罪の王がダンジョンに居るのは間違っているだろうか?-リメイク!   作:ユーリ・クラウディア

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#4

ホームである廃教会の礼拝堂。その最前列の壊れた椅子に集は座って居た。

怪獣祭(モンスターフィリア)の一件から既に2週間が経過している。

あの後集はそっとその場を立ち去り、事情聴取その他諸々を回避していた。なので担当であるエイナにも一度も会って居ないし魔石の換金にも言っていない。ケガについてはかなり高いポーションをミアハ・ファミリアから数本購入し何とかした。

次の日からは普通にダンジョンに潜ったし魔石も回収した。魔石はギルドに生きたくないが為にベルに全て押し付けている。正直申し訳ないと思っている。

 

「――何時も始まりはこんな感じから何だな…。」

 

ひび割れているステンドグラスから差し込む月明り。静寂に包まれ神秘をその身に感じる空間。

集にとって人生の大きな転換期、即ち何かが終わり、何かが始まるその瞬間は決まって静寂と神秘が内包されている。ロストクリスマスが起きたあの日も静寂と神秘溢れる教会であった。そして、いのりと出会ったあの時も静寂と木洩れ日、そして歌が人間に内包する心の神秘を体現していた。次は世界線移動と言う人類が未だ到達し得なかった最上の神秘と狭間の静寂の中であった。そして集の人生に置いてその静寂と神秘の向こう側に一歩足を踏み入れるとそこには最上級の喧騒が待ち受けている。

そして今、集は静寂と神秘をその身に感じ取りこの先に喧騒が待ち受けているのを本能が感じ取っていた。

視線をステイタスの書かれた紙から外し天を仰ぎながら目を閉じる。

 

「――ベル」

 

同じファミリアに所属する少年の名を呟く。

すると恐る恐ると言った感じで兎を彷彿とさせる少年が物陰から出て来た。

 

「ォ…オウマさん」

 

「声位普通に掛けてくれればいいのに」

 

ベル・クラネル我がヘスティア・ファミリアの団長であり良き友達である少年だ。

 

「そ…その」

 

「好きにやってみると良いよ。サポーターの子、気になるんでしょ?」

 

「ッ…やっぱりわかっちゃいますか?」

 

「そりゃ僕だって馬鹿じゃない自分が預けた魔石がどれくらいで換金されるか位わかるさ。それがちょろまかされている事だってね。」

 

ベル預けて換金してもらっていたが、その金額が少し少ない事には気づいて居た。

更にそれがベルが最近雇ったサポーターがちょろまかしている事だって予想は早い段階で、必然確信するのも早かった。

 

「で、でも…」

 

「良いんだ…ベル、僕もその事が分かって居て君に預けたんだ。文句は無いよ。君も逃避こそしているけど、ちゃんと自覚はあるみたいだし。向こうのファミリアとは僕が話しを付けておくから思いっきりやると良い。君が望むように、後悔が無いように。」

 

「…はい」

 

「それじゃあ僕は少し用事があるからちょっと出かけて来るよ。明日の夜には帰って来るから」

 

そう言って集は教会を出て行った。

残されたベルは悔しそうな表情で歯を食いしばって居た。

 

集の耳には徐々に崩れ落ちて行く日常の音が聞こえていた。

 

 

******

 

シュウ・オウマ

Lv.1→2

 

力A830→S999→I0

 

耐久C623→S999→I0

 

器用S965→S999→I0

 

敏捷B803→B999→I0

 

魔力A895→S999→I0

 

発展アビリティ

【死神】I

自身が殺すと定めた相手と相対した時にステータス極大補正

隠形にも中補正

 

魔法

【浄化の灯火】

常時強制発動中

詠唱不要

淘汰の抑制、拘束

 

スキル

【淘汰の収束点】

罪の権化、王の権能、それは全てを受け入れ、拒絶し、束ね、至る。

Joajfoe7%#$4q3e1%$&%$jt’j%trw&#yrw!%!#$dffda%&%’&(‘%”%adf

 

【業の到達点】

獲得経験値に+補正(極)

罪を背負う程効果上昇

 

【罪の英雄王】

罪を背負った英雄であり、同時に王でもある。その偉業は在来人類の救済、そして黙示録への反逆

淘汰の収束点の効果緩和

 

******

 

 

 

ベル・クラネルにとってシュウ・オウマと言う人物は神様と一緒に自分をすくい上げてくれた恩人であった。

彼は少し不思議な所があるが優しくて強くて、時々寂しそうな眼をするそんな年上の青年と言う認識だ。ともすれば兄のが居たのならこんな感じだろうかと考えた事もしばしばである。

必然そんなベルの目に映る彼の背中は一つの憧れであり、羨望のそれである。死んでしまった祖父には寝物語を聞いて育ったベルだが、その背中は見ていなかった。彼にとってシュウは兄のような存在であると同時に、父としての側面を持っていた。彼の優しさや強さ、行いに振る舞い。それらをなぞる様にシュウの背中を追いかける。入団初期にダンジョンにソロで潜って居たのはシュウにパーティーを断られていたのも大きいが、シュウがソロで潜っているのを真似したと言ったように強く影響を与えていたからである。

その思いは、何か切っ掛けがあれば憧憬一途が形を変えてシュウへの羨望が対象になっていた可能性があるほどである。

彼に団長の席を渡された時は混乱した物である。自身の憧れに自分の上司になってくれと言われたようなものである。度肝を抜かれたのは想像に難くないだろう。その驚愕と同時に認めて貰えた事に対する強烈な歓喜が沸き上がった。

『君の精神、在り方、将来性、君の方が団長に向いている。僕は向いてないどころかそう言うのはトラウマ物だからね。そもそも誰かの上に立つ資格はないし』

と言うのがベルが団長を任命された時に言われたセリフだ。

色々言いたい事はあったけど、いつの間にか言いくるめられていたのは今でも不思議に思う。

 

そんなシュウに迷惑を掛けてまでやりたかった事、それが目の前で自分の手から滑り落ちて行く。

 

大量のオークに囲まれ、今だ数が増え続けている状態で、自身のサポーターを任せていた少女が背を向けて遠ざかっていく。

もう少し、もう少しで手が届きそうなのに届かない。

 

「あああああああぁあああああああああああアああああぁああああああアあああああああああァああああアああああァあああアああああぁああああああああぁあああああアぁああああああああぁああああああアアあああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

獣の様な雄叫びを上げながらオーク達を薙ぎ払っていく。

自身の非力を、兄貴分の信頼に答えられない自身を、未熟を理由に一瞬諦めかけて情けない声でサポーターの名を叫ぶ事しかしなかった初動に、ベルは自身を叱咤するかのように叫ぶ。腹の底から、魂を揺さぶる叫びを、羞恥心を振り払い、絶望を置き去りにし、自身の望む一切合切掴み取る為に剣を振るう。

 

「そこを・・・、どけええぇぇぇェェッ!!」

 

 

 

******

 

 

 

 

事は意外とすんなり収束した。リリのソーマ・ファミリア脱退もかなりスムーズでとんとん拍子で終わった。リリを利用していた冒険者達も自滅したのかダンジョンから戻って来ていない。只後日金庫として使っていた部屋の鍵だけ戻って来たのは不思議だと首を傾げた。ヘスティアはジト目で集を見ていたがきっとからかわれたのだろうと思っておく。

そしてソーマ・ファミリアは一時解体、再編成されることになったそうだ。何でも素行の悪さが目立ち始めたから、構成させるんだって。

 

こうして僕達の一瞬の喧騒が終わり日常が帰って来た。…と、僕は勝手に思っていた。

これが本当の喧騒は未だ始まったばかりだと言うのに。

 

 

 

 

******

 

 

辺りには倒れ伏す冒険者達、その中でその主神たるソーマと集だけが立っていた。

 

「君は何者だい?」

 

それは興味だった。本来酒にしか興味を示さないはずのソーマが僅かながらに興味を示していた。

いや、酒にしか興味が無いと言うのは少々語弊があるか…。

 

「只の、冒険者だよ。そう、本当にどうしようもない我欲に捕らわれた愚かな人間の一人だよ。」

 

「只の冒険者が僕のファミリアの団員を悉く蹴落とすか…。」

 

何故ならその目には絶望と諦めが彩っているのだから。

 

「人間に失望するのは勝手だけど、後始末位の責任はきちんと取って欲しいな。」

 

「…」

 

「勝手に失望して勝手に見捨てて、勝手にしろと…。貴方は何様のつもりだ?神?それが如何した。此処は人間の世界だ。天界じゃない。貴方達が我が物顔をしているこの場所は人間の…いや、人間だけの物と言うのは放漫だな。だけど、やっぱり神の物でもない。確かにこの街は貴方達神の恩恵で潤っている。がしかしそれが生み出す歪みがあるはずだ。それを上から押さえつけて隠している。そこが問題だ。この街は可笑しい。それを表面を覆い隠して誤魔化してる。今回の件とは大本の本質は別の所にある。だがそこから派生して沢山の不幸も生まれている。」

 

そう、この街は本当に可笑しい。そもそもダンジョンとは何だ?神の力で永続的にモンスターを排出し続ける魔窟?違うだろ。僕の知る限り力を行使している神は居ない。そんな状況で何十何百年間もモンスターを出し続ける事が出きる?そんな訳ないだろ。中にはレベル7でも倒せないモンスターもいるんだぞ?エネルギーが圧倒的に足りていない。ならモンスターとは何処から来ている?答えは■■■■■■■させているのだ。

この街は本当に狂気(可笑)しい。

 

「リリルカ・アーデと言う名前、貴方はちゃんと覚えていますか?」

 

「…」

 

「貴方のファミリアの団員ですよ?もう、そんな事も分からくなって来てるんですね…。」

 

この神は、在ろうことか自身の団員を把握できてすらいない。超越者である神がだ。それはつまり最初っから意識していなかったという事。只作業として機械の様に処理しただけ。その手に裁量があるにもかかわらず。全てを放棄して与えるだけ与える。

 

「酒を作るだけしかしない貴方はもう、天界に帰っても良いじゃないですか?」

 

「…それは」

 

だがそれでも彼は此処に残って居る。何故だ?そんな物は決まっている。

 

「もう分かって居るはずです。それでもそれをしないのは――――」

 

 

 

それはソーマ・ファミリアのホーム、ベル・クラネルがダンジョンでリリルカ・アーデを救い上げる少し前にあった会話だった。

 




【死神】
解放条件:低レベル帯の時に単騎で一定以上の格上モンスターを倒し続ける。
{設定的にはレベル1の時に中層レベルの相手と単騎で戦い続ける事で発現、ただし狩人の完全上位版みたいなものなので、狩人が3時間以内にいかなる手段を用意ても100対討伐出来れば無条件で発現と仮定するなら。死神は1時間以内に格上を単騎で300対倒さなければならない。因みに双方取得できるのはレベル1の時のみである。因みに隠形に補正が入るのはアビリティ【暗殺】の上位互換でもあるからである。}
だって死神って暗殺者っぽくない?と言う理由から暗殺者としての側面を持たせることにした。本当はもっと罪の王から関連した何かにしようと思ったけど、くどいかな?って言うのと普通に思いつかない。と言う理由でこんな感じに…。

因みにベル君は原作同様アイズに助けられています。これまた同様アイズだと気づきませんでしたが…。
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