本気のチートで異世界最強   作:豆腐の角に頭をぶつけたい

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いきなり使うよ〇〇剣

「あいたたた……」

 

ぽつん、ぽつん…と水が頬に流れ、そして落ちていく…ここは『オルクス大迷宮』。その内部に1人の少年がいた。彼の名は南雲(なぐも)ハジメ。不憫にも奈落の底とも言うべき場所に落とされた可哀相(かわいそう)な人間であり、また、違う世界よりこの世界に南雲ハジメとして転生した転生者である。そして彼は現在仰向けで地面に寝転がっていた。

 

「これ、落ちたのが俺じゃなかったから絶対に死んでたよな。いや、わりとガチで」

 

高いところから落とされた(・・・・・)のにも関わらずハジメは全く気にかけていなかった。精々『当たりどころが悪ければ怪我するところだったな』程度である。

 

「まぁいいか。んで、ここは迷宮のどの辺だ?」

 

立ち上がり、辺りを見回し始めるハジメ。普通は暗すぎて見えないだろう。しかしハジメは転生者である。そう。彼は前世にありふれたチート保持者なのだ。

 

「それにしても…ここら水ばっかりじゃねぇか。湿気多いし服びしょ濡れだし。服乾かさないと風邪ひくぞこれ…全く。一体どこの問題児なんだよ?技能に水難とか追加されてたら泣くぞ」

 

ハジメは悪態をつく。だが口を動かしているだけでは何も解決しないため服を乾かすことにした。

 

「仕方ないな。えーっと…あ、そうか。詠唱なんて長ったらしいのはもうやめにしよう。めんどくさいし」

 

ハジメは偽装したステータスプレートのせいで魔法の適性がほとんどないと思われているだけで、実際は才能マンなのである。全て転生特典のお陰ではあるのだが。

 

「うーんと。確か…"火種"」

 

すると、目の前に轟々と炎が出現した。ハジメは即座にびしょびしょに濡れている服を脱いで、炎の近くに放る。炎の温度にもよるが、濡れているためしばらくは置いておいても問題ないだろう。

 

「あーっと、ステータスプレートは取っとかないとな。俺よく物を失くすから、そのまま放置して紛失ーなんてことになりかねないし」

 

長い独り言を言いながら偽装済みのステータスプレートを取り出したハジメ。だが10秒ほど取り出した体勢のまま考えると

 

「もう偽装しなくていいか。めんどくさいし」

 

そう言ったのだった。そしてそのままハジメは偽装の魔術を消した。そして偽装を解いたステータスプレートにはこう書かれてあった。

 

=======================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1

天職:────────

筋力:592

体力:427

耐性:380

敏捷:264

魔力:1580

魔耐:988

技能:錬成[+道具作成][+弓矢作成][+消費魔力減少]・投影魔術・神性・気配遮断・気配察知・黄金律・縮地・カリスマ・言語理解・騎乗・巨獣狩り・剣術[+無明三段突き]・直感・高速詠唱[+高速神言]・陣地作成・自陣防御・自己改造[+自己進化]・戦闘続行・千里眼[+読心][+未来視]・全属性適性・全属性耐性・対魔力・魔力操作[+魔力放出][+魔力防御]・矢避けの加護・勇猛・直死の魔眼・宝具[+王の財宝][+流星一条][+消費魔力減少]

=======================

 

誰もが驚愕し、そして羨むチートである。もしかしたらチートや最強は面白くないと思う者がいるかもしれない。しかし大半の人間は羨み嫉妬するだろう。何故ならば、『Fate』の中で圧倒的人気を誇っている英雄王ギルガメッシュの能力に始まり、staynightの主人公である衛宮士郎の十八番(おはこ)の投影魔術、『月姫』の主人公の遠野志貴や、『空の境界』の主人公である両儀式の直死の魔眼。大英雄アーラシュの宝具に関しては最終手段だろう。PrototypeやFate/Grand Order(FGO)の通り、自らをも犠牲にして放つ宝具なのだから。しかし彼のスキルである弓矢作成は大変便利だと思われる。

 

「あー。やっぱり耐性が他のやつより少しだけ上がってるな。高いところから落ちたからだよな」

 

うんうんと1人で頷いているハジメ。人がいたらただのキチガイだと思われてしまうだろう。だが幸いここにはハジメしかいないため、彼がキチガイ認定されることは無かったのだった。

 

「まぁいいや。そんじゃ、そろそろ進んでいきますか」

 

ハジメはそろそろ乾いただろうと思い、炎の近くに今もなお放られている可哀相な服を着直した。

 

「うーん。拳だけじゃ心許(こころもと)ないか?やっぱり使うしかないのかね」

 

こんなこともあるだろうと王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の中に入れておいた鉄の剣を1本取り出す。実はこれ、ハジメが騎士団からちゃっかりパクってきた物である。彼は技能である気配遮断を使い、倉庫から盗んできたようだった。しかも王の財宝さえあれば、その中にパクったものを入れておくことができるので泥棒し放題だ。なんとも羨ましい限りである。

 

「剣とか数週間…正確に言えば2週間か。それくらいしか使わなかったしな。檜山たちのせいで全く練習出来なかったし。しくったかなー。転移前にもっと剣術とかやっとけばよかった。なんでそんな簡単なことも思いつかなかったんだ転移前の俺。アホすぎるだろう」

 

そして…やはり出てくるか檜山。ハジメにとって檜山たちは鬱陶しい人物である。ハジメは原作のように蔑まれておらず、運動神経も良かった。しかも頭脳明晰(ずのうめいせき)であったために羨み、好意を向けてくる人も少なからずいたのだが、それくらいではイジメをやらない理由にはならないようだった。ハジメが奈落の底に落ちたのもやはり檜山のせいである。きっと檜山たちは少し不良な俺らカッケーとでも思っているのだろう。とんだゲス野郎である。控えめに言ってfu〇kだ。

 

「まぁなんとかなるか。よし、行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体どれくらい進んだのだろうか。先が全くと言っていいほど見えてこないためハジメはイラついていた。もう不機嫌オーラ全開である。

 

「…コッチでいいのかは分からないけど、あとどのくらいこんな単調でつまらない道を歩けばいいのか。二尾狼だっけ?は群れで襲ってくるくせに雑魚だったし…唯一褒めるべき点があるとするならば連携だな。で、ウサギちゃんは最初精神的なダメージがあったけどそこまで強い敵じゃなかったし。ただ二段ジャンプして回し蹴りしてくるだけだし。対処なんてすぐに出来るし。もっと殺りがいのある敵はいないのか?」

 

ちなみにハジメはまだ倒した二尾狼やウサギを食してはいない。あの痛みを耐えられるのは神水をゲットしてからだと思っているからだ。まぁ実際そうなのだが。神水なしで魔物を食べてしまえば身体の至る所がボロボロになり、長時間激痛が走ったあと最後は死ぬだろう。

 

「固有魔法を手に入れるためにも早く神水を見つけないといけないな」

 

そう決意を固めるもやはり道が見えてこない。そのためハジメはつまらなさそうに走ったり歩いたり匍匐前進(ほふくぜんしん)をしたり一人寂しくマイムマイムを踊ったりDaisuke☆していた。すると一際目立つ気配を感じた。それはまさにここ周辺の層の主、と言ったところか。

 

「…へぇ?なんだ。面白そうなの、いるじゃん」

 

ハジメは喜んでそっちの方に駆け出していった。無論、二尾狼やウサギの亡骸はそこら辺に放置している。

 

「グルルルァァァ」

 

向こうもハジメに気づいたのだろう。鋭い目でハジメを睨んでいる。野獣の眼光、と言ったところか。恐らくハジメの走る速さを見て敵として対峙するのに値すると思ったのだろう。

 

「グァァァァァ!」

 

ハジメの身長はおよそ165cmだが、敵の爪熊は6mほどある。白い毛に包まれており、目は鋭く、牙はなんでも貫通できそうな程尖っている。爪は50cmほどの大きさでそれが3本あった。体格ではハジメが大きく劣っている。

 

「ふっ!」

 

振るってきた爪を剣で迎え撃つ。ガキン!という金属同士がぶつかったような音がしたが、爪熊は気にもとめない。そしてそれはハジメも同様だ。ハジメはそのまま流れるようにして腹に一撃を加える。

 

「グルル……」

 

爪熊は『今、なにかしたのか?』という顔をしていた。

 

「何っ!?」

 

ハジメは驚いていた。

 

(なんで今の攻撃が効かなかったんだ?普通の爪熊ならこのぐらいで倒せると思っていたんだが………予想以上に面白そうだな。退屈しないぜ)

 

ハジメは再び敵を見据える。

 

「グァァァァァ!」

 

「ッ!」

 

ハジメは咄嗟に避けた。するとその約0.1秒後にハジメがいた場所を風が襲う。風の刃だ。分かりやすく言うならば鎌鼬(かまいたち)のようなものだろうか。

 

「何にしても、これは厄介だな…まさかあいつ、風を飛ばせるなんてな。纏えるのは知っていたが、そこまで出来るなんて思ってなかったぞ」

 

そう言いつつも喜んでいるハジメ。初めての強敵にワクワクしているのだろう。

 

「…グルルルァ?」

 

一方で、爪熊は不思議に感じていた。どこかがおかしい、と。身体能力ではこの人間は自分と同じくらいだろう。しかし、何かが違う。決定的なナニカが。だがその思考もすぐに放棄した。そして自分の全てを以て敵を食らおうと突進する。

 

「へぇ?いいねいいね。突進か。そういうの、俺結構好きだぜ」

 

若干性格が変わっている気がするがモーマンタイ(問題ない)。きっとこれがハジメの本性なのである。と、突然ハジメは何を血迷ったのか武器を放り投げた。カランカラン、と音がする。何故ハジメが武器を捨てたのか。それは、今にも殴りそうな爪熊を見たからである。何故爪熊が爪を使わずハジメを殴ろうとしているのかは知らないが、それに心うたれたハジメが同じように拳で抵抗しようとしたのである。

 

「もちろん俺は抵抗するで?拳で!ってな!」

 

パンッ!と両の拳を合わせ、爪熊のように突進していく。そしてその僅か1秒後、ふたつの拳がぶつかりあった。

 

「ッ!つぁ…」

 

思わず顔を顰めるハジメと、表情に変化はないが腕をプルプルさせている爪熊。ハジメの方は骨折しているのに対し、爪熊の方は怪我がないように思える。

 

(これが骨折かよ!めっちゃ痛いじゃねぇか!俊也(しゅんや)健人(けんと)がすげぇ痛がってたけど、マジでヤバイぞ!)

 

俊也(しゅんや)健人(けんと)というのはハジメの前世の友人なので紹介は割愛しよう。はっきり言ってこれ以降出てくることはないし、どうでもいい人物なのである。

 

「いってぇ……やるじゃないか爪熊さんよ。だが、本番ってのはこっからだろ?」

 

先程まで顔を顰めていたハジメの顔に再び笑みが浮かんだ。それにつられ、思わず爪熊もにっと笑った。言葉は通じないが命懸けの戦いをしている彼らには今、通じたなにかがあったのだろう。彼らは一旦距離をとり…

 

「オラァ!」

 

「グァァァァ!!」

 

拳と拳がぶつかり合い、骨と骨が当たる鈍い音がする。それに伴い痛みが両者にくるが、そんなことは関係ないと再び激戦を繰り広げ始めた。今度は完全な肉弾戦。

 

「ゴフッ!」

 

「グガッ!」

 

爪熊の拳がハジメの腹をえぐり、ハジメの拳が爪熊を弱らせる。そのような攻防をひたすら続けた。何分、何十分、何時間…途中からは衝撃波のようなものが生じ始めたことから、彼らの成長が凄まじいことが良くわかる。技能である自己改造、その派生技能の自己進化を所有しているハジメは常に進化し続け、オルクス大迷宮の魔物である爪熊は元々成長速度が段違いに速い。成長の速い者同士がぶつかり合っているからこそお互いを高めることが出来るのだ。そしてそのことを薄々どちらも感じていた。まさに天才を超えた鬼才と言ったところか。

 

「はぁぁ!」

 

「ガァ!」

 

ハジメの拳が爪熊に入った。その威力に思わず爪熊は大きく身体を後退させた。その隙を見逃さないハジメは追撃する。のだが、

 

「グォォォォ!」

 

「グ…ガッ!」

 

なんと前から迫ってきたのは爪熊巨大な脚。そしてそのままハジメは爪熊の蹴りを受けてしまった。大きい音を立てながら天井にぶつかるハジメ。その際に頭も強打してしまい意識が少し朦朧としているようで、爪熊が横に蹴り飛ばそうとしているのに気づいていない。

 

「グァァァァ!」

 

「な、にっ!?」

 

ハジメは咄嗟に体を捻り、爪熊の攻撃を避けた。しかし無理やり避けたせいか骨が、筋肉が、身体がミシミシと悲鳴をあげている。その苦痛を我慢しながらハジメは悩んでいた。なぜ悩んでいるのか。それは、このまま戦っていると自分が勝てるかわからないからである。もちろん王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)や直死の魔眼などを使えば余裕だろう。一瞬で殺すことが出来る。しかしそれをしないのはハジメのプライドがあるからである。使えば死闘には勝てるが勝負には負ける。そう思っているのだ。

 

「…なぁ爪熊」

 

「グァ?」

 

攻撃をやめ大きく距離をとったハジメに訝しげな顔をする爪熊。そしてハジメは爪熊にある提案をした。

 

「これじゃあ強くなるのはいいが(らち)があかねぇ。それでだ」

 

「グルァ?」

 

まさか?という感じの声を出す。しかしその声には喜色が浮かんでいる気がした。

 

「あぁ。今からの一撃。これで片をつけよう。お前は本気の全力。そして俺もまた然り。どうだ?『最強』を決めようじゃねぇか」

 

「ガルルァァァァァァ!」

 

賛成、と言っているようだ。ハジメもそう受け取り、我流ではあるが構えをとった。それと同時に爪熊も突進する姿勢をとる。

 

「そうだな…この小石が地面に落ちたらスタートだ。分かるか?」

 

ハジメはどう伝えるか迷ったが、普通に言葉で伝えることにした。この爪熊は頭がいいし大丈夫じゃね?うん。きっと大丈夫だよな!と。実際この爪熊は知能が高く、人間の言葉なぞすぐに聞き取れるようになるのだ。そこから先に進むことが出来ないのが難点だが。

 

「……グルルル」

 

もちろんOK。爪熊の視線がそう言っている。

 

「よし、OK。じゃあ行くぞ?」

 

瞬間、爪熊は自らの拳に風を纏わせる。ゴウ!と大きな音を立てながらハジメを見ている(さま)はあたかも千年に一度クラスの大きな台風が近づいてきているかのようだ。それを見て笑ったハジメは同じように拳に魔力を纏わせる。利き腕は骨折しているため激しく動かすと激痛が走るが、これは男と男?の戦い。今回だけは無理をしよう。そう思ったのである。深く深呼吸をしてハジメは小石を投げる。そしてそれが落ちた瞬間…

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

「グルルルァァァァァァァ!」

 

建物が一気に倒壊するような、先程よりも鈍く大きな音がした。地面にはクレーターが出来ており、辺りの石やらなんやらは全て吹き飛んでいた。ハジメと爪熊は全く気づいていなかったが、実はこの時この1人と1匹の戦いによって『オルクス大迷宮』全体が揺れていた。

 

「ガ…ガァァ」

 

「ごはっ!」

 

縮地によって瞬時に間合いを詰め、魔力放出により速さが段違いになったハジメの怪力と言える拳と、爪熊の全てをねじ伏せる暴風を纏った圧倒的なパワーがお互いの顔面を穿っていた。どちらも手の骨が折れ、更に頭蓋骨が折れそうである。ハジメに至っては利き腕が元々折れていたためボロボロになっており、ハジメたちが元いた地球の技術では治らないくらいの怪我になっている。粉砕骨折をさらに酷くしたような感じだろうか。爪熊に関しても、当たりどころが悪かったのか大きく隆起した腕がボロボロになっている。ボロボロさで言ったらハジメと同じくらいである。だがそれでも我慢しているのは、自分のプライドと、相手には負けたくないという意地であった。

 

「おいおい………爪熊。そろそろ楽になっていいんだぞ?俺が勝ちを貰うからな」

 

ハジメはニヤリと笑いながら爪熊に喋りかけた。喋れるくらい余裕があるのだろう、と普通ならば思うが、全然そんなことはない。かなり疲弊しているのだ。

 

「……」

 

爪熊はじっとハジメを見ている。そしてそれから数秒後、驚くことになんと爪熊からハッキリとした言葉が返ってきたのだ。

 

「何を…言っている、のだ。この…俺が諦めるなどあるはずがないだろう」

 

ハジメは一瞬驚いて力を緩めそうになったが、これが言語理解によるものだと納得した。全く、異世界人特有の技能は利便性が高いものだ。この世界に生きる者達がこれを聞いたら卒倒するだろう。それくらいの素晴らしい技能だった。

 

「ふっ…そうかい」

 

だが実はハジメは理解していた。もうそろそろ爪熊は力尽きると。そして案の定ハジメを殴っていた力が緩くなり、ドスン…という音を立てて爪熊は倒れた。

 

「グァ…この身体、もはや動かぬか。貴様を倒し、喰らい、さらに強くなり…この迷宮を制覇してやろうと思っていたのだが、な」

 

「そうか。だけどお前が俺を倒すなんざ数千年…いや、数万年ははやいわ。俺がお前の土俵に乗ったから善戦出来たってことを理解しろよ?」

 

ふっふっふと笑うハジメ。

 

「ぐ…それを言われると…少々キツいな。だが、そうだ、な。『次』というのがあるのならば、貴様の土俵で戦うのも悪くはない、か」

 

本人でも気づかなかったが、ハジメは思わず涙を流していた。笑いながら泣くというのもおかしな話ではあるが、事実。ハジメは現在その状態だった。爪熊は転生してから初めて肉弾戦とはいえ本気で戦いあった相手。心を通わせた相手。その生命がなくなろうとしている。だがハジメはそれを受け入れていた。そして爪熊の言葉に精一杯笑う。

 

「あぁ。俺はいつでもお前を待っててやるからよ。お前が俺を追いかける限り俺はそれ以上に進み続けてやる。だからお前も俺に追いつくために頑張れよ?男と男の約束だぜ。約束破ったら許さねぇからな?」

 

最近だいぶ有名になったオルガ団長のような言葉をかけるハジメ。どうやら彼もオルガをネタにしていた人物のようだ。鉄血ファンが聞いたら激怒するかもしれないが、そのようなことハジメが知るはずもない。

 

「そうか…なら、安心だな。あぁ…最後に、貴様の名…を………」

 

最後までいうことが出来ず、爪熊はこの世を去った。

 

「最後まで言えてねぇじゃねぇかよ…」

 

そしてハジメは無けなしの魔力を使い黄金の波紋を出現させた。其れこそは、あらゆるモノの原典が入った黄金の都。英雄王ギルガメッシュの持つバビロンの蔵である。そしてその中に入っているメジャーで最強なアレを取り出した。

 

「本来ならばこんな簡単に抜くことが許されないのはわかってる。だが、この世界で初めて出来た親友とも言えるであろう者の弔いだ。今回だけは許してくれ」

 

王律鍵バヴ=イル。ハジメはバビロンの鍵であるバヴ=イルを起動させると、ソレは姿を現した。剣というよりは杖のような形であるソレは、刀身のような場所には3つの円筒があり、赤い文様を備えていた。その3つはそれぞれ《天》、《地》、《冥界》を表しており、それら全てを合わせて宇宙を体現するもの。『剣』という概念が誕生するより前から存在した神造兵器。

 

「さぁ、消し飛ばしてくれ。エア」

 

ハジメがそう言うと乖離剣エア(ソレ)は回り始める。そして先程ハジメと爪熊が行っていた死闘よりも一段と激しい風が出現した。一瞬風が弱まり、なくなったと思った瞬間、まるで原子爆弾や大陸弾道ミサイルが直撃したかのような、地球ではまず聞かないような音を出し、爪熊の身体を文字通り消し飛ばす。そしてその余波(・・)で半径数百メートルが被害を受けた。ハジメとしてはホントに最低の威力だったのだが、それでもエアにより繰り出される最大出力の一撃は『対界宝具』に位置されている。つまり、評価規格外(EX)の攻撃を繰り出すことが出来るエアは、たとえどんなに手加減をしても軽く辺りを更地に出来るのだ。伊達にメソポタミアの神の名を冠していないというわけだ。

 

「あぁ…これは忘れちゃいけないな。爪熊……俺の名前は南雲ハジメだ。覚えとけよ?俺の名前、忘れてたら一発くらいは殴らせろよ?」

 

エアを王の財宝の中にしまったあと、その言葉を最後にして、長時間の戦闘と魔力切れによってハジメの意識は途絶えたのであった。




頑張ってFateを調べたり色々してるんですけど、エアって調べるとエンキが出てくるんですよねぇ…同一神なのでしょうか。
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