いやぁ、やってみたかったんですよこれ笑
その日曜日はあまりにも外の天気が気持ちよかったから俺も浮かれていたのだろう。朝割と早めに目が覚めてしまった俺はそのまま二度寝もせずに着替え朝食を食べて外に出た。日曜日に俺が外出しているという異常事態が起きてしまったわけなのだがこれがいけなかったのか奇妙な出会いを経験することとなるとは全く思わなかった。
「ねぇ、あそぼ!」
突然背後から声が聞こえた俺だが振り返るようなことはしなかった。だって絶対これ振り向いたら俺じゃなかったよ勘違い恥ずかしい~ってなるパターンだからな。更に言えば今のは明らかに子供、正確には少女・・・いや幼女か?まぁどっちでもいいけど、そんな声だ。まず間違いなく俺に話しかけているはずがない。
「ねぇ、あそぼうよ!」
まだ近くで声がする。なんだよ早く答えてあげろよ、子供を無視するとかかわいそうだろうが・・・ちょっとだけ気になった俺は辺りを見渡してみた。
「ん?誰もいなくね?」
俺以外周りには特に人影はなかった。そう、声をかけられた人も、声をかけていたはずの人もいなかった。えっ、何それこわい。ついになんが幻聴まで聞こえるようになったの、俺?そんなに人に飢えていたの?
「ここだってば!」
「は?」
声がしたのは下から。それも普通に考えたらありえないようなところから。さっと視線をそちらに向けてみると、
「あっ、やっときづいた!ねぇ、あそぼ!」
ピンクの髪に緑の服、背中に羽を生やした手乗りサイズの幼女が膝のあたりで浮かんでいた。中央に花が見えるエメラルド色の瞳をキラキラさせてこっちを見上げていた。て、えっ何これ?
とりあえず手のひらに乗せて目線に会う高さまで持ち上げてみる。こんな感じのキャラクターとかでグッズ出したら意外と売れそうだな。由比ヶ浜とか一色とかとりあえずかわいいって連呼してそう。そしてそれを見た雪ノ下がため息をついた挙句俺にあらぬ疑いをかけ始めるんですねわかります。
「ねぇ、あそぼうよ!」
「えっ、あっ、おう。いや、その前にちょっと聞いていいか?」
「なぁに?」
「お前、何?」
「はーちゃんだよ!」
「えーと、それが名前か?」
「そーだよ!ゾンビのおにいちゃん、あそぼうよ!」
グサァ!
なんだろう。悪意がないのはわかってるんだけどすごく刺さる。理由はわからないけどこの声を聞いてるとどこからか悪意を感じる。本人はそんなつもりないはずなのに、不思議だ。
「どーしたの?」
「あぁ、いや別に、なんでもない」
「ふーん、ねぇねぇ、おにいちゃんはなんていうの?」
「あー、俺は「はーちゃん!」へっ?」
大きな声がしたと思ったら今度は腰回りに衝撃が走った。とっさに抱きとめた俺だったがちゃんと片腕にしておいてもう片方の手でさっとはーちゃんと名乗った彼女を胸ポケットに隠してるあたり俺すごくね?とか思ってしまう。
「けーちゃん?」
「そーだよ、はーちゃん!さーちゃん、はーちゃんだよ!」
「けーちゃん、あんまりはしゃがないの」
「よぉ」
「あんた何してんのさこんなとこで?」
「ちょっとな……そっちは?」
「買い物だよ、色々とね。後で家族と合流して食事する感じ」
「そうか」
「けーちゃん、今日は用事あるから遊ぶのはまた今度ね」
「はーい!はーちゃん、またね~!」
ブンブンと手を振りながら去っていくけーちゃんと川・・・さーちゃん。ふぅ。とりあえず一安心って感じか。まぁ、けーちゃんのことは今度時間があったときに目一杯遊んであげるとするか。
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「ぷはっ、びっくりした~」
「あー、悪かったな急に」
「だいじょうぶ!みつからなかったもーん」
「俺は見つかるどころか自分から声かけてたけどいいのかよ」
「いーんだもーん!」
アバウトというか適当というか。何とも言えないなーこりゃ。存在の隠匿とかそういうルールがあるんじゃないのこういうのって。
「ねー、ゾンビのおにいちゃん」
「何だ?」
「おにいちゃんもはーちゃんっていうの?」
「えっ、あーまぁなんつーか」
「はーちゃんとおそろいだね!」
「……まぁそうだな」
「はーちゃんとはーちゃん!なかよしだね~!」
「そーだなー」
めっちゃ喜んでるんだけど、やべぇ普通にめっちゃかわいい。何このかわいい生き物、すっげー癒されるんですけど。何だこのほんわかとした温かい気持ち。心が浄化されていく気がする。いや、そもそもそこまで汚れてはいないと思うが・・・えっ、目はどうかって?ははは、そんな簡単に治ってくれれば俺としても助かるんですけどね。
しかし本当に何なんだこいつ?人間じゃないのは確かだけど。あれだな、妖精としか言いようがないんだけど。
く~
「ん?」
何だ今の可愛らしい音は?はーちゃんが少し口を尖らせていた。
「どした?」
「おなかすいた……はーちゃん、おなかすいちゃった」
「おぉう……えーと何食べられるんだ?」
「うーんと、そらいろのスープとかユニコーンのミルクいりシチューとか」
「ごめん、何それ?」
さすが妖精。聞いたこともないようなものを食べている模様。というか普段こいつはどうしてたんだ?普通のものは食べられるのだろうか。
「ちょっとここに入って我慢しててくれるか?」
「わかった」
とりあえずはーちゃんに再び胸ポケットに入ってもらいコンビニに向かう。ドーナッツ、チョコレート、サンドウィッチ、おにぎり、シュークリームなどとりあえず色々と買ってみる。どれか一つでもいいから口にあってくれればいいんだが。というか何で俺ナチュラルに世話しようとしてるんだ。俺のお兄ちゃんスキルは妖精も対象範囲内なのだろうか。
「わぁ~!」
ひとまず近くの公園にあったテーブルに座る。幸い付近にはあまり人はいないため気をつけていれば大丈夫だろう。ポケットから出てきたはーちゃんが目の前に並べられた様々な食べ物に目をキラキラさせていた。
「まぁ、どれがいいかわからねぇけど、とりあえず好きなのがあればいいんだが」
「ありがと~!いただきま~す!はむはむ・・・わぁっ、おいしい~」
早速サンドウィッチを食べ始めたはーちゃん。すごくいい笑顔で自分の体より大きいサンドウィッチを食べる姿はすごいシュールだ、シュールなんだが・・・やべぇ、超可愛い!
その後、俺も一緒に食べたのだがはーちゃんは予想以上に食べる子だった。半分以上は絶対食べてたもの。しかしまぁ最初は何でもいいから口に会えばいいと思っていたんだがそれどころか何でも食べる子だった。なんか人間と妖精では摂る栄養とか違うのかと思ったが同じなのだろうか。
「ごちそうさま、はーちゃんありがとう!」
「まぁ気にすんなよ。んで、だ。今更なこと聞くけどよ。お前、どこから何をしにここに来たんだ?」
「わたしはね、みらいとリコとモフルンといっしょにきたの。いっしょにリンクルストーンをさがしてるの」
・・・とりあえずわかったことはみらいとりこともふるんというのが知り合いの名前だということと、リンクルストーンというものを探しに来ているということだな。「みらい」と「りこ」は人の名前だろうけど「もふるん」ってなんだ?ペットか何かの名前か?それから「リンクルストーン」って何だ?まぁ妖精がさがしてるってことは、ラノベとかそういうのをもとに考えると多分なんかすごい力を持った宝石みたいなやつか?だとすれば、そもそも何でこいつは一人で行動してるんだ?
「お前他の奴ら、その、みらいとかリコとか?そいつらは一緒じゃないのか?」
「ちょうちょおいかけてはぐれちゃった」
「いや、じゃ何で探さないで遊ぼうとしてたんだよ?」
「だって、みらいもリコもあそんでくれないんだもん!」
「構ってもらえなかったってことか?」
よーするにあれか、小さい子供とかがよく拗ねちゃって少し目を離したすきにいなくなってしまったってのと同じパターン?まぁ見たところ大分幼いみたいだし、それも仕方のないことなのかもしれない。何だか昔の小町を見ている気分だ。
「けどなぁ、多分そいつらすげぇ心配してるぞ」
「ほんとに?」
「まぁな、ソースは俺」
「おソース?どうして?」
「いやそうじゃなくて、まぁ俺も妹がいるからな。年上の気持ちがわかるって感じだ」
「はーちゃんはおにいちゃんなの?」
「まぁな」
「じゃあわたしもはーちゃんをおにいちゃんってよぶ!いいでしょ?」
「えっ?あ~、まぁいいか。そしたら呼び方も一緒にならないしな」
「うん!」
―――――――――――――――――――
「はーちゃん?はーちゃん?どこぉ?」
「いたら返事して、はーちゃん!」
しばらく雑談をしているとどこからか「はーちゃん」を呼ぶ声がする。言うまでもないことだがこれは俺のことではない。俺のことをその呼び方で呼ぶのはけーちゃんだけだからな。そうなると必然・・・
「あれってお前のこと探してるんじゃね?」
「みらいとリコだ!」
どうやら正解のようだった。とりあえず、これで一安心だろう。だが彼女たちと合流する前に俺は消えたほうがいいかもしれない。はーちゃんは明らかにどこにでもいるような存在ではない。そんな子が二人の女の子によって育てられている。これだけでもう何か秘密があるのは丸わかりだ。というか最近見ている日朝の女の子向けアニメにすごくよく似ている展開だな・・・あれって現実じゃないよね?何はともあれ、こういうことはたいてい秘密にしていることだ。それを見ず知らずの赤の他人、しかも年上の男子高校生に知られてしまったというだけで彼女たちにとっては大きなダメージだろう。なんなら口封じ、本井口止めされるんじゃないだろうか。
「お~い、みらい!リコ!はーちゃんここだよ~!」
が、時すでに遅し。なぜだか気に入ったらしい俺の胸ポケットに入ったまま、はーちゃんは大きな声で二人を呼んでしまった。あーもうこれは逃げようにも逃げられませんわ。
「はーちゃん?どこから・・・」
「あの、ちょっといいか」
「えっ、あ、はい」
「何でしょうか?」
「二人が探してるのって、この子だよね」
「「えっ?」」
二人の視線が俺の指さす胸ポケットに集中する。なんだこれ。はーちゃんがいるからおかしくないのはわかっているんだけど普通凝視されないところを凝視されるのってなんだかむずがゆい気がする。
「みらい、リコ!さがしてくれてありがとう」
「無事でよかったわ。みらいが目を離しちゃうから」
「ごめんね。さみしくなかった?」
「うぅん!はーちゃんね、おにいちゃんといっしょだったから」
「あ、そうだった!この子を見つけてくれてありがとうございます!私、十六夜リコです」
「私は朝比奈みらいです!本当にありがとうございます、お兄さん」
「まぁ気にするな。偶然見かけた、というか見かけられただけだ。とりあえず合流できてよかったな」
「うん!ありがとう、お兄ちゃん!」
「ん?そういや、そのぬいぐるみは……」
「あ、この子の名前はモフルンです!」
「よろしくモフ!」
「おぉ、よろしく……ん?」
「あっ」
「はわぁ!」
「はー?」
「モフ?」
「今こいつ、しゃべったよな?」
「ああああの!今のは、そう腹話術みたいなので」
「そうそう!別に全然魔法なんて使ってなんかいないんだから!」
「魔法?」
「リコぉ、どうして魔法って言っちゃったの!?」
「あっ!」
「……とりあえず、簡単な説明してくれないか?」
そして後々大きくなったはーちゃんと八幡が再開してどえらいことに……
って感じのものを昔は考えてましたね
今はよくわかんないですけど笑