尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話   作:ゆめ子

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個性把握テスト編2

「個性把握…テストォ!?」

 

体操服に着替え、グラウンドに集合した際、告げられたのはそんな言葉だった。

「個性把握テスト」とは、一体何をさせるのか。いや、字ヅラだけならそのまま、「個性」をどの程度「把握」しているか、出来ているかを図るテストだろう。

しかしそんなものは入試の実技試験でおおよそ見せている。今更何の意味があるのか。

 

しかし雄英が「自由」を校風にしているからと言って、入学式やらガイダンスやら吹っ飛ばしていきなりグラウンドで「個性把握テスト」とは、教師も自由過ぎるだろう。

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50メートル走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。中学の時からやってるだろう?「個性」禁止の体力テストだ。」

この担任の相澤の言葉で俺はピンと来た。こいつは体力テストを「個性」アリでやらせるつもりだ。

思った通り、相澤はあの口の悪いチンピラみたいな男子生徒…爆豪に個性を使って思い切りボールを投げてみろと言い出した。

爆豪は「死ね」という掛け声とともに個性を使い…恐らく「個性:爆破」ってところか…思い切りボールを投げてみた。

みるみるボールが小さくなっていく。

爆豪の記録は705メートルか、俺でもそこまで出るかどうか分からないが、まあやって見るしかない。「個性:山猫」の力で身体能力もかなり伸びてる今ならそこまで苦では無いだろう。

杉元も「うぉぉ!すげえ!!俺もやってみてえ!!」と他の生徒達と一緒にはしゃいでいる。

 

「…面白そう、か…ヒーローになるための3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

誰かが言った「面白そう」という言葉に担任の相澤が反応した。いや、今まで個性を抑えられていたガキたちだ。これは面白そうと思うのも無理ないだろう。

俺はそう思ったが、相澤はそうは思わなかったらしい。

 

「よし、トータル成績最下位の者は、見込みなしと判断し、除籍処分にしよう。」

相澤はとんでもない事を言い出した。

だが、これも教師の権限として有るのだろう。とんでもない学校だ。上の命令が絶対なんて軍のようで全く笑えねえ。

だが担任の相澤は恐らく本気だろう。

本気で「見込みなし」と判断すれば除籍処分を下すはずだ。

 

「生徒の如何は俺たちの「自由」。ようこそこれが雄英高校ヒーロー科だ。」

 

他の生徒達が理不尽だなんだと当然の猛抗議をしてる中、杉元が寄ってきた。

「よっしゃ、尾形!勝負だぜ!!」

「…お前、除籍処分が掛かってるんだぞ分かってんのか?」

「分かってるって。つまり最下位にならなきゃ良いんだろ?俺は最下位なんかになる気は更々ねえからな。お前もそうだろ?」

「当たり前だ。」

「なら、俺とお前で個性把握テスト勝負だな!!」

「…お前のチート個性に俺が勝てるわけないだろ…。お前の勝ちが目に見えてる勝負なんか誰がするかよ。」

「んだよ尾形!ノリ悪いぞ!!」

「狙撃訓練とかだったら乗ってやっても良かったけどな。」

「そんな勝負お前の一人勝ちになるだけだろ!」

「へいへい、それより杉元、お前このテストでも全力出してみろよ。」

「へ?良いのかよ全力なんて出して。」

「良い、ここにいる奴ら全員の度肝ぶち抜いてやれ。かませ杉元。俺も全力出してみる。」

「おお!じゃあ俺も全力でやってみる!!俺は実技試験みたいにブッチギリ1番を目指すぜ!尾形も絶対最下位なんかになるなよ!」

「言われなくても分かってる。」

杉元に発破かけてるうちに、相澤と生徒のやり取りも終わったらしい。

 

「さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ。」

相澤がそう宣言した。

 

 

 

 

 

 

結果から言うと、総合成績は杉元が1位で、俺は3位だった。

分かっていたことだが、杉元は宣言通俺たち2位以下をぶっちぎった。

握力なんかは機械を壊して測定不能をたたき出しやがった。知ってはいたが、やはり杉元はメスゴリラだ。

走る系の競技も軒並み1位だった。

平凡な記録は長座体前屈のみだ。それでも十分柔らかい体をしていた。杉元はここに白石が居たら長座体前屈は白石が勝ってただろうなと俺に笑いながら言った。

テストの後半に行った持久走は1人の女子が己の個性でスクーターを出して走らせるという反則技を出したが、それに並走する杉元はやはりおかしいのだろう。ちなみに俺はその少し後ろで杉元達を追いかける形で走っていた。杉元と日々訓練していた賜物だ。

しかし、流石に持久走でスクーターを出したり、ボール投げで大砲を出して飛距離を稼いだり、万力を出して握力測定をしたりと、杉元と別の意味でやりたい放題だった2位の八百万百という女生徒には流石に俺も勝てなかった。それに勝ててしまう杉元はもはや人間ではないのかもしれない。

 

競技途中で杉元の異常さに気がついた生徒達の一部ががワラワラと杉元や俺の元に集まり凄い凄いと騒ぎ立てて来もした。すぐに担任の相澤が競技中だと散らして来たが。

 

 

ボール投げの際は別の生徒のことで一悶着あった。あのもじゃもじゃ頭の緑谷だ。

俺は他の生徒達も観察していた中、奴はそれまでの競技で目立った成績は出していなかった。

「個性」を全く使ってないように思えた。

このままではアイツが除籍処分になるだろうなと冷めた目で見ていた。

 

すると大きな声で「ったりめえだ!無個性の雑魚だぞ!」と聞こえた。

あれは爆豪か。その後

「無個性!?彼が入試時に何を成したか知らんのか!?」と飯田のでかい声が響いた。

爆豪が何をもって緑谷を「無個性」と断じたかは知らんが、無個性であの入試の実技試験を乗り越えるのは難しいだろう。

いや、俺のように射撃が得意ならば無個性でもパス出来るかもしれんが…それでもかなり難しいだろう。

それに飯田の奴は随分と緑谷を買っているようだし、入試で緑谷が何かをやらかしたと言っていた。……………まさか緑谷なのか?杉元の他にあの巨大仮想敵をぶっ飛ばしたのは…?

いや、それにしては今のところ何の個性も出してない。断ずるのは早計だろう。

そう考えてたら、緑谷がボールを投げた。

しかし、記録は普通の、平凡なものだった。ここでも「個性」を使わないつもりなのかと思っていたら、違ったようだ。

「「個性」を消した。」

どうやら担任相澤の「個性」のようだ。

しかし、「個性」を消す「個性」とは、この個性社会の中では脅威的な「個性」だ。

発動型の個性は消せるだろうが、異形型なんかにはどうなるのだろうと考えていたら相澤は気になることを緑谷に言っていた。

「見たとこ…「個性」を制御出来ていないんだろう?また行動不能になって誰かに助けてもらうつもりだったか?」

「山猫」の耳を持つ俺には聞こえたが、離れていた他の生徒達には聞こえてなかったようだ。

「個性」を使うだけで行動不能になるとは難儀な「個性」だ。発現したてなのか?まあ、俺や杉元は「個性」発現と同時に使いこなせてたので人によるのだろうが…。

 

「おい、尾形…さっき先生は緑谷になんて言ったんだ?」

杉元がヒソヒソ聞きに来た。

「緑谷はどうやら「個性」の制御が出来ないらしい。それで担任に注意を受けていた。」

俺が簡潔に伝えると杉元は驚いた。

「え!?「個性」の制御できないのか?じゃあこのテストヤバいじゃねえか。」

「ああ、このままなら緑谷が除籍処分になるだろうよ。」

「マジかよ…折角雄英に受かったってのに…。」

悲しげに杉元が囁いた。

「なんだ?もう情でも湧いたのか?お優しいことだな。」

「そんなんじゃねえけど、折角クラスメイトになったのにここではい、サヨナラじゃ残念じゃねえか。」

そんなことを杉元と喋っていると緑谷が再びボールを投げた。驚異的な飛距離だ(杉元には及ばなかったが)。

「どうやらまだサヨナラが決まったわけじゃなさそうだぜ杉元。良かったな。」

 

 

その後爆豪が緑谷に突撃していき相澤の捕縛武器にとっ捕まるなどのちょっとしたトラブルもあったが、無事全ての競技種目を終えた。

そして総合成績が貼り出される際には最下位の除籍処分は嘘だったと分かった。

担任が言うには「合理的虚偽」らしいが…恐らくそれこそ嘘だろう。あの担任は本当に見込みがなければ簡単に切って捨てただろう。

つまり最下位の緑谷にも「見込みアリ」と判断しただけだ。なぜそんなこと分かるのか?それはテストが終わり解散になった後、オールマイトと担任相澤のやり取りがこの「山猫」の耳に聞こえてきたからだ。

なんとあの男、去年受け持った1クラス全員を除籍処分にしたらしい。とんでもない野郎だ。

だが、そんな男が俺達を「見込みアリ」と判断したのだからまあ、良いだろう。

 

その後、教室に戻り配られたカリキュラムなどの書類に目を通し、こうして雄英高校入学初日が終了した。

 

「は〜終わった終わった〜帰ろうぜ尾形〜」

下校時間となり杉元が帰ろうと話しかけてきた。

「ああ、さっさと帰るか。」

しかし帰ろうとしたところで他の奴らに呼び止められた。

「なあなあお前ら仲良いけど同中だったりすんの?あ、俺は上鳴電気って言うんだけど」

金髪に一部黒いメッシュが入ったチャラそうな男子生徒だ。

「あ、俺は杉元佐一、こっちは尾形だ。杉元でいいぜ。同中ってか、幼馴染だ。」

「へー!幼馴染かあ!幼馴染で雄英進学とか何気にすげえな!!てか、こんな可愛い子と幼馴染とかあんたが羨ましいぜ。」

「可愛いとかお世辞は要らねえよ。そんで、こいつとは腐れ縁みたいなもんだ。一緒に雄英に入ったのは…た、たまたま?」

「あんだけ必死こいて勉強教えてやったのは誰だったっけな杉元〜?」

「う、わ、わっーてるよ。」

「なになに、勉強教えて貰ってたの?杉元ちゃん結構勉強苦手な方?俺もあんまり得意じゃなくってさ〜。」

「お、おう、割りと苦手だ。」

「割りとじゃなくてかなりだろう。筆記試験ギリギリだったくせに。」

「う、うるせー!いいんだよ俺は実技でぶっちぎったんだし!!」

「そう言えば個性把握テストでも杉元ちゃん、断トツ1位だったし、入試でもやっぱ凄かったの?」

「コイツは実技試験ブッチギリの1位だぞ。筆記はギリギリだったくせに。」

「筆記のことはもういいだろ!!!!」

「お、なになに?入試試験の話しか?あ、わり、俺は切島鋭児郎。」

「おお、俺は杉元佐一、杉元でいいぜ。こっちは幼馴染の尾形だ。」

「幼馴染なんだ、いいな幼馴染で仲良く雄英進学だなんて。で、杉元さんが、実技試験1位だったんだって?すげえなそりゃ。」

「なー、すげえよな、個性把握テストだけじゃなく実技試験1位だったなんて!え?もしかして首席合格??」

「いや、俺はその、筆記があんまり良くなかったんで首席じゃない…首席はそっちの方。ついでに実技試験も2位だぞそいつ。」

「えっあんたが首席合格なの!?しかも実技試験も2位かよ!すげえなあんた!そう言えば個性把握テストも3位だったよな〜てか首席って事は頭もいいって事か〜羨ましい。」

「首席合格か〜!やるなあ!!男らしいぜ!!」

「どんなもんだい。」

「だから、そのドヤ顔腹立つ!!!!」

そんなことを大きな声で騒いでいたら、教室でBONっと爆破音が響いた。

 

何事かと思ったら近くにいた目つきの悪い男子生徒…爆豪が手のひらで「個性:爆破」をしたようだ。こちらを向いてギロりと睨み、盛大に舌打ちをして去っていった。俺と杉元は特にビビりもしなかったが、金髪のチャラい男子もとい上鳴と赤い髪をツンツンに固めている切島は「うわ、びっくりした」と驚いていたようだ。

杉元は「なんだアイツ、感じ悪いやつだなあ」と眉をひそめて言っていた。

大方、俺達が入試試験首席と実技試験1位と知って不貞腐れたのだろう。プライドの高そうなガキだったしな。

ここで盛り上がるのも良いが、今日は個性把握テストで無駄に疲れた。話もそこそこに切り上げ、俺と杉元は帰路につく。

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