陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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そういえばガルパって時間進むのに学年は変わらないですよね。サザエさん方式ってやつですかね。
ということは、イベントの順番を前後させながら小説に盛り込んじゃってもいいんですかね。(¬_¬)


6話

(う、うーん……あれ?ここは?)

 

 

 目が覚めたらあたしは横になってた。近くにはたき火があって、あたしの身体を温めてくれてた。あたしの下にはシートが敷いてあって、掛け布団代わりに毛布がかけられてた。

 

 

(あたしはたしか吊り橋で跳ねてて…それで…)

 

 

 思い出しただけでもゾッとした。あの高さからあたしは落下したんだ。それと同時に別の寒気(・・・・)もした。

 

 

(〜〜〜っ!!)

 

 

 あたしは服を着てなかった。下着はそのままだったけど。毛布で全身に包むようにして慌てて服を探した。服はたき火を挟んで反対側に吊るされてて、どうやら乾かしてるみたい。

 

 

(いったい誰が…ううん。そんなのは分かってる。ミッションの中で最難関の謎の人物なんだよね)

 

 

 あたしを助けてくれたであろうその人物のことを考えながら服を着ようと立ち上がったところで、茂みから物音が聞こえた。あたしはすぐにしゃがんで身体を見られないように毛布で隠し直した。

 

 

案外こういうのって怖いや。…ユウくん助けて

 

 

 この島にいるはずがない。来れるはずがない精神状態の想い人に助けを求めた。パスパレのみんながあたしを探してくれてるだろうけど、いつ見つけてもらえるのか。…あ、たき火してるのってそれの意味もあるのかな?

 

 

「…ん?起きたのか」

 

「…え」

 

 

 茂みから出てきた人は、あたし達がよく知る人物だった。血が繋がってないはずなのに、友希那ちゃんとよく似た髪の色をした人。

 

 

「今起きたところか…。後ろ向いとくからその間に服を着ろ」

 

 

 気を遣ってくれてるけど、そんなのあたしの頭には入ってこなかった。だって混乱してるんだから。だって、今茂みから出てきたのは、ここにいるはずがない人だから。

 

 

「ユウくん?」

 

「…あー、服取れるか?届かないなら代わりに取るが」

 

「ユウくん!」

 

「っと」

 

 

 あたしはこっちを見ないように視線をそらしてるユウくんに飛びついた。ユウくんは余所見してたのにちゃんと受け止めてくれた。ユウくんの胸に顔を擦り付けてユウくんの匂いをかぐ。

 

 

「…服着ろ」

 

「…もうちょっとだけこうさせて。…怖かったから。あたし死んじゃったって本気で思ってたから」

 

「ならちょっとと言わずに落ち着くまで好きにしろ」

 

「ありがと♪」

 

 

 優しく頭を撫でてくれるユウくんに抱きつくことで、あたしは少しずつ恐怖心が消えていくのがわかった。…ユウくんはずっと視線をそらしてたけど。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「それでユウくんがこの島にいるっていう謎の人物ってことでいいのかな?」

 

「まぁな。と言っても俺一人じゃないぞ」

 

「それは分かってるよ。疾斗くんもいるんでしょ?」

 

「…よくわかったな」

 

「消去法で考えたら簡単だよ!逆に疾斗くんが助けてくれてたらもう一人が誰かわからなかったけどね!」

 

 

 まずユウくんの精神状態からして一人で来るなんてことはない。必ず誰かしらがついて来てる。それでサバイバルってなったらまず結花ちゃんが除外される。メンバー間で許可が出てるかも疑わしいし、友希那ちゃんが駄目って言うだろうからね。

 それで大輝くんと愁くんが除外される理由は、まずやりたがらないと思うし、あの二人は今のユウくんを連れ出そうと思わないはずだからね。

 

 

「それで、ユウくんたちはいつから来てるの?」

 

「三日前からだな」

 

「えぇ!?」

 

「本当は昨日来る予定だったんだがな…」

 

 

ーーーー三日前ーーー

 

 

 朝、今井家のソファでリサと並んで座っていた俺に来客が来た。それは無人島に一緒に行くことになった疾斗だった。

 

 

「おっす雄弥!今からサーフィン行こうぜ!」

 

「馬鹿かお前は。学校は?」

 

「創立記念日だ!」

 

「…なるほどな。一人で行ってこい」

 

「いいだろ別にー。どうせ三日後には一緒に無人島行くんだしよ!」

 

「え?無人島?」

 

「…雄弥、リサに言ってなかったのか?」

 

「忘れてたな」

 

 

 完全に忘れていた。俺は初耳だということで驚いているリサに詰め寄られ、壁に追い込まれた。怒り半分心配半分といった複雑そうな顔をしてるリサに見つめられ、思わず視線をそらしてしまった。そのすぐ後にリサに両手で顔を挟まれ、向き合わせられた。

 

 

「雄弥…」

 

「ごめんリサ」

 

「ううん。もう決まったことなんだよね?」

 

「ああ」

 

「そっか。…大丈夫なの?アタシ心配だよ」

 

「そこは俺がしっかり雄弥を見とくから、信用してくれとしか言いようがないな」

 

「…わかった」

 

 

 リサは納得したようで手を離してくれた。その後最低限の荷物を用意して、リサに見送られながら疾斗についていった。

 

 サーフィンまではよかった。サーフィンまでは

 

 疾斗のテンションが上がって水上バイクに乗り始めたのが失敗だった。調子に乗った疾斗が陸から離れすぎたところでエンジントラブル発生。そのまま漂流することになり、不幸中の幸いというべきかパスパレのロケ地となる無人島に辿り着いたのだった。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「こんな感じでこの島に来た」

 

「馬鹿じゃないの?」

 

「俺もそう思う」

 

「リサちーは心配してるんじゃないの?」

 

「連絡は取れたから大丈夫だろ」

 

「連絡取れたんだね」

 

「あの小屋ならな」

 

「なるほどね〜」

 

 

 あたしはユウくんの膝の上にまたがって、向き合うように座ってる。ちゃんと服は着てあるし、ユウくんに身を委ねてる。今は二人っきりだし、別にいいよね?

 

 

「ユウくんとこうしてるのって久々だよね」

 

「そりゃあそうだろ」

 

「拒まないんだ?」

 

「……」

 

「…そっか。…ここで待機してみんなが来てくれるのを待つ。それでいいんだよね?」

 

「さすが日菜だな。その通りだ。そのためのたき火でもあるしな」

 

 

 やっぱりそうなんだね。疾斗くんは彩ちゃん達と合流でもしてるのかな?ユウくんも疾斗くんもたぶんあの吊り橋の近くにいたんだろうしさ。

 

 

「……ん?」

 

「日菜?どうかしたか?」

 

なんであたしは無傷なの(・・・・・・・・・・・)?」

 

「そりゃあ俺が庇ったからな(・・・・・・・・)。落ちていく日菜に追いついて、日菜に衝撃がいかないようにした。それだけだ」

 

「…ぇ」

 

 

 ユウくんが庇ってくれた?今までならそれですっごい嬉しくなるんだけど、今はそんなことにならない。だって、ユウくんも無傷(・・・・・・・)だから。あの高さから落ちて、あたしを庇って無傷なんてありえない。

 

 それはつまり、ユウくんはあたしに怪我を知られないようにまた寿命を削ったということ。

 

 

「なんで…なんで!!」

 

「なんでって、そりゃあ日菜を守るだろ」

 

「違う!そこじゃないよユウくん!なんでまた寿命を削ったの(・・・・・・・)!?」

 

「っ!?…寿命?何を言ってるんだ」

 

「とぼけないで!あたしはもう知ってるから。友希那ちゃんから聞き出したから」

 

「…友希那からか」

 

「リサちーは知らないから、そこは安心して」

 

「そうか…」

 

 

 ユウくんがわかりやすいぐらいに動揺してる。きっと今のユウくん相手に話題にしちゃダメだったことなんだろうね。けど、あたしはそんなの考慮しないから。だって、大好きな人の寿命をあたしが削っちゃったんだもん。

 

 

「あたしも、お姉ちゃんも、友希那ちゃんも…それにリサちーだってユウくんに長生きしてほしいんだよ?」

 

「…それは」

 

「何か方法はないの?元通りにはならないとしても、何年分か取り戻す方法は」

 

「さぁな。少なくとも俺はそれを知らない」

 

「そう…なんだ…。…リサちーにはいつ言うの?」

 

 

 方法については疾斗くんとか愁くん当たってみるしかないね。二人も知らないだろうけど、何か手がかりが掴めるかもしれない。だからその話はやめて、一番の核心を聞かないとね。

 

 

「リサには……」

 

「まさか言わないつもり?」

 

「…」

 

「そんなのリサちーを裏切るも同然だよ?優しさのつもり?違うよね、ユウくんは怖いんだよね。リサちーが傷ついちゃうのが嫌なんだよね。けどそんなのダメだよ!それは逃げてるだけだよ!リサちーはユウくんと向き合うって決めたんだよ!?甘えてばかりなのをやめて、お互いに支え会える、助け合える関係になるって決めたんだよ!?…それなのにユウくんは逃げるの?」

 

「俺は……わるい…時間をくれ」

 

「…うん。別に今日じゃなくていいから。ユウくんの決めたことを聞かせてね?」

 

「わかった」

 

 

 あーあ、あたしって損な役回りだよね〜。けど、まぁいいや!どっちも万全な状態になってもらおう。そしたらまたリサちーをからかいながらユウくんを狙おう。諦めることなんてできないから。諦められないけど、リサちー達が付き合ってる時にユウを狙うあの時間も好き。あたしにもできないことがあって、それに挑み続けるのってるんっ♪てするから!

 

 

「日菜ちゃーーん!」

 

「あー!彩ちゃんの声だ!おーい!こっちこっちー!」

 

「ヒナさんの声です!」

 

「こっちから聞こえましたね!」

 

「行きましょう!」

 

「…日菜、そろそろ膝から降りてくれ」

 

「あ、そうだね」

 

 

 みんなが来るってことはスタッフさんも来るし、カメラも回ってるかもしれない。それで今の状態を映されたらめんどくさいからね。

 ユウくんから離れたらユウくんも立ち上がった。二人で並んでみんなが来てくれるのを待ってると、麻弥ちゃんを先頭にみんなが来てくれた。

 

 

「日菜ちゃーん!!」

 

「わわっ!彩ちゃん?」

 

「よがっだぁー。ほんとに、ほんとに心配したんだよ!?」

 

「…うん。ごめんね。みんなもごめんね、あんなことしちゃって」

 

「全くだわ。…けど、そのことはもういいのよ。日菜ちゃんが無事でいてくれたのだから」

 

「はい!ワタシも千聖さんと同じです!」

 

「日菜さん、ご無事で何よりです。雄弥さん、日菜さんを助けてくれてありがとうございます!」

 

「気にするな。当然のことをしただけだ」

 

「さすがはサムライですね!」

 

「違うからな」

 

 

 無事にみんなと合流してその後は当初の予定通りお花畑を目指した。謎の人物のミッションはノーカンってなって、失敗にも成功にもならないみたい。

 

 

「うわ〜、すっごいキレイ!」

 

「苦労もあったからその分綺麗に見えるのかな?」

 

「それもあるかもしれませんが、これは幻想的ですね」

 

「疲れがなくなるわね」

 

「はい!このための苦労だったと言えますね!」

 

 

 彩ちゃんが新曲発表のことを思い出して、その時に特別ミッションが出された。それは山頂で大声で告知をするというものだった。それはもちろん彩ちゃんがするっていう流れになって(彩ちゃんは驚いてたけど)、彩ちゃんらしい面白い告知をしてくれたよ♪

 あ、そうそう、あたしの捜索は緊急ミッションだったんだって。響きがるんっ♪てするよね!

 

 帰りの飛行機ではユウくんの隣に座って、ユウくんの肩を枕代わりにして寝させてもらった。優しく頭を撫でられたのもあって、すぐに寝ちゃった。

 ユウくんは帰ったら友希那ちゃんと結花ちゃんから説教を受けて、その後にリサちーから説教されて、泣いて抱きつかれたらしいよ。まぁ当然だね。

 

 あたしはお姉ちゃんとオンエアされたのを見てたら吊り橋の件で思いっきり叱られちゃった。あんなに怒るお姉ちゃんを見るのってなかなかないんだよね。

 けど、怒られたことよりもお姉ちゃんの目に涙が溜まってた方があたしには辛かった。この性格は治せないけど、もうちょっと軽率な行動は控えようって思った。

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