魔法科高校の魔改造ほのか 作:nyanco
光井ほのかは舞い上がっていた。それはもうベッドの上でにやにやしながら枕を抱えてごろごろ転がるくらい舞い上がっていた。
(うまくできた!)
ほのかは一高を受験するまで魔法は火力のタイプであった。光のエレメンツの末裔であるほのかは基本的に攻撃系の魔法よりもサポート系の方が適性が高い。しかしほのかはある時期より攻撃魔法に憧れをもってしまったため、光波振動系以外の攻撃魔法の開発、練習をし続けていた。しかし入試の実技試験の際、攻撃魔法への憧れは他の対象へと移ってしまった。その原因となったのが達也が魅せた、光波ノイズをほとんど出さない魔法であった。それを見てからというものの、ほのかは入試の実技試験を含め、ひたすら光波ノイズを出さずに魔法を使う練習をし続けていた。そのせいで主席を逃すこととなったが特に気にすることはなかった。そしてたった2カ月でたどり着いたのが、先ほど使用した認知されない光波振動系魔法であった。練習ではまだ完ぺきと言えるほどではなかったが、想いの力というものの影響か、校内に設置されていた想子観測機に引っかからずに発動する事ができてしまった。
(これからも二人の力になれるかな?)
ここで言う二人とは当然深雪と達也のことであり、強い従属願望を持つほのかは既に忠臣のような気持ちでいた。当の達也には要注意人物として危険視されかけていることも知らずに、恋にも似た尽くしたいという気持ちを胸に、新しい高校生活に心をときめかせていた。
翌日、昼休みになると生徒会に用事があるとのことで深雪とは別れ、雫と二人で食堂にきていた。今日は深雪がいないためか、昼になってもあまり人は寄ってこなかった、とほのかは感じていたが実際は充分話しかけようとしている人間は多かった。こういうときに積極的に話しかける森崎がなぜかほのかを恐れ怯えているため、誰も話しかけることができなかったのであった。
「昨日のはまずいと思う」
食堂で列に並んでいる時に雫は切りだした。
「ほのかが無鉄砲なのは知ってたけど、流石にいきなり洗脳魔法はない」
雫は昨日、魔法の発動自体は気付いていなかった。しかし流石に長年の付き合いのある雫はほのかが何をやったのか把握していた。
「で、でもあのままじゃ、魔法発動されてたし、達也さんたち危なかったし……」
「だからってほのかが危ない目にあうのは認められない、一歩間違えれば警察沙汰」
「う、ごめんなさい」
確かになんとかしなくちゃという気持ちが先走りすぎて後のことを考えていなかった気もする。サポート系の魔法は得意であるため、他にも魔法を発動しようとしていた人を無力化する方法があったのだが、最近練習していた、少し危険な魔法を咄嗟に使ってしまっていた。
「でも、また達也さんが狙われたりしたら私は迷わないよ」
「達也さん?限定なの?」
少し不機嫌そうな雫を見て苦笑する。この幼馴染は心配性かつ嫉妬しいなのだ。
「もちろん雫がピンチの時も迷わないよ!」
その解答に満足したのか少し微笑む雫。そして最近二人のことばかり気にしていたせいでほったらかし気味であったこのかわいい幼馴染のこともしっかり守らなくてはと考えるのであった。
「ところで明日から新入部員勧誘週間らしいけど、ほのかは入る部活決めてる?」
「特に決めてないから一緒に回ろうよ」
「うん」