陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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まさか震度5を体験するとは。震源地からは若干離れてるので6弱ではないんですよ。大体40kmぐらい離れてますね。


5話

 今日はユウくんと天体観測!二人きりってわけじゃないけど、こころちゃんといるのも楽しいから問題なし!こころちゃんも疾斗くんで遊んでるし、あたしもユウくんと遊んでてもいいよね?

 

 

「そんなわけでユウくんちょっと散歩行こうよ!こんな山の奥なんて来たことないし、るんっ♪てするやつがきっとあるよ!」

 

「どんなわけだ。……あー、そういうことか。ご飯は食べ終わってるし、まぁいいか」

 

「あははっ!これで伝わるのってユウくんだけだから嬉しいな〜♪もう以心伝心ってやつだね!」

 

「全部は分からないからな」

 

 

 たしかにユウくん相手でも伝わらないことはある。けど、ほとんどのことはユウくんに伝わる。しかもユウくんは優しいからあたしに合わせてくれる。もう遠慮しなくてよくなったからあたしも今まで以上に甘えられる。

 

 

「えい!」

 

「…今日はやけに引っ付いてくるな」

 

「ふふ〜ん♪これからはスキンシップが増えるよ〜♪…ユウくんは嫌?」

 

「別に。迷惑になんて思わないから日菜の好きにしたらいい」

 

「うん!」

 

 

 引っ付きすぎたら歩きにくいから、腕に抱きつくぐらいでいいや。それにしても大自然が広がってるな〜。こういうとこなら星もいっぱい見られるよね!

 

 

「いい天体観測ができそうだな」

 

「…へ?」

 

「こういう所なら街の光も無いから綺麗に星が見られるんじゃなかったか?」

 

「うん、見れるよ!今日は流星群も見れるんだよ!いや〜まさかユウくんがあたしと同じこと考えてたなんて、二人で同じことを同じタイミングで考えるなんて、もうるらるん♪だよ!」

 

「こんな偶然もあるんだな」

 

「えへへ」

 

 

 まさかこんな偶然があるなんて…。面白いし、嬉しいな〜。

 あたしが歩くのをやめるとユウくんがあたしの方に振り返る。そのタイミングを狙ってユウくんの胸に飛び込む。勢いよく飛び込んでもユウくんが衝撃を減らして受け止めてくれる。

 上を見上げるとユウくんがあたしを、あたしだけを見つめてくれる。そうしながらユウくんも腕をあたしの背中にまわして抱きしめてくれる。…変わった証、なんだろうけど、悪い言い方したら女慣れってやつかな?

 

 

「日菜ってだいぶ甘えん坊だな」

 

「えへへ。ほんとに、ほんとーーーに!ユウくんとこうやっていられるのが嬉しいんだもん!夜には天体観測だしね♪」

 

「そんなに喜ばれるとはな…。ま、それなら来た甲斐があるな」

 

「そう思うのはまだ早いよ〜。メインイベントがまだなんだから!」

 

「そうだな」

 

「…ユウくん、あたしも頭撫でてほしいなぁ。どうせリサちーにはよくしてるでしょ?」

 

「案外嫉妬深いんだな」

 

「女の子はみんなそういうものなの!」

 

「そうなのか」

 

 

 むー、絶対分かってないよね。ユウくんだから仕方ないことだけど。まぁでも撫でてくれるから良しとしますか♪…あ〜、もう夜までずっとこうしていたい。ユウくんに触れて、ユウくんに触れられていたい。

 そんな願いは叶わないんだけどね。ユウくんとの天体観測ってだけじゃなくて、こころちゃんとの天体観測でもあるし、人が住める星を探すしね!

 

 

「日菜ー!あっちの方まで行きましょ!」

 

「こころは空気を読めるようになれ」

 

「空気?漢字ぐらい読めるわよ?」

 

「…そうだな。悪い、雄弥、日菜。こころは話聞かなくてな」

 

「気にするな。少なくとも俺は招待されてる身だしな」

 

「……こころちゃんなら仕方ないよ」

 

「いやマジでごめん。雄弥、ずっと日菜といてやってくれ。あと手も繋いどけ」

 

「わかった」

 

「三人とも早く行きましょー!」

 

「今から行く!…って先に行きすぎだバカ!!」

 

 

 さきさき進むこころちゃんを疾斗くんが走って追いかける。…めちゃくちゃ速いね。陸上選手になったら世界選手権でトップ争いできるんじゃない?

 あたしがボーッと眺めてると、あたしの手がユウくんに握られる。いつもあたしからだから、ユウくんから握ってもらえるのは新鮮でるんっ♪てなった。

 

 

「握り直し〜」

 

「それは任せるが」

 

「恋人繋ぎっと!」

 

「…恋人じゃないだろ」

 

「細かいことはいいの!」

 

「…で、結局腕にも抱きついてくると」

 

「えへへ。いいんでしょ?」

 

「まぁな」

 

 

 これだけのことなのにすっごいるんっ♪ってする。最近はパスパレでも、ほとんど彩ちゃんのおかげでるんっ♪てすることが増えたけど、ユウくんの時はやっぱり違う。特別って感じがする。

 

 

「…ところで、こころちゃんたちどこまで行ったんだろうね」

 

「さぁな。疾斗に電話するか」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 疾斗の指示通り進んでいくと、無事に合流することができた。合流したのだが、人数が増えた。この子たちもこころの知り合いらしい。中には日菜の後輩もいるとか。…で、あの猫耳の子はなんでギターを持ってるんだろうな。

 

 

「日菜先輩お久しぶりです」

 

「つぐちゃん久しぶり〜。蘭ちゃんも香澄ちゃんも久しぶり!」

 

「日菜先輩も来てたんですね!…ところでその方は?」

 

「紹介するね!湊雄弥くんで通称ユウくん!友希那ちゃんの弟であたしの彼氏!」

 

「「えぇ!!」」

 

「ひ、日菜さん彼氏いたんですね」

 

「嘘つくな。しかもその通称は日菜しか使ってないだろ」

 

「ええ!!」

 

 

 猫耳の子リアクションが面白いな。他二人も驚いてるけどこの子ほどのリアクションじゃない。

 

 

 

「う、嘘なんですか?」

 

「ああ。付き合ってない」

 

「ぶーぶー、ちょっとぐらい合わせてくれもいいのにさ〜」

 

「俺は嘘をつかないからな」

 

「ま、いいや。それで香澄ちゃんたちは何してるの?」

 

 

 猫耳の子が戸山香澄。こころと同じ高校に通ってて、Poppin'Partyというバンドでギターボーカルしてるらしい。キラキラドキドキを追いかけてるとか、残念ながら理解できなかった。日菜のるんっ♪は分かるんだがな。

 黒髪に赤いメッシュの子が美竹蘭。日菜の後輩で、After growのギターボーカル。強気な性格だが、所謂ツンデレらしい。

 それで最後の茶髪の子が羽沢つぐみ。この子もAfter growに所属しててキーボード担当らしい。純粋で真面目な性格なんだとか。紗夜に良い影響を与えそうだな。

 それでこの三人は、天体観測ツアーに付いてきて香澄に付き合って夜の散歩をしてたんだとか。まぁ宿泊場所が分かってるらなんとかなるか。

 

 

「せっかくだし香澄ちゃんたちもこの山の上にあるこころちゃんの別荘で星をみようよ!」

 

「いいですねー!こころん!私行きたい!」

 

「いいわよ!私もみんなで見たいもの!」

 

「この二人が一緒にいたら誰がセーブするんだ?」

 

「…誰でも無理ですね」

 

「あ、あはは。私も蘭ちゃんと同意見、かな」

 

 

 なるほど放置か。あの二人は例え一人でも行動力が凄まじそうだな。普段から一緒にいる子には、ご愁傷さまと言うしかない。…今日は疾斗がその役なわけだが。

 

 

「あの二人に付いていきつつ程々に干渉する、でいいか」

 

「あたしはユウくんと一緒にいれたらなんでもいいよ!」

 

「…まぁ雄弥さんの案にのります」

 

蘭ちゃん。日菜さんってもしかしなくても…

 

そうだろうね。アタシたちはあの二人が邪魔しないようにするしかないね

 

「蘭ちゃん、つぐちゃんどうかした?」

 

「いえ、時間が来るまで長いねって話してただけです」

 

「あ~たしかに長いね。ま、みんなで遊んでたらあっという間じゃないかな」

 

「やることが無くならなければな」

 

「もうユウくん。それは言っちゃだめだよ!」

 

「…そうだったな。悪い」

 

 

 星が一番見える時間帯は夜、としか思っていない俺には、具体的に何時まで待機する必要があるのかわからない。日菜が言うには今日は流星群が見えるらしく、少なくともその時間までは待機だ。…何時かは知らないが。

 

 こころの別荘まで戻ってソファに座り込む。体がリラックス出来るからか、さっきまでハイテンションだった香澄とこころ、そして規則正しい生活をしてそうなつぐみが眠そうにし始めた。

 

 

「うぅ、眠たくなってきちゃった…」

 

「香澄が天体観測しようって誘ってきたんじゃん」

 

「蘭ちゃん、…私も眠くなってきた」

 

「私も寝ようかしら…」

 

「こら、お前も星を探すって言ってただろ」

 

「仮眠ぐらいならいいんじゃないか?あとで起こすぞ?」

 

「けど雄弥さん、この三人は寝たら起きなさそうですよ」

 

「えぇ……おきないわ。だから目が覚めるような話しして」

 

「無茶苦茶だな」

 

「……あ!それなら私が星の鼓動を聞いた話するね!」

 

「星の鼓動?面白そうだわ!」

 

 

 …話する前にもう目が覚めてるよな。まぁなんでもいいんだけど。日菜は…ちゃんと起きてられそうだな。

 香澄が聞いたという星の鼓動は、今の香澄が求めるキラキラドキドキの原点になってるらしい。抽象的な話かと思いきや、聞いていたら思いの外理解することができた。香澄にとってとても大事な話でもあったが、こちらも聞いていて面白いものだった。その後は疾斗がAugenblickの話をすることで、流星群が見られる時間まで全員が起きている状態を保った。

 

 

「わぁ〜〜すっごい綺麗!ユウくんすっごいよ!」

 

「ああ、見えてる」

 

「そうだ!せっかくならみんなで外で見ましょう!」

 

「こころんナイスアイデア!」

 

 

 急いで外に出る香澄とこころ。その二人を見失わいように追いかける疾斗。その後を蘭とつぐみが追いかけて、最後尾が俺と日菜。…日菜も走っていくかと思ったがそうでもなかった。

 視界いっぱいに広がる星空。町中では決して見られないほどに輝かしく無数の光がある。流星群を見られる時間でもあるため、星が流れるのも見える。

 

 

「外で見るとさらに綺麗だな」

 

「そうだね〜。前に本で読んだことあるけど、星の光って何千年、何万年も前の光が地球に届いてるんだって」

 

「素晴らしい話ね!」

 

「うーーん!私たちも星みたいに輝かなくっちゃ!」

 

「アタシたちの証を残せるように?」

 

「そうだね蘭ちゃん。頑張ろ!」

 

「…つぐみは程々にね」

 

「えぇー」

 

 

 何千何万年も前の光か、この瞬間に今輝いてる星が消滅していたとしても、人類がそれに気づくのは当分先ということか。…いや、そんなことよりも光の速度でもそれだけの年数がかかる距離でも光を届かせられる輝きの強さに驚くべきか。

 

 

「ユウくんちょっと…」

 

「日菜?……わかった」

 

「あれ?日菜先輩と雄弥先輩どこか行くんですか?」

 

「ちょっと散歩にね〜」

 

「じゃあ私も」

 

「香澄!今は二人だけにしてあげて」

 

「そうだよ香澄ちゃん。私たちは私たちで星を見よ」

 

「…二人がそう言うなら」

 

 

 俺は別に何人でもいいんだが、日菜の表情からして二人だけの方がいいんだろうな。蘭とつぐみには後でお礼を言っておくか。

 森の中に入って、少し歩いていった所にまた広らけた場所があった。その真ん中あたりに行ってから日菜の言うとおり仰向けに寝転がって星を眺める。

 

 

「日菜、ありがとう。こんな星空は今まで見たことなかった」

 

「どういたしまして。でも、あたしこそありがとう。また無理して予定空けてくれたんでしょ?」

 

「無理ってほどでもないんだがな」

 

「ううん。あたしも芸能界入ったからよくわかるんだよ。ユウくんがどれだけ忙しくて、どれだけ予定の調整が難しいのかも。だから、ありがとう」

 

「…どういたしまして」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 ユウくんに腕枕してもらいながら二人で星空を眺める。こころちゃんと星を探そうって言ってたのに結局探せてないや。こころちゃんと一緒にはいないけど、一応探しとこかな。…もう少し流星群を見てからにしよ。

 どれだけそうしていたのか。数分なのか数十分なのか、時計をつけてないから分からないし、こうする前の時間も見てないからわからない。

 ユウくんに腕枕してもらって、ユウくんの手を握ってるこの幸せな状態を一旦やめてあたしは体を起こす。同じように起きようとしたユウくんを抑えてユウくんの上に跨がる。

 ──そして、ユウくんの唇にあたしの唇を重ねた。目を閉じて、今回は何秒もかけて、あたしの心を満たすまで重ねた。自分の頬が赤くなるのがわかる。あたしだって恥ずかしいことがあるんだから。ゆっくりとユウくんから離れて目を開けると困惑してるユウくんが視界に入った。

 

 

(あぁ、やっぱりか…)

 

「…日菜?」

 

「ユウくん、よく言うけど、あたしはユウくんのことが大好き。ユウくん以外の人なんて考えられない」

 

「日菜何言って…」

 

「あたしはユウくんが好きなの!大好きなの!何回好きって言っても足りないぐらい、何回愛してるって言っても足りないぐらいユウくんが好きなの!…大好きなんだよ…ユウくんじゃないとダメなの。将来ユウくんと一緒に歩んでいたい。ユウくんと結婚したい。……あたしの好きはそういうことなんだよ」

 

 

 ムードもヘッタクレもない。あたしはこの感情が抑えられないから今告白した。ユウくんにあたしの気持ちをぶつけた。今まで我慢してた分ユウくんとこうしていられることが余計に嬉しくって、幸せで気持ちが爆発した。

 

 

「…そういうことだったのか。…それなら」

 

「簡単に付き合うなんて言わないでね」

 

「…日菜?」

 

「今ユウくんは恋愛感情がわからないわけだし、そんな状態で付き合うなんて言われたくない。それに、ユウくんは自覚できてないみたいだけどさ。ユウくんはこの状況でもあたしだけを見てるってわけじゃないよね(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「は?…そんなこと」

 

「あるよ!あたしにはわかる。…わかっちゃうんだよ。ユウくんは今でもリサちーのこと見てる。ちゃんとあたしを見て。こういう時はあたしだけを見て!」

 

 

 ユウくんが喋れないようにあたしはもう一度口を重ねた。ユウくんには難しいことだけど、だけど理解させないと。まずは恋ってなんなのかを意識させるとこからだよね。

 

 

「…日菜」

 

「ユウくんには宿題出さないとね。あたしは返事待ってるから。ユウくんは人に恋するってどういうことか、好きになるってどういうことか理解して。それから返事をちょうだい」

 

「俺に…そんなこと…」

 

「できるよ。なんたってあたしが好きになった人なんだもん♪」

 

 

 待ってるから。だから、絶対に答えを見つけてね?ユウくん。

 




日菜には頑張ってもらいました。
 いいかげん主人公は自分を理解しないとな!ヒロインが不憫だわ!…書いてるのは僕でした。
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