待っててくれた方は本当にありがとうございます!
ふたりの距離の概算はオリジナル要素を中々入れにくく苦戦しています…ぐぬぬ。
現在 8.0km地点 残り12.0km
side奉太郎
何を正しいと考え、何を間違っていると考えるかは、教育や経験によって後天的に覚えていくものだ。
善行を褒められ、悪行を叱られる。それ故に本能的に好き嫌いを学んでいく。
仮にこれを先天的と言ってしまえば、生まれた頃からチーズが嫌いになるように定められていたようで、なんだか気に食わないし、少々運命めいている。
好き嫌いはむしろ、長じてのちに己の内側から湧き出てくる衝動的概念だと言えるだろう。
それはつまり、自分はなにを最も大事にしているかという問題に絡んでくるに違いない。
ある雨の日。ハルと帰路を共にしながらこの様な話をした。ハルは苦笑いを浮かべながらこう言った。
「チーズが嫌いな事を例にあげたってことは、伊原のチーズ嫌いを思い出したからか?だったら伊原はこう言うな。『好きなものも嫌いなものもろくすっぽない折木にそんな事は言われたくない』ってな」
「いや、伊原なら違う。もっと言うさ、もっと酷い言い方でな」
伊原はそういう人間なのだ。俺と伊原は小学校からの付き合いであるが、特に大きく絡んだ事は無かった。とはいえ、伊原の性格なら俺は古典部で里志の次に博識といえよう。伊原は俺に興味はないだろうがな。
ハルや里志。またはその両方と帰る時には大体くだらない話を繰り広げながらダラダラと帰路を歩く。昨日の話題はなんだったかな……HBと鉛筆とシャーペンはどちらが使いやすいか、時にはもし魔法が使えたならなどという実に馬鹿らしい話を繰り広げる。
しかしこれは別に悪い時間ではない。ハルや里志、古典部の連中と話している時間に居心地が悪いとは思ったことがないのだ。
しかし今日は珍しかった。里志は総務委員。俺はハルと共に帰宅していたのだが、今日の議論の聴衆には大日向がいたのだ。
校門の前の壁に寄りかかっていた大日向は俺達を見るなり、『まだ友達がいなくって』と苦笑いするので、なんとなく一緒に帰っていた。
大日向は言う。
「伊原先輩ってそんなに口悪いんですか?」
「悪い」
ハル
「悪いな」
これは賛同する他ない。……が俺は続ける。
「誰にでも食ってかかる訳じゃないさ。現に千反田に暴言を吐いてるのはみたことない」
この差は時に残酷だ。俺の意見が間違っていた時に伊原必ず俺に突っかかる。しかし俺と千反田の意見が同じだった場合、伊原は何も言うことはない。
大日向は目を細め、ヒソヒソ声で俺とハルに語りかけてきた。
「それって、千反田先輩が色んな人のことを知ってるのと関係あるんですか?」
ハルが軽く笑ったあとに答えた。
「千反田が伊原の弱みでも握ってるんじゃないか、そう言いたいのか?」
俺も内心笑った。千反田が人の弱みを握る?そもそも千反田はそんな所まで頭が回らないだろう。
大日向の切り替えは早かった。
「そして折木先輩がなにも大事にしていないってことが分かりました!」
「おい」
「ハル先輩は大事にしてるものってあります?」
俺の訂正は届かず、話題はハルに振られた。ハルは一度『うーん』と頬を掻いた。
「か、家族とか友達とかか?」
思いつかなかったのか、ハルは少し照れくさそうに定番の答えを発した。大日向は『ふーん』という興味なさげな返答を返した。
「オーヒナ、そういうお前はどうなんだよ」
「私ですか?そりゃぁ勿論、女の子的には《恋》ですって言わなくちゃならないですよね」
恋……、恋ね。目の前で恋について語る下級生を前に、俺はコアラを見た気持ちになった。姿形は知っているが、実物を見た日本人は少ないアレだ。
「アテはあるのか?」
俺が聞くと、嬉しそうにかぶりを振った。
「今はないですけど、だからそうですね。今一番大事なのは……」
「友達……かな」
この時は意識していなかったが、大日向が《恋》と答えた時には彼女は笑っていた。しかし、《友達》と答えた時には俯いていた。
深く考えはしなかったし、深く考える必要もなかった。日常会話で話している内容を深く考える人間なんてものは存在しない。
正直、俺やハルは大日向にそこまで深く関わってこなかったのかもしれない。
ハルは大日向と互いにアダ名で呼び合う仲ではあったが、特別二人が仲良く話している姿を見た回数は無いとは言い切れないが、少ないのは事実だ。それは俺も同じ。
大日向をちゃんと見てこなかったツケを、俺達は走りながら復習しようとする。テスト前に参考書を買って勉強するようなものだ。
実に愚かで醜い行為とも言えるだろう。だがまだ半分も走っていない、考える時間は少なくは無い。
大日向が本当に千反田の事を下面如菩薩内心如夜叉という意味合いで使ったのなら、大日向はそれなりにマイナーな句を知っているといえよう。
桜の誕生日パーティーの時に里志が言った、『これは一体なんという鵞鳥だい?』というのを直ぐに萩原朔太郎の詩だということを看破した大日向は、それなりに日本語が得意なのかもしれない。
俺は隣のハルの姿を見た。スロースペースなので息切れこそ起こしていないが、時折汗を拭っている。俺も額から流れた汗を体操着の袖で拭った。
ハルは《新歓祭》と《桜の誕生日パーティー》の事を思い出したと言っていた。どちらの日も記憶に新しい。
俺も思い出したことがある。全く関係の無いことかもしれないが、そうとも言いきれないからな。
過去十四日前
その日の部室には珍しいメンツが揃っていた。
俺が訪れると同時に二つの視線がこちらを向いたのだ。
ハルと伊原の視線だった。ハルはなんだか微笑を浮かべており、伊原はムッとした表情をしていた。いや、ムッとしているのはいつもの事なんだが。
「珍しいな。お前らが二人で話してるなんて。……伊原、今日は漫研の活動日じゃないのか?」
『おま……ばか』とハルの声も乏しく。伊原は少し苛立った声で俺に返答した。
「やめたわよ」
「ほう」
「ほう、ってなによ」
「正しい判断だとは思うけどな」
「そうね」
伊原の声は苛立ってはいたが、怒っている様子はなかった。どこか吹っ切れているような感じもしたし、何に対してかは知らないがやる気にも満ちていた。
知っての通り、伊原の漫研での立ち位置は文化祭以降微妙なものになっていたのは人伝で聞いていた。派閥争いの様なものもあったと聞き、千反田や里志は伊原の身の心配までしていたのだ。
その後すぐに千反田と大日向が部室に現れ、大日向はカバンからポテトチップスの袋を取り出した。
「みんなで食べましょうよ」
俺達は椅子を持ち寄り一つの机を囲んで座った。
大日向はスカートのポケットから携帯を取り出し机の上に置く。携帯を入れたままだと座りにくいのだろう。
《チップスサツマ》という名称だった。ジャガイモではなくサツマイモで作っているのか。ふとポテチの袋を眺めていると『福岡県限定』と書かれていた。む。
「大日向。お前福岡に行ったのか?」
「え?なんで折木先輩わかったんですか!?」
『こわ』という伊原からの誤解の声を無視して、俺はポテチの袋を指さした。
「福岡県限定と書かれているからな」
「あー、この前ライブに行ってきたんですよ!全国ライブです」
「全国ですか!?北海道から沖縄まで!?」
千反田の驚いた声に大日向は戸惑いながらも答える。
「ええっと、仙台から福岡までです」
「すげぇな。俺も好きなバンドとかいるけど、全国追っかけ回すまではしないぜ」
片手に地学講義室の鍵を持ちながらハルが言うので俺も頷いた。俺とて音楽に無関心な訳でもない。好きなグループもそれなりにいるが、全国を追っかけ回そうとは思わない。
素直に感心する。
「でも、東京公演のだけは取れなかったんですよ〜」
「東京って人多いもんな」
ハルが言う。東京に住んでた人間の言う事は説得力が違う。
千反田が続けた。
「大日向さんはスキーもやってらっしゃいますよね?」
「え?あぁ、はい。どうして?」
大日向がそう聞いた途端に、ハルの手から地学講義室の鍵が落ちた。ハルはすぐにそれを拾い上げ、ポテチが乗っている机の上に置いた。
俺達のポテチを食べるスピードは止まらない。次々と自分の口に放り込み、次のポテチへと手を伸ばす。そして最後の一枚となった所で、俺と伊原が同時に手を伸ばした。
手がぶつかったので俺達は手を引っ込め、互いを睨み合う。
本来ならロマンティックな雰囲気が流れるところであろうが、生憎俺と伊原の間には熱い視線はなく、冷厳な視線で睨み合う。
俺が最後の一枚を譲ろうと手を引っ込めると、伊原の引っ込める。
俺が取ろうと手を伸ばすと、伊原も伸ばす。
「何やってんだお前ら。食わないなら俺がもらうぞ」
ハルがそう言いながら手を伸ばすと、俺と伊原やはり同時にハルを睨んだ。ハルは叱られた犬のようにしゅんと手を元の位置に戻す。
その時地学講義室のドアが開かれた。
そこに立っていた里志は俺達を見るなり言った。
「やぁ、なにしてるんだい?」
大日向は答える。
「いまから最後の一枚を食べるところなのだ」
最後の一枚が里志の腹に入ったところで、大日向はここぞとばかりに胸を張りながら言った。
「では、私のお気に入りのポテチを食べた皆さんには、やって貰いたいことがあります!」
今のは賄賂だったのか。
「悪ぃ遅れた!!」
大日向からの賄賂をしっかりと胃袋に入れた次の日の土曜日、俺達は母校の鏑矢中前に立っていた。
私服で中学の近くまで訪れるというのは、なんだか不思議な感覚を覚える。
約束の時間の少し後に訪れたハルが息切れを起こしながら膝を屈ませた。
ハルは方向音痴なのだ。入学式には遅刻するし、去年の夏祭りでは迷子になる。つまり、
しかしこれは黙っておこう。別に言う必要はないが、言わない必要はあるからな。
ちなみに今日は千反田は家の用事で途中からの参加になるらしいが、いつから来るかは聞いていない。
「ハル先輩、大丈夫ですか?」
大日向からの優しい一言。
「遅いわよ」
伊原からの厳しい一言。
たったの五分程度だし、ハルは鏑矢中に来るのは初めてなんだ。許してやれ。と俺がいえば伊原に何かを言われかねないので黙っている事にした。すまぬハル。伊原からの雷はお前が受けてくれ。
「いやぁ面目ない。あはは!」
なんの悪びれもないこいつもこいつだがな……。
「いやぁそれにしても楽しみじゃないか」
里志が言うと伊原も続いた。
「そうね。えっと、従兄だっけ?」
「はい」
大日向は嬉しいそうに頷いた。
今から行くのは大日向の従兄が経営しているお気に入りの喫茶店らしい。俺にもお気に入りの《パイナップルサンド》という喫茶店があるが、残念な事に移転してしまった。しかしこれは好機だ。もし大日向のお気に入りの喫茶店が高校生一人で入れるような店だったら、俺もそこに通うことになるかもしれない。
鏑矢中から近い事もあり、俺の家からもそう遠くはない。
辿り着いたのはパイナップルサンドに似たささやかな喫茶店で、木組みの壁に俺達の全体像が映る大きなガラスが貼られており、中がよく見える。
ガラス越しに大日向がカウンターに立つ二十代前後半辺りの男に手を振った。
俺達も一礼をし、大日向に連れられ店内に入った。
中に入ると喫茶店特有のコーヒーの香りが漂い、思わず大きく息を吸う。
カウンター席が丁度六つ空いており、俺達は席に着く。
左から順番に、俺、ハル、大日向、里志、伊原の順番だ。
「いらっしゃい。友子ちゃんの先輩って聞いてるよ。いつも友子ちゃんがお世話になってるね」
「いえ、私達も大日向さんにはいつもお世話になっていますから」
大日向の従兄は爽やかに笑い、俺達は注文にかかった。
俺達は全員スコーンとコーヒーを注文し、
俺、ハル、大日向がマスカルポーネクリーム付き。
伊原、里志が生クリーム付きを注文した。
大日向の従兄の手つきはどこかで修行をしたのか、余裕があるように見えた。テキパキと作業をこなし危なげはなさそうだ。
大日向が口を開く。
「一人で大変じゃない?」
「うーん、まぁ今日みたいな日はそこまで大変じゃないけど、団体のお客さんとかが来たら大変だよ。友子ちゃんがバイトしてくれれば嬉しいんだけどね」
「バイトかー、でも知ってるでしょ?私の家バイト禁止なんだよねー」
「ローンが大変なんだよ。分かってあげないと」
「無駄に高い車買うから、こっちまで迷惑だよ。なのに自分で買うのも許してくれないしぃ」
ひとしきりに大日向は愚痴ってから、ここに居るのは従兄だけではなく学校の先輩も居ることを思い出したのか『えへへ』と照れくさそうに笑った。
「そういえば、本棚がいいわよね。百均で揃えた感じがしないって言うかさ」
伊原が言うので、俺達は本棚の方へ視線をずらした。背の低い本棚はカラーボックスのような無粋のものではなく、表紙をこちらに向けて並べるタイプのものだった。確かにデザインは凝っているが、収容能力は低そうだ。
「あ、《深層》があるな。」
ハルが週刊誌を指さした。《深層》、どこにでも売っているごく普通の週刊誌で、ヌードやスキャンダルで受けを狙ったりしない中途半端な雑誌というイメージが強い。
「オーヒナ、悪いけど《深層》取ってくんない?」
「あ、はい」
一番本棚に近かった大日向は本棚から《深層》を引き抜こうとするが、ラックはぎゅうぎゅう詰めで大日向は片手を添えて引き抜いた。
ハルが《深層》を受け取り、適当にパラパラ開くと……
「《水筒社事件》か。里志、これってどんな事件だったっけか?」
「なによ南雲。あんたそういうのに興味あるの?」
「んにゃ、ちょっと『気になります(裏声)』になっただけ」
「似てない。」
「俺はモノマネ芸人じゃないからな。んで、里志、どんな事件だっけ?」
俺はハルの《深層》を開いているページを覗き込んだ。そこにはこう書いてあったのだ。『大物総会屋 小遣い稼ぎが運の尽き』、記事をこのまま読んでいいのだが、コーヒーを出して貰うまでの場繋ぎで里志が説明してくれた。
「いいよ。僕もこの事件には少しだけ興味があるからね。んん、この街に《水筒社》っていう会社があるんだけど、そこが新入社員を募集したんだ。応募した何人かに採用通知があって、研修もしたとか。それで四月に来てくださいって言われたんだ。ところがいざ四月になってその新入社員達が会社に行くと、『誰?』って話になったって言うんだよね。誰もその人達を採用なんてしてなかったんだ。一種の詐欺さ」
俺が口を開く。
「それはあれか?制服代や資料請求とかで金を払わされてってことか?」
「当たり。っていうか、それしかないよね」
伊原が俺とハルに呆れた顔を向ける。
「ニュースにもなってるわよ。あんたらちゃんと社会に目を向けてる?」
事件を一つ知らなかっただけでそこまで言われる必要は無い。ただそれに口を出すと横から寸鉄を刺されそうなので何も言わない。
ハルが続けた。
「でも記事を見る限り犯人は捕まったんだろ?」
「そうだね。割とあっさり」
その話が終わるとハルは深層を大日向に返し、運ばれてきたコーヒーを口に含んだ。俺達は日本語は堪能な方ではないようで、『おいしいですね』という一言が精一杯だった。
しばらくして千反田も喫茶店に訪れ、俺がお手洗いから帰ると既に席に着いていた。
「千反田、来てたのか」
「折木さん。こんにちは」
「ちーちゃん今日はなんだったの?」
「親戚の喜寿だったんです。親戚と言ってもよく分からないほど遠い人です。とにかくお祝いだけでもと思い直ぐに失礼しようと思ったのですが……、摩耶花さんに電話をしようとしたらその電話がいきなり鳴りだしたんです。周りに家の人がいなかったのでとにかく受話器を取ったんですが、大変でした。かなりのお婆さんだったようで、訛りは強いし声も小さくて名前を聞き出すだけで精一杯でした。それがなければもっと早くこられたんですよ?」
そうしている内に、店主である大日向の従兄が千反田に話しかけた。
「そちらさんもコーヒーでいいかな?良かったらスコーンも焼きますよ?」
「実はカフェインがダメなんです。すみません。ですが、とても素敵なお店ですね」
「そうだったんですか。ふむ……もしかしたらあなたのようにカフェインが苦手な方用のカフェインレスのメニューがあってもいいかもしれない。……でしたらすみません、お水だけでも」
「ありがとうございます」
というわけで千反田は店主から水を貰い、その水を口にした途端、ハッと顔を上げた。
「ただの水道水じゃありませんね」
もう一口。
「井戸水、それもこの辺りのものではありません。もう少し上流に遡って、山際の湧き水を汲んできた中硬水。どうでしょう?」
店主は一度驚き、フッと笑って頷いた。
「あなたのような方にコーヒーを試してもらえないのは残念です。」
水は俺も出して貰っている。俺は改めてコップに口をつけた。
「なるほどまろやか」
「あ、そちらは水道水にレモンを加えたものです」
さいですか。
「ぶふぉぉ!!」
隣で俺の失態に吹き出したハルのスネを、俺はテーブルの下で思いっきり蹴っ飛ばした。
「いたい!」
「じゃあそろそろ」
数十分間の談話が終わり、俺がその一言を発すると、大日向が敏感に反応した。
「あの!千反田先輩!」
「どうしたんですか、大日向さん」
「千反田先輩って顔が広いんですよね?」
「顔……」
千反田が驚いた表情で自分の顔をペタペタ触る。
「そういう意味じゃないと思うぞ……」
ハルが飽きれたように言った。
「い、いえ!分かってますよ!少しびっくりしただけです。ええと、まぁ家の用事で様々な人に会うことは多いですね。」
「じゃあ、一年A組の《
「ええ、阿川さんがどうかしましたか?」
「え……」
そう力ない声が聞こえてきた。俺とハルは大日向の後ろにいて、大日向の表情は見えない。
「いえ、知ってるならいいんです」
一方千反田はあからさまに不思議そうな顔をしている。ただ何か様子がおかしいと思ったのか、『阿川さんがどうかしたんですか?気になります』とは言わなかった。
忘れ物がないかカウンターを見ていると、ポツポツと店の窓に雨粒が当たっていた。雨が降ってきたのだ。
「うわぁ!降ってきたのかぁ、傘持ってきてないよ」
里志が言うと、伊原が反応した。
「私は持ってきてるけど」
「……うん」
「何よその反応!!」
俺はコントをしている二人を横目に、《深層》が入っていた本棚から夕刊をひょいとつまみ上げる。ふぅむ。夕方から雨だったか。
俺達古典部は、近くのコンビニまで走った。
《ふたりの距離の概算》編完結まで、あと三話。
次回《大日向と千反田》