4章?それは告知通り7月です。
雄弥が朝からどこかへ出かけてる日に、アタシは結花と遊びに行くことになった。結花が今日一日オフらしく、前に遊びに行こうと話していたからそれが今日になった。別にデートに行くわけでもないから、アタシは普段着で行くことにした。
結花と待ち合わせしてる場所はショッピングモール前の広場。待ち合わせ場所としては定番な所だから、アタシ以外にも待ち合わせ場所にしてる人たちもいる。
(結花、ちゃんと見つけられるかな?)
「…結花って集合時間ちゃんとわかってるのかな〜」
「わかってるよ〜ん☆」
「ひゃあ!?…ちょっ、結花…やめっ」
「へ〜、リサって結構胸おっきいね〜」
「…このっ!離しなさい!」
「ぎゃっ!…いたーい」
後ろにいた結花の頭をつい肘で殴っちゃったけど、ほぼ全部結花が悪い気がする。半眼で後ろを見ると、結花は肘が当たったところを手で抑えてた。
「…もう、自業自得だよ」
「うぅ、傷物にされた〜。お嫁に行けないー」
「結花が言うとシャレにならないから!」
「あ、そっか。ごめんごめん、リサの初めて取っちゃったね☆」
「勘違いされる言い方しないでよ!」
「胸の話だよ?」
「知ってるよ!」
「…初めて?」
「うっ……」
アタシが押し黙ると、さっきまでからかってた結花まで黙り込んじゃった。気まずい空気が流れるけど、それを壊したのも結花だった。
「えっと…ほんとに触られたことなかった?雄弥にも?」
「あ、当たり前じゃん!」
「いや、うん。…ほんと…ごめん」
「悲しくなるから謝らないでよ…」
「悲しくなるってことは雄弥に触られたいとか?」
「そんな願望ないから!」
「雄弥ならラッキースケベとかで、もしかしたら〜なんて思ってたんだけど…」
「雄弥がそんなことするわけ無いじゃん!見られたぐらいだよ」
「なんか後半に気になること言ってたみたいだけど…。ま、いいや。いや〜雄弥のこと勘違いしちゃってたみたい。ごめんね新妻さん」
「新妻じゃない!…そんなことより、中入ろうよ」
「それもそうだね」
なんか結花といると、若返った母さんを相手してる感じがする。そんなに似てるわけじゃないけどさ。
ショッピングモールの中に入ると、冷房が効いてて涼しい。まだ7月の前半だけど気温は日に日に上がっていってて、日陰にいたとはいえ暑かった。
「生き返る〜」
「そんな大げさな…」
「リサはいつも肌露出してるから熱がこもらないんだろうけどさ。私の服は普通のだから熱がちょっとこもっちゃったりするんだよね〜」
「…なんか棘を感じるんだけど。それに日焼け対策が大変なんだよ?」
「ならそういうの着なきゃよくない?リサはギャルっぽいってだけでギャルじゃないじゃん?恋する乙女じゃん?」
「これもアタシのアイデンティティなんですー」
「じゃあもし雄弥がそういう服装やめてって言ったら、リサはどうする?」
「雄弥はそんなの言わないから」
「だから仮の話だってば。言わないだけで思うことあるかもよ?」
む、結花の言うことも一理あるね。雄弥が変わってきてることを考えたら、そう遠くないうちにそんなことを思うのかもしれない。…もしそうなったら。
「…露出少なめのやつにする、かな」
「やっぱりね」
「でも「少なめにするだけで、完全にやめるわけじゃない。でしょ?」…うん」
「そんなとこだろうと思った。遊ぶ場所をショッピングモールにして正解だったね」
「…ということは」
「リサの服を買うよ☆夏本番で着る服とあとは水着もね。どうせ海に行くでしょ?」
「まぁ行けたら行くけどさ…」
「雄弥がいないと行かないって?…あ、それとも雄弥に選んでもらいたかった?」
なんで結花って、こんなにぽんぼんと人が思ってることを当ててくるんだろ。絶対に雄弥がいないと嫌とか、雄弥に選んでもらわないと嫌とかじゃないけど。どうせなら二人で出かけたときにでもって思わなくもないんだよね〜。
「結花は服とか水着買わないの?」
「私?私ならもう買ってあるから」
「早いね」
「ついこの間だけどね〜。Augenblickで自分をコーデするって番組の撮影があってさ。その時にそのまま買ったんだよ」
「へ〜。…え、水着も?」
「撮影は服だけだよ?撮影終わった後にメンバーを全員捕まえて水着選びに行ったんだ〜」
「よく捕まえれたね」
「苦労したよ〜」
結花はその時のことを思い出すように瞼を閉じて何度か頷く。あれだけ個性あるメンバーを全員って凄いよね。特にリーダーを捕まえるのが一番苦労しそう。雄弥はたぶんすぐに承諾しただろうけどさ。
「まず雄弥を抑えて」
「やっぱり?」
「うん。その次に疾斗を捕まえてさ〜」
「え?最後じゃないの!?」
「弱み握ってたからね☆」
「うわ〜」
賢いというか小賢しいというか、結花らしいと言えばそれまでなんだけどね。それ以外にもAugenblickの話を結花から聞きながらお店に向かった。服を先かと思ってたけど、水着が先みたい。理由は単純に近いかららしい。
「今年のも可愛いの多いね〜」
「リサ去年も買いに来たの?」
「去年は買ってないよ。けどどんなのが出てるか気になるじゃん?それで見てたんだ〜」
「なるほどね〜。…今更だけどさ」
「うん?」
「水着買うなら友希那も連れてきたら良かったかな」
「あ~。友希那はどうだろ…。たぶん誘っても来なかったと思うよ。あんまり海とかで遊ぼうとしないから」
「簡単に想像できるね。じゃあ私たちで友希那のも選ぼっか。それで夏休みは海に強制連行で!」
「いいね〜♪」
いない人の水着選びにモチベーションを上げたアタシ達は、友希那に似合いそうなをいくつか手にとって、その中から友希那が嫌がらないやつを選ぶことにした。…んだけど、
「結花、さっきからネタに走ってない?」
「友希那なら猫要素がある水着を着てくれる気がする!」
「見てみたいけど…見てみたいけど!親友がそんな水着で人目の多い場所にいるのはヤダからね!」
「ちぇー。…今度こっそり友希那のタンスに入れとこ」
「買うのはやめないんだ…」
「もちろん!友希那が家で試着してくれたら写真送るね☆」
「ありがとう〜」
「さてと、真面目に選ぶならリサが持ってるやつの…コレとか?」
「アタシもコレかな〜って思ってたんだよねー。友希那のはこれで決まりっと」
「それじゃあ次はリサのだね☆」
「うっ、お手柔らかにお願いします」
結花は顔をニヤニヤさせながら両手をワキワキと動かしてる。どう見ても選びながら弄る気満々だよ。…服買う時の体力残るかな。
「まぁ、リサのはどれがいいか予め候補を考えてるんだけどね☆」
「へ?」
「私の水着買った時にリサたちとも海行きたいな〜って思ってさ。それでリサと私ってスタイル近いじゃん?だからこれとか似合いそうって思いながら自分のを選んだんだよね〜」
「そうだったんだ。…なんか恥ずかしいんですけど」
「いいじゃんいいじゃん。さっき採寸もしたからサイズも把握できてるよ〜?」
「採寸っていつの…ま、に……まさか」
「合流した時のアレです!てへっ☆」
「もうなんか怒るの疲れてきたよ…」
「私の候補から選んでもいいけど、リサが全部決める?」
「…一通り見てみるよ」
「だよね」
結花は2度目のはずなのに、色んな水着にトキメイてた。気持ちはわからなくもない。前見て気になったやつを改めて見たりすることもあるし、見てて飽きないからね。
アタシも色んな水着に目移りしながら、自分の好みの水着や自分が似合いそうなのを探す。端から端を往復するなんて当たり前だ。
「コレのうちのどれかかな〜」
「試着してみたら?私が考えた候補も入ってるし、実際に着てみてわかることもあるしね。大丈夫男の子はいないから」
「…そうしてみる」
「あ、私が感想言おっか?」
「うん。お願い」
「オッケー♪」
結花のファッションセンスはレベルが高いから、正直アタシでも勉強になることがある。前に聞いたけど、あのウエディングドレスも次作る衣装も結花が考案したらしい。
順番に着替えては結花に見てもらって、その中から一着を選ぶことができた。他のやつを元の位置に戻してから友希那のとアタシのを持ってレジで精算して、次は服屋に向かう。
「結花のおかげでいつもより早く決めれたよ〜。ありがとう♪」
「どういたしまして。アタシはリサのセンスの良さに驚きだよ」
「そうかな?結花ほどじゃないと思うんだけど」
「そんなことないって。お互いちょっと方向性が違うから、参考にすることあるんだよ?」
「そう言って貰えると嬉しいよ〜」
「しかも選んだやつが
「……………え?」
な、なんて?選んだ水着が、ゆ、雄弥の好みに合ってる?いやいやそんな馬鹿なことないでしょ〜。あの雄弥だよ?人のファッションのコメントなんて頼まれなきゃしない雄弥だよ?そんな好みの服とかあるわけないじゃん。
「私の水着を買った時にね。『コレとかリサに合いそうじゃない?』みたいに聞いていって、一番反応良かったのをメモしといたんだ〜。反応自体は薄いから察知するのしんどかったよ?それでリサが同じの選ぶんだもん。驚いちゃった」
「なっ……ぇ、…へ?」
「あはは!リサってば顔真っ赤!」
「うぅ〜」
「この調子で服も雄弥好みのやつになるのかな?」
「しらない」
いつもなら可愛い服だなーとか、着てみたいなーとかで選んでいくんだけど、今日はさっきのこともあってそうならなかった。どうしても雄弥のことが頭によぎっちゃった。
結花の意見も聞きながらとりあえず一着だけ買うことにした。せっかく来たのだから買いたいっていう思いがあったから。だけど一着だけになったのは、落ちついて服を選べなかったから。
フードコートでお昼を食べた後、カフェに移動してお互いのバンドの話をすることになった。
「…ところでリサ気づいてる?」
「何に?」
「途中からリサ、雄弥の話しかしてないよ」
「……ソンナコトナイヨ」
「いや〜、バンドの話してたのにさり気なく惚気話が始まるとはね〜?そんなに好きなんだね☆」
「ゆ、結花が雄弥の話ししたから」
「対抗しようって?嫉妬しちゃって可愛いね〜」
「…アタシやっぱり嫉妬深いよね。ついこの前雄弥に問い詰めたことがあったんだけど、雄弥は答えてくれなかったし」
「雄弥が?何を聞いたの?」
アタシは
「雄弥はそうだろうね〜。けど、
「なんでそう思うの?」
「だって、その時にリサの望み通り言ってもさ、たぶんリサは納得できなかったよ?」
「そんな、こと…」
「…雄弥が答えを見つけて、その時に言ってもらわないとリサは納得できないと思う。それはたぶん紗夜と日菜も同じ。だから二人は待ってるんだろうしね」
「……そっか」
結花の言うとおりかもしれない。雄弥は答えを出せてないから、あの時に答えてくれなかったんだと思うと、抱えてたモヤモヤが消えていくのがわかった。
「ありがとう結花。おかげで胸が軽くなったよ」
「どういたしまして。あーそれと、悪い言い方すると雄弥は見境無いからね。リサみたいに独占欲があって嫉妬深い方が丁度いいでしょ」
「あははー、ありがと…」
「さ、この話は終わり!元のバンドの話に戻ろ?Roseliaの次のライブのこと詳しく聞きたいな〜」
「あ、うん」
結花の強引さに助けられながら、アタシはRoseliaに話をした。次のライブの日程や場所だけじゃない。それに向けて練習してる今のRoseliaの様子の話もした。結花はRoseliaの練習を見たことがないから、興味津々って感じで聞いてくれた。
〜〜〜〜〜
ショッピングモールからの帰り道を結花と並びながら帰る。結花は友希那のお母さんに言われて今は湊家に居候してるから、帰る方面が一緒なんだ。…最近居候って流行ってるのかな?
「湊家にいて、どんな感じ?」
「質問がアバウトだねー。…楽しいよ、みんな受け入れてくれるから、家族って温かいな〜って思う」
「…結花」
「けど、やっぱり私のお母さんはあの人だから。…酷い目にあったけど、産まれたのはあの人のおかげだから」
「それでいいと思うよ。お母さんはお母さん。それだけで十分だと思う」
「あはは〜。ありがとうリサ☆」
「どういたしまして♪結花にはいっぱい助けられてるからね♪」
「…そんなことないよ」
「結花?」
「ううん。なーんでも!今度友希那の採寸でもしようかな〜って」
「…本気で怒られるからやめといたほうがいいよ」
「ならやっぱりリサで!」
「ダメだからね!」
歩いて帰っていると住宅街に入ってくる。もうしばらく進めばアタシ達の家がある。そんな通りに珍しく高級車が止まってた。この辺じゃ全く見ないような黒塗りの高級車。
アタシはそれを横目に眺めながら通り過ぎようとしたら、突然ドアが空いて中に引きこまれた。声を上げようとしたら布を口に当てられて声が出せない。しかも段々と意識が薄れていく。
(ゆう…や……たす…け…)
最後に見えたのは似たように布を当てられてる結花の姿と、地面に落ちているアタシ達の買い物袋だった。
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