陽だまりをくれる人   作:粗茶Returnees

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(つд⊂)ゴシゴシ( ゚д゚)ポカーン バーが赤色…夢ではない、のか。
それはそうとバンドリRoselia2章始まりましたね。授業すっぽかして一気に全部解放してストーリー見ました。 最高かよ。涙が出たよ。
それと友人ありがとう。「お前の今引けよ」を信じたらリサ姉当たったよ。

今回はデート回です。


7話

 ライブの日程も決まり、チケットもリサたちに渡した。Roseliaも近いうちに一度ライブに参加するらしいが、こっちのライブの方が先なんだとか。

 お互いの予定が決まったところで前々から話していたデートの日程も決まった。というか今日だ。

 

 

「お待たせ〜☆ちょっと準備に時間かかっちゃった♪」

 

「いや集合時間より早く来てるから大丈夫だ。それに俺も来たばっかだからな」

 

「そうなの?それならよかった〜」

 

「というか家が隣なんだから家の前で集合すればよかっただろ」

 

 

 なぜに集合場所をショッピングモールの前に設定したんだ。普通に考えれば家出るタイミングもほぼ同じになるだろうに。

 

 

「…わかってないな〜。せっかくのデートだよ?集合からこういう感じにしたいじゃん!」

 

「そういうものなのか」

 

「そうそう。だからあえてちょっと遅目に家出たわけだし」

 

「そこもわざとだったのか」

 

「そうだよ〜。もしかして逆に迷惑だった?」

 

「そんなことはないが、リサにもしものことがあった時何もできなくなるのは困る」

 

「…!」

 

 

 一緒にいればなんとでもできるのだが、さすがに知らない間にリサが攫われたり変な奴に絡まれたりしても対応が遅れる。なんとかする自信はあるが、最悪の場合手遅れになってしまうしな。

 

 

「アタシのこと…心配してくれたんだ」

 

「まぁな。俺に生きる理由を与えてるのはリサと友希那だ。どっちかが欠けるだけでも俺は生きる理由が無くなる」

 

「そう、だね」

 

「…けど重く考えないでほしい。俺のことを気にかけすぎてリサの人生が狭くなるのを俺は望んでないからな。いい男を見つけたら遠慮なくそいつと結婚すればいいし」

 

「……バカ。そんなの見つかるわけないじゃん

 

 

 むぅ。自分でもわりと無茶苦茶なことを言っている自覚はあるが、罵倒されるとは。というかリサって俺がこういうこと言うたびにバカって言ってくる気がする。

 

 

「ここで話していても仕方ない。さっそく中に入ろうぜ」

 

「…そうだね」

 

 

 リサのテンションが明らか下がってしまった。なんとか挽回せねばならん…気がする。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 はぁ〜。雄弥とのデートってことで浮かれすぎてるのかなぁ。雄弥の言うこともわからなくはないんだけど。普通に考えたら雄弥の考えの方が正しい。雄弥はアタシのお節介な性格がアタシ自身を生きづらくしてるって思ってるみたいだけど、そんなことはない。アタシは雄弥と友希那の側にいたいからずっと隣にいようとしてるんだ。

 

 

「ほら行くぞ」

 

「うん……っ!」

 

(そういうところがずるいんだってば!)

 

 

 いきなり手を握られたら恥ずかしいってば!周りの人の目もなんか微笑ましく見てる感じになったし…。

 

 

(うわ〜。アタシ絶対今顔赤くなってるよね。こんなの知り合いに見られたら…)

 

 

 焦って周りをキョロキョロ見渡すけどざっと見た感じ知り合いはいなかった。ほっと安心したアタシは雄弥の隣に移動して二人並んで歩く。まだ顔は若干赤い気がするけど、これもそのうち収まる…よね。雄弥は、やっぱなんとも思ってないんだ。ほんとにずるい。

 

 

「ところで今日はどこ行くんだ?」

 

「あ、言ってなかった。今日はアタシの買い物にとことん付き合ってもらいます」

 

「昼食とデザートも奢り、だったな」

 

「覚えてたんだ。それも遠慮しないからね〜☆」

 

「たいして使う予定がない金だ。なんなら今日の分全部出すぞ?」

 

「そ、それは遠慮しとくかな〜。際限無く物欲を満たし始めそうだから…」

 

「そうか」

 

 

 雄弥って仕事の話でもあったことを話すだけだからそれがどれだけ凄いことなのかいまいちピンとこないんだよね〜。だから雄弥が今まででどれだけ稼いでるのかは知らないし、今持ってる仕事の給料も知らない。ちなみに友希那も知らないらしい。

 

 

(知ってるのは本人とマネージャーさんと友希那のお父さんだけ、だったっけ)

 

 

 興味がないわけじゃない。雄弥レベルの芸能人の給料がどれぐらいかは単純に気になる。だけどなんか知っちゃったら駄目な気がする。

 

 

「俺が今どれぐらい金あるか、か?」

 

「えっ!?」

 

「正確には俺も把握してないぞ。毎月ほぼ同じ金額だけしか使わないからどれぐらい貯まってるかは見てない」

 

「いやけど銀行から引き出したら残高とかでるじゃん?」

 

「いつも見てない」

 

 

 たしかに無趣味で興味関心が一切なかったら単純な生活費だけしかお金使わないから見る必要ないんだろうけどさ。それ何かしら事件に巻き込まれてお金取られてても気づかないってことだよね!?これはさすがに注意しなきゃ!

 

 

「もしお金が取られてたりしたらどうする気なの!?」

 

「そしたら警察に頼るしかないな」

 

「いつも見てないなら気づかないでしょ!」

 

「…それもそうか。わかった、これからは確認する」

 

「はぁ。一応今日も確認したほうがいいんじゃない?」

 

「だが今日はリサのための一日だろ」

 

「い、いいから!今すぐ確認してくること!」

 

 

 ほんとなんでそんなセリフをさらっと言えちゃうかなぁ。『リサのための一日』、なんて。……やば、嬉しすぎて顔がニヤけちゃう。

 

 

「……て、あれ?もう確認したの?」

 

「いやまだだ。リサがボウっとしてるようだったから行くなら一緒のほうがいいと思ってな」

 

「そ、そっか。わざわざごめんね」

 

「謝ることじゃない」

 

 

 気遣い、なわけがないから、雄弥がそうする必要があるってぐらいアタシ無防備になってたんだ。…そりゃあ集合のときにああやって言われるわけだ。

 

 

「お金取られてなかった?」

 

「たぶんな。けっこうな額があったし」

 

「そっか。それなら安心安心。それじゃあ仕切り直してデートスタート!」

 

「…なんだどれぐらいかは聞かないのか」

 

「聞いてほしかった?」

 

「リサなら聞くかと思ってただけだ」

 

「ちょっと〜、それってどういう意味?」

 

 

 まるでアタシがお金にがめつい人みたいじゃん。アタシそんな浪費癖もないしケチケチする性格じゃないんだけど。

 

 

「…ま、聞いても仕方がないから聞かないってだけだよ?友希那も知らないみたいだし」

 

「なるほど。…友希那はあまり人のことに踏み込まないからな」

 

 

 そういうところは二人とも似てるよね〜。何にも興味を示さない雄弥と音楽以外興味がないって明言してる友希那。

 

 

(まぁ友希那は大の猫好きなんだけどね。本人は隠したがってるけど)

 

 

 あれ、あそこの店新しい服出たんだ。よーし、まずはあの店に決まり!雄弥には手を引っ張ってアイコンタクトするだけで伝わるからこういう時便利なんだよね〜。具体的にははやる気持ちを抑えれないときとか。

 

 

「リサって昔から洋服好きだよな。というかオシャレが好きなのか」

 

「女の子はたいていそんなものでしょ?」

 

「女の、子?………??」

 

「あー、ごめん。友希那を基準にしないで。あの子はオシャレに無関心すぎだから」

 

「なにげに親友をディスったな」

 

「なんのことかな〜?」

 

 

 あはは…、ディスったって言われるとそうなる、ね。いやでも友希那は本当にオシャレに興味無さすぎ!女の子なんだし友希那は可愛いんだからもっといろんな服着たりアクセサリーつけたりしてオシャレしなきゃ勿体無いよ!

 

 

「雄弥からも……ごめん、やっぱいいや」

 

「…ファッションに興味なくて悪かったな」

 

 

 そうだった。雄弥も基本着れたらそれでいいって人間だった!たしかおじさんのお下がりとか貰ってそれを着まわしてるんだっけ。…アイドルとは思えないなー。まぁでも最近は仕事先で貰ってきたりとかするらしいからマシにはなったのかな。

 

 

(……あれ?雄弥がそういう服着てるの見たことあったっけ?)

 

「雄弥って仕事先で服もらうことあるんだよね…?」

 

「あるぞ。家のタンスに眠ってるけどな」

 

「着ないの?」

 

「オシャレな服だなとは思うが組み合わせがわからん。考える気もないから普段ので十分だろ?」

 

 

 勿体無いよ!!そうやって貰えること自体普通はないはずだし!せっかくなら着ないと!

 

 

「今度アタシが雄弥の服でコーデしてあげるから着てみて。着てもらえてないってしったら渡した人も傷つくかもだし」

 

「そうだな。よろしく頼む」

 

「うん!任せて♪」

 

 

 さてと、次の楽しみもできたところで服を探そうかな〜。あ、これ前から気になってたやつだ。こっちのは新しく出たやつかな?

 

 

「う〜ん可愛い服が多いな〜」

 

「そうなのか」

 

「雄弥にはわからないのか〜。例えばこっちの白いのはちょっとフリフリしてる感じが可愛いし、こっちの薄茶色のは落ち着いた感じがあってそこが可愛い。どう?ちょっとはわかった?」

 

「そこらへんは人の感性しだいじゃないのか?…リサがそういうの好きってのならわかったが」

 

「残念、雄弥にはまだ女の子の感性がわからないんだね〜」

 

「悪かったな」

 

 

 アタシも今日すぐに雄弥がわかるようになるとは思ってないんだけどね。……あ!いいこと思いついちゃった♪

 

 

「ねぇねぇ、雄弥がアタシの服選んでよ」

 

「風邪でもひいてるのか?」

 

「いやいや、元気いっぱいのいつものアタシだよ〜」

 

「ならなんで」

 

「自分で2,3個までは絞るからその後雄弥が決めてくれたらいいの☆」

 

「…それぐらいなら」

 

「やった♪」

 

 

 なんとか誘導できた!最終決定を雄弥にさせれば自然とそれが雄弥の好みってことになるよね!これで雄弥の好みも判明する♪

 

 

(ふんふふんふふ〜ん♪あ、これ超可愛い!値段はどれぐらいかなー……諦めよ)

 

 気に入ったやつってたいてい高いんだよね〜。…仕方ないか、アタシの小遣いで買える服の中から何個か決めてその後雄弥に決めてもらお。

 

 

「よし、だいたい決まったかな〜」

 

「四つ持ってるのを決まったと言っていいのか…」

 

「細かいことはいいの!この中から雄弥が一つ選んでよ?」 

 

「わかった。けど試着はしなくていいのか?着心地とか確かめておいたほうが後悔しないぞ」

 

「あ、それもそうだね。ちょっと待ってて、確かめてくるから」

 

「ああ。俺はここで待っとくから」 

 

「りょーかい!試着し終わったら今度こそ雄弥が確認してよ!」

 

「わかってる」

 

 

 着心地もやっぱ大事だよね〜。デザインがいいけど自分の肌に合わないってこともたしかにあるし。今回は…、あーこれはやめとこっかな〜。一着は断念ってことで残り三着から雄弥に選んでもらおうかな〜。

 

 

「お待たせ〜。一着は肌に合わなかったから残りの三着から選んでちょうだい♪」

 

「……責任重大だな」

 

「いやいやそんな重く考えなくていいから。というかそうやって考えるなら貰い物も使ってあげて」

 

「そうする…。リサのセンスなだけあってどれも似合いそうなのがまた難しいな」

 

「あはは、嬉しいこと言ってくれるね〜」

 

「リサは可愛いからたいていの服は着こなせるだろ」

 

 

 か、かわ……きょ、今日の雄弥はいったいどうしちゃったの!?いつもはこんな褒め言葉次から次へと出てこないのにさ!

 

 

「…よし、これにしよう」

 

「………あ、決めてくれた?」

 

「ああ」

 

 

 雄弥が選んでくれたのは…、これか〜。アタシも個人的にはこれかなーって思ってたんだよね〜。ってことはアタシと雄弥の感性は近いのかな?

 

 

「ふふっ、ありがとう♪…ちなみに理由を聞いてもいいかな」

 

「理由って言われてもな、単純にこれだと思ったからだ。リサはこういうの好きそうだし」

 

「直感なんだ…」

 

 

 しかもアタシの好みも読まれちゃってたのか…。雄弥と接する時間が一番長いから読まれやすくなっちゃったのかな。

 

 

「それじゃあレジに行こっか」

 

「持とうか?」

 

「これぐらい自分で持つよ♪」

 

 

 雄弥が選んでくれた服、か〜。今更ながら恥ずかしく思えてきたけど、それ以上にやっぱり嬉しい。

 

 

(えーっとたしか値段は…)

 

「お客様お金は不要ですよ」

 

「へっ?な、なんでですか?」

 

「そちらの彼氏さんからお先に料金頂いておりますので」

 

「彼氏じゃないです……」

 

「ふふっ、そうなんですか?それとこちらもプレゼントだそうです」

 

「ええ!?」

 

 

 これアタシが諦めた服!?いやそれよりもいつの間に?

 

 

「リサが試着してる間にパパっと済ませといた。その服が一番気に入ってたようだしそれも買っといた。生地も柔らかいから着心地は問題ないはずだし」

 

「さすがにそれは悪いからアタシにもいくらか払わせて」

 

「ダメ。受け取ってくれ」

 

 

 珍しく強引な雄弥に結局アタシが折れてプレゼントさせてもらっちゃった…。本当に今日の雄弥珍しい、けれどなにがあったのかアタシには分からなかった。

 

 

 さっき雄弥に買ってもらった服はどっちもギャルっぽさがない服だった。普段自分で買うときはどうしてもちょっと気が引けちゃうけど、雄弥に選んでもらったってことでそのハードルも簡単に超えられた。

 それで今は混み始める前にちょっと早めのお昼を食べようということになって、なにを食べるか決めるために一通りお店を見て回ってる。

 

 

「悩むな〜。雄弥は食べたいのある?」 

 

「ない」

 

「相手を困らせる返事だね…」

 

「……ならあそこの店にするか?」

 

 

 苦笑してどうしようかな〜って考えてたら雄弥があるお店を指でさした。あのお店は、

 

 

「ハンバーグ?」

 

「Roseliaとファミレス行っても晩飯前だからああいうの食べないし、最近食べてなかったから」

 

「言われてみればアタシもそうかも……。よし!ならそこ行こうか♪」

 

 

 ハンバーグ専門店?あ、でもステーキもあるんだ。ハンバーグとステーキだけなのに色々あるな〜。

 

 

「雄弥はハンバーグでいいんだよね?ステーキは切るのめんどくさいんでしょ?」 

 

「ああ。ハンバーグの方が切りやすいからな。どういうのかは任せる」 

 

「うん。いつも通りだね☆……ならアタシはこれで、雄弥はこっちかな」

 

「ありがとう。んじゃ店員呼ぶぞ」

 

「いいよ〜」

 

 

 店員さんを呼んで決めたメニューを注文する。今回はそこまで長居するわけじゃないからドリンクバーはなし。ジュースは頼んだけどね。

 

 

「このあとはアクセサリーショップか?」

 

「それもいいけど、楽器店も行きたいな〜と思ってるんだよね」

 

「新しい弦でも買うのか?」  

 

「うん。今のやつもまだ使えるけど、せっかく雄弥がいるんだからそこらへんも見てもらおうかなって」

 

「なるほど、可能な限り期待に応えよう」

 

「よろしく☆」

 

 

 まさかデートの内容に楽器店が混ざるなんて前までのアタシじゃ考えられないな〜。けど、友希那を隣で支えるためにもアタシはもっともっと上達しないといけない。Roseliaで一番下手なのはアタシなんだから。

 そう考えてたら頼んでた料理が届いた。アタシがおろしポン酢ハンバーグで雄弥がチーズハンバーグ。アタシたちが同じ系統の料理を頼むのもいつものこと、そしてお互い半分ずつ(・・・・)食べるのもいつものこと。

 

 

「半分に切ったぞ。……リサ?」

 

(いつもならお互いに交換して終わりだけど、今日はせっかくのデートなんだし)

 

「雄弥に食べさせてもらいたい、かな〜」

 

「…それはカフェ行ったときでいいだろ。これはゆっくりしてたら冷める」

 

「ちぇー残念。けど言ったからね!カフェでは食べさせてよ!」

 

「ああ。自分で言ったことは守る」

 

 

 二人でゆっくりしながら食べさせてもらう料理だと、ケーキとかかな?雄弥はどう考えてるんだろ……今は考えてないね。食べるペース早いもん。

 

 

「そんなに美味しいの?」

 

「わりと。リサも食べたらわかる。たぶんリサも気に入る」

 

「お、言ったな〜。……あ、美味しい」

 

「だろ」

 

 

 ふわふわしてるのに食感もしっかりあるし、おろしもマッチしてる。チーズの方は……うん!こっちも美味しい!

 

 

「ごちそうさま〜♪」

 

「少しゆっくりしてから行くか?」

 

「そうしたいけど混んできたし出たほうがいいかな」

 

「なら支払い済ませるか」

 

(えーっと、金額の半分出せばいいから…)

 

「会計はご一緒ですか」

 

「あ、べつ「一緒で」…雄弥」

 

「手早く済ませるだろ」

 

「そうだけど…」

 

 

 そう言って奢るつもりなんだよね。あとからアタシが払おうとしても絶対受け取らないだろうし。それなら今回はアタシが!

 

 

「10000円で」

 

「だからずるいってば!」

 

「何がだよ」

 

「アタシが払えないじゃん!」

 

「リサは払わなくていいぞ?」

 

「服も買ってもらってるのにご飯代まで出されちゃ…」

 

「楽器店いくならそれなりにお金が必要だろ?大事に持っとけ」

 

 

 アタシが黙り込むと店員さんも「えっと10000円でよろしいですか?」って会計を進めた。ごめんなさい店員さん、困らせちゃった。

 会計を済ませた雄弥と一緒にお店を出て次の目的地に移動する。アタシが黙ると会話がなくなるけど、そこまで苦じゃない。雄弥と話すのはもちろん大好きなんだけど、こうやって静かに二人で過ごすのも好き。…なんだけど、この辺りって。

 

 

「こっちってアクセショップの方じゃない?」

 

「リサがよくいくアクセサリーショップの近くに廃れたとこがあってな。そこいく」

 

「廃れたとこ…って、それ大丈夫なの?」

 

「穴場でいいとこだぞ。店長とはデビューの時からの付き合いだし」

 

「ええ!それは聞いてなかったな〜。…言われてみればたしかに楽器のこととかもアタシたち知らなかったけど。それって事務所の人がやってくれたりするんじゃないの?」

 

「事務所はたしかにやってくれる。だが、自分で使うやつは自分で探すさ。それに自分にあった弦とかピックとかがあるからな」

 

「あーそういうことか。そういうのってアタシも探したほうがいいよね」

 

「リサはその必要ない」

 

「…なんで?」

 

 

 本格的にやるならそういうのを探したほうがいいんじゃないの?雄弥はそうしたのに何であたしは駄目なの?

 

 

「今使ってるやつがリサにあってるからな」

 

「そ、そうなの?」

 

「始めた頃に何種類か弦試しただろ」

 

「あ…」

 

 

 そういえば始めた頃はすぐにコロコロと弦を変えてたっけ。てっきりあの頃は使い方が荒いからかと思ってたけど、アタシに合うやつを探してくれてたんだ。

 

 

「おじさんには世話になりっぱなしだな〜」  

 

「…そうだな。店についたぞ」

 

 

 ここが雄弥がお世話になってるお店。…たしかに言っちゃなんだけど活気がない気がする。場所がちょっと入り組んだとこだから、かな。なんかそういうとこってガラ悪い人達が集まりそうだけど。

 

 

「き、緊張してきた…」

 

「なんでだよ。弦買いに来ただけだろ」

 

「そうなんだけど、それなら町中のでもよかったじゃん」

 

「俺もついでに何個か買おうかと思ってな」

 

「廃れたとこで悪かったなお嬢ちゃん」

 

「うわっ!」

 

 

 びっくりしたー!いきなり出てきたしちょっと薄暗いところから出てきたからほんと怖いよ!!

 アタシが咄嗟に雄弥の背中に隠れて怯えてると雄弥が店長さん?の方に顔を向けながらちょっと身体の向きを変えてアタシの肩を抱きしめてくれた。そのことが恥ずかしくて完全に雄弥から離れるタイミングを失っちゃったんだけど、このままでいたいと思う自分もいる。

 

 

「リサを怖がらせるなよ。けっこう怖がりなんだぞ」

 

「…なんだ雄弥彼女つくったのか」

 

「彼女じゃない。幼馴染だ」

 

「ほう、この子が…」

 

「えっと、アタシのこと聞いてるんですか?」

 

 

 雄弥が打ち解けてるしこの人にお世話になったってのも、アタシが思ってる以上に助けられたってことなのかな。それにしても雄弥が自分からアタシや友希那のこと話したの?

 

 

「そいつに会った時に色々と聞き出させてもらった。今も大差ないがあの時は今以上に人間味なくてな」

 

「嵌められたようなもんだ。このおっさん話術が巧みなんだよ」

 

「はっはっは!あのときのお前にはまだ純粋さってのが存在してたってこった!今じゃ通用しねぇさ」

 

「…仲いいんですね」

 

「なんだお嬢ちゃん嫉妬か?おっさんに嫉妬しても仕方ねぇぞ?」

 

「ち、違います!」

 

 

 お店がある場所と雰囲気とはかけ離れたぐらい店長さんは気軽な人だった。雄弥が打ち解けたのも納得できる。

 店長さんがアタシをからかってると雄弥がわかりやすくため息をついて店長さんの意識をそらした。それだけで通じるってのも凄い気がする。アタシもそれぐらい察せる人になれるかな。

 

 

「今日はなにを見に来た?」

 

「ある程度察してるだろ。弦とピック、あとスティックの補充だ。それとリサの弦も買う」

 

「やっぱりか。ちょっと待ってろ」

 

 

 店長さんはそう言い残してお店の奥に入っていった。普通はお店にあるやつをレジに持っていくんだけど…。

 

 

「リサもう大丈夫か?」

 

「え?……!ご、ごめん//」

 

 

 すっかり忘れてたけど、さっきまでずっと雄弥に抱きしめられてるままだったんだ!しかも無意識のうちにアタシからも雄弥に腕をまわしてたなんて……。

 

 

(店長さんにそれを見られてたってことだよね!)

 

「すぐに戻ってくるだろうけどどうする?店の中見てみるか?」

 

「……え、あ、うん。そうしようかな」

 

「たいていのは1階にあるからグルっと見てこいよ。2階にはまた今度一緒に行こう」

 

「うん♪」

 

「ただし地下には行くなよ。降りる階段にも近づかないほうがいい」

 

「なんで?」

 

「別の店だから。それにあそこは強烈だし」

 

「…?よくわかんないけど近づかないようにするね」

 

 

 その地下の階段の位置を教えてもらってそこには近づかないようにしながらお店にある品を見て回る。個人経営のお店なのに品揃えが凄い豊富。定番なのはもちろんなかなか見つけられない種類のも置いてある。その分棚には数がないけど、たぶん倉庫かなんかにストックがあるんだと思う。

 

 

「…どうやって雄弥はここを知ったんだろ」

 

 

 デビューの時から利用してるというこのお店。当時の雄弥はまだ中学生だったのにこんなとこを知ってるなんて、アタシたちが知らない時期に何があったんだろ。紗夜と知り合ったのもその時期みたいだし。

 

 

「リサ。店長が戻ってきたぞ」

 

「あ、うん」

 

「………。このあとはカフェでいいか?」

 

「いいよ〜」

 

 

 雄弥についていって店長さんから弦を受け取る。アタシが使ってるのはどれかなんて言ってないのに使ってるのと同じやつを渡された。店長さんが言うには「指みりゃわかる」とのこと。雄弥の男の人の知り合いって常識はずれしかいないのかな?なんて思ってしまった。

 

「こんな店に女の子が来るなんて珍しいからな、金はいらねーぞ」

 

 店長さんはそう言ってすぐに店の奥に引っ込んでしまった。困ったアタシは雄弥に視線を送ると「諦めろ」って言われた。せめてもの思いでアタシは声を張って店長さんにお礼を言うことにした。

 

 その後行ったカフェでも雄弥には翻弄された。カップル限定メニューという言葉にときめいたアタシの反応を見逃さなかった雄弥がそれを注文したし、店員さんに「素敵な彼女さんですね」なんて言われたら雄弥が営業スマイル(作り笑顔)で「俺には勿体ないほどに」なんて言うし。

 アタシが顔を赤くしてるのに気にせずパフェを"あーん"させてくるのはもはや罰ゲームに思えたよ。そんなアタシたちの様子にどうやら若い女性店長さんはときめちゃったみたい。

 

「宣伝用にお写真撮ってもよろしいですか!」

 

「宣伝用?」

 

「はい!この限定メニューをもっと広めるために実際に食べてるカップルを撮って告知したいんです!」

 

「リサの意見は?」

 

「えぇ!アタシ!?」

 

 

 雄弥はこういうの気にしないから別に写真撮られるぐらい、とか思ってるんだろうな〜。芸能人なのに、アイドルなのに!

 

 

「雄弥はこういうのまずいんじゃ…」

 

「宣伝用なら仕事の一環とも言えるが?」

 

「あーたしかに…」

 

 

 なら問題ないのかな?……いやいやいやいや!何考えてんのアタシ!カップル限定メニューの告知用だよ!?あ、でも仕事の一環ってことなら…けどアタシは芸能人じゃないし…。

 

 

「……写真の側に一言添えてもらえます?」

 

「内容はどうしましょう」

 

「内容は──」

 

 

 

「ありがとうございました〜!これ次回にでもお使いください!」

 

 妙に元気さがました店員さんにそう言って渡されたのはこのお店のサービス券だった。今回みたいにお店に協力したら貰える特別なものなんだって。

 それと撮った写真はデータでアタシと雄弥の携帯に送られた。アタシは家に帰って自分の部屋で写真を確認して一人悶えることになるのだった。

 

 ちなみに撮った写真がお店の告知として使われたら一気に広まり、友達はもちろんRoseliaメンバーにも根掘り葉掘り聞かれることになるとは思ってなかった。

 

 

 

 




年齢=彼女いない歴な人間ですが、意外と捗りました。
そして自分でも予想してませんでしたが、次回に続きます。

☆9評価 俺達総帥さん 凛TKさん、倉崎さん ありがとうございます!
お気に入りが100件突破しました。これからも書いては編集してを繰り返して楽しんでもらえるものにしていこうと思います。
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