陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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毎日更新の目標は…そうですねー、目指せ2週間ですかね。


6話

 

 今日の練習が終わったあとアタシたちは近くのファミレスに来てて、雄弥の時間もちょうどよかったから雄弥が来るのを五人で待ってた。

 

 

「お、きたきた!おーい!雄弥こっちー!」 

 

「そんな大声出さなくてもわかってる」

 

「あはは〜、ごめんごめん」

 

「すみません雄弥くん。呼び出してしまって」

 

「気にするな。ある程度自由に動けるからな」

 

「はぁ、事務所の方を困らせないでよ」

 

「友希那が心配するほど気ままに動いてはいないぞ」

 

「そう、それならいいのだけれど」

 

 

 放課後に雄弥に会うのも久しぶりな気がするな〜。数日会わなかっただけなんだけど。放課後にファミレスってのが久々だからかな?

 

 

「それでそこの子は?」

 

「あ、そうだった!会うの初めてなんだよね。この子が昨日電話で言ったキーボード担当の白金燐子。超ピアノうまいんだよ〜」

 

「それとあこの大親友なんだ〜!いっつもりんりんには助けてもらってるんだよ!」

 

「助けられるのを自慢気に言ってどうする」

 

「あ、あの……私も…あこちゃんには…助けてもらってるので」

 

「なるほど、いい関係だな。友希那の弟の湊雄弥だ、よろしくな」

 

「白金…燐子です。…こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

 うんうん、顔合わせもできたことだし、さっそく注文しようかな〜。みんなは何食べるんだろ。今食べ過ぎたら晩御飯が食べれなくなるし〜。

 

 

「雄弥はいつも通り(・・・・・)?」

 

「ああ、そうしてくれ」 

 

「うわ〜、その『いつもの』っていうのカッコイイです!」

 

「あこ、あなたのイメージとは間違いなく離れてるわよ」

 

「へ?」

 

「…と…言いますと?」

 

「いつもリサが雄弥の食べるメニューを決めるの」 

 

「「……」」

 

 

 「なんだそれ」って感じであこと燐子と紗夜がアタシと雄弥の顔を交互に見る。雄弥は逆に「なんだこいつら?」って感じだけど。

 

 

(うん。まぁ普通そうなるよね。いつも自分で決めないのかってなるよね)

 

「雄弥さんとリサ姉って付き合ってるの?」

 

「ふぇっ!」

 

(ガタガタ)

 

「湊さん……氷川さん…どうかされました?」

 

「いえ、何でもないわ」

 

「少し驚いただけです」

 

 

 この前バイトの時にモカにも言われたけど、そ、そんなにそういうふうに見えるのかな〜、アタシたちって。

 とりあえず店員さんにみんなの分の注文を言ってからあこに詰め寄る。

 

 

「あ、あこいきなり何言ってるのかなー?」

 

「俺とリサは別に付き合ってないぞ?」

 

(そんなハッキリ否定しなくてもいいじゃん!)

 

「えぇー、だってお互い信頼してるし、リサ姉なんて雄弥さんのこと全部わかってる感じするし、なんというか恋人というより……うーん」

 

「……夫婦?」

 

「そうそれ!」

 

((ブフォ))

 

「友希那さん、紗夜さん大丈夫ですか!?」

 

「え、ええ問題ないわ」

 

「水が気道に入ってしまっただけです」

 

「ふ、ふぅふ……」

 

(あ、あたしと雄弥が、ふ…夫婦!?夫婦ってあの夫婦?同棲してて子どもが居て〜とかのあの!?)

 

「何言ってんだあこ。俺とリサが夫婦になれるわけないだろ」

 

「「「「………」」」」

 

「?みんな黙ってどうした?」

 

「雄弥さん…」

「それは…いくらなんでも」 

「デリカシーが無さすぎます」

「一度生まれ変わってきなさい」

 

「姉だけ辛辣だな」

 

 

 あー、そっか〜。うん、そうだよね〜。うんうん、無関心無感情な雄弥が恋愛なんて理解できないよね〜。乙女心も知らないだろうし、知ろうとするのかも怪しいよね〜。

 

 

「ちなみにさ、雄弥」 

 

「どうしたリ、サ」

 

「ん?なんで言いよどんだのかな?アタシの名前を」

 

「すまん、笑ってるのに笑ってないっていうの初めて見て驚いただけだ」

 

「そっかそっか〜。アタシ笑顔のはずなんだけど笑ってないように見えるんだ〜」 

 

「いや、ほんと、ごめん。それで何か聞くんじゃなかったのか?」

 

「あ~それね。仮の話だけど、アタシと結婚できない理由ってなんなのかな〜と思って」

 

(うわ〜。アタシなんでこんなこと聞いちゃってるんだろ!こんなのアタシが雄弥に気があるとしか捉えられないじゃん!)

 

「だって法律で決まってるのって男は18歳以上だろ?俺はまだ17歳にもなってないぞ」

 

「「「「「………あ~」」」」」 

 

「それに仮に結婚するなら相手と産まれてくるならその子どもも養っていくだけの甲斐性が必要だし、それだけの収入も必要だ。…あとは俺には相手を幸せにすることはできないってのもあるか」

 

「それはどういう…」

 

「んー、その話はまた今度機会があればな。それより食べようぜ、冷めたら美味しくないだろ」 

 

「それもそうね」

 

 雄弥が話を強引に切り上げて友希那がそれに便乗する。友希那は雄弥がそう言う理由を知ってるから雄弥に協力したんだ。そして友希那も食べ始めたから他のメンバーも注文したメニューを食べ始める。そんなガッツリしたのを注文した人はいないんだけどね。

 

 

「そういやドリンクバーって頼んでたよな?」

 

「…あ、完全に忘れてました!」

 

「ならあたしが取ってくるよ。みんな何がいい?」

 

「あこも手伝う!」 

 

「わたしも…」

 

「二人ともありがとう☆」

 

 

 雄弥はアタシと同じのでいっか。友希那はコーヒーに砂糖をいっぱい入れたらよかったし。紗夜のは、あこが聞いてくれてるみたいだね。

 

 

「リサ姉と雄弥さんも幼馴染なんだよね?」

 

「え?うんそうだよ〜。ただ、アタシと友希那が知り合った後に雄弥とはであったんだけどね。たしか小学校五年生の時だったかな〜」

 

「そんなあと…なんですね。……幼い頃…とかには…会ってなかったんですか?」

 

「うん。アタシだけじゃなくて友希那も雄弥と会ったのは小学校五年生の時なんだけどね」

 

「え、なんで?友希那さんと雄弥さんは姉弟なんでしょ?髪の色だってほとんど同じだし」

 

「友希那を基準にしたら雄弥の髪がちょっと暗い感じ、かな」

 

「……なにか…事情が……あるんですね」

 

「ちょっと複雑な事情が、ね。ま〜アタシが勝手に話していいのか分かんないから今は教えられないけど」

 

「気になるけどリサ姉がそう言うなら我慢するね!」

 

「ありがとう〜。飲み物も入れれたことだし戻ろっか♪」

 

「「うん!(はい)」」

 

 

 席に戻ると三人は談笑とかはしてなかった。全員自分から話を振るタイプじゃないもんね。音楽以外は。

 

 

(というかちょっと雰囲気が暗い?なんだろ…大したことじゃなさそうだけど)

 

「悪いなリサ、取ってきてもらって」

 

「いいっていいって!それより雄弥のバンドのライブ決まった?」

 

「…あ、チケットを渡そうと思ってたんだ」 

 

「うそ!?もうあるの!?」

 

「ちょうど五枚貰ってきたからその日空いてたら来てみたら?」

 

「うんもっちろん!友希那も行くよね?」

 

「ええ、学べることがあるもの」

 

「みんなは?」 

 

「あこも行くー!…けど、りんりんは来れる?人多いと思うけど」

 

 

 あ、そっか燐子は人が多い場所だめなんだった。みんなで行きたかったけど、燐子だけ抜きってのもな〜。

 

 

「そのチケットで入る場所は関係者席だから人混みの中ってことはないぞ?」

 

「そう…なんですか?」

 

「ミュージカルの2階席の横のとこみたいな?」

 

「そんな感じ」

 

「それなら…大丈夫、だと思います」

 

「やったー!」

 

「白金さんも来られるのなら私も行きます」

 

「なら全員だね♪」

 

 

 家族以外でこの人数で一緒に雄弥のライブ見に行くなんて初めてだな〜。前までは友希那の家の人とうちの家族で見に行ってたから。

 

 

「あ、日課がまだだったね」

 

「日課?リサ姉なにかやってるの?」

 

「アタシというよりは雄弥の日課なんだけどね」

 

「雄弥くんの、ですか」

 

 あ、紗夜が興味持った。そういえば紗夜って前から雄弥のこと知ってるんだっけ…。アタシらが知らないうちに知り合ったってことは、あの時期(・・・・)なんだろうけど。まぁアタシらの事情を話してないのに聞き出すのは筋が通らないよね。

 

 

「俺が自分から始めたわけじゃないんだがな。単純に今日あったことを友希那かリサに話すってだけのことだ」

 

「雄弥のことを理解しようってのがこの日課の始まりなんだ〜」

 

「成果はそれなりにはってところね」

 

「…私たちが……聞いてもいいんでしょうか」

 

「人に言えない話をするわけじゃないから気にするな。話といっても俺は高校には通ってないから事務所であった話を当たり障りのない範囲でってことになるが」

 

「ええ!芸能界のこと聞けるんですか!?」

 

「宇田川さん騒がないでください!他のお客さんに迷惑です!」

 

「あ、ごめんなさい…」

 

「遅くなっても仕方がない。今日は大したこともなかったから手短に話すぞ」

 

「わかったわ。聞かせて」

 

 

 あはは、あこの気持ちもわかるな〜。アタシも雄弥が芸能界に入ったときはそうやって浮かれたし。それにしても友希那ってアタシほど雄弥と話さないけど雄弥のことちゃんと理解できてるよね。やっぱ"家族"だからかな…。

 雄弥は大したことはなかったって言うけど、いつも話の中に必ず面白いことがある。本人が気づいてないだけで、アタシや友希那はそこに気づいたら必ずそこを指摘する。少しでも雄弥に感情が生まれることを願って。

 

 手短に纏められた話を聞き終わったところで今日は解散となった。前ほど遅くはならなかったから送られなくて大丈夫とあこに念を押され、別れ道までは一緒に帰って途中で別れた。

 雄弥の話しで少し気になることはあった。それは面白いこととは別で、雄弥があえて話そうとしなかった部分だ。いつも内容を選んでいるのだけれどそれでも今日はそこからさらに言葉を選んでた。

 

(いったいなにがあったんだろ…。アタシたちには話してくれないのかな)

 

「…雄弥にアタシたちのバンド名を教えるの忘れてたね」

 

「決まったのか」

 

「ええ。私たちのバンド名は」

 

 

 友希那がちらっとアタシの方を見る。それだけでアタシは何をすればいいのか理解して、一旦思考をやめた。

 

 

「「Roseliaよ(だよ)」」

 

 

 雄弥に隠し事ができた。そのこと自体は感情の芽生えなのだとそう判断して。




☆8評価 torin Silverさん ありがとうございます!
お気に入り件数80件超えました。見た瞬間しばらく固まりましたー、嬉しい限りです。
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