昔初めて買った洋画がこれです。
〜夜、雪乃の自室にて〜
TV『---』
雪乃「……」
皆さんこんばんは。比企谷先輩の未来の嫁、雪ノ下雪乃です。いま私は映画を見ているの。アメリカのニューヨークが舞台で男女二人の物語。二人はEメールを通して意気投合。でもお互いの顔と本名は知らない。あくまでチャット内での関係。でも実はその二人は実社会では対立関係にあったの。そんなの知らない二人はそれからも対立するのだけれど、徐々に互いの良さを見つけていく。そうしていく内に男性がメールの相手が目の前にいる女性だと気付き……。
これ以上はいけないわね。見ていない人がいるかもしれないもの。
TV『貴方で良かった……。貴方だったらなって……』
雪乃「ふう……。あまり期待はしていなかったけれど、思いの外楽しめたわ。それにしても、メル友の相手が因縁の相手って、一体どんな確率よ。現実では無理ね。さ、もう寝ましょう。明日も日課である比企谷先輩への朝の挨拶があるし。おやすみなさい、比企谷先輩」デンキ パチン
雪乃「……」
でも少し、そう、少しだけ、ロマンチックだったわね……。知らない男とメールなんて虫唾が走るけれどね。比企谷先輩と分かっているのなら喜んでメールするのに。……ん?
雪乃「……これよ」
雪乃「これだわ……ふふふふふ」ピッ
プルルルルル
雪乃「……もしもし?小町さん?夜分遅くにごめんなさい。実は……」
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〜翌日〜
雪乃「おはようございます、比企谷先輩」
八幡「うっす、雪ノ下」(今日は噛まないのな)
雪乃「では、やることがありますのでこれで」スタスタ
八幡「?おう」
雪乃「……ふふふ」
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〜授業中〜
雪乃「……」ニヤニヤ
私は今メールの内容を考えている。相手はもちろん比企谷先輩。昨日あの後小町さんに事情を説明して比企谷先輩のアドレスと電話番号を教えて貰った。小町さんのアドレスは知っていて当の比企谷先輩のアドレスを知らないというのは自分自身どうなんだという感情が湧いたけれど、別にいいのよ。結果が全てなのだから。
私は見ず知らずの男とメールするなど絶対に御免だ。しかし比企谷先輩となら喜んでする。むしろこちらからお願いしたい。
顔の知らないメール相手が実は目の前にいる人物だった、なんていう気が遠くなるような確率、もといギャンブルに私は挑む気は無い。しかし、私も一応年頃の女の子。他の子と感性がズレているなど言われているとはいえ、昨日見た映画のようなロマンチックな話に憧れない訳では無い。
それならばこちらからその状況を作り出せばいい。こちらは相手を知っているが、相手はこちらが誰なのか知らないという状況に変えさせて貰うけれど。シナリオはこうよ。
ある日、比企谷先輩は知らないアドレスからメールが届く。始めは何の気なしに返信するが、メールを進めて行く内に趣味などが合い意気投合。次第に先輩はメール相手の事が気になって仕方なくなる。そしてついに会うことを決意。そして最終的に、
最終的に……
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八幡「ゆき、の、した……?」
雪乃「先輩……?」シラナイフリ
八幡『……お前で良かった……。相手が……お前で……お前だったらなって……』
雪乃『先輩、泣かないで……』イケボ
見つめあったまま二人の距離が徐々に縮まり……kiss。
happy ending!
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雪乃「……」ニヤニヤ
ふふ、完璧ね。名付けて『ロマンティックあげるよ作戦』。運命を感じた先輩は私に告白……えへへ。さて、あとはこのメールを送れば作戦開始ね。送信……っと。ふふ。
雪乃「くふっ、うふふ、うふふふふふ」ニヤニヤ
「はいではこの問題を、さっきからニヤニヤしている雪ノ下さん、解きなさい」
〜同時刻〜
八幡(数学の時間は寝るに限る)
八幡「……zz…zzZ」
ピロリン
八幡「ん……?」
八幡(メール……俺に?まあどうせA○azonだろ……ん?知らないアドレス?)ピッ
八幡「な、なんだこれ……」
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〜放課後、部室〜
雪乃「……」ソワソワ
比企谷先輩からの返信はまだかしら。落ち着かない。そんな時、ドアが開いた。
八幡「うっす」
雪乃「こんにちは、先輩。紅茶飲みますか?」
八幡「おう、サンキュ」
比企谷先輩に紅茶を出した後、お互い読書の時間に入る。私はこの時間が好きだけれど、今日は読書どころではなかった。
雪乃「……」チラッチラッ
八幡「……」
かっこいい……。じゃない、メールよメール。なぜ返信して来ないのかしら。アドレスが違うなんて事はないはず。小町さんが間違った物を寄越すはずがないし、私も昨日ずっと比企谷先輩のアドレスを眺めていたから。
雪乃「コホン……」
八幡「……」
雪乃「んっんん……ん"ん"っ!」
八幡「……態とらしい咳なんかしてどうした」
雪乃「あ、あの先輩……何か忘れて無いですか?」
八幡「忘れてること?え、あったかそんなの」
雪乃「い、いえ……何も無いのならいいんです……。今日の部活はここまでにしておきましょう」
八幡「……? おう」
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〜夜、雪乃の自室〜
雪乃「まだ来ない……」
家に帰ってからというもの、待てども待てども返信は来なかった。もう一層の事電話でもしてしまおうかしら……
プルルルルル
雪乃「ん?え、待って、私いつの間に押して……待ってまだ心の準備が……」
いつの間にか比企谷先輩に電話を掛けていた。まずいわ、緊張して動悸が激しくなってきた……
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〜同時刻〜
プルルルルル
八幡「ん……」
八幡「知らない番号……何なんだ今日は……」
八幡「……ふうー」ピッ
八幡「もしもし……」
『もしもし…ハァ…ハァ…はじめまして……フフッ…エット……月が…ハァ…ハァ…綺麗ですn』
八幡「ひっ」ピッ
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〜翌日、奉仕部〜
雪乃「……」シュン
昨日から結局メールは返ってこないし、電話は途中で切られるし……
八幡「うっす……」
雪乃「あ、先輩……」
いつも通り紅茶を淹れる準備をして、差し出す。
さっきから比企谷先輩が一人で考え事をしているのか、うんうん唸っている。
八幡「……返信してみるか」ボソッ
雪乃「?」
八幡(『どちら様ですか』……っと。送信)
ピロリン
八幡「ん?」
雪乃「あ、すいません、私のケータイです。マナーモードにし忘れてました」
八幡「おう」(……えらくタイミングが良かったな)
八幡(……そういえば昨日の電話の声、篭っていてよく聞こえなかったけど、女の声だったな)
八幡(……)
八幡「……」ピッ
プルルルルル
雪乃「!?」アタフタ
八幡「……お前かよ」
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〜事情説明中〜
雪乃「……という訳でして」
八幡「……はあ。映画見て自分もしたくなったとはいえ、こんなのはもうやめろよな」
雪乃「はい……すいませんでした……」
八幡「……はあ」
比企谷先輩はそう言うと、席に戻り自分の携帯をしばらく操作していた。私は先輩を困らせてしまった罪悪感でほとんど下を見ていた。
八幡「ちょっと飲み物買ってくるわ」
雪乃「は、はい……」
先輩が出ていって教室内には私一人。言い知れない罪悪感と虚無感が私を襲ってきた。
雪乃「ふふ……。何がロマンチックよ……私の馬鹿……」
ピロリン
知らないアドレスからだった
雪乃「誰よ……こんな時…に……!」
雪乃「……」
雪乃「……ふふっ、先輩……」
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次からは普通にメールしろ
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おわり