やはり俺がカバネリなのは間違っている。   作:ガタオガタ

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お久しぶりです。
大学がはじまり、三年生へとなりました。
研究室も素晴らしい所へと配属され、成績不良者の私は大変満足しております。
そしてモチベーションが何故か上がりました。
応募用の小説も書いてますが、正直文才が無いので難しいとは思いますが、しないよりマシだと思いました。

この作品も読んでくださっている方がいますので、亀更新ではありますが完結へと導いていけたらと考えています。
今後ともよろしくお願いします。


第十二話

 

フォォォォアアアアアアアアアア!!!!!

 

地下階段の内部は地獄だった。右も左も、至る所から現れるカバネ。

しかしそこは、流石総武城と言った所だろうか。次々現れるカバネを完璧に、冷静に、確実に仕留めていく。

ある程度進むと班ごとに手分けして探索し、後に合流する手筈だ。

そして俺達第六班のメンバーだが、思いの外動ける連中だということがわかった。特に驚いたのが葉山だ。あいつの戦闘スタイルは正直いって、異常だった。

 

靴に仕込まれた小さな刀。腰に携えた2本の刀を器用に扱い、正確にカバネの心臓を貫いていく。というか靴の刀が恐ろしい。爪先から伸びる刃でに見えないほどの速度の蹴りを放つんだぞ?脚力が異常だ。しかもイケメン。

それに対して俺は、普通にカバネを駆除しているだけだった。

正直、葉山をかっこいいと思ってしまった……く、悔しくなんてないんだからねっ!

それからもカバネを狩りつつ探索していると、正面に平塚さん達が見えた。どうやら俺達の班は最後の到着のようだ。

合流してから道は一本だけ。そこを進み始める

 

 

 

「止まれ!」

 

グングンと奥へと進んでいた俺達へ平塚さんから、静止の声がかかる。静だけにってか?つまんな。

「みんな、これを見てくれ」

 

そういう平塚さんが指を指した場所は床である。一見するとただの床だが、そこには大量の足跡があった。

 

「今まで手分けして探して、各通路を見て回ったが足跡はすべて一方向に進んでいた。そして先に一本道からここまで足跡は奥へ奥へと続いている。確実にこの先に生存者がいるはずだ。ここからは更に気を引き締めていくぞ」

 

恐らく、この先に生存者がいるという考えは皆考えたことだろう。しかし平塚さん以外は、いくら戦えるとはいえまだ未成年。精神が未熟なのだ。それにここまでの戦闘で死者どころか負傷者すら出ていない。完全勝利なのである。

そして平塚さんは、そんな俺達の慢心を見抜いていたのであろう。明らかに地下階段突入時とは異なり、雑談をしている奴が増えていたのがその証拠だ。大体あいつなんだようるさいな。べーべーって何語だよ。

 

 

「質問があります」

 

ピンと手を伸ばし、雪ノ下雪乃が質問をする。

 

「なんだ?」

 

「生存者がいる可能性は分かりました。そして恐らく人数も多いであろうことも。そして私達も大世帯です。全員でむかうのでしょうか?正直混雑してカバネが現れた際、戦闘に支障が生じると思いますが」

 

「ふむ。確かにな。よし、戦闘担当、救助担当と、どちらも少数精鋭で向かう。今いるのは30人。半数で向かうとしよう。戦闘担当は、第二班と、第六班!救助担当は第三班で向かう!残りの班はここで待機してくれ。カバネが現れた際は即排除するように」

 

「「「はっ!」」」

 

俺以外の全員が力強い返事を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足跡を辿っていくと、ひとつの大きな個室へと繋がっていた。

扉は廃棄処分された城の扉が使われており、とても頑丈だ。

しかし、その扉はこじ開けられていた。取っては曲がり、扉は半分に割れていた。

その状態は、明らかに襲われた後だと理解出来た。

急いで突入しないといけない状態だ。しかし、誰も突入することはない。仮にここで突入したとして、最悪中の生存者が全てカバネと化していた場合、俺達は襲われる側になるのだから。

平塚さんが扉の隙間から松明を投げ込む。それで中を確認した平塚さんからハンドサインで行けが出た。

流れ込むように、いっせいに突入する。

1班5人編成のため、松明もちは半に2人、先頭と最後尾に1人だ。

 

 

松明もちが明かりを部屋にかざす。

見える範囲に、カバネはいなかった。

だが、くちゃくちゃと咀嚼音が聴こえてくる。

 

(これは……)

 

恐らく、最悪だと想定していた生存者の全滅だろう。

ブンっ!

 

突如、部屋のくぼみからカバネが刀を振ってきた。幸い、誰一人怪我はしていないようだ。

 

「この部屋はカバネに侵入されたようだ!総員、カバネの駆除を開始せよ!」

 

 

平塚さんの掛け声を合図に、戦闘が始まる。

最初は一体だったカバネも、平塚さんの声や戦闘につられてどんどんと流れてくる。

ワザトリもいたが、複数人で相手することで、難なく倒していた。

 

5分程戦闘をしていた時、突如悲鳴が聞こえた。

 

「うそ、うそ。い、いやぁぁぁああああ!!!!!」

 

 悲鳴と共に、武器の落ちる音が聞こえた。

慌てて声の方を向けば、生意気な後輩、一色が崩れて落ちていた。

 

「どうしたんだいろは!」

 

葉山が叫ぶ。

 

「わ、わたしの。お母さんが……」

 

プルプルと震える手で、一色はある一体のカバネを指差す。

 

そこに居たのは、一色に似た栗色の髪の毛に、目の大きな女性のカバネ。

ここに来る前に一色は母がいると言っていたが、カバネとして再会するとは。

 

一色の言葉を聞いたほかの戦闘員は、一色の母カバネを避けるようにして戦闘を再開する。

どうやら一色には葉山と由比ヶ浜が付くようだ。

一色はひたすら泣いている。それも仕方ないことだ。

 

というかカバネ多過ぎないか?何処に隠れていたのか分からないが、明らかに異常な量のカバネだ。

 

戦闘をしながらも一色の母カバネを監視する。

見た目は確かに一色の母であり、胸元も光っており、カバネと判断出来る。

しかし、しかしだ。何故人を襲わない?まさか!

 

確信はないが、一色の母カバネはカバネリにされたのではと俺は考え、海田の操り人形になっている可能性もある為、行動される前に首を撥ねるべく母カバネへと走る。

 

 

「せ、せんぱい!やめてぇぇーーー!!」

 

俺の行動に気付いた一色が叫ぶが、全力で無視をする。例えここで恨まれることになろうと、海田の操り人形になられるよりはマシだ。

腰に携えた鞘に刀を戻し、一瞬で抜き放つ。所謂居合切りは、母カバネの首へと到達する。

 

 

 

 

 

カキン!

 

「なっ」

 

瞬間、何かに俺の刀は弾かれた。

 

「いやいや、流石はカバネリの八幡君かな?このカバネリ擬きの可能性に気付いたのは恐らく君だけだよ」

 

ニヤニヤと話す存在に、血が沸騰する。

 

「海田ぁぁぁあ!てめぇどこから現れやがった!」

 

「何処も何も、僕は最初からここにいたさ。そもそもは僕の研究室だよ?」

 

海田は会話を続けるが、俺にそのつもりは無い。足に力を込め、飛び出そうとする。

しかしそれは、横から来た平塚さんに止められた。

未だに怒りは収まらない。収まらないが、平塚さんには何か考えがあるのだろう。ここは任せることにする。

平塚さんは静かに口を開くと、質問を問いかけていく。

 

 

「ここが研究室とはどういうことだ?」

「そのままの意味だよ?」

 

淡々と返す海田。

 

「研究室にしては何も無いが?」

 

「今している僕の研究には動画がいらないんだ」

 

そうだ、と海田は続ける。

 

「君たちにいい事をおしえてやろう。ここを襲わせたカバネリを作ったのは私。そして、ここでの研究はカバネリもどきの作成。そしてその完成品がそいつだよ」

 

 

海田が示すのは、未だにたち続けている母カバネ。

 

「カバネリとは、脳以外はカバネなんだ。そして脳が無事だと言うことは自身で行動できる。だから普通の人間とそう大差はないのさ。しかしだ、そのカバネリもどきは違う。私の作ったナノマシン。こいつを直接カバネの脳内に注ぐことで、脳は回復。しかし、出来上がるのは自我のない植物状態のカバネリだ」

 

相変わらず巫山戯た研究をしている。

そもそも脳を回復だと?もっとほかにいかせよ。

そもそも脳にナノマシンを打った。そして脳は回復したが植物状態になった。それはもう、ナノマシンによる電気信号で操られる、海田の操り人形の完成なのではないのか。

 

 

「そして私は改めて自分は天才だとおもったね。そのカバネリもどきに集合群体の核となってもらうことで、大量生産できるんだ。こんな風にね」

 

 

ピッ、と電子音が聞こえた。

それを合図に、母カバネは奇声をあげる。それによってくるまだ死んでいなかったカバネたち。

俺達は見ていることしか出来ない。なぜなら母カバネを庇うように海田が前に立ち、明らかに強者の風格も纏っているカバネが複数体現れたからだ。

あれは恐らく海田のナノマシンによって戦闘パターンを記録されたカバネだと予想する。

そいつらとカバネの雰囲気にあてられた俺達は、一色は、呆然と母カバネを見つめていた。

 

そしてできたのは集合群体。明らかに少ない数で作られたため、大きさはそれほど無いが、普通のものより恐ろしく感じる。

なぜなら、そいつは人型であり、両腕には武器を持ったカバネ達が着いており、凶器とかしていたからだ。

 

沈み込むように胸に溶けていく母カバネ。

 

 

 

 

 

ほぉあぁああああああああああああぁぁぁ!

 

集合群体の奇声を合図に、海田達との戦闘が開始した。

 

 

 

 

 


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