てる」

 

「いやー、昔みたいに雄弥を起こしてみたいなーって思ってさ。…必要なかったみたいだけど」

 

「自分で起きれるからな。しかもリサが起こしに来て実際に俺が起こされたことないだろ」

 

「昔から起きれてたもんね〜。意地になって友希那の部屋に泊まって、夜明けに起こしたこともあったっけ」

 

「あったな。そのためだけに徹夜して、起こしたと同時に限界がきてリサは俺のベッドで寝てたんだけどな」

 

「よ、よく覚えてるね〜」

 

 

 あんな時間に起こされて、しかも起こした張本人が寝始めるなんてインパクト強すぎだろ。それはさすがに記憶に残る。

 リサは俺が腰掛けてるベッドに並ぶように座って体重をこちらに傾けてくる。この前の泊まりの日からリサは距離を前以上に詰めるようになった。とはいっても外に出ると「恥ずかしい」と言って前と同じ距離感を保つのだが。

 

 

「それで、今日は練習あるんじゃないのか?明日が本番なんだろ?」

 

「うん。それで時間があったらでいいんだけど、練習見に来てもらえないかなー、なんて」

 

 

 遠慮した言い方だが、見上げてるその目を見るとだいぶ期待していることがわかる。なにか別の理由もありそうだが…。

 

 

「…時間を作れるかはわからんぞ。今日は先約がいるからな」

 

「先約?……それって藤森さん?」

 

「いや、それはこの前行ってきた」

 

「…へぇー」

 

「…ごめん、半分は打ち合わせだったんだよ」

 

「…いいよ。必要なこと、だもんね。それで今日は誰……あ、わかったからやっぱいいや」

 

「わかるのか」

 

「消去法でね」

 

 

 たしかに俺は遊びに行く相手、となると限られてるから消去法で断定できるだろうな。さてさて、今日はどうなることやら。

 

 

「それにしても、日菜か〜。…それって芸能界としては大丈夫なの?二人ともアイドルなわけだけど」

 

「彩にも似たようなこと言われたな。パパラッチがいようと気にしないし、それに既に俺としてのキャラ(・・・)が確立してるからな。それを知ってる奴は振り回されないだろ」

 

「そうかもしれないけどさ。それで被害が少ないのは雄弥だけであって、デビューしたての日菜はそうはいかないでしょ」

 

「…それもそうだな。仮にそうなっても揉み消すけどな」

 

 

 彩にも言ったことだが、うちのマネージャーのスペックの高さは尋常じゃない。ま、そうでなくてはAugenblickのメンバーを集めることも纏めることもできないわけだが。

 それにマネージャーだけじゃない、情報関係は愁が人外レベルで力を発揮する。

 

 

「…雄弥たちっていっそのことバンドじゃなくて警察官にでもなったらいいんじゃない?」

 

「無理だな。そんなことしたら上とのドンパチが始まるぞ。疾斗が止まらないだろうからな」

 

「なるほど〜」

 

「リサ、雄弥を呼んできてって言ったのになんで雄弥にくっついているのかしら?」

 

「ゆ、友希那!?こ、これはその、ね?」

 

 

 友希那の登場に驚いたリサは飛び上がるようにベッドから立って友希那に言い訳を始めた。友希那の冷めた視線を受けてか、リサは言葉をうまく纏められないでいる。友希那は半分呆れて、半分楽しんでるんだろう。

 

 

(なるほど、リサが家に入れたのは友希那が開けたからか)

 

「それで、呼んできてってことは用があるのか?」

 

「朝ご飯まだ食べてないでしょ?リサも来たから母さんが張り切っちゃって遅くなったのよ」

 

「そういうことか。んじゃリビングに行くか」

 

「ええ。それと雄弥、今日は無理に時間作らなくていいわ。練習見に来なくていいから」

 

「え……」

 

 

 友希那の言葉にリサが反応し、寂しそうにしているが、友希那はあえてリサの方を見ないようにしていた。俺はそんなリサを気にかけながら友希那に真意を聞いた。

 

 

「…無理にあなた達のデートをセッティングした私が言えた義理ではないのだけれど、あなた予定を詰め込みすぎなのよ。今日だって仕事があるのにわざわざ氷川さんのために時間を作ったのでしょ?」

 

「それはそうだが、今日は昼から予定が空いてたから問題ないだろ?」

 

「大ありよ。それじゃあ聞かせてもらうけど。雄弥、あなたが1日オフだった日(・・・・・・・・)はいつが最後かしら?」

 

「……半年前か?」

 

「え?」

 

「そうね。それぐらい前だったわ。リサと1日遊んだ日も無理に仕事を前倒しさせてもらって時間作ったらしいじゃない」

 

「…よくそこまで知ってるな。話した覚えはないんだが」

 

「マネージャーさんから聞いたわ。それにほぼ毎日雄弥を見てきたのよ?疲労具合は察しがつくわ」

 

 

 敵わないなー、そこまで見破られるとは思ってなかった。…やっぱり友希那は優しい人間だ。音楽以外興味ないと言いながら実は周りのことを気にかけてる。

 

 

「そんなことしてたの?…アタシが雄弥を誘ったから」

 

「リサ頼むから自分のせいだと思わないでくれ。俺の判断でそうしたんだ。リサに一切非はない」

 

「けど…」

 

「リサ、雄弥と遊ぶことは私だって止めないわ。むしろ雄弥を連れ回してくれてることに感謝してるの。私が勝手なのは承知してるけど、雄弥を誘うことはやめないで」

 

「友希那……わかった。けど、雄弥が無理しないようには気をつけるから」

 

「ええ、それでいいわ」

 

「…俺のことなのに俺の意思消えてね?」

 

「「雄弥はいいの(よ)」」

 

(なんでだよ)

 

 

 朝食を食べて二人に見送られながら家を出て事務所に向かう。今日は日菜と遊ぶために朝から仕事を詰め込んであり、大スターみたく分刻みのスケジュールとかしている。…こんなことを続ける大スターたちは本当に化物だな。俺には無理だ。さすがに遠慮したい。

 

 

(リサはああ言ってたけど、俺のスケジュールまで把握し始めたら今度はリサが大変だな。…言ってもやめるか怪しいけどなんとかするしかないか)

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 る〜んる〜ん♪

 今日はユウくんとお出かけ〜♪いつもならテキトウに服とか選ぶけど、今日は違うんだ〜。昨日の夜からどういう服にするか悩んでた。季節に合わせて、ユウくんが褒めてくれそうなのをーって悩み続けて決めた。

 

 

「あ、お姉ちゃんおはよー!」

 

「…おはよう日菜。今日は一段と機嫌いいわね……あら?化粧もしたの?いつもはしたがらないのに」 

 

「お姉ちゃんいつもあたしのこと見てくれてるんだー♪」

 

「な、ちがっ……。それより!なんで今日は化粧してるのかしら?」

 

「ふふん。今日はねぇ〜、ユウくんと遊ぶんだ〜♪」

 

「雄弥くんと?…彼はあなたが思っている以上に仕事が多いのよ?今日だって無理して時間作ってくれたってことなんじゃ…」

 

「えー、そんなこと………あ」

 

「やっぱり。雄弥くんが1日オフだった日、いつが最後か知ってるの?湊さんから聞いた話じゃ半年前なのよ?」

 

「そ、そんなはずないよ!だってユウくん、1日仕事ない日がたまにあって、そういう時に予定合わせてくれたりするんだよ!?」

 

「それは仕事を前倒ししてるだけなのよ。…もうこれは言っても遅いわね。決まったことをキャンセルする方が無礼だもの」

 

「う、うん」

 

「それと日菜。今井さんが…」

 

「それはわかってるよ」

 

 

 リサちーがユウくんのこと好きってのはわかってる。あそこまでリサちーの心が動かされてるんだから、リサちーはきっとユウくんが側にいないと幸せになれない。それは嫌ってほどわかってる。

 

 

「それはわかってるけどさ。けどお姉ちゃん、お姉ちゃんはそれでいいの(諦められるの)?」

 

「それは……」

 

「リサちーにはユウくんが必要なのはあたしでもわかってる。だけど、あたしだってユウくんのことが好き。一度はお姉ちゃんと話し合って諦めようってなったけど、やっぱり諦められないんだよ。リサちーに勝てないのはわかってる。ユウくんの中でもリサちーと友希那ちゃんが占める割合が大きいのもわかってる。それでもあたしはユウくんを欲しちゃう。この気持ちをあたしは偽りたくない。その時が来るまではあたしは止まらない」

 

「……日菜、あなたそこまで彼のことを。…はぁ、やっぱりあなたは止まらないのね」

 

「お姉ちゃん?」

 

「今井さんが調子悪かったのは同じクラスである日菜も知ってたわよね?」

 

「うん」

 

「その時にRoseliaのメンバーで今井さんが抱えてたことを聞いたのよ。詳細は教えないけど、その時に今井さんに猶予を与えると言ったわ」

 

「猶予?」

 

「ええ、あそこまで不安定になっていた今井さんをさらに揺さぶるようなことがあってはならないと思ったの。だからしばらくは待つことにしたのよ。…私だって簡単には割り切れないわ」

 

「お姉ちゃん。……そっか、リサちーはあたしが思ってた以上に危なかったのか〜。……遊ぶ約束はしちゃってるから今日は遊ぶけど、抑え気味でいくね」

 

「あなたにそれができるとは思えないけど、お願いね。ただ、お互いに区切りがついた時からは」

 

「全力出していいんだよね?しょーがない!今はお姉ちゃんの言うとおりにするね」

 

 

 お姉ちゃんたちの区切りってのはたぶんコンテストのことだと思う。お姉ちゃんは律儀だからあたしたちの区切り、パスパレの活動再開ライブまでは待ってくれるはず。

 ま、あたしもお姉ちゃんも、リサちーがゴールするまでの間に心の整理を済ませるのが目的なんだけどね。しっかりと諦めがつくように、悔いが残らないようにするためにユウくんにアプローチをかける。

 

 

(ひょっとしたら、ひょっとすることがあるかもしれないけどね♪…さすがにそれは甘い考え、かな)

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 悩みに悩み抜いて決めたあたし渾身の服装でユウくんが集合場所に到着するのを待つ。ユウくんは仕事があるから時間ギリギリになる。それがわかってるからあたしも集合場所の5分前にゆっくり来た。

 

 

(待ってる間もデートっぽい雰囲気になるから好きなんだけどなぁ。ユウくんが気にしちゃうしな〜)

 

 

 それにユウくんが気にすることは、あたしが変な人たちに絡まれないかっていうことだし、ユウくんの優しさの表れだからこれぐらいはあたしも譲歩できる。

 

 

(好きな人に心配されるのってすごく嬉しいことだもんね♪)

 

 

 ユウくんが来るのはもうすぐのはず、どっちから来るのかな〜。あ、でも事務所の方角からしたらあっちかな?…お、やっぱりユウくんが来た!

 

 

「ごめん日菜。来るのギリギリになった」

 

「気にしてないよ。…ユウくん時間作るのに無理してない?」

 

「…誰から聞いた?」

 

「お姉ちゃん。お姉ちゃんは友希那ちゃんから聞いたって」

 

「そうか。…これぐらい気にするな。それより今から遊ぶんだろ?時間は大事に使わないとな」

 

「…うん」

 

 

 そうだ、今からユウくんとデートするんだから、それでユウくんにいっぱい楽しんでもらえばいいんだよね!あたしはユウくんの腕に抱きついた。

 

 

(これぐらいはやっても大丈夫だよね?)

 

 

 一応お姉ちゃんの言いつけは気してるんだよ?

 

「ねねユウくん!今日のあたしどう?」

 

「今日の日菜?……」

 

 

 んー、やっぱ遠回しな言い方だと伝わらないのかな?できればあたしが何を聞きたいのかはユウくんに察してほしいところなんだけどなぁ…。

 

 

「普段あまり着なさそうな服だけど日菜によく似合ってると思う。化粧もしてて、いつもとは違う日菜って感じだけど可愛いんじゃないか?」

 

「……そっか。…えへへ」

 

 

 デートらしく気の利いたことなんて言えないユウくんだけど、それでもユウくんなりに考えてくれた褒め言葉が純粋に嬉しい。

 あたしはさらにギュってユウくんの腕に抱きつく力を込めた。ユウくんはチラッとあたしの方を見たけど気にしてないのかすぐに前を向いた。

 

 

(むぅ、ユウくんを意識させるのって難しいなぁ。まぁ、あたし自身この状態で緊張するわけでもないからユウくんが反応するわけないか)

 

 

 ま、今はやり過ぎちゃだめだし、あたしたちのライブまでのガマンガマン。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 今日は集合時間じたいお昼過ぎで、お互いお昼を済ませてから集まったから食べに行くってのはない。だから今日はショッピングモール!なんかるんっ♪てくるもの求めて。

 

 

「雑貨店?…にしては変なのが多いな」

 

「ここならなんかるんっ♪てくるやつがありそうじゃない?」

 

「いやそんなの言われてもわかんないから」

 

「ユウくんならあたしが言いたいこと、なんとなくはわかるでしょ?」

 

「本当になんとなくだけどな。違うときもあるし」

 

「それで十分だよ!」

 

 

 昔からわかってくれる人なんていなかった。両親は愚か、双子のお姉ちゃんですらわかろうとしてくれても、わかってくれなかった。けれどユウくんはわかってくれた。それがどれだけ嬉しかったことか。

 ユウくんは昔から、本当に昔から(小学生の頃から)あたしのことをわかってくれてた。出会ったのは偶然で、あの日しか会わなかったけど大切な思い出。お姉ちゃんも知らない。ユウくんですら覚えてないけど、あたしだけが覚えてる大切な思い出。

 

 

「…今日はやけに機嫌よくないか?」

 

「そうなのかな?お姉ちゃんにも言われたよ〜」

 

「紗夜にも言われたならそうなんだろ」

 

「けど仕方ないじゃん!ユウくんと一緒にいるのがたのしいんだも〜ん♪」

 

「そうか」

 

 

 ユウくんも楽しんでくれているのか、それはあたしには判断出来ないから不安なとこだけど、とりあえず誘ったあたしが楽しんでないとユウくんも楽しくないよね?…ユウくんは優しいからなぁ、無理に付き合わせちゃっても、ね。

 あたしがお店にあるやつを手に取りながらちょっと不安になってると、あたしの頭にポンって手を置かれた。

 

 

「ユウくん?」

 

「日菜は日菜のやりたいようにすればいいって言ったことあるだろ?それは今日も一緒だし、これからも変わらないことだから」

 

「……ユウくん」

 

(これがリサちーがよくズルいって言ってることか〜。…たしかにズルいね、こんなこと言われたら甘えちゃうよ。…まだダメなのに)

 

「日菜?」

 

「今日もとことんユウくんを連れ回すからねー。そんなこと言ったんだから覚悟してよ?」

 

「ほどほどにな」

 

 

 完全に気づかれるわけにはいかない。あたしが抑えてることを少しは察したみたいだけど、それを完全に気づかれたらあたしはあたしを抑えられなくなるから。それだけはダメ。お姉ちゃんとの約束なんだから。

 ここは本当に色んな雑貨がある。どんな時に使うものなのかわからないようなやつがそれなりにあって、見つけるたびにユウくんと使い道を考えたりした。

 

 

「うーん」

 

「色々と置いてあるけど、日菜が欲しがりそうなやつはないな」

 

「ざーんねん。せっかく来てみたのにな〜」

 

「そういう時もあるだろ。それにここは置いてあるやつが特殊すぎる」

 

「だからこそあるかなーって思ったんだけどな〜」

 

「違う店で探すか?」

 

「…雑貨はもういいかなー。ここに無いってわかったら冷めちゃった」

 

「ならどこ行く?」

 

 

 どこに行こうかな〜。喫茶店とこはこの時間混んでて席が空いてなさそうだし…、あ。

 

 

「うん?……服か?」

 

「うん。…ユウくんってリサちーとよく来るんでしょ?たしかお姉ちゃんとも来たことあるんだっけ?」

 

「…まぁな。それも聞いたのか」

 

「聞いたというより聞き出した、のほうが合ってるかな。それよりもさ、あたしもユウくんに服を選んでほしいな〜」

 

 

 あたしだけ仲間はずれなのは嫌だしね。……友希那ちゃんはユウくんと服買いに来たことあるのかな。お姉ちゃんと同じであまり来なさそうな気がする。あ、でもそれなら買いに行くときにユウくんと来るのかな?あまり悩んで買うのが想像できないけど。

 

 

「友希那ちゃんって服買いに来る時どんな感じ?」

 

「いきなりどうした」

 

「リサちーとお姉ちゃんは想像つくんだけど、友希那ちゃんは買ってるときの様子が想像できないんだよね〜。あんまし喋ったことないしね」

 

「そうなのか。……どうって言われてもな、元から買う服の系統を決めといて、それがあったら買う。なかったから後日改めて行くか、近くの違う店に行くかだな」

 

「あー、そんな感じなんだ。それってユウくんも一緒に行くの?」

 

「まぁな。荷物持ちと気分転換を兼ねてな」

 

「それってデートって言えるのかなー?」

 

「なんでデートに結びつけようとするんだよ。ただの姉弟での買い物だろ。だいたいそんなもんだよ」

 

 

 姉弟での買い物ならたしかにそれ以外は何もないんだろうけどさ〜。普通は姉弟でも一緒に服買いに行かないんじゃないのかな?男の子が思春期……ユウくんが思春期とかないから気にせず買いに行けるのか。

 とりあえずそこは置いといて、友希那ちゃんがただの買い物として呼んでるのかはわかんないよね〜。

 

 

「ユウくん知ってる?」

 

「なにを?」

 

「麻耶ちゃんが言うにはね、男女二人で出かけるってなかなかないんだって。夫婦・カップル・それか付き合いたい相手が二人で出かけるらしいんだよね〜。身内はノーカンね」

 

「夫婦は?」

 

「血のつながりがないでしょ」

 

「そういうことか。……それで結局日菜は何が言いたいんだ?」

 

「だから、色んな女の子と二人きりで遊んでるユウくんってすごくラッキーなんだよって話」

 

「友希那とリサは幼馴染、結花は同じバンドのメンバー、そう考えたら紗夜と日菜の二人ってことになるんだが?」

 

「…贅沢な考えだよそれ」

 

「贅沢なのか」

 

 

 わりと今踏み込んだこと言ったんだけど、ユウくんにはやっぱり伝わらないよね。まぁ、伝えたいと思って言ったことじゃないし、伝えたかったのはその先の未来なんだけど、それも伝えれないよね。

 

 

「……?これって俺がすごい女たらしみたいなこと言われてないか?」

 

「そうとも言えるね。実際にユウくんって女たらしだよね?」

 

「失礼なやつだな。俺がいつそんなことをした。そもそも俺には誰一人彼女はできないし、そんな資格もない」

 

「はぁ。…気を取り直して!あたしの服選んでよね♪」

 

「よくそんなコロコロ変えれるな」

 

「ついてこられるってわかってるからね♪信頼だよ信頼!」

 

「…素直にありがたく思っとくよ」

 

 

 …ユウくんって前に比べたらちょっとだけ"自分"が出るようになったよね。中学の時のユウくんを知らないとわからない変化だけど、あたしにわかるってことはお姉ちゃんと友希那ちゃんも気づくこと。リサちーは…不安定になってたみたいだから気づいてるのかはわからないね。

 

 

「…こういうのなら日菜に合いそうだな」

 

「どれ〜?わぁ〜いいねいいね!さっっすがユウくん!すっごいるんっ♪て来たー!あたしこれにするね!!」

 

「決めるの早くね?他に見なくていいのか?」

 

「いいの!これ以上にるんっ♪てくるのない気がするし!」

 

「まぁ日菜がそれでいいなら。一応試着してこいよ、サイズってメーカーによって若干違うんだろ?」

 

「そうする!感想聞かせてほしいからユウくんもついてきて!」

 

 

 ユウくんが選んでくれた服の違うサイズも持ってユウくんを引っ張って試着室に行く。週末だからそれなりに人がいたけど運良く試着室の一つが空いてた。

 

 

「それじゃあちょっと待っててねー。…覗かないでね?」

 

「覗くわけがないだろ。変態と同列に扱われるのは心外だ」

 

「あはは、そうだよね〜。パパっと着替えるね」

 

「急がなくていいからな」

 

 

 ユウくんをあまり待たせたくないって気持ちは確かにあるんだけど、それ以上に早くこの服を着たあたしを見てもらいたいって気持ちがつよいんだよね〜。

 

 

「……ほんとに覗かないの?」

 

 

 カーテンをちょこっとだけ開けてユウくんに聞くと、ユウくんは呆れ顔でため息までついた。

 

 

「日菜は覗いてほしいのか?痴女なのか?」

 

「そんなわけないじゃん!さすがに失礼しちゃうよ!」

 

「なら服着ろよ。着替えてる途中でカーテンを開けるな」

 

「へ?………ぁ」

 

 

 ユウくんに言われて今気づいた!あたし着替えてる途中だったんだ!あたしの中じゃまだ服脱いでなかったのに!

 これじゃあユウくんに呆れられて当たり前だよね…。けど、ユウくんだけになら。

 

 

(はっ!いけないいけない。うっかり自分の世界に入るところだった)

 

 

 ユウくんが選んでくれたのは空色の服で、あまり装飾がないやつ。あたし好みのシンプルさと動きやすさがある。試着室にある鏡を見て自分で見てみるとるんっ♪てきただけあってあたし的にお気に入りに入る服だ。

 

 

「じゃじゃーん。どう?どう?自分でも結構この服あってると思うんだけど!」

 

「ああ。良く似合ってて可愛いよ」

 

「……そっかそっか」

 

「サイズはどうだ?」

 

「あ、……うん、ユウくんが選んでくれたこれでバッチリだよ!」

 

「そうか。それはよかった。ならもう一個のは片付けに行くか」

 

「お客様、それはこちらで預かります」

 

「そうですか?すみません、お願いします」

 

 

 ユウくんが店員さんとやり取りしてる間にあたしは今日来てきた服に着替え直す。今回は着替えてる途中で外見たりしてないからね?

 

 

「ユウくんこれ買ってくるねー」

 

「それなら一緒に行くから」

 

「あ、お客様少々よろしいでしょうか?」

 

「なんでしょう?」

 

 

 店員さんの話を聞くと、お店のPRのためにあたしとユウくんにモデルになってもらって何着分かの写真を取りたいらしい。もちろんその分この服はサービスで、今後もある程度のサービスをしてくれるとか。

 

 

「あたしは別にいいけどユウくんは?」

 

「日菜ももちろんのことながらダメだろ。店員さん実は俺たちーー、」

 

「……え、…えぇ!?に、似てるなーとは思いましたが…」

 

「あまり騒がないでください。騒動になると面倒なので」

 

「す、すみません。…ではこの話は」

 

「いえ、その話自体は受けさせてもらいます。ただ、日菜は後日ということでいいですか?色々と事情があるので」

 

「それはもちろん!受けていただけるなら待ちますとも!」

 

「えぇーユウくんだけー?」

 

「自分たちのグループの現状を見直せ」

 

 

 あたしたち?パスパレは活動自粛中だけど、この話は別にバンド関係ないし、個人だからよくない?

 

 

「やっぱ問題ない気がする」

 

「あるだろ。……その服とあと何着かはプレゼントするからそれで我慢してくれ」

 

「はぁ、わかりました〜。それとプレゼントはこれだけで十分だから」

 

「わかった」

 

「すみません。では彼女さんは後日改めて、ということでお願いします」

 

「彼女?誰が?」

 

「へ?あなたが彼女さんじゃないんですか?」

 

「ほんとに!?ほんとにそう見える!?」

 

「は、はい」

 

「そっかぁ〜♪」

 

 

 周りからはあたしたちのことカップルに見えるんだ〜。実際には付き合ってるわけじゃないんだけど、そう間違えられるのも嬉しいな〜♪

 あたしが喜んでる間に店員さんはユウくんに促されて何着かの服とカメラを取りに行ってた。

 

 

「日菜いきなりくっつくな」

 

「いいじゃん。あたしたちカップルに見えるらしいしさ」

 

「付き合ってるわけじゃないだろ…」

 

 

 ぶーぶー、ちょっとぐらい合わせてくれてもいいのにさ〜。…あ、でも抑えないといけないんだった。お姉ちゃんにはどうせ抑えれなくなるって言われたけど、あたしだってこれぐらいできるって示さないとね!

 

 

「お待たせしました。こちらの物でお願いします」

 

「わかりました。日菜悪いけどちょっと待ってくれるか?」

 

「いいよー!あたしもユウくんが色んな服着るのみたいしね♪」

 

「…あまり期待するなよ」

 

 

 そう言いながら用意された服に着替えたユウくんが出てきて、色んな角度から写真を撮られる。あたしは普段見ないユウくんの姿に心を奪われていた。

 仕事モードのユウくんを見るのは何気に今日が初めて。ライブの時は真剣さの中にまだ遊びの部分が残ってたけど、今回は違う。完全に気持ちを切り替えてる。

 

 

(ユウくんはやっぱり世界一だよ。ユウくん以外の人なんてあたしには考えれない)

 

 

 店員さんもあたしのことを気遣ってくれてるのか、できるだけ早いペースで写真を撮っていって、次々とユウくんに着替えてもらってた。あたしはそれを見ていくことで、あたしの中の気持ちがドンドン強くなるのを自覚することになった。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「今日のユウくんカッコよかったな〜」

 

「悪いな、せっかくの時間を奪って」

 

「いいってば!あたしは見たことなかったユウくんを見れて楽しかったもん♪」

 

「それならいいんだが…」

 

 

 あたしはユウくんに家まで送ってもらってる。いつも通る帰り道だけど、ユウくんといるだけで特別な感じがする。

 

 

「ユウくんあのね?」

 

「ん?」

 

「パスパレのライブが終わったら、もっともっとユウくんを誘うからね」

 

「…それは別にいいが、俺にも予定はあるんだからな?」

 

「わかってるよ。…けど、今年あたしが天体観測行く時は絶対についてきてね?…お願いだからこれだけは

 

「心配するな、必ず一緒に行くから。前遊んだ時も天体観測に誘われたしな」

 

「ありがと!!」

 

 

 さらっと言ったことだったのに覚えててくれたんだ。あたしはユウくんに思いっきり抱きついて、離れようとしないあたしに呆れたユウくんに抱きかかえられて家まで連れて行かれることになった。

 その場所から家まではそんなに離れてなかったから、近所の人に目撃されることなく着いたんだけど、家の前でお姉ちゃんに鉢合わせた時はすっごく恥ずかしかった。

 お姉ちゃんも顔を真っ赤にしてたけど、あたしとユウくんは二人まとめて説教された。…その後あたしはお姉ちゃんに説教の続きを受けたけど。

 

 




個人の仕事を前倒ししてるだけです。番組とかはそりゃあ時間ずらすの無理ですからね。
それと氷川姉妹は主人公絡んだらそれなりに会話しますけど、音楽のこととなると原作通りです。
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