豪雷使いと嘘猫のウィズ   作:ミシェール

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お初になります。

あまりのエーファさんの不遇ぶりについ書いてしまいました。
今まで読む専だったので拙いところがあると思いますが、楽しんでいただければ。


プロローグ

 

 

ソルディア王国。

かつては隆盛を誇った国であったが、隣国に軍事力で追い付かれたことに危機感を覚え、強引な軍拡路線へと舵をきった。

具体的には、自治権を与えていた独立都市を武力をもって併呑したのだ。

当然、それを知った各地の独立都市は反抗した。

権利はもちろんだが、敗けた都市では略奪の限りを尽くされるという噂が流れたためだ。

 

 

そんな中、エーファ・ベルツは自らを育ててくれた国であるソルデイア王国のため、そして今は亡き父のために各地を転戦していた。

 

王国親衛隊所属特務局員として、そして常人とは異なる力を持った魔術師として。

 

そのエーファは今、ソルデイア王国に反抗を宣言した城塞都市、ジェラルディアを一万の兵力でもって包囲していた。

 

 

 

 

「ですから! 略奪とかダメだと言ってるんです。私達は正規兵なんですよ!」

 

エーファはそう言うが現場の指揮官である兵長は聞く耳を持たない。

 

「元将軍の娘だかなんだか知らないが戦場はおままごとじゃねぇんだよ。略奪は戦の法だ。」

 

兵長は兵を指揮し、あるいは鼓舞する役目を担っている。

当然のことながら、兵達はこの戦に勝てば報酬が、つまりは略奪が出来ると考えてこの場に集まっている。

正規兵であるにも関わらず賊軍と変わらぬ考えだが、それが事実である以上、兵長にエーファの命令を受ける選択肢はなかった。

 

しかし、父代わりであり、師でもある将軍の名前を出されてはエーファも黙ってはいられなかった。

 

「先生のことは関係ありません! 私が言っているのは戦略的な判断です。これから統治しようとしている人達の恨みを買うだけじゃないですか。反乱でもされたが二度手間ですよ! 和をもって統治するのが…っ」

 

がっ!

 

反論を最後まで言えずにエーファは胸ぐらをつかまれた。

 

「うるせーなぁ。それが陛下の命令なのか?特務局員さんよぉ…。」

 

「それは……違いますけど……。」

 

兵長は呆れの混じった声でエーファを詰る。

対してエーファは、それが命令された事柄とは違っているために反論の術をもたなかった。

 

「だったら兵器は兵器らしく言うこと聞いとけや。バケモノ。」

 

「………。」

 

バケモノ。一部でそう噂されていることは知っていた。

 

「さっさと連中の城壁に雷落とせよ。それで奴らもビビって開城するだろうよ。」

 

「………。」

 

それでも、モノ扱いされることに腹をたてない道理はない。

しかし、ここで怒ったところで意味がないこともエーファには分かっていた。

 

「将軍の娘ってのも使えねぇなあ。娘は無能か…。」

 

「………。」

 

それでも、尊敬する父のことまで持ち出されてはその感情が表情に出てしまった。

 

「お? なんだ? やんのか? いいぜ、それで将軍の名も地に堕ちるわな。」

 

「………。」

 

それを見て勢い付く兵長。あるいは問題を起こしてエーファの立場を悪くしようと企んでるようにも見えた。

背後にある派閥の力関係を思えば一方的にこちらを責め立てることも可能だろう。

 

「…わかりました。命令には従います。」

 

エーファはしぶしぶと魔杖を掲げて詠唱を開始した。

 

《虚空に眠る息吹よ我が声に応じて神気となれ。気と法は交わり、結べ。…。》

 

やがてエーファの体から漏れでる魔力により体が光始める。

エーファは詠唱に集中しながらも、どこか違和感を感じ取っていた。

 

(あれ? なにか変な音がするような…?)

 

 

 

 

 

 

 

ドゴンッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、上空から落ちてきた何物かに押し潰され、エーファは意識を失った…。

 

 

 

 

 

 

 

「……? ……っ! ……うぇ。」

 

口の中に含んだ土を吐き出し、エーファは目を覚ました。

どうやら自分は窪地の底、もっといえば、中に埋まっていたらしい。

しかし、どうしてそこにいるか、記憶が結び付かない。

 

「……確か、仕方なく詠唱を初めて……っ!」

 

声に出して記憶を思い出していたところでようやく繋がった。

 

ー自分が街を攻撃しようとしていたことに。

 

なんとか窪地から這い出て街の様子を見ると、記憶にあるまま、強いて言うならば籠城の態勢は解かれているのが見てとれた。

 

そしてその様子を見たエーファは瞬く間に、今の状況を理解してしまった。

 

「……うーん、街に被害がなくて何よりと言いますか……。」

 

軍に置き去りにされた自分はどうしたらいいのか、と言うべきか。

思わず現実逃避をし始めるも、生物としての欲求がそれを許してくれなかった。

 

 

ぐぅ~

 

 

「お、お腹が空きました……」

 

 

未だ気付いていないが、エーファがここに埋まってから既に1日が経過している。

お腹が空くのも自然なことであるが、問題は目の前の街では補給が出来ないということ。

仮にも攻め滅ぼそうとしておいて、敗けた身の上で「パンをください」などと言う厚顔さはエーファにはなかった。

 

とにもかくにもここで終わるつもりも死ぬつもりもないのは確かだ。

 

エーファは、王都に向けて撤退することにした。

悲しいことに一人でだが。

 

 

 

 

 

 

 

周囲を確認したところ、残党狩りの兵がいるわけでもなかったので、私は素直に街道を歩くことにしました。

警戒して森を隠れながら進んでも結局時間がかかるだけなんですよね。

ぶっちゃけ、残党狩りを返り討ちにした方が早い、ということもありますが。

 

 

「うーん、それにしても、結局あのときは何が起こったんでしょう?」

 

 

思い起こしてもさっぱり分かりません。

そりゃあ、あんなクレーターになっていたんですから何かしらの攻撃を受けたことは分かりますけど、街からそういった攻撃をされた様子はなかったんですよねぇ……。

というか、街からそんな攻撃があれば流石に周りの兵も気付くはずです。

嫌われてるとはいえ、私は攻城の要の戦力なのですから敵からの攻撃からは守ってくれるはずです。

まぁ、王都に戻ればその謎も分かりますよね。

流石に敗走したともなれば受けた攻撃がどんなものかくらいは分かるでしょう。

 

 

「あとは、獲物の一匹でも出て来てくれればいいのですが……。」

 

 

 

 

 

 

 

ぐぅ~……

 

 

「お、おかしいです……。一日歩いて……全然さっぱり、獲物どころか果物すら見当たらないなんて……!」

 

よくよく考えれば街を包囲するほどの敗残兵が逃げていったのだから道中に食べられるものが残っているかどうかは……。

 

「……。」

 

絶望的な状況に涙どころか声すら出ませんね、どうしてこうなった!

 

 

ぐぅ~……

 

 

そろそろお腹が減りすぎてお腹が痛くなってきました。

実際2日間飲まず食わずなのですからそうもなりますよね……。

 

今日はもう歩きたくないです……。

おやすみなさい……。

 

 

 

 

 

「……が、欲しいか……?」

 

これは……声でしょうか?

それとも夢?あるいは幻聴……?

どれも否定できないのが困ったものですが、正直目を開くことすら億劫です。

 

「食べ物が、欲しいか……?」

 

それは欲しいに決まっているでしょう。見てわからないんでしょうか。

こちとら行き倒れてるんですよ!

自分勝手とは分かっていても怒りが抑えられません。どうせ夢とか幻聴でしょうし、別に構わないでしょう。

 

「食べ物が、欲しいかニャ?」

 

ンフー。ンフーー。

 

声どころか変な音まで聞こえてきました。もしかして、夢じゃない……?

食べ物がもらえそうとなれば体も心も現金です。

どこからともなく力が沸いてきました。

 

 

 

即座に私は目を覚まし……ドアップの猫?の顔を見て目を閉ざした私は悪くないと思います。

 

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