尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話 作:ゆめ子
どうやら戦闘訓練は、屋内での対人戦闘訓練になるらしい。
「敵組」と「ヒーロー組」に別れて、2対2の屋内戦闘だ。
それについていろいろと聞きたい生徒達が一斉にオールマイトに群がり、矢継ぎ早に質問をぶつけていた。オールマイトが「聖徳太子」と叫ぶ。ナンバーワンヒーローと言えど、流石に複数の言葉は聞き取れないようだ。
オールマイトがカンペを読みながら詳しい説明をする。設定は敵が核兵器をアジトに隠し、ヒーローがそれに対処するというものだ。ヒーロー側は制限時間の15分以内に敵を捕まえるか核兵器を回収。敵側は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる、というルールだ。
「じゃあクジで対戦相手を決めるから。」
オールマイトがそういうが、2人1組ならば全員で11グループ出来上がる。1グループ対戦から溢れる事になるが…。
同じことを考えたのか、八百万がオールマイトに質問していた。
「11グループになりますけど、1グループ溢れます。どうするのでしょうか?」
「ああ、5回戦終わったら余裕がありそうな1チームにはもう1回対戦してもらうことになるね。」
オールマイトが回答してくれたため、俺の疑念も晴れた。
「了解しました。」
「じゃあみんなちゃっちゃとクジ引いちゃおうか!」
全員でクジを引く。チーム相手が杉元ならば個性を把握しているからやりやすいが、クジだからな。まあ、俺は誰と一緒でもそれなりに動けると思うが。…爆豪はコントロールしづらそうで嫌だが。
「(Kチームか…)」
「おい、尾形何だった?俺はKだったけど。」
まさかの杉元と一緒だ。これは幸運だろう。
「まさかお前と一緒だとはねえ…つくづく腐れ縁だな。俺もKだ。」
「げ、尾形とかよ!」
「なんだ?俺じゃ不満なのか?傷つくぜ。」
「いや、お前ばっかじゃなくて、たまには他の人とも組んでみてえって思っただけだ。」
確かに今生になってからずっと杉元と一緒だからな。しかしこればかりはクジの結果だ。
「クジなんだから仕方ねえだろ。」
「分かってるよ。仕方ねえ。」
クジでチームが決まると今度は対戦カード決めだ。
第一戦目はAチームヒーロー側の緑谷・麗日ペアとDチーム敵側の爆豪・飯田ペアに決まった。
戦闘訓練開始の前に俺たちを含む他のチーム連中は屋内戦闘をするビルの地下に移動した。どうやらここからモニタリングできる様になっているみたいだ。複数のモニターが表示されている。
「さあ、君たちも考えて見るんだぞ!」
オールマイトがそう言った。確かに戦闘を見ることでも経験になるだろう。
緑谷達の屋内戦闘訓練が始まった。
緑谷達の戦闘訓練は言ってしまうとお粗末なものだった。
「核兵器」の取り合いという設定なのに爆豪は屋内で大規模攻撃をするし、そもそも緑谷への私怨丸出しの戦闘だった。
緑谷も緑谷で、終了間際天井へ向かっての大規模攻撃だ。演習だから出来たが、本当に「核兵器」を確保する場合ではそれは出来ないものだろう。そして個性を制御出来ずまたもや保健室へと退場していった。
麗日も核兵器確保のため忍んでいたのに気を抜いたせいで途中で気づかれ、最終的に核兵器に向かって(正確にはその近くにいた飯田に向かってだが)石つぶてを放つという乱暴な攻撃を行ったのだ。
唯一敵役に徹していた飯田が良かったぐらいか。
それらの点を簡潔に指摘した八百万は良く観察していると言えた。
その後、ボロボロになった屋内の代わりのビルに移り、戦闘訓練を続けた。
しかし第5戦まで終わったが、俺たちはどうやら溢れた組となり、まだ戦闘を行えずにいた。
「おいおい俺たちの順番いつになったら回ってくるんだよ…。」杉元がぼやき始めた。他の生徒達の戦闘訓練を見てウズウズしてきたのだろう。
「今やってるチームの戦闘が終われば俺たちの番になるだろ。だからそんな焦るな。」
「ううん、早く俺も暴れたいぜ。」
「おい、きちんと設定と役に徹して好き勝手に暴れるなよ。じゃねえと緑谷や爆豪達みたいに低評価になるぞ。」
「分かってるって。きちんと核だと思ってやるよ。大規模攻撃もしねえ。」
「分かってるなら良い。」
杉元も馬鹿ではない。これならきちんと役に徹して行動するだろう。頭に血が上らなければだが。
やっと5組目の戦闘が終了し、ようやく俺たちの番が回ってきた。
「じゃあ最後はKチームだね!もう1戦Kチームとやっていいと思ってるチームは居ないかな?やってもいいって人は挙手!!」
オールマイトが他のチームに挙手を促した。
すぐに1人、手を挙げた奴が居た。コイツは2回戦目でヒーロー側として、個性の氷を使ってすぐに勝利した奴だ。名前は確か轟と言ったか…。
「俺はやっても良いです。障子、良いか?」
轟はチームメイトに確認を取る。聞かれた方も頷いたので、コイツらが相手になるのだろう。
「よし、じゃあ君たちにお願いしよう。君たちは1回ヒーロー側でやったから、今度は敵側でやってみるといい。なのでKチームはヒーロー側だ。」
「分かりました。」
そういうことで、俺たちはヒーロー側で戦うことになった。
「杉元、あの氷には気をつけろよ。」
「言われなくても分かってら。ありゃやりづらい相手だ。でも屋内訓練なら大規模攻撃もできないだろうし、凍りつかせても俺なら無理やり引っペがせる。」
「…あんまりスプラッタはやらん方が良いだろうが、そうも言っちゃいられねえか…。」
準備時間中に杉元に注意を促す。
杉元でも轟相手はやりづらい相手だろう。杉元なら凍りつかせられても出血覚悟で引き剥がすことが出来るだろうが、出来たらやらせたくはない。
リカバリーガールも居ることだし、俺は実弾を使うつもりだった。実弾は危険だが、俺ならば急所をわざと外して攻撃するのはわけない事だ。だが、爆豪が殺傷能力の高い武器を構わずぶちかましたせいでオールマイトからストップがかかった。仕方ないので殺傷能力の低いゴム弾のみの使用となった。恨むぜ爆豪。
準備時間も終わり、杉元と揃ってビルに入る。
「山猫」の耳をすませば、大体の敵の位置が分かる。
「4階南側の広間に1人居るな。恐らくそこに核が有るんだろう。
もう1人、比較的図体のでかい奴がこちらに来てる。障子だろう。このまま行けば2階でかち合う。」
「了解!このままダラダラしても時間が勿体ねえ。飛ばしていくぞ尾形!」
「へいへい、全く。外から実弾で狙撃させてくれりゃあ手っ取り早いんだがなあ…。」
「それじゃ屋内対人訓練にならないってオールマイトに却下されただろ!」
そう、俺はオールマイトに俺一人だけ別行動で外から狙撃させてくれないか一応交渉してみたのだ。結果はダメだったが。
実戦を想定しているならそれもアリじゃあダメなのか?
時間もない事なので、杉元と俺は走って4階広間を目指す。やはり途中で障子に出会った。
「来たか…1戦願おうか。」
障子は隠れもせずに正々堂々の勝負を挑んできた。狭い通路での格闘となる。
「ははっいいねえわかりやすい!じゃあ俺から行くぜ!!!!」
杉元は嬉嬉として障子に襲いかかろうとした。だが俺は杉元が襲いかかる前に、障子の複製された口や耳などの比較的柔らかそうな所を狙って早撃ちした。
ゴム弾ならば殺傷能力は低いが至近距離ならばこれで充分な威力だ。
怯んだ所を「山猫」の瞬発力で懐に潜り、顔面を銃の底で思い切り叩き上げた。脳を盛大に揺らしてやったのだ。堪らず巨体が崩れ落ちた。
「悪いな複製怪人さん、あんたは前座だ。さっさと退場してもらうぜ。」
「おい!尾形!!俺が先にやろうとしたのにてめぇ!!」
「時間がないんだぞ。どちらがやるでもいいじゃねえか。さっさとコイツに確保テープ回すから手伝え。」
「チッわーったよ!」
杉元が渋々引き下がり、障子に確保テープを巻き付けるのを手伝った。
テープを巻き終えた障子を廊下に転がして、俺たちは先に進んだ。
4階の南側の広間前に着いた。
「おい冷気がここまで漂ってきてるぞ。」
冷気が既にこちらまで漂ってきていることに嫌でも気付かされた。部屋は一体どんな極寒地獄になっているのやら。
「時間かけてても凍りつかせられるだけだ。早く中入ってさっさと捕まえんぞ。」
杉元がドアを開け放ち中へと入ったのに俺も続く。
殺風景な部屋の中、でかい「核兵器」がある光景は異様だ。それ以上に異様なのは凍りついているこの部屋全体だが。
「2対1だ。大人しくしろ。」
俺は実際のヒーローらしく一応投降勧告をしてみる。
「はいそうですかと大人しくするとでも思ってんのか?」
まあ、当然投降はしないよな。
「そーかよ。」
俺は即座に弾丸を轟の眉間に叩き込んだが、氷の壁に阻まれた。…実弾ならこんな遮蔽物も構わずぶち抜けるんだがとイラつきチッと舌打ちをする。今度は轟の番だとばかりに氷が襲いかかってくる。
それを杉元が拳でぶち壊す。氷の破片が当たりに散らばった。
杉元を脅威と判断したのだろう。氷の剣が杉元に殺到していく。だが杉元はそれも構わずドンドンぶち壊していく。
俺も隙を見て狙撃するが、全て氷に阻まれてしまう。クソっ…。
このままでは拉致があかないと轟も感じたのだろう。杉元の両手と俺の両足を一瞬で凍りつかせた。
「動いても良いが、足の皮と手の皮剥がれるぜ?」
轟が1回戦目の時と同じように勧告してくる。
俺はここから動かなくても銃弾をぶち込めることが出来るが、実弾を使えない状態では防がれてジリ貧だろう。
杉元は…このまま大人しくする訳ないだろう。
「こんなんじゃ俺は殺せないぜ!!」
俺が懸念した通り、杉元は皮膚が裂けるのも構わず無理やり氷を剥がして轟に迫る。派手に血が出るが、「個性:超速回復」で瞬時に傷が塞がっていく。
まさか無理やり氷を剥がし血が出るのも構わず突っ込んでくるとは思ってなかったであろう轟は一瞬固まってしまった。
そこを杉元が見逃す訳もなくその勢いのまま轟に組み付いて大きく吠えた。
「俺は不死身の杉元だ!!!!!」
杉元は轟を背負投げして床に大きく叩きつけた。
「ガハッ!!………ぐっ…。」
盛大に叩きつけられて息が詰まったのだろう。轟が呻いた。
勝負はあった。俺は足を覆う氷を銃の底でたたき割り脱出する。
「ほら杉元、確保テープだ。」
「サンキュー尾形。」
呻いていた轟に確保テープを巻こうとした杉元だったが、轟の目は死んでおらず、まだ足掻こうとフラフラと立ち上がりかけていた。
ので、俺は轟の両肩と両足にゴム弾を叩き込んでやった。弱っていたからか今度は氷には阻まれなかった。
「ぐっ!!」轟が更に呻いた。
俺は髪をかきあげながら呟く。
「これで動けんだろう。」
「…お前なあ…。それじゃ敵だろう…。」
杉元は呆れたように言ったが心外だ。
「敵を無力化するのもヒーローの務めだろ?」
轟へ確保テープを巻き終える。
「ヒーローチームWIN!!」
オールマイトの声が響いて、俺達の屋内戦闘訓練は終了した。