尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話 作:ゆめ子
「オールマイトの授業はどうですか?」
入学3日目。雄英に登校途中、そんな声が聞こえてきた。
もう数分歩けば雄英の校門に差し掛かる。
恐らくオールマイトが雄英に教師として着任したことがマスコミを活気づかせ、校門前で生徒達に質問をしているのだろう。
思った通り、校門前はマスコミ共で人だかりができている。
「うわ、なんだあれ?マスコミか??」
一緒に登校していた杉元がマスコミの多さに驚いている。
「大方オールマイトが教師になったんでそれ目当てだろう。」
「ふーん、マスコミ連中も暇なんだな。」
それは同意だが、ナンバーワンヒーローの知名度のせいだろう。有名税だがオールマイトも大変だな、と人事のように思った。(実際人事だ。)
校門を潜ろうとしたら、俺たちにもマスコミ共がマイクを片手に押し掛けてきた。
「あなた達はオールマイトについてどう…うわキズ凄い!!!!!!どうしたのあなた達のその顔のキズ!?」
とてつもなく失礼な質問だ。
今まで驚かせる事はあったが(特に杉元のキズは)、面と向かって、初対面でこんなにも無礼な質問はされなかった。これもマスコミ特有の厚顔さがあってこそのものだろう。
杉元も突然の質問に驚いている。
「俺達のキズはあんたらには関係ないだろう。杉元、行くぞ。」
固まっていた杉元の手を取り、更に質問してきたマスコミ共は無視して校門を潜った。
俺達が校門を潜ったあとは、担任の相澤が授業の妨げとなると言ってマスコミ共を追い払っていた。因みに相澤はマスコミにも小汚いと思われて若干引かれていた。
それでも構わず取材しようと校門を潜ろうとした愚かなマスコミは、通称「雄英バリアー」なるセキュリティにより締め出されたようだった。
教室に着くと、杉元の他の奴らへの挨拶もそこそこに朝礼の時間となった。
担任の相澤が教室に入り、教壇に立った。
「昨日の戦闘訓練お疲れ様。Vと成績見させてもらった。」
そう言うと、相澤はまず爆豪に昨日の失態に対し苦言を呈し、次に緑谷にも「個性」を制御出来ずに腕をぶっ壊した事について注意と発破をかけていた。相澤は更に続けた。
「それと杉元、お前は自分の怪我なんかを顧みなさすぎだ。いくら自分の「個性」で治るって言ってもやり過ぎるな。お前なら回避も出来るだろう。横着すんなよ。あんまり酷いようなら自傷行為と見なすぞ。お前はR-18Gでミッドナイトの様な18禁ヒーローになりたくはないだろう?尾形、お前も杉元の事よく見とけよ。」と昨日の杉元の戦いに対して注意を飛ばした。何故か俺に杉元を注意してみておけとのオマケ付きで。
「何故俺が杉元を見とかにゃならんのですか…。」
「幼馴染だろう?心配ならお前が手綱をちゃんと握っとけ。」
「………はあー………分かりましたよ…。」
にべも無く流された。まあ、俺も杉元に無茶をやらせようとは全く思ってもいない為、言われなくても杉元は良く見張るつもりだ。
なので、これ以上は俺も何も言わなかった。
杉元は「何で尾形なんかに…。」と小声でごにょごにょ何か言ってる様だった。
「さてホームルームの本題だ…。急で悪いが今日は君らに…」
相澤は続けて言った。入学初日に個性把握テストなんぞ強制した教師だ。また何か臨時テストでもやらされるのかと生徒達はみな緊張した。
「学級委員長を決めてもらう。」
「「「学校っぽいの来たー!!!」」」
緊張し損だった。
しかし学級委員か…全くもって面倒くさい。
俺はそう思ったが、他の連中はそうは思わなかったらしい。ほぼ全ての奴らが学級委員長をやりたがり、ハイハイと挙手していた。
ヒーロー科において委員長は、集団を導くリーダーの素地を鍛えるとか何とかなるものらしい。
リーダー等なる気もない俺には関係ないことだ。
一番前の席に座っている杉元は手をあげる素振りもしなかった。恐らく俺と同じに面倒くさいと思っているのだろう。
喧騒の中、「静粛にしたまえ!!!」と一際大きな声が上がった。飯田だ。
飯田の発言により、学級委員長は投票で決めることとなった。
他の奴らも文句を言いつつそれに従った。
俺は特に誰かに入れたい共思わんがどうするか…。
すると杉元がこちらをチラリと振り返った。
………………コイツまさか俺に投票するつもりじゃねえだろうな…。
俺は嫌な予感がしたので紙に大きく「杉元」と書いてやる。
全員の投票が終わった。
開票するとなんということだろうか。緑谷が3票で委員長に決まった。
それは別にどうでもいい。問題は俺に誰かが2票入れた事だ。
俺は副委員長にされてしまったのだ。
1人は恐らく杉元だろう。だがもう1人は誰だ…?全く心当たりがない。
副委員長なぞ全くもって面倒くさい。一体誰が入れやがったクソ…。
他の奴らは「緑谷なんだかんだ熱いしな!」やら「尾形も何考えてるか分かんねえけど、個性把握テストも昨日の戦闘訓練も凄かったしな〜。」等と受け入れている。やはりコイツらは「いい子ちゃん」だな。もっと不満をもってやり直しを要求するぐらいしやがれ。
委員長、副委員長として緑谷と共に前に立たされる…。俺はやる気は無いので何も言わなかったが、緑谷は「ママママジデマジでか…!!」とテンパっている様だった。
すると杉元がニヤニヤ笑ってるのが良く見えた…クソがぁ…。
ホームルームが終わり、午前の通常授業が始まる。昨日も感じたがやはりレベルが高い。杉元が昨日何とか終わらせた課題片手に答えを発言している。俺が確認したから当たり前だが正解の様だ。……………クソ面倒くさいこと押し付けやがって。課題見てやらねえぞ…。そんな事を心の中で愚痴った。
午前の授業が終わり、昼飯のため、杉元と共に大食堂へ移動しようとすると、麗日達が声をかけてきた。
「おふたりさんも大食堂行くん?ならもし良かったらウチらと食べません?」
と、一緒に食べないかと誘われた。
俺は一緒に食べたいとも思わなかったし言わなかったが、杉元が「誘ってくれてありがとう麗日さん!じゃあ一緒に食べようか!」と即答したため、仕方なく、麗日・緑谷・飯田の3人組と昼食を共にすることになった。
食事を取ってると、緑谷が「いざ委員長やるとなると、務まるか不安だよ…。」と弱音を吐いてきた。それに対して麗日、飯田、杉元は「務まる」「大丈夫さ」「お前なら出来るさきっと」と励ましの言葉を送っていた。俺も一応「お前次第だろう」と言葉を送った。
そして会話の流れで緑谷に投票したのが飯田だと判明したのに加え、飯田はヒーロー一家の子供ということが分かった。
相変わらず俺はヒーローに興味もなく疎いので知らなかったが、「ターボヒーローインゲニウム」というヒーローを兄に持ってると言っていた。それに対してヒーローオタクだという緑谷はとても興奮していた。杉元も「お前の兄ちゃんヒーローなのか!すげえな!」とはしゃいでいた。
飯田の話が終わったので、俺は聞きそびれていたことを杉元に聞いた。
「そう言えば俺に投票した1票はお前だろ、んー?杉元〜。」
「えっ!?何でお前俺が投票したって分かったの!?」
「お前の考えてる事なんてお見通しなんだよ…。たくっ面倒くさい事押し付けやがって…。」
「いや〜悪い、まさか俺の票でお前が副委員長になるとは思わなくて…でもお前も自分に入れてたんならやりたかったんだろう?」
「俺はお前に入れたんだから、他に誰かが俺に1票入れたんだよ。誰だか知らねえが…。」
「お前何俺に入れてんだよ!!このバカ猫!!一体誰が入れたんだろうなと思ったわ!!」
「お前も俺に投票したんだからあいこだろ。」
「うっ…まあ、そうなるな…てかじゃあお前に入れたもう1人って誰なんだよ?」
と、杉元は首を傾げたが、もう殆ど誰が入れたかは絞れている。
「他の奴らは殆ど自分に入れてたからな…0票だったのはそこの飯田と麗日と、あと轟だ。飯田は緑谷に入れてた…となるとあとは…」
「あ、私はデク君に入れたよ!」
「う、麗日さんだったの!?」
緑谷が盛大に驚いた。となると答えは出たな。
「轟が尾形に入れたのか!ふーん、でもなんでだろうな??」
「さあなあ…。」
俺には心当たりがない。
「きっと昨日の戦闘訓練で尾形君に1票入れたくなる何かがあったんだよきっと。」
「そうだねえ。尾形君、昨日の戦闘訓練も大活躍だったもんね!轟君もきっと凄いって思ったから入れたんだよ!」
「確かに昨日の戦闘訓練は杉元さんも凄かったが、尾形君もかなりいい動きしていたからな。何か轟君の琴線に触れたのだろう。」
「そんなもんかねえ…。」
確かに昨日の戦闘訓練は俺達が勝ったが、轟自体に勝ったのは杉元だ。何故杉元でなく俺に入れたのか…。
「何にせよ面倒くさい事を押し付けられたぜ…。」
そう俺がボヤくと、生真面目な飯田が注意してきた。
「尾形君!君は「多」をけん引する責任重大な仕事を任されたんだ!面倒くさいと嫌がるべきじゃないだろう!!」
「そんな事言われてもねえ…面倒なのは面倒なんだよ…」
「君は!全く、もっと責任の自覚というものを…」
飯田が更に言い募ろうとした時、警報が鳴り響いた。
「なんだあ?」
「警報だな。」
杉元が首を傾げる。俺は事実を端的に言った。
どうやらこの警報はセキュリティ3突破という、誰だかが雄英に侵入した際の警報らしい。屋外へ避難しろとの事だが、如何せん大食堂は人が多すぎた。多くの生徒が出口に殺到している。
緑谷達もすぐさま移動しようとしたが、人波に攫われて行った。
杉元も出口に移動しようとしたので、俺は手を掴みそれを阻んだ。
「おいなんだよ尾形。俺達も早く移動しねえと。」
「まあ待て杉元。侵入したのはどうやらマスコミ連中みたいだぜ。」
食堂の生徒達の声で外の声を拾いづらいが、外から「オールマイト出してくださいよ!居るんでしょう!?」「一言コメント頂けたら帰りますよ!」等の声を「山猫」の耳のおかげで幾つか拾えた。
「マジかよ!じゃあみんなに知らせねえと…!!」
と杉元は言ったがこの状態では無理だろう。
「この状況じゃあ無理だ。沈静化するまでこのまま待った方が良さそうだぞ。」
「けどよ!外にマスコミ来てるだけだって知ってるの俺たちしか多分居ないんだろう?
どうにかしてみんなに教えてやらねえと…!」
と杉元と口論していたら、大きな声が食堂全体に響いた。
「大丈ー夫!!!!!!!」
この声は飯田か?
声は続けて、外の侵入者はただのマスコミで、パニックになることはない。最高峰の人間にふさわしい行動を、とデカい声で簡潔に伝えた。
そのおかげで食堂の混乱は収まった。
「すげえな飯田のやつ!アイツのおかげでパニックが収まったぜ!!」
「ああ、そうだな。これでおしくらまんじゅうすること無く教室に戻れそうだ。」
これなら少しは飯田に感謝してもいいだろう。
少し経つと、警察も駆けつけてきて、マスコミも追い返せたようだ。全くろくな事しねえなマスコミ共は。
午後、他の委員を決めるための時間となった。俺は仕方ないので前へ出て取り仕切ることになった。緑谷が緊張して何も言わないので仕方なく俺が促す。
「おい、緑谷…委員長だろ、早く進めろ。」
そうすると緑谷は何を思ったのか突然、「委員長はやっぱり、飯田君がいいと思います。」
等と言い出したのだ。
おいおい、そりゃないだろと俺は思ったが、食堂での一件を見ていた奴らも、飯田で良いと言い出しやがった。
俺は呆気にとられたが、この流れを逃す気は無かった。
「じゃあ俺も副委員長は八百万が良いと思うぜ。個性把握テストじゃあ俺を抜いて2位だし、昨日の戦闘訓練でも皆の戦闘を冷静に且つ的確に見抜いていた。俺なんかよりずっと副委員長に向いてる。」
と、他の奴らが納得しそうな理由を並べ立て、八百万を生贄に捧げた。
八百万は戸惑っていたが、やはり副委員長をやりたいようなので任せることができそうだ。
やいのやいのしてると担任が「何でも良いから早くしろ…時間が勿体無い。」と進めるよう促してきたので、俺は有耶無耶の内に副委員長を八百万に押し付けることに無事成功した。
全くやれやれだ。
因みに副委員長を蹴った為、俺は杉元と共に「緑化委員」になった。花やら木やらの面倒もかったるいが、杉元が率先して面倒を見るだろうから、俺は楽できるだろうという目論見だ。案の定、杉元はどんな花を植えようかな〜とご機嫌で考えてるようだ。これで少しは他の委員より楽できるだろう。
放課後になり、杉元と連れ立って帰ろうとした際、杉元の前を轟が通り過ぎる。
杉元は何を思ったのか轟を呼び止めた。
「あ、おい轟ー!」
「?なんか用か杉元。」
「いや、用って程じゃねえけど、今朝の委員長決めの時に、尾形に投票したのあんただろ?俺も尾形に入れたんだけど、轟も何で尾形に入れたのか気になってよお。なんで?」
と轟に聞いていた。確かにそれは俺も少し気になっていた。直接聞きたいとは思ってはなかったが。
「………昨日の戦闘訓練で、尾形が的確な指示を出てた様だし、委員長にいいんじゃねえかと思っただけだ。」
やはり昨日の戦闘訓練が轟に響いた様だ。なるほどな。短い理由だがわかりやすい。
「そっかそっかなるほどな〜、あ、引き止めて悪かったな!じゃあまた明日な轟!!」
「…おう、また明日な杉元。」
そう言って轟は先に帰っていった。
俺達も連れ立って教室を後にする。
すると何故か杉元がニヤニヤしだした。
「なんだ杉元、ニヤニヤして。気持ち悪いぞ。」
「気持ち悪いってなんだよ!人がせっかく微笑んでるのに気持ち悪いとはなんだ!!」
本当のことだから仕方ないだろう。
杉元がニヤニヤ笑いながら続けた。
「いや、尾形の事買ってるやつが居て良かったな〜と思っただけだ。でも良かったな尾形。轟となら友達になれそうじゃねえか!」
なんだそんな事で喜んでいたのかこいつは…恥ずかしい奴だ。
「…だから、友達なんぞ俺には必要ないと言ってるだろうがこの阿呆。」
「またまた〜照れちゃって「ひゃくちゃん」たら〜!目指せ友達100人!!」
杉元が記憶を取り戻す前の呼び名で呼んでからかってくる。
「俺の「お友達」は後にも先にもお前だけだぜ「さっちゃん」。」
俺も記憶を取り戻す前の呼び名で杉元を呼んだ。
「…………っ!!!!このっボッチ野郎!!
お前なんか一生ボッチで居ろ!!ばーか!!」
そう言って杉元が走り出した。
ちらりと見えたその頬と耳は真っ赤になっていた。俺はフッと笑って杉元の後を追った。
因みに、杉元♀が緑化委員に入るのを見て尾形が緑化委員になったので、尾形は周りから独占欲の強い彼氏だと更に思われることになりました。まあ、間違ってませんね。