魔法科高校の魔改造ほのか 作:nyanco
午後の見学も終わり、ほのかたちはオリエンテーションを終えた。
あとは帰るだけとなったがわかっていた通り深雪目当ての生徒に囲まれる。
「さすが魔法科高校って感じだったね」
「明日からの授業ついていけるか心配だなあ」
「今日見学した授業は上級生のだし初日から難しいことはやらないでしょうきっと」
思い思いに周囲が話すため本日何度目になるかわからない困った様子の深雪、それを助けるために深雪の手を取る。
「廊下で立ち止まってるわけにもいかないですし行きましょう!司波さんももう帰りますよね?」
「ええ、帰ります。光井さんたちも途中まで一緒に行きましょう?」
そう言って歩き出すが、光井さん“たち“に含まれると考えている者たちも当然ついていく。
そうやってできた10人ほどの集団で校門まで進んでいくと妹を待っているであろう達也たちと出くわした。
「では皆さん、私はお兄様と帰るので……」
そう言ってほのかの手を離し、達也の元へと歩み寄る。しかしそれをよしとしない男子生徒が一歩前へ出る。
「彼らは二科生じゃないですか、深睦を深めるためにも一科生だけで帰りるべきではありませんか?」
食堂の時と同様に一人が二科生差別を始めたため、深雪と仲良くしたい他の一科生も同調し始める。
「部活や選択科目のことでいろいろと相談したいし、一科生のみんなでどこかに寄って行こうよ」
一科生の生徒が次々深雪を誘うセリフを吐いていくが、それは徐々に二科生への差別へと変わっていき、達也を除く二科の生徒たちの表情も不快な思いを隠せなくなっている。
「いい加減に……」
自分がなんとかしなくちゃとほのかが口を出そうとしたがそれを上書きするように大人しそうな二科生の女の子、美月が叫んだ。
「いい加減にしてください!深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるんです!!
なんの権利があって二人の仲を引き裂こうっていうんですか!!」
彼女の言葉に今まで深雪にしか意識がいっていなかった彼らは二科生へと敵意を向ける。
「これは1-Aの問題だ!他のクラス、ましてやウィードごときが僕たちブルームに口出しするな!」
「同じ新入生なのに、今の時点でどれだけ優れてるっていうんですか?!」
確実にマズい状況になりつつある中、ほのかは冷静であった。ここ最近していた練習をしっかり思い出す。
「ウィードとブルームを同列に語るな、その差を思い知らせてやろうか?」
ずっと一科生の集団のリーダーを気取っていた男子が一歩美月に近づき、右手を腰の特化型CADにあてる。
魔法を発動する、と誰もが思ったが次の瞬間裏切られる。
「あぁ、今日は早く帰らなくては。
みんな、それじゃあまた明日」
それまで好戦的な笑みを浮かべていた彼は突然表情はなくなり、手もだらんと下がり、そう言って一人校門へと向かっていく。
一部を除いて何が起きたかわからない様子で一時的に対立していたことを忘れた瞬間を狙ってほのかが前に出る。
「みなさん!校門前で長い時間立っていても迷惑ですから!今日はもう帰りましょう!ねっ?!」
リーダー格がいなくなった一科生集団をどうにかごり押しで帰していく。
ある程度帰したのちに雫の手を引いて、一度達也たちに礼をしてから帰っていった。
司波達也は悩んでいた。それは今日の帰り、深雪の手を引いて校門まで共に歩いてきていた少女、光井ほのかについてだった。
(あれは、光波振動系洗脳魔法『邪眼(イビル・アイ)』)
達也はあの場で起きたことに気付いた当事者以外で唯一の人物であった。ほのかが発動した魔法は催眠効果を持つ光信号を人の知覚速度の限界を超えた感覚で明滅させ、指向性を持たせて相手の網膜へ投射するサブリミナル効果を応用した催眠術、邪眼であった。しかしそれは起動式はおろか魔法式すら使わず、思考だけで発動させた完全に超能力の部類に属する魔法であった。その上達也でもぎりぎり、おそらく想子観測機では記録されないレベルのサイオンしか感知できなかった。
(能力で言えば美月の霊子放射光過敏症を圧倒的に凌ぐ危険性だ、師匠に調査を頼むべきか)
誰にも気づかれずに洗脳するなど、脅威以外の何物でもなかった。流石に自分、もしくは深雪のそばで使われたら達也なら必ず気づくことができるであろうが深雪と仲良い様子であったため、警戒は必須であると言える。初対面時に良い印象を持っていたがそれも演技でないとは言いきれない。
達也と仲良くなりたい、力になりたいと思うほのかのがんばりとは裏腹に、達也にはかなり強く警戒されてしまったことをほのかは気付かないでいた。
想子観測機について調べてたけど全然見つからなくてダブルセブン編でようやく記述を見つけました。