レポートやらテスト勉強やらやってる時に、創作意欲が異常なぐらい湧くので気持ちが落ち着くまで執筆してるというのもあるんですけどね。
単位なんてギリギリでも取れればいいのだー!GPAなんて知らない!春に卒業できないの確定してるから!
今日は友希那たちRoseliaも参加するFWFのコンテスト日だ。そして、俺と結花が審査員としてこの会場に入る日でもある。
「あーあー、もっと近くで見たかったな〜」
「仕方ないだろ。本来俺たちみたいなやつはこっち側に立たないんだから。トップクラスのレジェンド扱いされてる奴らならまだしも」
「そうなんだけどさ〜。さすがに
「…かもな」
結花がぼやくのも仕方ないことなのだろう。俺たちだけ2階席のVIPルームにいるのだから。周りに人がいないのは気が休まるかもしれないが、ライブの審査はどれだけ客を引き寄せれてるかも見るはずだ。つまり、ここにいたら俺たちで審査できるのは単純な演奏技術だけだ。
(ちょっと無理言って入れてもらったらしいし、こんなもんか。モニターがあるから見えないことはないしな)
「…腹いせにそこの冷蔵庫の中身からにしようかな」
「請求されるからな」
「えー」
「それと入ってるのってほとんど酒だろ」
「ちょっとぐらいは飲んでみたくならない?」
「ならん」
「おもしろくないなー」
結花は俺にいったい何を期待してるんだ。ノリでそういうのをやりたければ他のメンバーとやってくれ。
「今日エントリーしてるバンドの資料でも見とけ」
「真面目だな〜。私は家で目を通してきたから見ないよ!」
「なんで威張ってんだよ…。結花の目線で期待できるやつはあったのか?」
「それなりにね〜。これにエントリーしてる時点である程度の実力があるわけだし、退屈せずにすむかな」
「それはよかったな」
「他人事みたいに言うね。実際他人事だけど…、雄弥はどうなの?気になるバンドあった?」
「別に。期待してみたら他のバンドと評価の基準が変わるだろ」
「ほんと真面目〜。仕事人ってやつだね☆」
「マネージャーもそのつもりで結花の付き添いに俺を送ったんだろ。結花は見て学べばいい。けど仕事はしないといけないからそれは俺が代わりにやる」
「そうする〜。私はボーカルに集中してていいんだよね?」
「そうだな。…ボーカルの評価ぐらいはしてもらうがな」
「りょーかい☆」
さてと、Roseliaはどこまでの実力を身につけたのか。たまにRoseliaの練習に行くことはあるが、その時は全体の演奏を見てないし教えてもいない。それはRoseliaの5人で作っていくものだ。Augenblickの俺がそこまで口を出したらそれはRoseliaの演奏じゃなくなるからな。
「そういえば雄弥の幼馴染がいるバンドも出るんだよね?」
「誰から聞いた?」
「大輝」
(今度また罰ゲームでも考えとくか)
「なんで教えてくれなかったのー?」
「教えたらそれ以外のバンドに集中しなくなるだろ」
「うっ……そ、そんなことないよ〜」
「目が泳ぎまくってるぞ」
(はぁ、一応ボーカルにも目を向けとくか。……
「…あれ?雄弥どっか行くの?」
「ちょっとな」
「?」
(それはそれとして、ちょっと寄ってくか)
〜〜〜〜〜
「うぅー、緊張してきた〜」
「人が……あんなに……」
「あこ、燐子落ち着きなさい。今までの練習の成果を発揮するだけよ」
「練習は裏切りません。私達の実力は十分通用するはずです」
「は…はい」
友希那と紗夜はああ言ってるけど、二人とも全く緊張してないってわけじゃないみたい。緊張はしてるけど、あとは実力を出し切るだけって自身を振るい立たせてるんだ。
「リサ姉は大丈夫なの?」
「え?アタシ?…だ、大丈夫大丈夫〜」
「…今井さんも……緊張されるんですね」
「燐子はアタシを何だと思ってるの?」
「す…すみません」
「けど意外だな〜。ダンスの時は緊張してなかったから、あこリサ姉は緊張しないのかと思ってた」
「今回はさすがに…ね」
「リサ電話したいならしてきなさい」
「へ?」
「今井さん先程からスマートフォンを握りっぱなしですよ」
あ、ほんとだ。自分でも気づかなかったな〜。…何かあったら雄弥に電話するか直接会う。それが今まで当たり前で、アタシはそれにずっと甘えてた。今も、というか今のほうが雄弥への依存心が高くなってるけど、アタシも成長しないといけない。
「…電話は、…大丈夫。しなくても自分でなんとかできるから」
(嘘、本当は電話したい。雄弥の声を聞きたい。だけど…)
「誰かに電話するのか?」
「あ…」
「えぇ!?なんで!?」
「…なぜここにいるのかしら?
楽屋の入り口には今まさにアタシの心が葛藤していた原因の雄弥が立ってた。何か紙袋持ってるし差し入れとか?いやそもそも何で雄弥がここに!?
「仕事関係でちょっとな。これはついでの差し入れ、みんなで分けて食べろ」
「わーいマカロンだー!りんりんも一緒に食べよ!」
「あこちゃん…それは…ライブの後にしよっか」
「あっ!お楽しみは取っておくってやつだね!わかったー!」
「宇田川さん浮かれないでください」
「紗夜さんは食べないんですか?」
「……私も後でいただきます。せっかく雄弥くんが持ってきてくれたのですから」
「それでリサは誰かに電話するんじゃなかったのか?」
「あはは〜、それはもういいの」
雄弥がキョトンってなって友希那にアイコンタクトを送るけど、友希那に軽くあしらわれてる。…たまにこういう可愛い一面があるのも雄弥の魅力かな〜。
「本番前で緊張してるかと思ったけど、案外リラックスできてるのな」
「それは雄弥のおかげよ。…いえ、差し入れのおかげかしら?」
「差し入れだけで緊張解けるなら今度からはスタッフに頼んどく」
「…ごめんなさい、雄弥が持ってきて」
「友希那さんが…」
「翻弄……されてる…」
「……あなた達失敗は許さないわよ」
「ひーー!」
「も、もちろん…です」
二人こんなとこ見られたら普段の友希那のイメージから離れすぎてて恥ずかしいよね〜。顔が若干赤くなってるし。
「リサも大丈夫そうだな」
「たった今大丈夫になった、かな?」
「疑問系かよ」
「あはは、リラックスできたのは本当だけど、やっぱり緊張はしちゃうよ。…Roseliaで1番下手なのはアタシだからね」
「Roselia内で言えばな」
「…どういうこと?」
「Roseliaは全員レベルが高い。友希那の歌唱力は前から言われてるようにプロでも上位に入る。紗夜のギターは正確無比なものであのレベルまで到達できる奴はそうそういない。あこのドラムは走りがちだがあの年であそこまでの演奏ができてるし、まだまだ伸びしろがある。燐子のキーボードは控えめな性格に反して、主張するところは主張されてるし、Roseliaに必要な旋律を奏でてる」
「…全員顔が真っ赤になってるよ」
「お前らな、自分の技量は正確に把握して、それに奢らなければもっと上にいけるからな。…それでリサ」
「う、うん」
「リサはブランク気にしてるようだが、リサの技量だって既に上級者レベルだ。Roseliaの演奏を成立させてるのは自分のベースだって思っていいからな」
「…え?……そ、そんなことないよ。アタシはまだまだ」
「自分はまだ成長中って認識はいいことだがな、リサの場合その思いが強すぎるんだよ。そこまでいくとかえって自分の演奏を魅せれないぞ。…みっちり練習したことはその指が証明してる。あとは出し切るだけだ」
「そう、だよね」
アタシのことをここまで言ってくれるのは、雄弥がアタシの技量を把握できてるからなんだ。そしてそれは雄弥があたしにベースを教えてくれてるから。
アタシの手を優しく包み込んでくれる雄弥の手。たったそれだけのことだけど、胸が暖かくなって肩に入ってた力も適度に抜けていく。
「…ごめん」
「リサは自信持っていいんだからな」
「ありがと」
「俺もRoseliaの演奏見てるから、"この5人"だからできる演奏聞かせてくれよ?」
「もちろん、期待しててね!」
「あこもババーンってやりますから見ててくださいね!」
「わ、私も…頑張ります」
雄弥がいてくれる。アタシたちを見てくれる。それがわかるだけで力が溢れてくる。アタシと同じで緊張してたあこも燐子も完全に緊張が解けていい状態になってる。
「わざわざありがとうございます。…いいんですか?」
「紗夜は察しがいいな。…ま、ちょっとした寄り道みたいなもんだよ。公私ぐらい分けれるしな」
「そうですか。では、仕事目線の雄弥くんを引き込める演奏にしてみせます」
「自分じゃよくわからんが俺は評価厳しいらしいぞ?…紗夜気負いすぎるなよ。一人で抱え込まなくていいからな」
「……わかっています。その時は頼りますね」
「ああ」
ん〜?なんか雄弥と紗夜がいい雰囲気になってるような……。って雄弥それ何してるの!
「なんで雄弥は紗夜の顔に手を添えてるのかな〜?」
「い、今井さん!…こ、これは、その」
「頭だと衣装のセットが崩れるだろ。頬なら大丈夫」
「ふ〜ん?」
アタシには手を握ってくれるだけだったのに紗夜にはそんなことするだ?
この後、友希那の仲裁が入るまでアタシは雄弥と紗夜に詰め寄った。
〜〜〜〜〜
「遅かったね」
「なんか拘束された」
「なにそれ?」
「俺にもよくわからん」
友希那の仲裁のおかげであの状態から脱した俺は、結花がいる部屋に戻った。結構ギリギリに戻ることになったが、まだ一つ目のバンドが演奏する前だ。
「このバンドも期待できるんだよね〜」
「楽しむだけで終わるなよ」
「わかってるよ☆」
順番に演奏を聞いていき、用意された項目に従って評価する。演奏が終わって次のバンドが演奏始めるまでに総評を自分なりに纏める。もちろんボーカルの評価は結花にやってもらう。
そうやって評価していき、(Roseliaの時は結花が「このバンドが幼馴染いるやつだよね!?」と騒いだが)特に問題なく全てのバンドの演奏を聞いた。この後は他の審査員と合流して話し合いとなる。
「いやー、いいバンドばっかりだったね〜」
「まぁな」
「これならRoseliaも上位に入るね。ただ、トップではないね」
「そりゃそうだ」
「ありゃ?雄弥もなかなか厳しいね」
「評価に私情を挟むわけないだろ」
「…裁判官にでもなれば?」
「向いてるかもな」
裁判官か、芸能活動を終了したあとの選択肢の一つとしてはアリだな。
審査の仕方はそれぞれの評価でトップ3だったバンドをあげていき、それにあげられたバンドの中から3つのバンドを話し合って選ぶというものだった。話し合いなら…、
「すみません、少しいいですか?」
この発言を聞いた結花に「雄弥のことがわかりそうだったのに、またわからなくなった」と言われるのだった。
〜〜〜〜〜
「あこ今日の演奏今までで1番よかった気がする!」
「実はアタシもなんだよね〜。持てる力を全部出しきったってやつ?」
「そう、ですね……今の私たちだからできる…そんな演奏でした」
「私もそう思います。湊さんはどうですか?」
「そうね…。演奏技術自体はまだまだ上を目指せるものだった。けれど、今日の演奏はまさしく私たちの全てを出したものだったわ」
「友希那さーーん!」
「ちょっ、あこ抱きつかないで!」
「宇田川さん、今日は見逃してあげます」
「紗夜!?」
みんないい笑顔だな〜。演奏に集中してたから雄弥を探すことなんてできなかったけど、きっと雄弥も納得してくれる演奏だった。
アタシもあこたちの和に入って盛り上がったけど、発表の時間が近づくと緊張して段々大人しくなる。
今できる最高の演奏をした。それは自身を持って言えること。
だけど、
現実は優しくはなかった。
「…なんで?あこたちの何がダメだっのかな」
「あ、Roseliaのみなさん。皆さんの演奏は本当に素晴らしいものでした。会議の時も文句なしに上位3位以内に入れれるとなったんですよ」
「ありがとうございます。それならばなぜ私たちは選ばれなかったのですか?」
「実はですね。Roseliaの皆さんが今回1番お若いということもあり、もうしばらく経験を積んでもらい、次のコンテストで1位通過してもらおうという意見が上がったんですよ。…まさか彼がそんな発言をするとは誰も思ってませんでしたね。しかも1位通過を断言するほどRoseliaの皆さんを信頼されてましたし」
「そんな人が…」
「あのー、できればその人の名前だけでも教えてほしいな〜、なんて…」
「……雄弥くんですね」
「へ?」
「雄弥さん?なんでですか紗夜さん」
「彼は今日仕事でここに来たと言っていました。この建物内で今日はコンテスト以外行われていないはず、ならば仕事の内容は審査員です」
「たしかに…それなら納得…ですね」
「凄いですね。彼に会われたのですか?」
「はい。その時に察しました」
本番前に来たあの時に紗夜はもうわかってたんだ。それはたぶん友希那もだよね。それでも友希那と紗夜はあれだけの演奏を…。二人はホントにすごいなー、アタシは知ってたらまた緊張しちゃってたんだろうな〜。
「…雄弥がそう言ったのなら私たちは雄弥の期待に、いえ雄弥の期待以上のバンドになるだけよ」
「そうだね。なんたってアタシたちは頂点を目指してるんだもんね♪」
「あこ燃えてきましたよー!雄弥さんたちのバンドを超えてやりましょう!」
「あら、珍しくいい心がけね宇田川さん。もちろん最初からそのつもりだったけど、あなたもその意識を持ってくれるのは嬉しいわ」
「私も……みなさんについていきます」
ふふん、見ときなよ雄弥。アタシたちは雄弥を超えるからね!
☆9評価 銀狐さんさん (●´ϖ`●)さん Jack@霧雨さん
☆8評価 極普通の狂人さん ありがとうございます!
たまーに感想を頂くことがあり、評価を貰った時と同じぐらいテンションあがってます。ありがとうございますm(_ _)m