尾形と杉元♀がヒロアカ世界に転生して幼馴染する話 作:ゆめ子
あの金塊争奪戦を経て、まさか次の世に産まれいでるとは誰も予想は出来ないだろう。当然俺もそんな事あるとは思わなかった。せいぜい生前に犯した悪行によって地獄にでも落ちる位しか妄想はしなかった。
しかも次の世が、摩訶不思議な「個性」という超常現象を起こす力を持った人間が溢れてる世界だとは、神は何を思って人間にこんなおかしな力を授けたのか。
まあ、いい。使えるものはなんでも使う主義だ。
力があるに越したことはない。
前世ではさんざん殺しあった仲のあの「不死身の杉元」と幼馴染なんぞしていたせいで俺も丸くなったのか、前世のことは水に流すことで、俺たちはまだ幼馴染を続けている。
勿論、記憶が戻ってからはお互いを「さっちゃん」「ひゃくちゃん」などと言う薄ら寒くなるような呼び方なぞしなくなったが。
俺は前の世と似たような家庭環境だったが、今生の母は病気で死ぬ寸前まできちんと俺を愛してくれていた。父親も別の家庭を持ってはいるが、認知はしていて養育費もしっかり払っているようだ。前世では一目父に会いたくて軍にも入ったりしたが(一目合うだけでは終わらせなかったが)、今生では会おうと思えば普通に会える父親(そう言えばヒーロー武器製造の社長らしい)に特に何かしようと思うことはない。
現代では戦争もなく日本はまったく平和な世になったらしい。つい最近杉元と誘拐されもしたが、それでもあの時代より余程平和なのは確かだ。
さて、折角新しい生を(別に望んでもいなかったが)得たのだが、特にやりたい事はなかった。
そんな時に杉元の阿呆が何を思ったのか「ヒーローになる」などと言い出したのだ。
なんでも前の世で出会ったアイヌの少女アシリパや白石達を探して会いたいと。
俺たちのようにこの世に居るかどうかも分からん相手を探すのは泥の中から1粒の砂金を探すよりも可能性が低いだろう。
だが杉元は前世で北海道で出会った奴らは俺たちと同じように転生しているだろうと信じているようだ。確かに俺や杉元が居るように、あいつらが居ても不思議ではないが…。
そう思うと、俺と杉元がまさかの幼馴染として一緒に居たというのはまさに奇跡なのだろう。
杉元は、前世で特に懐いていたアシリパというあのアイヌの少女にまた会いたいのだろう。
ヒーローとは人々の超常現象が加速した中、爆発的増加した犯罪を抑える為の公的職業だ。言ってしまえば警察や軍と似たようなものだが、知名度が違う。
確かにヒーローになれば、報道を介して向こうから自分たちを見つけやすくするだろう。またこちらも様々なコネが手に入り人を探しやすくなる。
ヒーローは人気職だ。狭き門だろう。だが、杉元の、前世の呼び名の如くの強「個性」ならば、ヒーローにもなれる可能性は高いと考えて良いだろう。実際、人身売買組織の構成員の大多数を半殺しにした実績もあり、あのナンバーワンヒーロー・オールマイトからもヒーローを目指すといいとお墨付きを貰ったのだから。(ただ、齢7歳で敵組織を半殺しの目に遭わせた(俺を含む)杉元を見る警察や他のヒーロー達からの目は化け物を見る目であったが…)
俺はヒーローになんてさらさら興味は無かったが、杉元がなるのなら俺もなった方が良いだろう。
アシリパがいない今こいつの手網を取らなきゃならんのは俺しか居ないからな。
確実に取れる自信はないし、前世の状態だったら絶対に俺の言うことは聞かないだろうが、今は幼馴染の「ひゃくちゃん」でもある。少しは杉元も絆されているだろう現状なら、多少は俺の言うことも聞くだろう。
現に、「お前のサイドキックになってやる」と伝えたら、渋々ながらも認めたのだ。
ははあっ!あの杉元が、この俺を隣に立たせることを認めるとは、幼馴染様々だぜ。
ついでにあの顔の大きな傷が消せない事をだしに、嫁に貰うことを約束させたのも良い思い出だ。
話が逸れたが、杉元と共にならヒーローになるのもまあ良いだろう。注目されるのは特に好きでもないが、軍や警察と違い上から命令されることはあまり無いと思える点は利点だ。実力のみでのし上がれるのも魅力的だ。
なると決まれば、話は早い。
まずはヒーローになる為の学校に入る為、今からそれまでは準備期間だ。
能力…いや「個性」を更に磨き、義務教育である小学校・中学校で良い成績を残す。
記憶が戻ってからは、ガキ達と混ざって足し算やら引き算やらをやらなくてはならないのはうんざりするが、準備期間だと思えば目を瞑れる。それに杉元は勉強面に不安があるからな。俺も覚え直すのに丁度いい。
「偏差値79か…」
「は?なにが??」
「雄英高校の偏差値だ。現状でヒーローになる為の1番の近道がその高校だ。ヒーローになるんだろう?」
「いやいや、なんで雄英って高校一択なんだよ!もっと勉強しなくても良い学校だってあるだろ!?」
「あるにはあるが、そういう学校じゃまともにヒーローとしてやってる奴はあんまり見かけねえぞ?それに雄英高校はお前が好きなオールマイトの母校だ。」
「うっ…そうなんだ…」
「お前、本気でヒーロー目指すんならそのくらいの高校目指さなくてどうすんだよ。」
「うぅぅ…分かったよ…でも俺勉強出来ないぜ…?尾形は出来んのかよ?」
「まあ、お前より出来るのは確かだな。心配するな、お前にもみっちり教えてやる。」
「ぜ、全然安心できねー!」
そんなこんなで進路は雄英高校に決まった。士傑高校でも良かったが、あっちは関西圏で遠いので却下だ。
進路が決まればあとは日々訓練と勉強の毎日となった。杉元はアシリパ達を探したそうだったが、今のガキの俺達が出来ることはない。それよりきっちり雄英生になって体育祭中継などで映れば向こうから見つけてくれる確率が高い。今は雄英受験に向けて努力すべきだ。などなど説得したら渋々杉元も引き下がり、勉強や個性の特訓に打ち込んだ。
個性の特訓では、杉元と組手を毎日こなしたが、やはり杉元は化け物だ。
俺は前世では近接格闘は得意では決してなかったが、今世の「個性:山猫」のおかげで前世より身体能力が大幅に上がった。そのおかげでそこらのちょっとした格闘技を習った程度の大人には負けはしないと自負できたが、杉元はおかしい。勝てた試しがない。お互い個性を使用した組手だが、杉元の「身体強化」の個性は反則だろう。何せ素手で岩なんかを粉々にする程度の能力だ。やった事はないがフルで力を出せばビルぐらい軽く倒壊させるだろう。
そんなわけで俺は杉元に組手は連敗してるが、そんな化け物と毎日組手をしてれば嫌でも強くなる。俺も対人格闘では生半可なやつには負けるつもりは全くなくなった。
反対に勉強面ではやはり杉元は劣等生だった。が、俺が何とか根気よく教えていたので学校での成績も好成績を何とかキープしていた。
俺は小学校・中学校の勉強もそこそこに流し、雄英入試の過去問を漁ったりして対策を建てるなどしていた。勿論勉強はずっと一位をキープしてだ。
また、俺は銃の取り扱いを父親経由でできるようにした。父親との連絡を取るのも億劫だったが、使えるものはなんでも使う主義だったため、ダメ元で父親を頼ってみた。
雄英志望で将来ヒーローになると伝えれば、意外なことに快くOKを出されて拍子抜けした。父親はヒーローの武器を作製している会社の社長だから、婚外子と言えど自分の子供がヒーローになるのは良い宣伝になると考えての事なのだろうか。まあいい、俺もそのコネをうまく使ってやろう。
銃免許を取るのも、銃を撃つ訓練も面倒な手続きが必要だったが、必要なのだから仕方ない。前世では滅多なことでは手放さなかった銃だ。今世でもヒーローをやるのなら手放す気は毛頭ない。
銃の腕は前世でも中々の腕前を持っていると自負していたが、今世での腕は前世よりも上だろう。
「山猫」の目は俺にピッタリの力だ。前世では暗闇の中では射撃も外してしまっていたが、今生では真っ暗闇でも外すことは無いだろう。目だけではなく、聴覚や嗅覚、力や脚力なども軒並み上がっている。まさしく個性様々だ。
小学校・中学校でも俺は友と呼べる存在を作らなかった。前世からも、そして記憶が戻る前でも「さっちゃん」以外とは人付き合いはほぼ無いようなものだったが、記憶が戻ってからは精神年齢が違いすぎて友人などは出来るわけもなかった。
杉元はそんな事ないかのように、それなりに人付き合いをしていたみたいだ。…杉元自身、精神年齢が元から低いのだろう。
俺は杉元と家族以外とは特に交流なく過ごしたし、それで困ったことはなかったので別にそれで構わなかった。学校からも何かあれば杉元経由で知らせが来たしな。
俺があまりに杉元と一緒に居るせいで、学生特有の「お前ら付き合ってんのかよ〜」というからかいもあったが、将来嫁に貰う約束もしてる為間違ってないと俺は訂正しなかった。(杉元は大慌てだったが)
中学へ入り、2年生の際の、高校への進路志望も2人とも「雄英高校」への志望だ。
杉元は筆記の模試判定がギリギリだったが何とか合格圏内であり、杉元や俺の個性も強いと周知されていたため、進路希望はあっさりと通った。
この頃になると俺は杉元にひたすら入試の過去問を解かせ、入試対策をしていた。
ヒーローになると言った張本人を差し置いて自分だけ受かっては笑い事にならない。
杉元、これだけ俺に手間をかけさせたのだ。お前には絶対に、何がなんでも、雄英高校に俺と一緒に受かってもらうぞ…。
さて、雄英高校入試ももう間近だ。入試要項によると、実技試験で「模擬市街地演習」なるものがあり、持ち込みなんでも自由とある。勿論俺は父親経由で手に入れた銃剣を持ち込むつもりだ。
実技試験はそれぞれの「個性」を見せる場になるはずだ。「模擬市街地演習」と書いてはあるが詳しくは記載していない。「持ち込み自由」と書いてあるのだから、武器の持ち込みもOKということだ。何をさせるかわからん以上用心に越したことはない無いだろう。事前に申請して実弾、ゴム弾両方持っていくつもりだ。
杉元にもなにか武器をと思ったが、素手で岩を粉々にするメスゴリラだ。しかも即回復する悪夢のようなメスゴリラだ。
武器なんぞなくても大暴れ出来るだろう。
一応念の為、俺と同じ軽装の防具を持たせた。回復するから要らねえよと言っていたが無理やり持たせた。
前世以上に己を顧みない戦い方をどうにかしたかったが、下手に回復能力があるもんだからそれは叶わなかった。今後の課題だな…。