尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話   作:ゆめ子

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USJ襲撃編5

「プロヒーローか…ここにこれだけ集まるってことは学校全体に仕掛けてきたってことじゃ無さそうだ。」

と、轟が集まった教師陣を見て言った。

確かにその通りだろう。

 

「個性」を使って反動で足を折ったのだろう緑谷に切島が大丈夫かと言って駆け出した。

すると、人外の姿をした教師の1人が、「個性」で壁を作ってそれを阻止した。

いや、緑谷に駆け寄ろうとした事を阻止したのではなく、その途中でオールマイトに近寄る事を阻止したかのように見えた。

その教師が生徒の安否を確認したいからゲート前に集まるよう俺たちに指示を出した。

杉元も行こうぜ尾形と腕を引いてきた。

俺は「ああ…」と返事をして杉元と共に出入口前に行くため歩みを進めたが、後ろから教師とオールマイトのやり取りが「山猫」の耳に届いてきた。

「ありがとう、助かったよセメントス。」

「俺も貴方のファンなので…このまま姿を隠しつつ保健室へ向かいましょう。」

などというやり取りだ。

「姿を隠しつつ」だと…?一体何故姿を隠す必要がある?オールマイトは活動時間の制限があり、姿を隠さなければならない秘密がある様だ。………まあ、平和の象徴の力の衰えは確かに気にはなるが、俺には関係ない事だ。

俺は戦いの疲れもあってその時は思考を放棄した。

 

出入口に集まると、生徒全員が集まっていた。ボロボロの奴もいるが、どうやら死人や重傷人は出なかったらしい。…いや、1人足を折っていた奴が居たんだったな。

警察も来て、襲撃してきて返り討ちにあった雑魚の敵共に手錠をかけて連行していく。

刑事が「両足重傷の彼を除いてほぼ全員無事か。」と言ってきた。

生徒達は緊張が溶けたのだろう、何処のエリアに居たのだの、敵は弱かっただの、思い思いに喋り出した。

「杉元さん、すっごい血まみれだけど、大丈夫なの!?」

と、麗日や飯田が杉元を心配して駆け寄ってきた。

「ああ、これは殆どあの脳みそ丸出しヤローの返り血だから、俺は全然大丈夫だ。」

と、聞いても逆に安心できないような返事を返していた。飯田はそれに少し引いたようだが、麗日はそれなら安心だね!!と返していた。………麗日も中々にネジが飛んでいる。

 

「尾白くん、今度は燃えてたんだってね…でも杉元さんや尾形君も居たんでしょ?それに牛山先生も居たんなら楽勝だったんじゃない?」

「あ、うん、牛山先生とずっと一緒だったんだけど、敵を瞬殺してたよ…。尾形君や杉元さんもすぐに敵倒しちゃってて、俺はそんなに戦闘しなかったよ。」

と、尾白と透明人間の葉隠がそう話しているのも聞こえた。

全員好き勝手に喋っていたら、蛙吹が担任の相澤の安否を刑事に聞いていた。

どうやら相澤は両腕粉砕骨折の重傷を負ったらしい。

他にも13号は背中から上腕にかけての裂傷が酷いが、命に別状はない。

オールマイトも命に別状なく、リカバリーガールの処置で十分とのことで保健室へ行った。との事だった。

 

ここからそこそこ遠くで教師達が話している声を拾えた。

ネズミのような校長の話によると、セキュリティの大幅強化が必要だそうだ。まあ、そうだろうな。

約400メートル先と200メートル先の雑木林で敵と思われる人物を2名確保したという警察官の声も届いた。オールマイトと杉元が吹っ飛ばしたあの脳無達のことだろう。2体とも無抵抗のようだが、呼びかけに一切応じないらしい。牛山が関節を外して倒した脳無の方も同じ状態のようだ。

死柄木弔の言葉に忠実のようだったし、主人が居なくなって機能を停止したのだろうか?

これならやはり最初から死柄木弔の頭を隙を見てぶっ飛ばせば早かったかと思ったが、もう終わった事だ。今考えても仕方ないことだろう。

 

俺たちは教室に戻り、早々に帰らされた。

事情聴取は明日臨時休校になるようだし、明日に行われるのだろう。

返り血が酷かった杉元がシャワーを借りてから着替えるのを待ち、出てきてさっぱりした杉元と共に帰ることににした。

本当は今生で再会した牛山にいろいろ聞きたがった杉元だったが、学校がこんな状態では無理とのことで、臨時休校明けにでも牛山と話すことを約束した。

「明日は臨時休校らしいけど、俺たちは事情聴取かーめんどくせえな。」

「まあ、しょうがねえだろ。ちゃんと正直に話せよ杉元。まあ、お前があの化け物ぶっ飛ばしたって知られりゃまた警官に怯えられるかもしれんがな。」

「おい、嫌なこと言うなよ!!てか、またってなんだよまたって!!」

「昔半殺しにした人身売買組織の時も、恐ろしいガキだって目で怯えられてただろうが。」

「うっ…………で、でも今回は皆を守ったんだし、きっと大丈夫だ!うん!」

「そうだと良いがな。」

俺も明日は事情聴取だ。いきなり敵の主犯格の頭をぶっ飛ばそうとしたことは黙っておくべきか否か迷うところだ。

そんなことを考えながら、俺たちは帰路につき、敵共に襲撃された1日が幕を下ろした。

 

 

 

 

 

どこかのバーと思しき店の中、黒い霧が現れる。徐々に大きくなったそれから、両肩両足を撃たれ、立つことも出来なくなった死柄木弔が現れた。

「ってえ…両腕両足両肩撃たれた…完敗だ…。

脳無も3人も連れてったのに全員やられた…。

手下共は瞬殺だ…。子どもも強かった…。特に顔にデカい傷がある女は脳無を吹っ飛ばしやがった…。銃持ってた奴にもバンバン撃たれてこのザマだ…。何より平和の象徴は健在だった…!話が違うぞ先生………。」

死柄木は憎々しげに呟いた。薄暗い店内の中、点灯しているモニターから声が響く。

「違わないよ。」

「ただ、見通しが甘かったね。」

「うむ、舐めすぎたな。敵連合なんちうチープな団体名で良かったわい。」

モニターからは二人分の声が響く。

「ところで、ワシと先生の共作、脳無は?回収してないのかい?」

疑問に答えたのは黒霧だ。

「吹き飛ばされました正確な位置情報を把握出来なければいくらワープとはいえ探せないのです。一体の脳無は近くには居ましたが、すぐ側にプロヒーローのアンビートン・ブルも居ましたので無理でした。」

「折角オールマイト並のパワーにしたのに…まあ、仕方ないか…残念。」

そうモニターの中の声が答えると、死柄木は呟き出した。

「パワー…そうだ…二人…オールマイト並の速さを持つ男の子どもと、オールマイト並のパワーを持った女の子どもが居たな…。女の方はさっきも言ったけど、オールマイトと同じように脳無をぶっ飛ばしてた…。」

「……………へえ。」

モニターの声は興味深そうな声を返した。

「あの男の邪魔と、銃を撃ってきた奴の邪魔がなければオールマイトを殺せたかもしれない…ガキが…ガキ…!!特に撃ってきた奴は、頻繁に俺を狙いやがった…次は絶対に殺してやる…!!」

死柄木のブツブツとした呪詛が静かな店内に響いていた…。

 

 

 

 

 

敵の襲撃に遭った次の日、俺は朝早くから杉元の家の前に来た。

昨日の事情聴取を警察に受けに行くためだ。

至極面倒だが、仕方ない。

俺は杉元の家のチャイムを鳴らし、杉元が出てくるのを待つ。

「おはよう、百之助くん。佐一ー!もう百之助くん来てるわよー!早くしなさーい!!」

玄関から杉元の母親が出てくる。

今世で女になった杉元によく似ている母親だ。いや、杉元がこの母親に似たのか。

「聞いたわ、百之助くん、昨日大変だったんでしょう?でも佐一も百之助くんも無事で良かったわ。本当に良かった…。」

杉元に昨日の事情を聞いたのか、杉元の母親が心配そうな顔で言ってきた。

うちのじいちゃんばあちゃんも昨日俺の説明に腰を抜かすほど心配していたからな…。

「2人ともヒーローになるんだから、危険なこともあるって分かっては居ても、いざこうして危険があると心配で仕方なくなるわね…。しかもまだ学生なのにこんな事があるだなんて…昨日佐一に聞いて本当にゾッとしたわ…。」

杉元の母親が杉元に似た目で俺を真っ直ぐに見つめて言った。

「百之助くん、佐一をよく見ていてあげて…。佐一がなにか無茶をしそうになったら止めてあげて…。まだ学生の貴方にこんな事頼むなんておかしいって分かっているのだけれど、昔から佐一を引っ張っていってくれてる百之助くんにしか頼めないの…。何かあったら佐一を助けてあげて…お願い…。」

そう懇願された。

これが母親の愛か…。普通ならば母親とは皆こうなのだろう。遠い昔の記憶である前世の母親と俺の記憶が戻る前に逝ってしまった今世の母親の記憶を、少し、思い出した。

俺なんぞよりよほど戦闘力のある杉元だ。そうそう何かあるとは思わないが、俺も杉元に無茶をやらせたい等とは思ってないので、杉元の母親の頼みにすぐに是と返した。

杉元の母親は嬉しそうに笑った。

「百之助くん、貴方も十分気をつけてね。貴方に何かあったら私も悲しいし、貴方のおじいさんおばあさんもとても悲しむわ。それをよく覚えておいてね。」

そう杉元の母親に言われ、俺はなんとも言えない気持ちにさせられた…。

 

少しすると杉元がやってきた。今日は学校ではないので私服だ。勿論俺もそうだが。

「待たせたな尾形。じゃあ警察署に行くか。」

「行ってらっしゃい、佐一、百之助くん。気をつけてね。」

そう杉元の母親に見送られて、俺達は警察署に向かった。

 

「はい、では今から調書を取りますね。緊張せず楽にしていいですよ。」

俺はそんな事を言われながら、警察の事情聴取を受けた。

昨日現場に来ていた塚内とかいう刑事だ。

「じゃあ君は先生の発砲許可なしにその主犯格の頭を狙って撃ったんだね。緊急事態と言えど、ヒーローの卵なんだから、いくら敵とはいえ、最初から頭を狙っちゃいけないよ。分かったね?」

「はい、申し訳ありませんでした。以後、気をつけます。」

俺は隠しても相澤や他の生徒達に喋られたら意味はないと思い、結局包み隠さず何をしたかを正直に話すことにした。

案の定、小言を賜ったが仕方ない。外行きの面で謝っておく。内心は敵相手にそんなんだから世間からの警察の評判も低いんだろと毒づいておく。

「じゃあ、君と杉元佐一さんはUSJの火災ゾーンに2人で飛ばされたんだね。」

「そこで敵達を数人発砲して足を撃ち抜いたと、足を撃たれてた敵が何人も居たけど、君がやったんだね。」

「牛山先生と尾白猿夫君と合流して、敵達を倒して火災ゾーンを脱出、と。」

「そこから中央広場まで行って、相澤先生を助けだしたんだね。偉いよ。」

「そこに脳がむき出しになった怪人…脳無が三体と黒霧と死柄木弔という主犯格が居たんだね…なるほど。」

「オールマイトと牛山先生はともかく、杉元佐一さんは何を考えてそんな危険な敵と対峙したんだ…君もお友達ならきちんと止めないとダメだよ。」

「オールマイトが脳無に捕まった時、脳無の脳を狙ったんだね…。敵相手でもヘッドショットはダメだと言ったが、相手に必ず遮られるという自信があったんだね…仕方ない、ここは目を瞑るとするよ。君のおかげでオールマイトも抜け出せたんだしね。」

「ふむふむ、君が脳無の関節を外すことを提案したのか。両手両足折っても、例え欠損してもすぐに回復してしまうらしいと聞いたからね、的確な判断だ。賢いな君。」

「………………え、牛山先生がもう一体の脳無を吹き飛ばしたんじゃなくて、杉元佐一さんが建物の外まで吹き飛ばしたの…?ははは、そんな冗談………………え、マジで?」

「まじかー、オールマイトみたいだなその子…。………まさかオールマイトみたいにムキムキの女の子なの??え、違う?」

「脳無がいなくなった後、黒霧と死柄木弔がオールマイトに迫って、緑谷出久君が飛び出してきたから、死柄木弔の手に発砲、命中、と…。」

「黒霧と死柄木弔が逃げる間際、死柄木弔に対して発砲、両肩と両足を撃ち抜く…と。君射撃の腕凄いんだね?誰に習ったの?え、自己流??………すごいね。」

「うんうん、じゃあこれで調書も出来たし、帰っていいよ。お疲れ様。………え、杉元佐一さんの調書を待つの?はは、君たち仲いいね。もしかして付き合ってるの?………あ、ほんとに付き合ってるんだ…そう…。今どきの高校生は進んでるな………。」

と、俺の事情聴取は終了した。

一緒に来ていた杉元の番を待ってる間、クラスメイトの奴らともチラホラ会ったが、特に喋ることもなく挨拶だけ交わして杉元を待った。

杉元の事情聴取も終わり、警察署を後にする。杉元と連れ立って歩き出す。

「尾形どうだった事情聴取?なんか怒られたか?俺、怯えられはしなかったけど、あの脳みそ丸出しのヤローと戦ったって言ったら危険な事しちゃダメだって結構怒られたぞ…。」

駅までの道を歩きながら杉元が聞いてきた。

「別に…まあ、あの手男に初っ端ヘッドショットかました事に小言を貰ったくらいだな。」

「あー、アレか。明らかに悪いヤツらなんだから、ちょっと位急所狙ったって良いだろうになあ。そこんとこヒーローは融通利かねえよな。」

と、杉元も前世の倫理観で語ってくる。

全く同意だったが、この世界でヒーローになるには持っていてはならない価値観なのだろうことも理解している。

「全く同感だが、そういう事は周りには言うなよ。厄介な事になる。」

「わかってるって。ヒーローってのは悪人の命だって取っちゃならねえもんだからな。お前相手だから言ってんの。」

「分かってるなら良い。」

俺相手だから、か…。フッ…。

 

「もうじき昼か…どこかで飯食ってから帰るか…。杉元、お前どこが良い?」

事情聴取は思ったより早く終わったので今は昼前だ。どこか駅周辺で昼食を取ろうと杉元に提案した。

「俺、肉が食いてえ。ついでに尾形奢れ。」

「学生に集んな。自分で払え。」

「俺も学生だよ。チェッ前世だったらお前の方が年上だったのによ〜。」

「………前と同じで俺の方が年上だったら、お前と一緒に高校も通えんだろ。同い年で良かったじゃねえか。」

「あー…………確かに。お前と同い年で良かったかも。」

そんなどうでもいい会話をしながら俺たちは適当なファミリーレストランに入って昼飯を食べた。杉元は宣言通りハンバーグを注文していた。

少しダラダラしてから帰り、日課のトレーニングをして杉元のまだ終わらせてなかった課題を見てやって臨時休校の1日が終わった。




相澤先生の怪我は、杉元♀達の介入によって両腕粉砕骨折だけという原作よりも少しだけ軽くなりました。それでも重症なんだけどね。
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