陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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さてと、テストで散ってきますかね。


3話

 

 学園祭一日目、ライブは二日目だからゆっくりしてようと思っていたら結花が部屋に入ってきた。この前気づいたのだが、俺の部屋の鍵が壊されてた。鍵を閉めて引き篭もっていたらしく、結花が中に入るために壊したようだ。

 

 

「学園祭行くよ!」

 

「行ってらっしゃい」

 

「雄弥も行くの!」

 

「なんでだよ。ライブは明日だろ?」

 

「学園祭だよ?楽しまなきゃ損でしょ!」

 

「俺はそう思わないから」

 

「いいからいーくーのー!」

 

 

 なんでこんな強引なんだよ…。俺じゃなくて友希那と一緒に学園祭を楽しめばいいんじゃないのか?

 

 

「友希那とは二日目に一緒に過ごすって決めてるから今日は雄弥なの!」

 

「人の心を読むな」

 

「お姉ちゃんだからセーフ」

 

「なんだそれ」

 

「いいから!ほら行くよ!」

 

「わかったから引っ張るな」

 

 

 結局結花に押し切られることになった。花咲川と羽丘が同時に学園祭をしているため、どちらも回ることができる。ライブがあるから明日友希那と回るのは羽丘の方らしい。だから今日は花咲川に行くことになった。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 雄弥を外に連れ出すことに成功した。…まぁ今の雄弥を外に連れ出すのは簡単なんだけどね。多少強引になれば可能になるんだから。元々もすぐに連れ出せたけど。

 

 

「学園祭楽しみだね〜♪」

 

「…そうだな」

 

「もぅー。雄弥ってば全然笑顔になってないよ」

 

「元からだ」

 

「…たしかに」

 

 

 言われてみれば雄弥ってそんな笑顔になることなかったね。リサと付き合ってからもそんなに笑顔になってなかった。代わりに表情が明るくなった。だから雄弥がどう思っているのか、周りの人達も気付けるようになった。

 だけど今は全然だね。友希那が言うには小学校の時みたいになってるらしい。表情が無くなってるのが。…さらに精神状態は今の方が悪いから、誰かしら側にいないといけない。リサは復活傾向にあるんだけどね。

 

 

「ねぇねぇ、学園祭ってどんなの?」

 

「は?」

 

「ほらー、私って今日が初めてだしさ〜」

 

「……そうだったな。友希那からは聞いてないのか?」

 

「一応聞いたよ。けど雄弥の意見も聞きたい。楽しいお祭りだよ?色んな人から話聞きたいじゃん!」

 

「はぁ」

 

 

 そんなあからさまにため息つかなくてもいいじゃん!…こうやって連れ出す方がストレスなのかな?けど友希那からは雄弥を連れ出せって言われてるし。

 

 

「…学園祭はたしかに楽しいと思うぞ」

 

「へ?」

 

「各クラスが自分たちでやる事を決めて、自分たちで看板やら飾りやら用意する。そうやって協力してやるらしいからな。雰囲気が明るいんだよ。だからこっちも楽しめる」

 

「なるほどね〜。雄弥がそう言うならホントに楽しめるんだろうね〜」

 

「さぁな」

 

「そこで落とす!?」

 

 

 雄弥との会話を繋げながら花咲川に入る。正門にも飾り付けがあって、学校全体で盛り上げようっていう意識が伝わってきた。あの理事長が教師陣の中で一番張り切ったんだろうね。予算とか気にしてなさそうな豪華さがチラホラ見えるし。

 

 

「雄弥どこから行く?」

 

「結花の好きにしたらいい。パンフレットも貰ってるんだろ?」

 

「うん。紗夜から受け取ってるよ。…色々あるから迷うね〜」

 

「全部は回れないと思っておいた方がいいぞ。この人の多さだからな」

 

「だよね。…お!これ行こうよ!」

 

「ストラックアウト?」

 

「のサッカー版!」

 

 

 雄弥の腕を引っ張ってグラウンドへと走る。「急がなくてもいいだろ」って言うのにちゃんとペースを合わせて走ってくれた。リサが言ってた通りギリギリの状態だからかな。

 

 

「あー!雄弥と結花じゃない!遊びに来てくれたの?」

 

「やっほーこころ!遊びに来たよ〜。こころのクラスがこれやってるんだね」

 

「そうよ!サッカー部の人が発案したの!」

 

「……美咲」

 

「…こころが『面白そうね!』って言って確定しました」

 

「やっぱりか」

 

「…雄弥さん」

 

「ん?」

 

「…無理はしないでくださいね」

 

「気を遣わせたか。…悪いな今の俺にはそれの基準がわからないんだ」

 

「っ!…そうですか。すみません出過ぎたことを言って」

 

「いや、いい。美咲は優しいんだな」

 

「なっ!…そ、そんなことないですって、普通ですから。…雄弥さんにそんなこと言われたら調子狂うんですけど」

 

「そうか。疾斗じゃないとな」

 

「そういう意味じゃないですから!」

 

 

 あれあれー?私とこころが盛り上がってる間に雄弥と美咲も盛り上がってるね。まぁいい傾向だね。美咲みたいに深く踏み込んでこない子は、今の雄弥にとって心地いいんだろうな〜。こころもすっごく細かく人のこと見てるけど、なんせこの性格だからね。今の雄弥にはキツイだろうね。

 

 

「さぁさぁさっそく始めましょ!女子の結花はここからで、男子の雄弥はそっちの印の所からよ!」

 

「一応景品も用意してますんで」

 

「景品!?ハワイ旅行とか!?」

 

「いや、あの、一応学生なんでそれは勘弁してください」

 

「あはは!冗談だよ☆」

 

「で、ですよね〜。あは、あははは」

 

(目が本気だったんですけど…)

 

「ハワイ旅行!それいいわね!」

 

「いや無理でしょ!何言ってんの!クラスの人たちのお小遣いがなくなるよ!」

 

「それは私が出すからいいのよ!ルールはそうね〜。的は10個あるのだし、10球で全ての的を当てたらということでいいんじゃないかしら!」

 

「わ、こころにしてはまともな提案…」

 

「のった!雄弥も挑戦してよ!」

 

 

 なんか我関せずみたいに美咲とこころと一緒にいるけど、雄弥も楽しまないと意味ないんだからね!

 ちなみに参加賞とかは普通だよね。あの袋に入ってるだろうからお菓子とかかな。

 

 

「結花が失敗したらやる」

 

「それは関係なくやってよ〜」

 

「…わかった」

 

「よし!これでハワイ旅行はゲットだね!」

 

「…ちなみにさ、こころ」

 

「何かしら美咲」

 

「ハワイ旅行って何人までの旅費を出す気なの?」

 

「あら、制限を決める必要があるのかしら?」

 

「ですよね〜」

 

 

 さっすがこころ!太っ腹だね!本人はめちゃくちゃ健康的なスタイルだけど。…というかこころも天才側の人間だよね。こころにこれやらせたら全部当てそうだよね。

 

 

「雄弥ー!ハワイ行こうね〜!」

 

「友希那と行ってこい」

 

「何言ってんの!みんなで行くに決まってるでしょ☆」

 

「あの、始めてもらっていいですか。他のお客さんも来てますんで」

 

「あわわ、ごめん!すぐにやるね〜」

 

 

 狙いを定めて助走をつけてっと!

 

 

 

 

 

「……ぐすん

 

「泣くなよ。あと1個まではできてたじゃねぇか」

 

「うぅ…ハワイ行きたかったもん」

 

「あの、ガチ泣きされるとこっちが悪いみたいになって心苦しいんですけど」

 

「大丈夫結花!まだ雄弥がやってないじゃない!」

 

「ゆうやぁー」

 

「わかった任せろ。コレで涙でも拭いて待ってろ」

 

「うん」

 

 

 よーし、これで雄弥が頑張ってくれるね!え?演技だったかって?………そういうことにしといて。

 

 雄弥は宣言通りに見事にやってくれた。全部のシュートが的のど真ん中に当たってた。私とこころは二人で大はしゃぎして、美咲は「やっぱりな〜」って呆れてた。

 

 

「これでいいんだろ?」

 

「うん!ありがとう雄弥☆」

 

「別に」

 

「照れちゃって〜」

 

「人数と日程が決まったら連絡頂戴!手配してもらうわ!」

 

「了解!」

 

「次行くぞ」

 

「うん!二人ともそれじゃあね〜。明日のライブ頑張ろうね!」

 

「ええ!最高のライブにしましょ!」

 

「この後も楽しんでくださーい」

 

 

 次は香澄達のクラスに遊びに行ったんだけど、一言で言うと凄かった。なんか色々と凄かった。クラスの飾り付けに統一感なかったのに違和感なかったし、チョコだらけだった。意味がわからない?私も今でもわからない。とりあえずりみが張り切ったんだろうねってことはわかった。

 

 

「次はどこに行く?」

 

「次はこれかなー」

 

「喫茶店?」

 

「紗夜たちのクラスがやってるらしいよ」

 

「…紗夜が?」

 

「…なんで紗夜だけに反応したのかは置いといてあげるけど。たしかに紗夜がこういうのって想像できないよね〜」

 

 

 雄弥は喫茶店って文字しか見てなかったみたいだけど…。まぁそれはそれでいっか。面白いのが見れそうだし♪

 紗夜たちのクラスは香澄たちのクラスに比べて落ち着いてた。いや飾り付けはしてあるんだけどね。アレ見た後だと落ち着いた飾り付けとしか思えない。

 

 

(へー、紗夜接客なんだね。てっきり調理かと思ったけど…)

 

「店員さん♪席空いてますか?」

 

「いらっしゃませお客さ……ま?……え?雄弥くん?…え、うそ

 

「おはよう紗夜。席は適当でいいのか?」

 

「……」

 

「紗夜?」

 

「ひゃ、ひゃい!」

 

 

 うわー、紗夜ってばすっごい顔が真っ赤になってる。さすがの紗夜でも好きだった人にメイド姿(・・・・)見られるのは恥ずかしいんだね。

 

 

「みんな!湊くんが来たわよ!」

「急いでVIP席作らなきゃ!」

「こんなこともあろうかと応接室のテーブルクロスを取ってきておいたわ!」

「ナイスよ!」

「食器は!?」

「抜かりないわ!」

「食材も!?」

「フルコース作れるわよ!」

 

「うわ何これ」

 

「……ごめんなさい。雄弥くんが来るとこうなるのよ」

 

 

 あれだけ顔を真っ赤にして固まってた紗夜も、このクラスの騒ぎようで落ち着けたみたい。雄弥の人気の高さが異常だね。雄弥のファンしかいないの?

 

 

「あら?湊くんの隣に誰かいるわね」

「なに!?」

「ギルティよ!」

 

「えっと、雄弥たちのバンドのボーカルしてる藤森結花です。よろしくお願いします」

 

「あー、はいはい知ってるわよ」

「歌上手いよね〜」

「まさかこうやって会えるとはね〜」

 

「あ、知っててくれてたんだ。よか『女狐め!』…え?」

 

「皆さん!何を言っているんですか!」

 

 

 …まさか直接言われる時が来るとはね〜。デビューしてから半年近く経ってて油断してたや。そうだよね。そう思われるのも仕方ないよね。

 私が俯いてると雄弥に頭を撫でられた。視線は私の方じゃなくて、クラスの人たちに向けられてる。

 

 

「うちの姉を悪く言わないでくれないか?」

 

「…ゆうや」

 

「姉?あねってあの姉?」

 

「そうだ」

 

「お、お姉様!?」

「失礼いたしました!!」

 

「……はぁ、皆さん。ノリですべてを解決できると思ってるんですか?」

 

「いえ、そのようなことは決して!」

「ぶっちゃけ結花ちゃんのこと凄い好きです!」

「ただ言ってみたかっただけなんです!」

「出来心だったんです!」

 

 

 クラスの人たちが土下座して、メイド姿の紗夜が仁王立ちしてる。傍から見たらシュールな光景だよね。…他のお客さんが困ってるんだけどいいのかな?彩が一人で忙しそうに接客して……彩いたの!?

 

 

「えっと、雄弥これは?」

 

「悪気はないんだろうな」

 

「そっか。うん。ならいいや」

 

「…いいの?冗談だとしても傷ついたでしょう?」

 

「ショックだったけど、それでもネットとかで言われたりしてたし。だからいいの」

 

「なんと寛大な処置!」

「私達はなんてことを!」

「お詫びとしては不十分ですが、お代は結構です!」

 

「ほんと!?やったー!雄弥、タダだって!」

 

「結花がいいならそれでいい」

 

 

 話が済んだはずなのにクラスの人たちは低姿勢のまま動かなった。私達もそれが不思議でその場で止まってたんだけど、代表格の子が周りの子を見ながらコソコソ話し始めた。

 

 

「みんな気づいてる?」

「バッチリ」

「この姿勢ならではだね」

「しかもダブルだよ」

 

「…皆さん何をしてるんですか?早く仕事に戻りましょう」

 

「氷川さん達は気づいてないみたいだね〜」

 

「何にですか?」

 

「この低姿勢からだとね。氷川さんと結花ちゃんの下着(・・)が見えるんだよね〜。スカート丈が短めだから」

 

「「〜〜〜〜っ!!?」」

 

 

 私と紗夜は急いでスカートの裾を抑えながら距離を取った。そうしたら土下座してた子たちがニヤニヤしながら立ち上がった。

 

 

「あ、あなた達は…」

 

「見えちゃったもんは仕方ないじゃん?」

 

「そうそう。ちなみに氷川さんはみz「黙りましょうか」…はい」

 

「結花ちゃんはし「潰すよ?」怖いよ!!」

 

「雄弥くんに教えてあげようと思ったのに〜」

 

「「雄弥(くん)?」」

 

 

 私と紗夜が目を鋭く細めて雄弥を睨んだけど、雄弥は動じずにため息をついてた。興味ないってことだろうけど、その反応は失礼だよ!

 

 

「さっきからずっと頑張ってくれてる丸山さんの下着はピンクだよ!!」

 

「ふぇー!?なんで知ってるの!?…あ!!」

 

「…当たっちゃってた」

 

「丸山さん…」

 

「彩…ドンマイ」

 

「ふぇぇん!もうお嫁にいけないー!!」

 

「ちょっ、丸山さん!?」

 

「飛び出しちゃったね」

 

「…はぁ」

 

 

 またため息をついた雄弥も教室から出ようと歩き始めた。彩を探してくるんだろうね。雄弥が行くなら私も行かないとね。

 

 

「み、湊くん食べていかないの?」

 

「彩を連れ戻してきたら食べる」

 

「それまで取っといてほしいな☆」

 

「わかりました。丸山さんをお願いします」

 

「ああ」

 

 

 雄弥は迷う素振りもなく歩き続けて、すぐに彩を見つけ出した。…落ち込んだ彩の行動パターンが分かってるんだね。またリサが嫉妬するよ?

 彩を慰めてクラスに戻したら今度こそ喫茶店を満喫させてもらった。デザートにジュース、サービスで紅茶も貰っちゃった。…あ、料金不要だから全部サービスか。

 教室を出る前にみんなで写真も撮っちゃった♪このクラス面白いね〜。花咲川に通うことになったらこのクラスがいいな〜。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 帰り道に雄弥の手を私が一方的に握りながら帰った。一般の人も入れるし、男の人も入ってこれるからトラブルがあったりするのかとちょっと警戒してたけど、特に何もなかった。羽丘の方は大輝と愁が行ってたらしくて、そっちもトラブルがなかったらしい。よかったよかった。

 

 

「雄弥」

 

「ん?」

 

「もう誘われてると思うけど、明日はリサといてね」

 

「……ああ」

 

「……大丈夫そう?」

 

「…たぶんな。ただ、逃げるわけにはいかない。だろ?」

 

「…うん。だけど」

 

「気にするな。俺の問題なんだからな」

 

「…うん」

 

「学園祭…楽しかったか?」

 

 

 私が暗い雰囲気になっちゃったからかな。雄弥が話題を変えてきた。

 

 

「楽しかったよ!面白い人たちもいたしね☆」

 

「そうだな」

 

「雄弥は?」

 

「…それなりに」

 

「えぇーなにそれー!」

 

 

 二人は今でも両想いなんだから大丈夫だよね。…きっとまた隣合うようになるよね。

 

 そして、リサが雄弥を取り戻してくれるよね。

 




別にポピパのことが嫌いなわけではありません。普通に好きです。ただたんにあのフリーダムな会話とキレッキレな有咲のツッコミを書ける気がしないだけです。
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