尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話 作:ゆめ子
敵連合襲撃により臨時休校となった次の日、学校へ登校した。朝のホームルームの時間間際になると、飯田がでかい声で席へつけと促してくる。
全員席について暫くすると、担任の相澤がやって来た。両腕を包帯でぐるぐる巻きにしていたが、アレで授業など出来るのだろうか?
ほかの生徒達は「相澤先生復帰早えええええ!!!!」と驚いているようだった。
相澤は「俺の安否はどうでもいい。何よりまだ戦いは終わってねぇ。」と言い出し、教室がザワついた。
戦い…?まだ何か続いていたのか…?
そう考えていたら、相澤は続けた。
「雄英体育祭が迫ってる!」と。
紛らわしい言い方するんじゃねえと思ったが、周りは「クソ学校っぽいの来たあああ!!」とホッとしながらも体育祭と聞いてはしゃいでいた。
杉元も体育祭!と言ってはしゃぎたいようだった。何しろ雄英を受験した理由の1つがこの「雄英体育祭」だ。
雄英の体育祭は相澤が説明しているように、日本のビッグイベントと言っても過言ではないからだ。日本中にテレビ中継され、多くの人の目にとまる。体育祭で目立つことが出来れば、他の奴らと同じように転生している可能性の高いアシリパや白石達の目にもとまるかもしれないのだ。
アシリパや白石達に会いたがっている杉元はこの体育祭、何がなんでも目立とうとするだろう。そして杉元の個性ならば優勝する事も十分可能だろう。
他の奴らが言っているように、プロヒーロー達の目にもとまり、その事務所にでもスカウトされれば将来の道も開ける。その為他の奴らも死にものぐるいで優勝を目指してくるだろう。
相澤も「年に一回…計三回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ。」と締めくくった。
将来が掛かっているのだ。面倒ではあるが、俺もそれなりに結果を出せるようにするか…。
午前の通常授業が終わり、昼休みになった。
生徒達は思い思いに休憩を取るが、そんな中、切島達は集まってワイワイと体育祭についてあれこれ盛り上がっていた。
「あんなことはあったけど…なんだかんだテンション上がるなオイ!!活躍して目立ちゃプロへのどでけぇ一歩を踏み出せる!」
そんな事を言っていた。やはり皆考えることは同じなようだ。
「尾形〜昼行こうぜー。」杉元が弁当を持って昼食に誘ってきた。「ああ。」と返事をして食堂へ向かうことにする。
「あ、杉元さん尾形君も、お昼行こう。」と緑谷も誘ってきた。
最近は緑谷・飯田・麗日とも昼を共にしている。杉元も「おう、行こうぜ〜。」と返していた。
「でも皆すごいノリノリだね。」と緑谷は盛り上がっている切島達を見てそう言った。
それに対して飯田は「ヒーローになるため在籍しているのだから燃えるのは当然だろう!?」と独特なポーズと共にそう返していた。(通りかかった蛙吹にも変と言われていた。)
黙っていた麗日が「デク君、飯田君、杉元さん、尾形君………頑張ろうね体育祭。」と麗らかでは無い形相で言ってきた。どうした麗日。顔が凄いことになってるぞ。
麗日の突然の豹変に緑谷や杉元だけでなく、盛り上がっていた切島達も動揺していた。
「おい、さっさと昼飯行くぞ。」と、いい加減面倒になった俺はそう言って食堂に向かって歩き出した。
麗日を構っていた杉元が「待てよ尾形!!」と追ってきた。緑谷達もそのあとを着いて来るようだった。
食堂に向かう途中、緑谷が麗日に「そう言えば聞いてなかったけど…」と前置きして、何故ヒーローを目指すのかを聞いていた。
それに対して麗日は若干恥ずかしそうに「究極的に言えばお金が欲しいから…」と返していた。まあ、中にはそう言う理由でヒーローを目指す奴も居るだろうな。杉元だって母親に楽させてやりたいからってのも一つの理由だ。
俺も収入が良いから、ってのはヒーローを志望するに足る動機だと考えている。
飯田も「生活のために目標を掲げることの何が立派じゃないんだ?」と答えていた。
緑谷は「でも意外だね…」と返していたが、麗日の自分の父親と母親に楽させてやりたいという真剣な考えに息を飲んでいた。
麗日が麗らかでなかった理由は、体育祭でプロヒーローへの道が掛かっていると真剣に考えた結果だったのだろう。
「あ、俺も母さんを楽させてやりたいからってのが一つの目的だから、同じだな麗日!」と杉元は笑って返していた。
俺も「………まあ、目的は人それぞれだからな。別にいいんじゃねえの。」とだけ返しておいた。
麗日は「杉元さんもそうなんだ!!やったーお揃いや〜!!あ、でも一つの、ってことは他に何か目標とか目的があるの??」と聞いていた。
杉元は「ああ、ある人を探しているんだ。」と返した。俺は言っていいのか?とアイコンタクトを取ったが、杉元は良い、と言っているようだったので俺は何も言わなかった。
緑谷達は「ある人?」とハモりながら聞き返していた。
「ああ、俺と尾形の古い知り合いなんだけど、ある事情で今は何処に居るか分からないし、相手も俺達がここに居ることを知らないんだ…。でも俺にとっちゃ凄く大切な人だから絶対に見つけてまた会いたいんだ…。だから、俺達が有名になれば向こうから見つけてくれるかもしれないし、俺達もヒーローになれば見つけやすくなるだろ?雄英は体育祭でテレビ中継が有るし、だから俺達は雄英に来たんだ。」
そう話した杉元に圧倒されたのか、3人組は一瞬言葉を失くした。
「そ、そうなんだ…杉元さんに尾形君、その大切な人と早く再会出来ると良いね…。」
「ヒーローになればきっと見つかるよ!!今度の体育祭で活躍すれば向こうから気づいてくれるかもしれないよ!!」
「しかし、お互い何処に居るのか分からないなんて…大変だな杉元さん。」
と思い思いに杉元に返していた。
「ところで、その杉元さんにとって大切な人ってもしかして男性…?」と、麗日が俺をチラチラ見ながら杉元に聞いてきた。
「ん?女の子だぞ(多分今生も)。俺たちより年下だな(多分)。」と杉元がそう返したら、麗日は「そうなんだ〜良かったね尾形君!!」と何を思ったのか知らないが、俺にそう言ってきた。何が良かったね、だ麗日。
「尾形君もその人を探すためにヒーローになったの?」と緑谷が聞いてきたので面倒だったが「………俺は」と答えようとした所で、廊下の角から「おお!!緑谷少年がいた!!」と大きな声で遮られた。声の主はオールマイトだ。相変わらず画風がおかしい。
一体緑谷に何の用なのかと思ったら、「ごはん…一緒に食べよう。」と昼食の誘いだった。
その仕草に麗日はツボったのか「乙女や!!!!」と吹き出していた。
誘われた緑谷は「ぜひ…。」と答えて、こちらに断りを入れてからオールマイトの後を着いて去っていった。
緑谷が抜けたので4人で連れ立って食堂へ行き、昼食を取る。
緑谷が何故オールマイトに誘われたかを話題にしつつ、飯を食べる。
「デクくん何だろうね?」
「オールマイトが襲われた際1人飛び出したと聞いたぞ。その関係じゃないか?………いや、でもそれだと杉元さんや尾形君も誘われるはずか…。うーむ、一体なんだろうな?」
「うーん、緑谷の「個性」ってすごい強いし、オールマイトにも似てるから、気に入られてんじゃねえか?」
「いや、確かに緑谷君の超絶パワーもすごいが、君だってすごい「個性」でオールマイトに似ているだろう…。」
「そうか?似てるとかありがとうよ飯田。うーんじゃあなんで緑谷呼ばれたんだろうな〜?単純にオールマイトが緑谷を気に入ってるからとかか?」
「確かに、そうかもしれないな。」
俺は緑谷がオールマイトの秘密を知っているからだと思っている。緑谷はオールマイトの制限時間を知っているようだし、2人は何らかの関係が有るのだろう。それにいつだか爆豪に言っていた「借り物の個性」だという緑谷の個性も気になる…。と俺が考え事をしていたら、麗日が俺に話し掛けてきた。
「そう言えば、さっき聞きそびれちゃったけど、尾形君のヒーローの志望動機ってなあに?やっぱり杉元さんと同じでその大切な人を探すため?」
「ああ、それは俺も気になるな。」
と飯田も乗っかってきた。2人がじっとこちらを見つめてくるので仕方なく返事をする。
「………それも有るが、俺は杉元がなるって決めたから、俺もヒーロー目指しただけだぜ?」
「え…………」
「………それってどういう…?」
「そのまんまだ。杉元のこのバカ、さっき話してた理由で小さい頃いきなりヒーローになりたいとか言い出してな。しょうがねえから俺もコイツのサイドキックとしてヒーローになるって決めただけの話だ。」
「クソ尾形!!バカとはなんだバカとは!!」
「バカだろう。何の計画も立てずにヒーローになるなんて言いやがって。お前、俺が居なかったらまず雄英にも入れてなかったぞ。」
「う、うるせぇ!!尾形なんか居なくてもきっと…!!」
「いや、無理だろ。特に筆記の時点で。」
「ぅうううう………!」
俺と杉元のそんなやり取りを聞いていた麗日と飯田が生ぬるいものを見るような目でこちらを見てきた。
「なんというか…………。」
「うん…………ブレないね尾形君…………。」
お前達が聞きたいと言ってきたから答えただけだろう。なんだその目は。何が言いたい。
しかも近くの席に座ってこちらの話が聞こえていたであろう知らない奴らまでもが生暖かい目を向けてくる。おい、こっちを見るなウザってえ。
「いやほんとブレないよね尾形君…すごいよ…。」
麗日がしみじみそう言った。
午後の授業も終わり、約束していた牛山に話をしに行くだけとなり、杉元と連れ立って教室を出ようとするが、何やら廊下が騒がしい。
どうやら他のクラスの連中が1のAの教室を廊下から覗くために集まっているようだ。凄く邪魔だ。
「あっ、谷垣じゃん。おい、どうしたんだよコイツら。すげー邪魔だぞ。」
杉元が廊下に居た谷垣を目ざとく見つけて手招いた。悪意なく「邪魔」呼ばわりした(実際邪魔だが)ため、周りのヤツらの空気が少しピリピリしだしたが、杉元は構わず谷垣に手招きしている。
谷垣も手招きされて居心地が悪そうだったが、手招きをやめない杉元に観念してか、廊下から1のAの教室に入ってきた。
「杉元さんその人誰ー?お友達??」
と、麗日が聞いてきた。
「ああ、俺達の古い知り合いだ。谷垣って言って俺らとタメで普通科だ。」
「どうも…。」
「こんにちは〜。」
「おい谷垣なんだよこれ。なんでこんなに人が集まってんだ?」
「ああ、お前ら一昨日敵に襲撃されたって聞いて、噂になってるんだ。体育祭前だし、みんなどんな奴らか興味津々なんだろ。」
「え、お前もそうなの?」
「俺はお前達が襲撃されたって聞いて少し心配してやって来ただけなんだが…。」
「俺達は全然大丈夫だぜ?あ、そうだ谷垣!!お前牛山が雄英でヒーローてか教師やってたって知ってたか?」
「は!?牛山も居るのか!?しかも教師だって!!!?牛山が教師…………………似合わんな…。」
「なー、俺もすげえそう思ったよ。あ、今から尾形と一緒に牛山に話しに行くんだけど、谷垣、お前も良ければ一緒に行かねえか?」
「ああ、じゃあそうさせてもらうかな…。」
杉元が谷垣とそんな平和的な会話を繰り広げている間に、帰ろうとした爆豪が廊下の奴らを煽り、その中でも普通科の奴と同じヒーロー科のB組の奴に宣戦布告を貰っていた。1のAは中々に周りの連中から顰蹙を買っているようだ。
「上に上がりゃ、関係ねえ。」そう爆豪が言った。
「同感だ。勝てば必然と周りからの妬みやら嫉みやらを買う。そんなもんに一々構っちゃ居られんからな。」
そう俺が珍しく爆豪に同意すると、
「銃野郎、てめえも体育祭じゃ、ぶちのめしてやるよ。キズ女、お前もな。」
「………お前じゃ無理だろ。」
「ハッ出来るもんならやってみやがれ。」
俺は挑発し、杉元もそう返すと、爆豪はチッと舌打ちをしてコチラを睨んだあと帰っていった。