大学がはじまり、三年生へとなりました。
研究室も素晴らしい所へと配属され、成績不良者の私は大変満足しております。
そしてモチベーションが何故か上がりました。
応募用の小説も書いてますが、正直文才が無いので難しいとは思いますが、しないよりマシだと思いました。
この作品も読んでくださっている方がいますので、亀更新ではありますが完結へと導いていけたらと考えています。
今後ともよろしくお願いします。
フォォォォアアアアアアアアアア!!!!!
地下階段の内部は地獄だった。右も左も、至る所から現れるカバネ。
しかしそこは、流石総武城と言った所だろうか。次々現れるカバネを完璧に、冷静に、確実に仕留めていく。
ある程度進むと班ごとに手分けして探索し、後に合流する手筈だ。
そして俺達第六班のメンバーだが、思いの外動ける連中だということがわかった。特に驚いたのが葉山だ。あいつの戦闘スタイルは正直いって、異常だった。
靴に仕込まれた小さな刀。腰に携えた2本の刀を器用に扱い、正確にカバネの心臓を貫いていく。というか靴の刀が恐ろしい。爪先から伸びる刃でに見えないほどの速度の蹴りを放つんだぞ?脚力が異常だ。しかもイケメン。
それに対して俺は、普通にカバネを駆除しているだけだった。
正直、葉山をかっこいいと思ってしまった……く、悔しくなんてないんだからねっ!
それからもカバネを狩りつつ探索していると、正面に平塚さん達が見えた。どうやら俺達の班は最後の到着のようだ。
合流してから道は一本だけ。そこを進み始める
「止まれ!」
グングンと奥へと進んでいた俺達へ平塚さんから、静止の声がかかる。静だけにってか?つまんな。
「みんな、これを見てくれ」
そういう平塚さんが指を指した場所は床である。一見するとただの床だが、そこには大量の足跡があった。
「今まで手分けして探して、各通路を見て回ったが足跡はすべて一方向に進んでいた。そして先に一本道からここまで足跡は奥へ奥へと続いている。確実にこの先に生存者がいるはずだ。ここからは更に気を引き締めていくぞ」
恐らく、この先に生存者がいるという考えは皆考えたことだろう。しかし平塚さん以外は、いくら戦えるとはいえまだ未成年。精神が未熟なのだ。それにここまでの戦闘で死者どころか負傷者すら出ていない。完全勝利なのである。
そして平塚さんは、そんな俺達の慢心を見抜いていたのであろう。明らかに地下階段突入時とは異なり、雑談をしている奴が増えていたのがその証拠だ。大体あいつなんだようるさいな。べーべーって何語だよ。
「質問があります」
ピンと手を伸ばし、雪ノ下雪乃が質問をする。
「なんだ?」
「生存者がいる可能性は分かりました。そして恐らく人数も多いであろうことも。そして私達も大世帯です。全員でむかうのでしょうか?正直混雑してカバネが現れた際、戦闘に支障が生じると思いますが」
「ふむ。確かにな。よし、戦闘担当、救助担当と、どちらも少数精鋭で向かう。今いるのは30人。半数で向かうとしよう。戦闘担当は、第二班と、第六班!救助担当は第三班で向かう!残りの班はここで待機してくれ。カバネが現れた際は即排除するように」
「「「はっ!」」」
俺以外の全員が力強い返事を返した。
足跡を辿っていくと、ひとつの大きな個室へと繋がっていた。
扉は廃棄処分された城の扉が使われており、とても頑丈だ。
しかし、その扉はこじ開けられていた。取っては曲がり、扉は半分に割れていた。
その状態は、明らかに襲われた後だと理解出来た。
急いで突入しないといけない状態だ。しかし、誰も突入することはない。仮にここで突入したとして、最悪中の生存者が全てカバネと化していた場合、俺達は襲われる側になるのだから。
平塚さんが扉の隙間から松明を投げ込む。それで中を確認した平塚さんからハンドサインで行けが出た。
流れ込むように、いっせいに突入する。
1班5人編成のため、松明もちは半に2人、先頭と最後尾に1人だ。
松明もちが明かりを部屋にかざす。
見える範囲に、カバネはいなかった。
だが、くちゃくちゃと咀嚼音が聴こえてくる。
(これは……)
恐らく、最悪だと想定していた生存者の全滅だろう。
ブンっ!
突如、部屋のくぼみからカバネが刀を振ってきた。幸い、誰一人怪我はしていないようだ。
「この部屋はカバネに侵入されたようだ!総員、カバネの駆除を開始せよ!」
平塚さんの掛け声を合図に、戦闘が始まる。
最初は一体だったカバネも、平塚さんの声や戦闘につられてどんどんと流れてくる。
ワザトリもいたが、複数人で相手することで、難なく倒していた。
5分程戦闘をしていた時、突如悲鳴が聞こえた。
「うそ、うそ。い、いやぁぁぁああああ!!!!!」
悲鳴と共に、武器の落ちる音が聞こえた。
慌てて声の方を向けば、生意気な後輩、一色が崩れて落ちていた。
「どうしたんだいろは!」
葉山が叫ぶ。
「わ、わたしの。お母さんが……」
プルプルと震える手で、一色はある一体のカバネを指差す。
そこに居たのは、一色に似た栗色の髪の毛に、目の大きな女性のカバネ。
ここに来る前に一色は母がいると言っていたが、カバネとして再会するとは。
一色の言葉を聞いたほかの戦闘員は、一色の母カバネを避けるようにして戦闘を再開する。
どうやら一色には葉山と由比ヶ浜が付くようだ。
一色はひたすら泣いている。それも仕方ないことだ。
というかカバネ多過ぎないか?何処に隠れていたのか分からないが、明らかに異常な量のカバネだ。
戦闘をしながらも一色の母カバネを監視する。
見た目は確かに一色の母であり、胸元も光っており、カバネと判断出来る。
しかし、しかしだ。何故人を襲わない?まさか!
確信はないが、一色の母カバネはカバネリにされたのではと俺は考え、海田の操り人形になっている可能性もある為、行動される前に首を撥ねるべく母カバネへと走る。
「せ、せんぱい!やめてぇぇーーー!!」
俺の行動に気付いた一色が叫ぶが、全力で無視をする。例えここで恨まれることになろうと、海田の操り人形になられるよりはマシだ。
腰に携えた鞘に刀を戻し、一瞬で抜き放つ。所謂居合切りは、母カバネの首へと到達する。
カキン!
「なっ」
瞬間、何かに俺の刀は弾かれた。
「いやいや、流石はカバネリの八幡君かな?このカバネリ擬きの可能性に気付いたのは恐らく君だけだよ」
ニヤニヤと話す存在に、血が沸騰する。
「海田ぁぁぁあ!てめぇどこから現れやがった!」
「何処も何も、僕は最初からここにいたさ。そもそもは僕の研究室だよ?」
海田は会話を続けるが、俺にそのつもりは無い。足に力を込め、飛び出そうとする。
しかしそれは、横から来た平塚さんに止められた。
未だに怒りは収まらない。収まらないが、平塚さんには何か考えがあるのだろう。ここは任せることにする。
平塚さんは静かに口を開くと、質問を問いかけていく。
「ここが研究室とはどういうことだ?」
「そのままの意味だよ?」
淡々と返す海田。
「研究室にしては何も無いが?」
「今している僕の研究には動画がいらないんだ」
そうだ、と海田は続ける。
「君たちにいい事をおしえてやろう。ここを襲わせたカバネリを作ったのは私。そして、ここでの研究はカバネリもどきの作成。そしてその完成品がそいつだよ」
海田が示すのは、未だにたち続けている母カバネ。
「カバネリとは、脳以外はカバネなんだ。そして脳が無事だと言うことは自身で行動できる。だから普通の人間とそう大差はないのさ。しかしだ、そのカバネリもどきは違う。私の作ったナノマシン。こいつを直接カバネの脳内に注ぐことで、脳は回復。しかし、出来上がるのは自我のない植物状態のカバネリだ」
相変わらず巫山戯た研究をしている。
そもそも脳を回復だと?もっとほかにいかせよ。
そもそも脳にナノマシンを打った。そして脳は回復したが植物状態になった。それはもう、ナノマシンによる電気信号で操られる、海田の操り人形の完成なのではないのか。
「そして私は改めて自分は天才だとおもったね。そのカバネリもどきに集合群体の核となってもらうことで、大量生産できるんだ。こんな風にね」
ピッ、と電子音が聞こえた。
それを合図に、母カバネは奇声をあげる。それによってくるまだ死んでいなかったカバネたち。
俺達は見ていることしか出来ない。なぜなら母カバネを庇うように海田が前に立ち、明らかに強者の風格も纏っているカバネが複数体現れたからだ。
あれは恐らく海田のナノマシンによって戦闘パターンを記録されたカバネだと予想する。
そいつらとカバネの雰囲気にあてられた俺達は、一色は、呆然と母カバネを見つめていた。
そしてできたのは集合群体。明らかに少ない数で作られたため、大きさはそれほど無いが、普通のものより恐ろしく感じる。
なぜなら、そいつは人型であり、両腕には武器を持ったカバネ達が着いており、凶器とかしていたからだ。
沈み込むように胸に溶けていく母カバネ。
ほぉあぁああああああああああああぁぁぁ!
集合群体の奇声を合図に、海田達との戦闘が開始した。