尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話   作:ゆめ子

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序章2

全て思い出した。

軍のこと、北海道での金塊争奪戦、前世での自分の数々の悪行、そして、「不死身の杉元」。

 

自分が、「俺」が何者であったのか、全てを思い出した時、なんとそれはあの「不死身の杉元」も同じだったらしい。

 

犯人達がこちらを向いているのをいいことに、「さっちゃん」…いや杉元は立ち上がり、銃を持ってた犯人の背後を素早く取り、締め上げた。

 

「うお!?グゥっ…」

 

「は?なに?」

それに気づいたもう1人の、ナイフを持って俺たちに傷を付けた方に俺は素早く足払いを掛け転がした。

銃を持ってた方を締め上げ終わった杉元がナイフを持った犯人に襲いかかった。

 

「俺は不死身の杉元だ!!!!!!!!」

 

 

 

小学校に上がる前の子供とは到底思えない力がある様だ。ナイフを持ってる犯人と互角以上に戦っている。

いや、あの馬鹿、前と同じような自分を顧みない戦い方のようで犯人のナイフに掠りつつ攻撃している。

 

何とかナイフの方の犯人を殴り倒した杉元はボロボロになっていた為俺は焦ったが、驚くことに顔面の傷を除いた身体中の傷が瞬時に癒えていくのを目で捉えた。

 

「おい、杉元なんだそりゃ、個性か?」

 

「うおっ!?なんだこれ、これが俺の個性なのか?」

 

本人も驚いていたが、こんな不思議現象、個性以外ないだろう。

大の大人を締め上げることが出来た子供離れした馬鹿力も恐らくは杉元の個性なのだろう。

 

「ていうか、お前…あの尾形だよな?」

 

「どの尾形かは知らんが、俺は尾形百之助だぜ?」

 

杉元がアホ面しながら聞いてくる。やはり俺と同じく前の…恐らく前世ってやつの記憶が蘇ったらしい。

前の世じゃさんざん殺しあった仲のこいつと幼馴染になるなんて誰が思うだろうか。神という輩の考えてる事はまったく理解ができん。

 

「やっぱりクソ尾形じゃねえかー!俺の大事なひゃくちゃんはどこ行ったんだー!!」

 

「傷つくなぁ、俺もそのひゃくちゃんだぜ、「さっちゃん」。」

 

「さっちゃん言うんじゃねえ!鳥肌たつわ!」

 

そんな軽口叩きながら俺は犯人が持っていた銃を拾う。俺自身も子供なのに、さっき斧を持った時より重さを感じなかった。

目に集中すれば、望遠鏡のように遠くのものまで良く見えることにも気づいた。

恐らく俺も杉元と同じように、記憶と共に個性が現れたのだろう。まったくもって都合が良い。

 

「おい、杉元。そのナイフと斧を拾っとけ。他の奴らを殺りに行くぞ。」

 

「は?他にまだいんの?」

 

「ああ、他の部屋を偵察した時何人か見かけた。こいつら単独犯じゃねえだろうな。」

 

「おいおいマジかよ…」

そう言うと杉元は転がっていたナイフと斧を軽々拾った。

 

「俺がこいつで援護してやる。いくぞ」

 

「おい、ちょっと待て尾形。犯人達をぶちのめすのは良いが、殺すのはなしだ。そんな事すれば母さん達が悲しむし、俺たちも面倒ごとに巻き込まれるだろ。」

 

「チッ…めんどくせえ時代になったな…仕方ねえ足か肩狙うか…。」

 

「あと尾形、これが終わったら色々聞かせて貰うからな。」

 

「…ああ、分かった。」

俺もお前に色々聞きたいしな杉元。

 

そうしてあの偽アイヌの村でやったような蹂躙を俺たちは開始した。

 

 

 

 

 

 

結果を言えば、俺たちは無事保護された。

俺達が捕まったのは、でかい人身売買組織だった。今どき珍しい「無個性」(俺たちはそうじゃなかったが)の男児と女児が珍しいと誘拐されたらしい。

 

俺達が暴れ回って建物内に居た犯罪者を全員半殺しにした後すぐにヒーローやら警察やらが来て事なきを得た。

地獄を創り出したのがまだガキ二人ということで、説教がセットで付いてきたが、「個性」を使ったこともお咎め無しで、俺達が捕まることもなかった。

 

だったらもっと早く助けに来い無能共と思わなくもなかったが、免許も取ってない銃をぶっぱなしまくった事も厳重注意だけで済んだので良しとしておこう。

 

保護者たちも大急ぎで駆けつけてきて、それぞれ大泣きされて困惑したが、それもまあいいだろう。ばあちゃんには心臓に悪いことをしてちっと悪かったなと殊勝にも思ってしまった。

杉元も母親に大泣きされて抱きしめられていた。少し照れくさそうにしていたが嬉しそうだった。

 

この地獄を創り出した大半の原因は杉元と分かると説教と共に、大人達が恐ろしいものを見る様な目を向けている事にも気づいた。

杉元は真面目に反省していたのでそれに気づいているのかどうか…恐らく気づいてないだろう。

 

ヒーローオールマイトもこの捕物劇に参加していたので、中々の規模の組織だったのだろう。そのオールマイトからもお説教&励ましの言葉を頂いた。

 

「君たちはやりすぎたが、こんな組織を二人で掻い潜ってほぼ壊滅させるなんて普通のヒーローでも出来ることではないよ。君たちもヒーローを目指すと良い、きっと2人とも良いヒーローになれる。勿論、やりすぎを反省しないとダメだけどねHAHAHA」

とか何とか言っていた。それに杉元は感銘を受けているようだった。やはり杉元は阿呆だな。

 

 

これが終わったら話をすると杉元と約束したが、二人きりで話せる時間が何日も中々取れずにいた。

警察とヒーローから保護され病院送りにお説教、保護者の登場にさらなるお説教、取り調べの上個性が発現した事も報告し書類を作成、個性発現に伴う身体検査、健康診断、などなどやらなくてはならない事が多すぎた。

 

ついでにマスコミも沢山来ていた。勿論シャットアウトしたが、事件のあった公園も騒ぎになって中々入ることは出来なくなってたようだ。

ようやく2人だけで会うことが出来たのは1ヶ月ほど後になった。更にもう余り公園には行くことが出来なくなったため、自分の部屋に杉元をあげた。

 

 

「よ、よう……元気だったか…?」

 

「なんだ、世間話でもしに来たのか「さっちゃん」は」

 

「さっちゃんて呼ぶなクソ尾形!!!!世間話じゃなくて色々聞くって言っただろ!!」

 

「ああ、分かってるって…で、何を聞きたいんだ?」

そう聞くと杉元はもごもご言ってきた。

 

 

「その…お前って前の記憶が全部有るんだよな…?あと前の記憶じゃなくて、前まで一緒に遊んだりしてた記憶はどうなった…?」

 

「ああ、前の自分が生きて死ぬまでの記憶がある。今生でお前と前まで遊んでた記憶もちゃんと有るぜ。まさかお前とちょっと前まで仲良しこよしの幼馴染してたなんて笑えねえ冗談だよな…。お前の方はどうなんだ?前世の記憶と今世の記憶きちんと両方有るのか?」

 

「………両方、ある。」

 

沈黙が続いた。

杉元が口を開いた。

 

「…お前との、前の殺し合いは忘れてねえ…裏切りも…でも今の、記憶が戻る前とのお前との、「ひゃくちゃん」との思い出も忘れちゃいねえ…。俺は、「ひゃくちゃん」と一緒に居たい…居たいんだ…」

 

それは意外な告白だった。「さっちゃん」からあの不死身の杉元に戻ったら、俺のことはきっと許さないと思っていたからだ。

 

「…きっと肉体に精神が引きづられてんだよ…すぐに元の不死身の杉元に戻って「ひゃくちゃん」なんて存在忘れるさ…」

俺は思ったことをそのまま口にした。

 

首が閉まった。杉元に胸倉を掴まれたからだ。

 

「お前は!「ひゃくちゃん」はどうなんだよ!!「ひゃくちゃん」は俺と一緒に居たくないのかよ!!もう俺のことは、「さっちゃん」のことはどうでもいいのかよ!!!!」

泣きそうになりながら、懇願される。

前世だったら絶対に泣かないだろう杉元も、肉体の年齢にやはり引っ張られてるのだろう。涙が零れそうだ。

やめてくれ、俺は「さっちゃん」の涙に弱いんだ。

 

 

「………どうでもよくなくねえよ…」

 

「!ひゃくちゃ…」

 

「でももう俺は俺なんだよ。お前を、裏切り殺そうとした尾形百之助だ。」

 

「!!!!」

 

そう、前世でお前を裏切り、その頭に銃弾を叩きつけた「尾形百之助」でそれ以上でも以下でもない存在となってしまったのだ。

 

お前が求める「ひゃくちゃん」は俺でもあるがそれだけではなくなってしまったのだ。

 

もう「さっちゃん」が無邪気に信頼を寄せられる「ひゃくちゃん」ではないのだ。

 

 

 

「関係ねえ!!俺はひゃくちゃんを信じる!!そして尾形、前のお前を、許す!!!!」

 

杉元はその力強い澄んだ目で俺の目を捉えて離さなかった…。

 

まさか前世のことを杉元に許されるとは思わなかった俺は呆然としてしまう。

 

そして、笑ってしまった。本当にこいつは阿呆だ。自分を殺そうとした相手を許して信じるとまで言うなど、真性の阿呆じゃ無ければ出来ない芸当だろう。

そう思ったら余計に笑がこみ上げてきた。

 

「お、尾形てめえ!人が折角前のお前の所業を許すって言ったのに何大笑いしてんだ!!!!喧嘩売ってんのかテメーは!!」

杉元は顔を真っ赤にしながら怒ってきたが、目にまだ涙が残っていたので怖くはなかった。

 

「いや、悪いお前があまりに甘ちゃんだと…」

 

「んだとてめえ…!」

 

「俺もお前を信じる。」

杉元が止まった。

 

「そこまで言われちゃ俺も観念した。お前のことを信じるよ杉元。そしてもう二度とお前を裏切らないと誓おう。」

 

杉元が、嬉しそうに泣いて

そして笑った。

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