尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話 作:ゆめ子
室内での模擬戦闘も終わり、オールマイトがやって来た。
「君たち良く頑張ったね!さ、講評をやるからモニタールームに戻ろう!!轟少年は起き上がれるかい??」
オールマイトがそう言って轟を立ち上がらせようとしていた。
「っ…大丈夫です…。」
拘束を解かれた轟はオールマイトの手を掴み起き上がった。ゴム弾とはいえ至近距離で両肩両足にしっかり食らったはずなんだが、意外とタフな野郎だ。まあ、まだ痛そうにはしていたが。
途中で意識を取り戻していた障子を拾い、全員でモニタールームに戻ろうと歩き出す。
「おい、杉元。お前両手大丈夫だろうな?」
「あー?大丈夫に決まってるだろう。ほらもう両手無傷だぜ。」
「血まみれじゃねえか…。」
モニタールームに戻ろうと歩きながら、俺は杉元の血にまみれた手を掴みジロジロみた。あれだけ盛大に血を撒き散らかしてた癖にもう傷跡は無かった。恐るべき「不死身の杉元」だ。
「おい、もういいだろ。離せよ尾形。」
鬱陶しそうに杉元が言った。
俺はふと、何となくコイツの嫌がる顔が見たくなって、杉元の血にまみれた片手をベロりと舐めてやった。鉄くせえ。
「うおおおおぉ!!尾形!!てめぇ!!な、な、な、何しやがる!!」
「鉄くせえ。」
「当たり前だ!!この馬鹿!!クソ尾形!!バカ猫!!頭おかしいんじゃねえの!?」
「お前よりは頭大丈夫だ。これに懲りたらもうあんまり無茶すんなよ。あと、バカ猫ってなんだよ。」
「だからって舐めるやつが居るか!!ほんと、お前わけわかんねーよ!!」
ギャーギャー杉元が喚いているとオールマイトが寄ってきた。
「あー、おほん、杉元少女に尾形少年、仲がいいのはいい事だが、今は授業中だ。イチャイチャするのは授業が終わった後にしなさい。」
と苦言を呈してきた。
俺は「すみません、わかりました。」と言ってそそくさと歩を進めた。杉元はまだ何か喚きたそうだったが、オールマイトに注意されたためか何も言わずに歩き出した。
轟と障子がこちらを呆れたような目で見ていた気もするがそれは無視した。
これに懲りて、杉元も暫くは無茶しないだろう…多分。
「さっ講評だ!今回は2チームどんな感じだったかな?」
モニタールームに戻り、オールマイトが生徒達に発言を促す。
「やっぱり杉元ちゃんがベストじゃね?あの凄かった轟すらぶっ倒しちまったし。」
「杉元さんも凄かったけど、尾形君も良かったよね?障子君を手早く戦闘不能にしたし、轟君相手に善戦して最後は轟君の行動を不能にさせたし。」
「てか2人ともすごい速かったよね!核がある場所知ってたみたいに迅速に動いて、ビシッと敵側をやっつけて。まさに颯爽と人を助けるヒーローって感じだったよ!」
「殆ど格闘技でやっつけたのも良かったと思うわ。尾形ちゃんは銃使ってたけど、1発も核兵器に当てなかったし。ちゃんと核兵器を想定してる戦いだったと思うわ。ケロ。」
「でも杉元さん最後、氷を無理やり剥がしたから手が血まみれだったのちょっと見てられなかったよ。アレもう血、止まったの?大丈夫??」
などなどの感想を生徒達が出し合ってきた。
「そうだね、みんなが言ってること、大体正解かな。尾形少年は冷静に敵側の位置を察知し、的確な指示を出し、素早い判断力で障子少年を戦闘不能にした。最後の敵が諦めずに不穏な動きをしたのを想定して轟少年の動きを止める攻撃も良かった。ま、実弾だったら少しやり過ぎだったかもしれないが殺傷能力がほぼないゴム弾だからね。そこは仕方ない。銃を使用してたが、1発も核兵器に当たらないよう配慮して攻撃していたのも良かった点だろう。
杉元少女は圧倒的な攻撃力で轟少年の怒涛の攻撃を防いだのが良かったね。核にも配慮していたのも分かったよ。轟少年を倒したのも杉元少女だし、君が居なければヒーローチームの勝利は低かっただろう。
しかし、最後の轟少年の攻撃から抜け出すためとはいえ、自分を、怪我を顧みないのは…いや、確かにプロヒーローは自分の怪我や命を恐れていてはダメなんだが、君は少し怪我なんかに頓着しなさすぎだ。君の個性ですぐに回復するとは言えそれは良くないことだ。その点はこれから改善していこう。」
などとお言葉をいただいた。
「よって、ベストは僅差で尾形少年と言えるかな。杉元少女や負けた轟少年、障子少年も悪くは無かったよ。」
俺がベストにえらばれた事に杉元は不服そうだったが、オールマイトには文句を言えないようだった。
総評も全て終わり、全員で地下のモニタールームを出て、地上に戻る。
「お疲れさん!!緑谷少年以外は大きな怪我もなし!しかし真摯に取り組んだ!!初めての訓練にしちゃ皆上出来だったぜ!」
オールマイトがそう締めくくった。昨日の突然の個性把握テストと違い、真っ当な授業だったので面を食らってる生徒が何人か居るようだった。
オールマイトが着替えて教室へ戻れと言うと、急いでるのか、すぐに居なくなった。
全員教室へ戻ろうと歩き出す。俺も杉元と連れ立って教室へ戻ろうと歩いていたら、杉元が声を掛けられた。声をかけたのは轟だ。
「なあ、あんた強いんだな。」
「あ?なんだよいきなり。」
「いや、負けるなんて久しくしてないもんでな。あんたの個性、強化系だしオールマイトに似てるな。すげえ強かったよ。」
「お、おう。そうか?あんがとよ。」
負けたことが久しぶりだったらしい轟が杉元を褒めてきた。そりゃ「半熱半冷」なんてチートな個性を持っていたら中々負けないだろうな。
「あんたも、実弾使われてたら多分防げなかっただろうしな…。上には上が居るもんだな…。」
轟は俺にも話しかけてきた。確かに実弾を使えるのであれば、俺も轟には負けるつもりは無い。
「そりゃどーも。でもあんただってもう片方の個性使えば今回の勝負どう転んだか分かんなかったぜ?」
そう、コイツがもしも「熱」の方を使ってたらどうなっていたかは分からん。俺がそう言うと轟は眉を寄せて言った。
「…いや、こっちの方は使わねぇって決めてんだ…。」
轟が自分の左側のコスチュームに覆われた方を触りながらそう言った。目に暗い光を宿したかのように見えた。コイツにも暗い何かが有るのだろう。
だが俺は特に興味は無いので「そうか。」とだけ答えた。
杉元も何か感じ取ったのか、何も言わなかった。
「でも、次やる時は負けないぜ?」
と、轟が不敵な笑みでそう言った。
俺と杉元もニヤリと笑う。
「「次もぶち負かしてやるよ。」」
どちらとも無くそう言ってやった。
着替えを手早く済ませ教室へと戻る。
あとは杉元を待って帰るだけとなった。ガヤガヤとほぼ全員が着替えを終えて教室に戻る頃にやっと杉元が戻ってきた。恐らくコスチュームを着た時と同じように、周りに女子が居るから上手く着替えられなかったのだろう。
「杉元帰るぞ早くしろ。」
俺は席を立ち、杉元の机の前で待つ。
「分かった。ちょっと待ってろ。」
と、杉元は帰る支度をする。
だが、杉元が帰る準備をし始めたら、他の奴らがワラワラ話しかけてきた。
「今回の戦闘訓練も杉元さん達凄かったな!!あ、今みんなで訓練の反省会してたんだ!」
「ねー!凄かったよ轟の攻撃全部拳で退けるなんて!良く退けたよ〜!」
「俺も強化系だから胸が熱くなったぜ!!」
「尾形ちゃんも早撃ちで障子ちゃんを行動不能にして凄かったわ。それにあなた銃だけじゃなくて近接格闘も出来るのね。」
切島を皮切りに知らない奴らまで話しかけてきた。
「お、おうありがとうな切島。と、えーと…?」
まだ名前を覚えてないであろう杉元が首を傾げて戸惑っている。
「私、芦戸三奈!良く退けたよ〜!」
「俺!砂藤。」
「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで。」
知らない奴らが杉元に自己紹介をした。
「おう、芦戸さんに砂藤に蛙吹さん…じゃなくて梅雨ちゃん。これからよろしくな!!ほら、尾形も!!」
「………よろしく。」
杉元がうるさいので仕方なく挨拶をする。
このまま一緒に反省会をしようと言われたが、俺はこのままみんなで仲良く反省会などする気もサラサラないので辞退する。
杉元にも帰るように促す。
すると今度は麗日がこちらに来て話しかけてきた。
「ねえねえ、ちょっとデク君みんなで待たへん?」
と聞いてきた。
「待たない。」
俺は即答で断った。何が楽しくて緑谷を待たねばならない。
「尾形お前なあ…良いだろ少し待つくらい。反省会しながらみんな待つようだしよう…。」
杉元はそう言って残りたそうにしていたがダメだ。
「爆豪は帰っただろう?それに杉元、今日帰ったら早めに課題やるんだろう?それとも何か?俺がお前の課題見なくてもいいって事か?それならそれで俺は別に構わんが。」
「麗日さんごめん!先帰るわ!!皆も悪い!!緑谷にはよろしく伝えといてくれ!!」
分かればいい。
そうして俺たちは帰ることにした。他の奴らは結構残るみたいだった。人気者だな緑谷。
しかし、俺達が校内を出る途中、凄い勢いの緑谷が俺たちを抜かして校舎から出ていった。余りに急いでいたのか俺たちにも気づいていないようだった。
「緑谷どうしたんだろ?」
「さあな」
別にどうでもいいだろう。
校舎を出ようとしたら入口のところで緑谷と爆豪が言い争ってる声が聞こえた。
いや、爆豪が一方的に怒ってるだけのようだ。
「だからなんだ!?今日…俺はてめぇに負けた!!!そんだけだろが!そんだけ……」
「氷の奴や銃野郎、キズ女を見て敵わねえんじゃって思っちまった…!!クソ!!!」
「ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった…」
「クソが!!クッソ!!てめえもだ…!デク!!こっからだ!!俺は…!!こっから…!!いいか…!?俺はここで1番になってやる!!!」
そんな事を爆豪は緑谷に吠えていた。
その後オールマイトもやって来て爆豪を慰めてる様だったが、爆豪には不要そうであった。
緑谷も俺達が後ろに居たことに気づき、驚き狼狽えていた。
「す、杉元さんに尾形君!!!??い、いつからここに居たの!?」
「爆豪が俺のことを「キズ女」って言ってた辺りかなあ。なあ〜、緑谷、アイツ今度締めていいか?」
杉元がにこやかな顔で指をパキパキ鳴らしながら緑谷に問うていた。「キズ女」はお気に召さなかったらしい。かく言う俺も「銃野郎」だが。
「わ、わあああ!かっちゃんがごめんなさい!!!!」
緑谷がまた爆豪の代わりにペコペコ謝り出した。
「あーもういいって。てかこれも緑谷が謝るもんじゃねーだろ。」
「う、そうですね…あ、じゃあその前の僕の話は…聞いてませんでしたか?」
「おう、俺たちがここに来た時はもう爆豪がなんか騒いでた所だったぜ?それがどうかしたか?」
「いえ、聞いてなければそれでいいんだ。」
緑谷がほっとしたような顔をした。
爆豪が吠える前に言っていた緑谷の「人から授かった個性」とは何なのだろうか。
俺の「山猫」の耳のおかげでここへたどり着く前に聞こえてきた緑谷の言葉だ。
借り物の力だの何だの言っていたが、緑谷が秘密にしておきたいことは恐らくこの事だろう。さてどうするか…。
「お、尾形君も聞いてないよね…?」
俺の耳がいい事を知ってる緑谷が不安げに聞いてきた。
「…ああ、聞こえてきたのは爆豪の怒声だけだぜ。」
「………そっか。それなら良かった。」
緑谷が信じたかは分からんが嘘をついておく。面倒ごとに巻き込まれそうな気がしたんでな。それに緑谷の「個性」が借り物でも何でも俺にはどうでもいいことだ。聞こえていたことをあえて伝える必要も無いだろう。
「じゃあ俺たち先帰るから。緑谷もまた明日なー!ゆっくり身体休めろよ〜!」
「うん、ありがとう杉元さん。尾形君も、また明日〜!」
そう言って杉元が緑谷と分かれた。
俺たちは連れ立って歩いて帰る。
「で、緑谷は何を秘密にしてるんだ?」
杉元が聞いてきた。相変わらずこういう事には聡いやつだ。
「何のことだ?」
「惚けんなよ。お前のことだからどうせ聞こえてたんだろ?なんだ?緑谷の秘密って厄介事か?」
「お前が緑谷の身を心配するような秘密じゃあねえよ。」
「…そっかなら、良い。」
俺がそう答えたら杉元はそれ以上聞いては来なかった。全く甘いやつだ。
俺は帰り、電車に揺られながら緑谷の個性について考えていた。どうでもいいとは思ったが少し気になったことがあった。緑谷の個性は、全開にすれば恐らく杉元と同等かそれ以上になるだろう。杉元以上のパワーの持ち主なんぞオールマイト位なものだ。授かったと言っていたが…………まさかな。
かっちゃんから尾形は「銃野郎」、杉元♀は「キズ女」と呼ばれてることが分かりましたね。