やはり俺がカバネリなのは間違っている。   作:ガタオガタ

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第五話

八幡が怪我をし、総武城に拾われてから1週間がたち、八幡の怪我はすっかり完治していた。

 

 

「はぁ。武術を習得って俺剣術しかした事ないぞ…」

 

総武城の指揮官である平塚静の独断で特訓する事になった八幡は、これからの武術習得の事を思い与えられていた自室で嘆いていた。

 

 

ガチャガチャ…

 

「やっほー!君が噂の比企谷八幡君かな?」

 

「…っ!そうですけど…あなたは?」

 

突然の訪問者に驚いた八幡だったが入ってきた者があまりにも美人であるが為に、警戒しながらも返事を返した。

 

「私?私の名前はね〜、雪ノ下陽乃だよ!」

 

「もう知ってるとは思いますが、比企谷八幡です」

 

「それで雪ノ下さん。俺になにか用ですか?」

 

「私はね、君に武術の指導をしに来たよ」

 

八幡は陽乃の自分の所へ来た理由を聞いて、陽乃からの答えにより、顔を歪ませた。

 

「指導って…まだ完治したばかりなんですが?」

 

「怪我治ってるなら出来るでしょ?素人なんだから感覚を取り戻すとか言う事もないしね」

 

さも当たり前のように言ってのける陽乃に八幡は嫌気が指していた。まぁ理由はそれだけではないのだが…

 

「ゴネても仕方ないみたいですね…わかりました。ご指導の方宜しくお願いします」

 

「うん!お姉さんに任せなさい!」

 

 

逃げることの無意味さを感じ、即降参した八幡は、陽乃と一緒に稽古部屋へと向かっていた。

 

 

 

「一つ質問いいですか?」

 

「なにかな?」

 

「この総武城の人たちに武術を習うと聞いてますけど、そんなに教えれる人がいるんですか?」

 

八幡の疑問は当然のものだろう。総武城に拾われて1週間が過ぎているが、八幡の怪我は実質5日で完治していた。残りの2日間何をしていたのかというと、総武城の案内を受けていたのだ。その際に総武城の乗組員を見ていたがほとんどが女性だったのだ。

 

 

「比企谷君が不思議に思うのも分かるよ。ここって女の子ばっかりだもんね。でも大丈夫だよ。ここには色んな武術から医療関係までその道のプロしかいないから」

 

「…信じ難い話ですけど、嘘をつく必要性を感じませんね…ちなみに雪ノ下さんの担当は?」

 

「基本なんでも扱えるけど、私が教えるのは薙刀だよ!」

 

「薙刀…ですか?今どき珍しいですね」

 

「まぁねー。でもとても便利な得物だよ」

 

 

二人で会話をしている間にどうやら特訓部屋についたようだった。

 

 

「ここが稽古部屋の総武室だよ。ここには色んな得物があるから、とりあえずは薙刀を教える予定だけど比企谷君に薙刀は合わないと判断したら色々試してから決めようか」

 

「わかりました」

 

陽乃は稽古部屋の紹介をすると共に、八幡の今後の予定を説明した。

 

「とりあえず入ろっか」

 

陽乃は八幡にそう言うと、1人でさっさと部屋へと入っていったので、八幡は慌てて後に続いて部屋に入った。

 

「とりあえず、これが総武城で扱っている薙刀だよ」

 

「この刃の所の模様はなんですか?ただの薙刀には見えないんですが…」

 

八幡は陽乃に見せられた薙刀を訝しげに見た。

 

「そう。これは普通の薙刀じゃないんだよ。まぁ薙刀だけに限らずここにある武器にはある細工が施されているの。カバネの心臓が硬い金属で覆われているのは知ってるのね?鋼鉄被膜や金属被膜って呼ばれてるんだけど」

 

「知ってます。普通の刀で切りつけても刀が折れると聞いてます。銃の弾丸さえも弾くと」

 

「そうそう、それであってるよ。じゃあどうやってカバネを倒すか、基本的には殺せないから手足を切り落としたりするんだけど、技術があれば、刀でも銃でもカバネは殺せるんだよ」

 

「技術…ですか?それはどんな?」

 

陽乃の説明に疑問符を頭に浮かべながら八幡はその技術についての説明を求めた。

 

「それはね!刀だっからカバネの鋼鉄被膜の同じ場所を何度も切りつけるとか銃だったら、同じ場所を狙って撃ち続けるとか?」

 

「そんな事が可能なんですか?少なくとも自分には無理ですよ、そんなの」

 

陽乃が簡単に言ってのけたセリフはとてつもない発言だった。何度も同じ場所を切りつけることや撃ち続けることなど、いったいどれほどの修練を積めば身に付くのか、八幡は想像したが、とても希望的観測でも10年と判断し、泣きそうになっていた。

 

「まっこの総武城にいる人達は出来るひと多いけど、それは小さい頃から鍛錬してるからなんだよねー。比企谷に同じ事をしろなんて、そんな事は言わないから安心して。そして比企谷君みたいに、そこまでの技術力がない人でもカバネを倒すことが出来る武器がこれなんだよ」

 

陽乃はそう言うと再度、薙刀の刀身部分を八幡の前に突き出した。

 

「この刀身部分に覆われているのは、カバネの鋼鉄被膜。同じ素材の金属でも、加工してあるかどうかで強度は変わってくるでしょ?それにこっちは鋭利な刃物。切ることも突くこともできる優れものだよ。それが明確に現れるのがこの薙刀なんだよねー」

 

陽乃の説明を聞いていた八幡は納得したという顔で頷いていた。これなら自分でもカバネをぶきで殺す事が出来ると判断し、安堵のため息を漏らした。

 

「それじゃ早速稽古を始めようか」

 

 

そう陽乃は告げると、得物の山から薙刀をもう一つ持ち出すと、八幡に向かって投げ放った。

その時の陽乃の顔を、八幡は生涯忘れる事はないだろう。百人にこの人は美人かと聞いたら百人が美人と言うであろう陽乃の笑顔に見惚れていた……のではなく、いや、多少はその面もあったかもしれないが、その笑顔の下に隠れていた獰猛な虎の様な覇気を感じ、冷や汗を流しており、恐怖を感じていたのである。そんな八幡の事などお構い無しに陽乃は薙刀を構え、戦闘態勢に入り、八幡も構えるのも確認すると、なんの合図もなく稽古が開始されたのだった。

 

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