「無人島にとうちゃーく!パスパレプライベートビーチみたいでいいよね〜」
「スタッフさんに渡されたのは水だけ。あとは自分達で調達しないといけないみたいね」
「本格的だよね〜」
「あれ?彩さんそわそわして、どうかされました?」
「え?ああ、さっき携帯をスタッフさんに渡したでしょ?いつも持ってるものがないと落ち着かなくて」
「なるほど〜。それにしてもミッションはどんなのがあるんですかね」
「ミッション、真剣白刃取りとかですか?」
「え!?い、いくらなんでも危険過ぎない?」
あはは!真剣白刃取りがミッションだなんてイヴちゃんらしい考えだよね!そういえば真剣白刃取りってユウくんと疾斗くんはできるって言ってたっけな〜。
「そうね。Augenblickならともかくとして、私達にはそんな難関なミッションはないでしょうね」
「だ、だよね」
「Augenblickさんに同行したらできるのですか?」
「できなくはないでしょうけど、危ないからやめときなさい」
「うぅー、残念です」
「あ、あはは、そういえば私物は一つだけ持ち込みOKって話だったけど、千聖ちゃんは何を持ってきたの?」
「私はふわふわのブランケットよ。座るときや休憩するときに役立つかと思って」
千聖ちゃんらしい考えだよね〜。あたしは活動中のことは全然考えなかったな〜。
「日菜ちゃんは何を持ってきたの?」
「あたし?あたしはお姉ちゃんの写真だよ♪これがあればどこでもスヤスヤ寝れるんだ〜♪」
「ふふっ、日菜ちゃんはお姉ちゃんのことが大好きね」
「うん!」
「あら?ヒナさん、その写真の裏側は別の方ですか?」
「そうだよ!こっちはあたしとお姉ちゃんとユウくんの三人が写ってるやつなんだ〜♪」
「おおー。そういうのいいですよね!皆さん笑顔で写ってますし」
笑顔…笑顔?あたしとお姉ちゃんは笑顔だけど、この時のユウくんのこの笑顔って作り笑顔なんだよね〜。今も似たようなことになっちゃってるけど。
撮影が始まってすぐに麻耶ちゃんの提案で島を一周することになった。サバイバルのためにも大体のことを把握しといた方がいいみたい。島を一周した後に小屋を見つけて、そこを拠点ということにしたんだけど。
「うーん?」
「日菜ちゃんどうかしたの?」
「うーん…、誰かがここにいたような気がする」
「え?ちょっ、日菜ちゃんそういうのやめてよ〜」
「そういうのって?」
「だから、おばけ系のことは言わないで!」
おばけ?なんで彩ちゃんはおばけなんてこと言ってるんだろ?あたしはそんなこと一言も言ってないのに。
「彩さん。日菜さんが言ってるのはおばけとかではないと思いますよ」
「え、そうなの?」
「はい。自分もちょっと引っかかったんですが、誰かが自分達のようにここを拠点にしてたみたいなんですよ」
「…たしかに、埃とかがないわね」
「千聖さんも気づかれましたか。…無人島のはずなのに埃がない。どうやらこの島には自分達以外にも誰か来ているようですね」
「ワタシ達みたいに、ですか?島流しでしょうか?」
「イヴちゃん。それは少し違うからね」
誰が来てるんだろ。もう少しヒントが欲しいんだけどな〜。この小屋だけじゃ全然わかんないや。
「で、でもこれって大丈夫なの?もし危ない人とかだったら…」
「丸山さん。それは大丈夫です。実は用意しているミッションの一つがその人物を特定または発見なんですよ」
「そうなんですか?」
「はい。…まさかこの小屋で他に人物がいると気づかれると思ってなかったので、話してませんでしたが」
「…まぁ日菜ちゃんの直感と麻弥ちゃんのサバイバル力が想定外ですしね」
「お二人ともスゴいです!」
「それではミッションを出させていただきますね。…謎の人物については今は置いといてもらって結構ですので。まずは"自分達で食料を調達する"というのがミッションになります!」
後回しか〜。なんかそっちのがるんっ♪てしそうだけど、食料も大事だし仕方ないか。食料を探すついでにヒントを見つけれたらいいかな。
食料の調達は待機班と捜索班に別れてやることになった。全員で捜索して遭難になったらミッションを達成できなくなるし、生存率とかも考えてのことらしい。本格的だし、説得力あるよね〜。
彩ちゃんが持ってきた図鑑を使って食べれる食料かを確認しながら集めるみたい。彩ちゃんが役立つのを持ってきてたなんて凄いや!
「むむっ!あっちにるんっ♪てきそうなのがある気がする!」
「ヒナさん!あまり遠くに行かれてははぐれてしまいますよ!」
「大丈夫大丈夫!麻弥ちゃん、これって食べれる?」
「ちょっと待ってくださいね。彩さんの図鑑によると……大丈夫そうですね!」
「やった!」
「マヤさんは先程からナイフで何をされてるのですか?」
「あー、こうやって木に印を入れておけば遭難にならずにすむかと思いまして」
「なるほど!さすがマヤさんですね!」
麻弥ちゃんって凄いよね〜。印をつけとくなんてあたしは思いつかなかったよ。全部なんとなくで分かりそうだし。
「麻弥ちゃんってサバイバル経験でもあるの?」
「え?いやいやないですよ!ただ初めて行く所とかでは目印なるような建物とかを覚えるので、それを応用しただけですよ」
「それでもスゴいですよ!」
「うんうん!…あ!あの丸いのるんっ♪てする!」
「あれは…果物でしょうか?」
「だよねだよね!麻弥ちゃん、あれは食べれるの?」
「ちょっと待ってくださいね。…あ!食べれるみたいですよ!しかもすっごく美味しいんだとか!」
「いいねー!るんっ♪てするよ!」
「たくさん持って帰りましょう!」
イヴちゃんと麻耶ちゃんと三人で果物を取ってたんだけど、その時に不思議なのを見つけた。麻弥ちゃんが木に印をつけてたのは知ってるけど、
「麻弥ちゃん…この印は麻弥ちゃんのじゃないよね?」
「え、どれですか?」
「ほらここ」
「…たしかに自分のじゃないですね。スタッフさんが言ってた謎の人物ですかね」
「貴重な手がかりになりそうですか?」
「これを辿っていけば手がかりがあるかもしれませんが、今はやめときましょう。千聖さんと彩さんが拠点で待ってますから」
「それもそうだね〜。気になるけど…」
〜〜〜〜〜
小屋に戻ったら彩ちゃんと千聖ちゃんが出迎えてくれた。なんか二人とも疲れてるような感じがするけど、なにやってたんだろ?
「たくさんの食料を調達することができました」
「マヤさんが大活躍だったんですよ!」
「すごかったよね〜!」
「じ、自分は大したことはしてないですよ」
「そんなことないです!マヤさんのおかげで道に迷うこともなかったのですから」
「麻弥ちゃんがどんな活躍したのか私聞きたい!」
「ええ。私も聞きたいわ。でも三人とも疲れてるでしょうから食べながら話を聞くことにしましょう」
千聖ちゃんの提案通りにして、みんなで楽しく喋りながらご飯を食べた。ご飯を食べ終わったらスタッフさんから次のミッションが出された。
「"幻のお花畑"を探せ、ですか?」
「うーん。それだけじゃわかんないからなにかヒントちょーだい!」
「そうですね。皆さんがさっきのミッションをクリアしたご褒美として一つだけヒントを出します。ヒントはこの小屋より南にある、です」
「南ですか」
「まずは確認するところからね」
「そうですね。とりあえず外に出ましょうか」
みんなで外に出たのはいいけど、どっちが南なんだろうね。あたしってそういうの苦手だからな〜。
「たしか、太陽は東から昇るんだよね。……東がどっちかわかんないけど」
「日が高く上がってますからね〜」
「もう木が南ー!とか西ー!とか教えてくれたらいいのに」
「たしかにそれは楽だけれど、現実離れしてるわね…麻弥ちゃん?」
「あぁすみません千聖さん。少し考えてまして」
「いえ、それはいいのよ。何かわかったのかしら?」
「はい。たしか木の根本にコケが生えることがあるんですけど、コケは日の当たる所にはないはず。つまりコケがある所は北ということになるんじゃないでしょうか」
「な、なるほど」
「マヤさんすごいです!サバイバルマスターですね!」
「い、いえそんなことないですよ。皆さんコケ探しに協力してください」
「うん!もちろんだよ!」
「よーし!じゃんじゃんコケを探すぞー!」
みんなで手分けして小屋の周りに生えてる木の根本を確認していった。5人いるからそんなに時間はかからなくて、みんなの情報を元に麻弥ちゃんが方角を割り出すことに成功した。
「こっちが南のはずです。皆さん行きましょう」
「今日の麻弥ちゃんはいつもよりるんっ♪てするね!」
「凄い頼りになるよね。…あれ?」
「彩ちゃんどうかしたの?」
「これって日菜ちゃん達がさっき話してた麻弥ちゃんとは違う人が刻んだ印じゃない?」
「あ!たしかにそうですね!マヤさんはバツ印ですが、この印は横に一閃だけです!ヒナさんが見つけたものと一致します!」
「ということは、その人物もこの方角に進んだということかしら?」
「その可能性はありますね。目的地が同じとは限りませんが…」
「うーん…、たぶん同じ所じゃない?今もそこにいるわけじゃないだろうけど」
「日菜ちゃんなんでそう思うの?」
「勘!」
あたしがそう言ったらみんな微妙な顔になった。あたしの勘ってそうそう外れることないんだけどなー。ま、外れてくれたほうが面白いんだけどね!
「たしか日菜ちゃんが見つけた印って他の木にもあったのよね?」
「あったよ。だからそれを辿れば手がかりくらいはあるかなって思ってたんだけど…、こっちに来ちゃってるしね〜」
「まぁでもこちらにも印があるのだからそこはよしとしましょう」
「相当広い範囲で活動してると考えられますね」
「誰なのかを特定するか、見つけ出さないといけないんだよね」
「特定するのは難しいと思います。根拠を探さないといけないですから。なのでワタシは見つけた方がいいと思います!」
「そうですね。自分もそう思います。幸いといいますか、日菜さんの言う通り目的地の方にも印が続いてますからね」
話し合いが一段落したところで、幻のお花畑の捜索を再開!しばらく歩いてたら川の音が聞こえてきて、そこに近づいたら吊り橋が見えた。
「吊り橋?」
「そうですね…」
「わぁーすごーい!ここ渡っていこうよー!」
「え、えぇ!?」
「補強はされているようですが、足元に少々不安が…」
「けど幻のお花畑はこの先…なのよね」
「そうですね。ここを渡るか下に降りて川を渡るかですね」
「でも下に降りるってことはまた上がってこないといけないんだよね」
「それもしんどいけど…」
え?なんか吊り橋を渡らないみたいなムードになってない?こんな面白そうなのってなかなかないのに。
スタッフさんにこの場で発表されたミッションは"みんなで吊り橋を渡れ"だった。ナイスだよ!これで吊り橋を渡れる!
「ほら彩ちゃんいこいこー!」
「ちょっ、日菜ちゃん腕を引っ張らないでー!」
「すっごいよ彩ちゃん!下の川があんなに小さく見える!」
「下の川を見るのは…日菜ちゃんだけで楽しんどいて。……ってなに!?」
「あはは!ここで跳ねてたらすっごい揺れてるんっ♪てするよ!」
「日菜ちゃん揺らさないで!」
「えー、だめー?」
「後ろにはみんなもいるんだから!」
彩ちゃんの言う通り、あたし達と少し離れた所に他の三人がいた。みんな必死にロープを握ってて、千聖ちゃんにも「揺らすのはやめて」って言われちゃった。あたしは最後に少しだけ揺らすことにした。ほら、やめてって言われたらやりたくなるじゃん?それと同じ。
でも、それがいけなかった。
──バキッ
「……え?」
「日菜ちゃん!!」
あたしの足元にあった木の板が壊れて、
「ぁ」
あたしの身体は宙に投げ出された。