罪の王がダンジョンに居るのは間違っているだろうか?-リメイク!   作:ユーリ・クラウディア

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#1

「オウマさん!これはどう言う事ですか!」

 

ギルドのエントランスに怒声が響いた。

 

「良いですか!冒険者は冒険してはいけないんですよ!」

 

目の前に立ってプリプリと怒って居るのはハーフエルフの女性、名をエイナと言うそうだ。

 

「アハハ…、」

 

いのりを助ける為に向こう側に飛び込んでから早いもので既に半年が経過している。

如何やら向こう側は所謂異世界と言うやつだったらしく、最初僕は森の中で倒れていた。

そこから右手に格納されているヴォイドを使っていのりの位置を大まかに把握したところまでは良かった。

しかしヴォイドが指し示すその先はオラリオと言う街に存在するダンジョンの地下深くだという事が判明、即座にダンジョンアタックを仕掛けたが17階層で大量のミノタウロス+α集団に襲われて逃げ帰って来た次第だ。

ヴォイドで攻撃すれば倒す事は可能なのだが如何せん数が異常だった為逃げ帰って来た。そこで分かったのはいのりが居る階層まで数日かかるという事、そして階層を経るにつれてモンスターのポテンシャルが上がって居る事、そこから導き出された答えは現状では集単騎ではいのりの下まで辿り着けないという事である。

その後街で色々と調べた結果如何やら神とやらが人類に力を授けてダンジョンを攻略しているらしいことが判明、取り敢えずその力とやらを手に入れる為に大量のファミリアに赴いた訳だが、どうにも体形や顔立ちから弱々しく見えたらしく『弱者は家のファミリアにはいらん!』と言った感じで全て門前払いされた。

そんなこんなで苦労しまくって何とか5ヵ月程前にやっとファミリアに所属する事に成功した。

それからというものダンジョンに潜り続けているのだがその時間が問題になって今説教されて居るわけだ。

 

 

「大体ロクな装備もせずに日に14時間以上ダンジョンに潜り続けるってどう言う事ですか!普通に死にますよ!?時間が時間だけに討伐数も頭が可笑しいレベルなんですけどそこら辺分かってますか!?しかも最近10階層以降のモンスターのドロップがチラホラ混じってるんですけど!?どうやったらこんな事になるんですかね!?」

 

現在の僕の装備は服装そのままにギルドで支給されているロングソードとダガー、後は剥ぎ取り用のナイフとドロップアイテム回収用の大き目のバックだ。バックはポーターが使う物よりは遥かに小さいがそれでも普通の冒険者は此処まで大きい物は持たない。

 

まあ、そんな感じでどうやってエイナさんのお説教を潜り抜けるかを考えていたらそこに何やら真っ赤な何かが視界に入った。

 

 

「エイナさーーーーん!!」

 

「ああ、ベル君おか…え…り……?」

 

流石のエイナさんもこれには動揺しすぎて固まってしまった。

 

「アイズ・ヴァレンシュタインさんについて教えてくださーーーい!!」

 

赤いトマト…もとい返り血で真っ赤になった少年が此方に駆け寄って来た。

 

「きゃああぁぁぁーーーーーーー!!」

 

それに再起動したチュール氏が悲鳴を上げるのは自明の理と言うものだろう。

 

 

 

「ベル君!!どういう事なの!!」

 

「いや~、5階層でミノタウロスに襲われちゃって…」

 

「5階層にミノタウロスぅ~!?…って、そんな事よりベル君5階層にまで降りたの!?あれ程冒険者は冒険しちゃダメって言ったのに…。も~、オウマさんと言いベル君と言い、如何してこうも危険な事をするかなぁ…。それに、同じファミリアなのになんで別行動なのよ!?」

 

「オウマさんですか?まあ、なんと言いますか…。なんか目的が違うとか効率が如何とかって言って一緒に来てくれないんですよ…。」

 

「全くなにをって、…オウマさん居ないし!?逃げやがったなぁ!!」

 

怒りのあまりエイナが叫びを上げて激昂するのもまた自明の理である。

 

 

 

***********

 

 

 

 

「ふう…、何とかなった…。」

 

集はギルドから聞こえる叫びをBGMに帰路について居る。

普段ならまだダンジョンに潜って居る時間だが、今日は新しく武器を新調する予定だったので早くに切り上げて来たのだ。

現在集は命の危険がある時、誰かを助ける時、この二つ以外の時のヴォイドの使用を制限している。

と言うのもこの街に居る神の殆どが暇を持て余しているらしく。不用意にヴォイドの事を知られると好奇心お化けな神達に弄り倒されて、いのり救出に大きく遅れが出てしまう恐れがある為だ。なのでこの力を知って居るものは主神を含め一人もいない。主神には何時かは言う事になるだろうが今はその時じゃないと判断した。

因みに右手には包帯を巻いて誤魔化している。

 

 

そんな事に思考を裂いて居たら目的地に着いたようだ。

ダンジョンの真上に立つ塔バベルだ。

此処にはかのヘファイストス・ファミリアが店を構えていてまだ未熟な鍛冶師達が中心に商品を並べる場所なので時々掘り出し物が格安で手に入るそうだ。

 

「さて、僕に合いそうな手ごろな武器はっと…」

 

集が見るのは全て武器だった。

防御を全く考えず攻撃にのみ意識を裂いて居る。

というのも今までの戦場では防御に意識を裂くような機会が無かったからだ。

相手の攻撃一つ一つが致命傷に成りかねない物ばかり、防御は本当の強者の前では全く意味を成さない事を集はその身をもって体験して来た。

つまり何が言いたいかというと、攻撃は防ぐのではなく避けろというのが集の戦闘に置いての認識だ。ミサイル何て防御ではなくぶった切るというある種攻撃とも言える方法で回避していたなとちょっと遠い目をしてしまうが、それは置いておこう。

しかし、ヴォイドが使えるなら防御特化のものもあるので、その限りでは無いのだが生憎今は制限を掛けている。

とは言え白兵戦の練度はそこまで高くないと分かって居るので両手に手の動きを阻害しない程度のグリーヴと小手を嵌めている。ヤバくなった時は此れを盾代わりにしてる訳だ。結構頑丈で壊れずらい掘り出し物である。

 

「…!」

 

「おっと」

 

 

集は武器選びに集中しすぎて誰かにぶつかってしまった。

しかし、幾ら武器選びに集中していたとはいえ周囲には気を付けていたはずだ。なのにまた食気付かないとはどういう了見か。

 

「すいません…此方の不注意でした…」

 

「大丈夫だ。此方こそすまんな。」

 

ぶつかった相手は長い黒髪を後ろでまとめポニーテイルにし、袴の様な物を着て上半身はさらしだけ、そして眼帯をしている女性だ。ぶっちゃけとてもユニークですねと言いたい。

 

集はその特徴に覚えがあった。

 

「え゛、まさか、つ…椿・コルブランド…さん?」

 

「おや、手前を知っているのかね?」

 

「え…ええ、少し聞きかじった程度ですが…」

 

「そうか、邪魔をして悪かったな…私は此れで失礼するよ。」

 

「…」

 

集は去って行くコルブランドの背を見えなくなるまで眺めていた。

 

「…、強い…この街にはあんなにも強い人たちが居るのか…」

 

集はコルブランドの隙の無い動きに言葉を漏らした。

 

「それにしても、あんな人が狭くて雑多な場所とは言え人にぶつかるか?」

 

「まあ、考えても仕方ないか、武器選びに戻ろ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、先程の少年…なかなか面白そうだ…」

 

集の違和感は事実厄介事の種であった事を未だ気付けないのは仕方のないものである。

 

 

***********

 

 

取り敢えず良さ気なロングソードとダガーを発見したので購入、ついでに包帯を更に頑丈なモンスター由来の物に変えた。

 

「ただいま」

 

「お帰り!ってそんな事より聞いてくれよシュウ君!」

 

「はいはい今度は何があったんですか?」

 

「ベル君が…、ベル君がどこぞのヴァレン某とか言うのに取られそうなんだ!!」

 

「ああー、アレですか…」

 

如何やら武器を選んでいる間にベルが帰ってきてミノタウロスに遭遇した時の事を言ったようだ。逃走した為途中までしか聞いてなかったがある程度は把握している。

 

「それにしても此処まで直球にベタ惚れしている女の子が居るのにベルは未だに気づいた気配が無いのはどうなんでしょうね?」

 

「え゛、や…やっぱりアレは気づいてないのかい?」

 

「まあ、異性として好かれている事には気づいてない…、と言うよりは敢て思考から外しているような感じかな?これは、どう解釈するべきなんだろう?」

 

「あ、敢て考えないようにしてるって…、それは、僕じゃ役不足だからって事かい?そ。そんな…バカな…」

 

崩れ落ちる神。

人間に恋して一喜一憂している神とはこれ如何に、と言うかこの世界に存在する神威厳が無い。

ベースになって居る神話はギリシャ神話。まあ、他の神話体系の神も其れなりに居るが、大手のファミリアは殆どギリシャだ。

だからか、神が皆俗物にしか見えないという問題が発生している為、素直に尊敬できない。

 

「まあ、それは無いと思うよ。どっちかと言うとベル自身が自分が役者不足だと思ってるんだと思うよ。」

 

まあ、自分なんかがってネガティブに考えて、女性に好かれるわけないって負のスパイラルに陥ってるパターンだ。何だか僕にとってもなじみ深い感じではあるな…。

 

「まあ、気長にやって行きましょう。恋愛は速攻で決められなかったなら。後はもう気長にやるしかないですよ」

 

大体集自身も恋愛経験が豊富と言う訳では無い、と言うか自身の恋愛はかなり特殊な部類に入ると思っている。だからアドバイスも何処か投げやりだ。

 

「そんな事よりステイタス更新をお願いしてもいいですか?」

 

「そんな事!?」

 

その後、また一悶着あったがそれは割愛、ステイタス更新は無事終わった。

 

******

 

シュウ・オウマ

Lv.1

 

力B784→A830

 

耐久C605→C623

 

器用S904→S965

 

敏捷C774→B803

 

魔力A854→A895

 

魔法

【浄化の灯火】

常時強制発動中

詠唱不要

淘汰の抑制、拘束

 

スキル

【淘汰の収束点】

罪の権化、王の権能、それは全てを受け入れ、拒絶し、束ね、至る。

Joajfoe7%#$4q3e1%$&%$jt’j%trw&#yrw!%!#$dffda%&%’&(‘%”%adf

 

【業の到達点】

獲得経験値に+補正(極)

罪を背負う程効果上昇

 

【罪の英雄王】

罪を背負った英雄であり、同時に王でもある。その偉業は在来人類の救済、そして黙示録への反逆

淘汰の収束点の効果緩和

 

 

******

 

 

正直な話し、やはりかなりバグっている気がしてならない。

 

「やっぱり、君のステータスは可笑しいと思うんだ!」

 

神様にもこう言われる始末である。しかも終始顔が引きつた状態でである。

 

「取り敢えず、スキルや魔法はロックを駆けて不可視にしてある。それこそ他の神に無理矢理こじ開けられでもしない限り見られる心配はないと思うよ。と言うかこれこじ開けたら、その時点で天界に強制送還だからまず大丈夫だよ。」

 

「ステイタスの上りはどうやって誤魔化しましょう?」

 

「そんなもん僕が知るもんか!そもそも、このスキルだけでもヤバいんだからな!何だよ最初っからスキルが三つあるって!?しかも殆ど意味わかんないし、ただの説明文と化してるし!!」

 

確かに淘汰の収束点なんて文字化けのせいで只の説明文だ。と言うか普通スキルは効果だけしか書いて居ないとか。最初にステイタス貰った時なんか神様が白目剥いて発狂してたっけな…。

まあ、淘汰の収束点は僕自身がその意味を知って居ればいい。こんなものは必要以上に理解する必要はない。

 

「取り敢えず何があってもレベルアップだけは最速記録より遅らせたいな…。」

 

「んー、それが出来れば大丈夫だよ。…多分」

 

「最速記録ってどのくらいでしたっけ?」

 

「半年くらいだと思ったけど…」

 

「じゃあそのくらいを目途に冒険するかな…。」

 

二人はこの記録が近いうちに大幅に塗り替えられる事を未だ知らない。

 

「というか君もう直ぐじゃないか。何だかんだでベル君よりダンジョン生活長いだろ。」

 

そう、実はベルよりも先にこのファミリやに所属していたファミリア第一号である。

団長は諸事情によりベルに任せている。

 

正史では初めてのファミリアである事が大きな要因で会うヘスティアの恋はまた別の理由で患ったものである。

因みに集に恋しなかったのは、集がいのりにぞっこんだった為である。

まあ、それはそれとして後一カ月もすれば半年と少し、現状レベルアップしてもギリギリ誤魔化せるが、万全を期す為には後一ヵ月は我慢である。と言う訳で後一ヵ月でステイタスをオールSにする為のプランを練らねば。レベル2からは一時自重を忘れて一気にステイタスをオールSにして再度全力でダンジョンアタックをしよう。ヴォイドも全力使用だ。

 

「僕にはそのもう直ぐって言うこの時間も惜しい。」

 

今直ぐにでもダンジョンを攻略していのりを助け出したいが、神に目を付けられてはタイムロスが半端ではないという事で敢て時間を置いて居る。

急がば回れとは良く行ったものである。

一度のダンジョンアタックに掛ける時間が長い分そのインターバルは少々長めだ。まあ、インターバルの間は休みではなく純粋な訓練になって居るのだが…。

 

「君は何を焦ってるのかは知らないけど、少し根を詰め過ぎじゃないかい?」

 

「休息は十分とってるよ。僕だって自殺願望者って訳では無いからね。」

 

「それはそれとして、もう一つヤバいニュースがあるんだよ…」

 

「今度は何ですか…」

 

「ベル君にスキルが出た。早熟するってさ。」

 

「……それはまた厄介そうな話しですね。」

 

集は自分が目立たなくても周りが目立ってしまっている事に遠い目をするのであった。

 




1話は一部変更で少しだけの違いですが、以前の物を知ってる人はどう設定が変わっているのが分かると思います。
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