尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話   作:ゆめ子

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職場体験編

インカラマッの占い通りにするのは些か癪ではあったが、結局俺と杉元は職場体験の実習先を「スモーカーヒーロー事務所」に決めた。

 

一応帰ってから、ヒーロー「スモーカー」を調べてもみた。

コイツはどうやらつい最近独立したばかりのヒーローの様でまだまだ知名度は低いものの、犯罪者や敵を捕縛・無力化にも長けそれなりに社会に貢献している新進気鋭の若年ヒーローとして頭角を表してきている事が分かった。

 

活躍している姿の写真や動画も見つけた。

目元をアイパッチで隠しているが、端正な顔立ちをしていてかなり若い男というのが分かる。

……この見た目だ。目元は隠れてはいるが、インカラマッの伝言から読み取れた予想通り、これは「奴」だろう。

 

杉元も帰宅して検索してみたのだろう。

スマホに「なあ、スモーカーの写真見たけどやっぱりこれ、アイツだよなあどう見ても…」と来ていた。

 

間違いなく「奴」だろうし、「刺青人皮」の事を伝えて俺達を呼ぶという事は確実に前世の記憶があるだろう。

しかし「奴」は、俺はともかく、杉元には禍根と言うか因縁が有る相手だ。

(まあ、俺も相手から全く恨まれてないかと言われたら微妙な所では有るが)

 

俺は杉元に

「ああ、確実に奴だな。どうする?やっぱり会いに行くのは辞めて、別の実習先にするか?お前はコイツとは会いづらいだろう?

コイツと会ったらお前襲い掛かりそうだしな。

もしくは向こうが襲い掛かってくるか…。」

と返信する。

 

「いや、コイツの所に行く。なんで俺達呼んだのか気になる。

俺はコイツを襲う気はねえし、一応コイツも今はヒーローなんだし、今更俺達に危害を加えることも無いだろ多分。

まあ、襲ってきたら俺達で返り討ちにすりゃ良いだろ?

それにお前の前世の所業を許した時点で、今更コイツ程度に会いづらいとかもうねえよ。」

襲われたら返り討ちにすればいい、と事も無げに物騒な返事が返ってきた。

 

だが、まあその通りだな。インカラマッは危険は無いとは言ったが、万が一「奴」が襲ってきたら俺と杉元ならば、まあ何とかなるだろう。プロヒーロー相手だろうと遅れを取る気は更々ない。

しかし普段は全くお互いの意見は合わないが、こういう時は意見が合うから杉元は面白い。

 

それにもう俺すら許してるから、やつ程度では動じもしない、か。

全くお前は豪胆と言うか、度量が広いと言うか………。もしも俺が杉元の立場ならば、俺の前世の所業に対して許しもしないし記憶を思い出した時点でぶっ殺してるだろうよ。

勿論あの時俺と共に杉元を裏切った「奴」に対しても、俺ならば容赦はしないだろう。

 

まあ、良い。杉元が前世の俺達の所業をもう許していると言うなら、俺からこれ以上とやかく言う権利はないだろう。

 

俺は「了解。じゃ、紙にはスモーカーヒーロー事務所って書いとけよ」と返信し、自分の提出用の紙にスモーカーヒーロー事務所と書いて紙を鞄の中にしまった。

 

次の日登校して、ヒーローオタクである緑谷にも一応スモーカーの事を尋ねてみる。

すると、オタク特有の早口で様々な情報をまくし立てられる事となった。

 

曰く、まだ独立したてで、知名度は低いものの敵捕獲件数などで頭角を表してきている実力派若手ヒーローである。

「スモーカー」と言う名前の通り、特製の煙管から出す煙を自在に操り、その煙を硬化などさせて犯人を捕獲している。

本人は伊達男で女性人気もこれから高くなりそう。

都内はヒーロー激戦区であるが、独立してすぐ都内に事務所を構えるなんて凄い。彼の実力や活躍ならば、これからどんどん有名になってくだろう。中々の有望株である。

 

等などの情報を頂けた。概ね昨夜調べた情報通りだったが、ヒーロースモーカーはまだ若手ではあるがかなり有望視されている様だ。

ヒーローオタクであり、分析力に長けた緑谷の言うことだ。間違いないだろう。

 

緑谷には何故スモーカーの事を?と問われたので、実習先にする予定だと正直に話すと酷く驚いていた。

 

「ええ!?尾形君、スモーカーの所にするの!?確かに彼は若手の中でもかなり活躍してるし期待の新人って言われてるけど、でも尾形君ならもっとランキング上位の大手ヒーロー事務所からも指名有ったんじゃないの…?どうしてスモーカーの所に…?」

と疑問の様だった。

まあ、俺も「奴」から誘いが無ければベストジーニストかギャングオルカの所にでも行こうかと思っていたからな。

 

「ああ、実は尾形と俺の古い知り合いでよ。その縁もあって行こうかなって思っててな。緑谷も言ってたけど噂じゃ結構な有望株っぽいから実習先でも大丈夫だろ?」

と、話を隣で聞いていた杉元が俺の代わりに緑谷に答えていた。

 

「えー!?尾形君だけじゃなくて杉元さんもなんだ!?でも知り合いかあ…なら良いのかなあ?知り合いのヒーローの方が色々突っ込んだ話も聞けそうだし、スモーカーは若手だけど中々の実力者だしあと数年もすればヒーローランキングにも入りそうな感じだしね。それなら実習先として全然アリだよなあ。それにしても煙管ヒーロースモーカーと知り合いだなんて羨ましいなあ…。そう言えば杉元さん達は牛山先生…アンビートン・ブルとも知り合いって言ってたし、一体どうやって知り合ったんだろう?」

 

緑谷は俺だけでなく杉元も行くと聞いて驚いてはいたが、知り合いだと言うことを理解すると、勝手にブツブツ呟いて1人で納得し、更に何かブツブツと続けているようだった。いつもの緑谷であり、俺は用も済んだので当然無視した。

 

緑谷はほうって自分の席に戻ろうとするが、今度は俺達のやり取りを聞いていたのであろう周りにいた奴らが絡んできた。

 

「なんだなんだ?杉元と尾形、職場体験の実習先別々だって昨日言ってたのに、なんだよ結局同じところにすんのかよ!」

「俺はそうなるんじゃねえかなってちょっと思ってた。」

「尾形君と杉元さん、ほんと仲良いよね〜あはは。」

「何何?尾形達はスモーカーの所にするの?あのヒーロー結構イケメンだよね〜アレはその内見た目の方のランキングでも入ってきそうだよね。」

などなど言ってきた。目ざとい奴らだ。

 

杉元は「いや、だから、たまたま共通の知り合いがヒーローやってたから一緒になっただけだからな。本当、たまたま、偶然、コイツと実習先同じになっただけだから!」

と必死に弁明していた。

 

俺はわざわざ杉元と実習先が同じ理由をコイツらに説明するのも面倒だし、好きな様に思わせとけば良いと思い、特に何か否定することもせずに席に戻った。

 

杉元は尚も言い募っていたが、始業の鐘が鳴り担任の相澤が来そうになった為、不満そうだったが急いで席へと戻っていった。

 

授業が終わり休み時間になったので、俺と杉元は実習先の希望書を相澤に提出する。

 

相澤は俺達から紙を受け取り書いてあるヒーロー事務所を読むと表情を曇らせた。

 

「………おい、お前ら本当にここでいいんだな?ここでも悪くは無いだろうが、お前らならもっと大手の事務所を選択出来ただろう?大手の所が良いとは一概には言えんが、学べる事が多くあるのは事実だ。

この実習は貴重な行事だ。2年や3年になって別のとこに行けばよかったなんて嘆いてる奴らも居るからな。

それを踏まえてもう一度聞くが、お前ら本当にこれで良いんだな?」

 

相澤は俺達に念を押す様に実習先がスモーカーヒーロー事務所で良いのかと聞いてきた。

 

「はい、実は俺達、ヒーロースモーカーとは古い知り合いだったんです。相澤先生が伝言伝えてきた時には気づかなかったんですけど…。なんで、その縁も有るんでそこに決めました。あ、知り合いですけど、きちんとヒーローの事学んでくるんで大丈夫です!!

知り合いなんでバンバンヒーローの裏事情とかも聞いてきますよ!!」

 

杉元は相澤にそこが良いとアピールする。

 

「………そうか、尾形もここで良いんだな?」

 

相澤が俺にも念を押して聞いてきたので、

「ええ、ヒーロースモーカーは若手ですがやり手とも聞いています。

学べることも多いかと思いますので大丈夫です。実習先はそこでお願いします。」

と返答した。

 

相澤も納得したようで、俺達に「まあ、若手には若手なりに教えるもんも有るか…分かった。お前らしっかりそこでヒーローの仕事を学んで来いよ。

くれぐれも痴話喧嘩とかすんじゃねえぞ。」

と言って、俺達がスモーカーの所に実習しに行くのを受諾した。

 

杉元は「いや、痴話喧嘩ってなんですか!?しませんよそんな事!!」と相澤の最後の一言に噛み付いていた。

 

クラスメイトの奴らも全員実習先を決め、職場体験当日となった。

この日は学校には登校せず、最寄りの大きな駅に早朝集合した。

クラスメイト達は地方のヒーロー事務所にバラけるため、駅集合となったのだ。

 

実習先には筆記用具等の荷物の他に、ヒーローコスチュームも持っていく。

相澤が全員にコスチュームを持ったかを確認し、普段は公共の場での着用禁止であり落としたり無くしたりしないようにと注意が飛ぶ。そしてくれぐれも失礼の無いようにとの注意を最後に飛ばし、各々移動することとなった。

 

「俺達も行くぞ杉元」

 

俺は杉元に声を掛けたが、杉元は麗日や緑谷達と共に飯田を心配するような表情で見つめていた。

 

………飯田はここ最近、飯田の兄がヒーロー殺しに襲われてから、何やら思い詰めている空気を出していたからな。杉元も飯田の事が心配なのだろう。

 

緑谷がそんな飯田に対して、「本当にどうしようも無くなったら言ってね。友達だろ。」と伝えていた。

その言葉に麗日はこくこくと首を縦に振っている。

杉元も「そうだぜ飯田。なんかあったらちゃんと言えよ。」と伝えていた。相変わらずお節介でお人好しだなお前は。

 

飯田は振り向き、笑顔で「ああ。」とだけ緑谷達に答えていた。

………杉元が言っていたのを聞いたが、飯田の実習先は保須だ。恐らく飯田は自分の手で兄を襲ったヒーロー殺しを捕まえたいのだろう。もしくは殺したいのかもな。

まあ、飯田が仇討ちをしようがしまいが俺には関係の無いことだ。好きにしたらいい。

 

だが、保須にはインカラマッの未来予知した日には行く予定であるし、その時は飯田とも会うかもな。

インカラマッの占いは雄英内では有名な様で、相澤もインカラマッが予言した日がどうなるのかを伝えられていた様で、保須市に行く飯田にその日は充分注意するようにと伝えていたようだ。

 

今度こそ杉元を呼び、電車に乗り都内に有るスモーカーヒーロー事務所を目指す。

 

都心からほど近い距離の街にスモーカーヒーロー事務所は有った。

比較的小さなビルだ。中に入ると中々小綺麗な内装をしている。

事務所の有る5階までエレベーターを使って上がる。

 

「………でも本当になんで俺達を呼んだんだろうな?アイツ…。」

エレベーターの中で杉元がそんな事を呟いた。

 

「今から本人に会えば分かるだろ?」

 

俺がそう答えるとエレベーターは5階に止まり開いた。

事務所のドアを開き、受付の電話に雄英から職場体験で来たと伝えると、すぐに案内係がやって来て俺達を会議室だろう部屋へと案内した。

すぐに社長…ヒーロースモーカーが来ますのでお待ち下さいと言って案内係は出ていった。

 

「職場体験とか…アイツの事ばっか考えてたからか、なんかこの雰囲気、今更になってドキドキしてきたぜ…。」と杉元が何やらここに来て弱気な事を言ってきた。

 

「別に緊張する必要もねえだろ。言われた事メモしたり、何かちょっとした事をやらされるだけだろ?それに「奴」相手なんだから気負う事もねえだろ。」

「あー、確かにそうだな。相手もアイツだしなあ…なら大丈夫か。」

 

俺達がそんなやり取りをしていると、カツカツと靴音がドアの向こうからしてきた。

いよいよ「奴」とご対面か。

 

ドアが開く。

 

「よう、お前ら、前世ぶりだな。元気してたか?」

 

前世で因縁の有った相手にする挨拶とは思えない程呑気な事を言ってドアから出てきたのはやはり、長身で髭が特徴的な煙管をくわえた男ーーーキロランケだった。

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