罪の王がダンジョンに居るのは間違っているだろうか?-リメイク!   作:ユーリ・クラウディア

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#5

 

シュウ・オウマ

Lv.2

 

力I0→B796

 

耐久I0→C659

 

器用I0→A832

 

敏捷I0→A893

 

魔力I0→A802

 

アビリティ

【死神】I

自身が殺すと定めた相手と相対した時にステータス極大補正

隠形にも中補正

 

 

魔法

【浄化の灯火】

常時強制発動中

詠唱不要

淘汰の抑制、拘束

 

スキル

【淘汰の収束点】

罪の権化、王の権能、それは全てを受け入れ、拒絶し、束ね、至る。

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【業の到達点】

獲得経験値に+補正(極)

罪を背負う程効果上昇

 

【罪の英雄王】

罪を背負った英雄であり、同時に王でもある。その偉業は在来人類の救済、そして黙示録への反逆

淘汰の収束点の効果緩和

 

*******

 

 

「本当に行くのかい?」

 

「はい、多分一月は帰らないと思うのでその間は心配しなくても大丈夫です。ですが三ヵ月で戻らなければ死んだものとして扱ってください。」

 

リリルカ・アーデの件から数える事二週間、集はこの間30層から35層でのレベリングを敢行し短期間で常識外の速度でステータスを上げた。恐らく更に一月程時間を掛ければレベルアップも可能な速度である。しかし集はダンジョン最下層を本格的に目指す事にした。

 

そもそも既に半年も経過している事に焦りを感じていた集は、現状の行かないと恐らく何処かで致命的なミスを犯して死んでも可笑しくないと判断した。

 

「ベルも良い感じに育ってますし、多分大丈夫ですよ。俺もみすみす死ぬ気はありませんから、と言うか目的を果たす前には死ねませんよ。今回は限界に挑戦するだけなのでそこまでの無茶をする気はありませんから。」

 

「むぅ~、本当に気を付けてくれよ。」

 

「はい」

 

 

 

******

 

 

 

ダンジョン第16階層

 

集は此処まで殆ど労せずに辿り着いた。

再三に渡って言うが彼は権能の力で通常の冒険者より圧倒的に高いポテンシャルを持っている。剣技と言った技術も既に第一戦級にまで磨き上げられており、恐らくレベル2になった今ならあのロキ・ファミリアのレベル5達とも正面戦闘で勝ちを見込めない物の拮抗出来る程のポテンシャルを手に入れている。ヴォイドを使えば恐らくあのオッタルさえ下し兼ねない。神相手ならば力を解放されると無理だが封じている状態なら武神や軍神であろうと弑逆できるだろう。命を絶つハサミならば天界への強制送還ではなく本物の死を与える事も可能だと思われる。

ヴォイドとは心の刃であり概念兵器である。【ハサミで切る】と言う制約の下、実行する事で【死】と言う概念を押し付ける。例え神であろうとそれは例外ではないだろう。そしてそれは肉体への干渉では無く魂への干渉。下界へ現界する為の肉体を殺しても魂は天界に戻りその本来の形に戻るだけ。しかし魂事殺したのであれば、魂は消滅し冥界へと誘われるだろう。まあ、魂の在り方は人間である集には分からないから定かではないが…。

兎も角集はこの程度の階層ならば苦にならない。

 

がしかしそれは17層の階段近くにまで足を運んだ時に起きた。ミノタウロスの悲鳴が響き渡ったのだ。何事かと思い様子を見に行くと、そこには徹底的に虐め抜かれているミノタウロスとそれを行って居るオッタルが居た。

傍から見ても異常な光景、集は即座に撤退を選択した。がしかし、焦ってしまったせいか、足音を立ててしまった。その音を獣人であるオッタルが聞き逃すわけがなかった。

オッタルは丁度終わった所なのかミノタウロスを開放し自身が持っていた刃毀れした大剣をミノタウロスに渡した。

そして背負っていたもう一つの大剣を抜き集に向き直る。

 

「…シュウ・オウマだな。」

 

「…」

 

「貴様は我が主神が邪魔だと言った存在。醜いと言った存在。」

 

「―――ッ!?」

 

集は行き成り放たれた殺気に対し咄嗟に剣を抜きながらサイドステップで回避行動を取る。

さっきまで集が居た場所にはオッタルが剣を振り下ろし剣圧で地面がひび割れていた。

 

「だから貴様には此処で果ててもらう!」

 

唐突にオラリオ最強対罪の王の戦いが幕を開けた。

 

 

******

 

 

ダンジョンの開けた広場のド真ん中で最強の剣戟を凌ぐ罪の王。

ミノタウロスは既に何処かへ消え、此処にはオラリオ最強の冒険者【猛者】オッタルと人類の罪を一手に担う【罪の王】桜満集の二人しかいない。

 

 

パワー、スピート、経験、ポテンシャルの全てにおいて劣っている集は徐々に劣勢になるであろう事実に若干の焦りを見せ始めていた。

既に権能は全開で思考速度も飛躍的に上げていた。自身を含め全てを置き去りにした世界でシュミレートを繰り返し、オッタルの攻撃を先読みし、シュミレートが終了すると少しだけ思考速度を緩めスローで見える動きを視界で確認しながら回避、そしてスローなのを利用してイレギュラーな攻撃おも見てから見切ると言うゴリ押しで攻撃をかわし続ける。受けると言う選択肢はパワー差が歴然な為悪手と判断し放棄、防御を回避に極振りし。残ったリソースは剣での攻撃に割り当てている。しかし此方もスピードとパワーが足りずに全て防がれてしまう。

ジリ貧、恐らく体力もオッタルに軍配が上がるだろう。自身が疲れ果て体が反応できなくなった時が敗北の時だろう。

 

一方のオッタルも自身の全力の攻撃が下級冒険者相手に全く当たらない事に焦りを感じていた。攻撃の全てが見透かされたように読まれ、時折イレギュラーな剣筋を入れても見てから反応されひらりと落ち葉の様に回避されてしまう。終いには此方に攻撃してくる余裕まである始末。彼がレベルアップしたと言う報告は受けているが、それでもレベル2のはずの目の前の青年はとても下級冒険者とは思えなかった。純粋な身体能力は最低でもレベル5下位はあると思うくらいに高い。剣技は自身と同等かそれ以上。回避に至ってはオラリオ史上最上位に入るだろうと思わせられる。

幸い自身より遅く弱い攻撃しか出来ていないので此方が戦いに敗北する事は無いだろうが、言い知れない敗北感が自身の中で芽生えている。オラリオ最強、レベル7、【猛者】と言われるフレイヤ・ファミリア最強の矛たる自身の技が格下相手に一切通用しない。それはオッタルの戦士としての本質が技の敗北を認めるに十分な素材だった。

 

 

二人の剣戟はダンジョンを破壊しながら3時間が経った今もまだ続いてた。

依然回避しながら時折攻撃する集に、ポテンシャルの有利を利用し猛攻を続けるオッタル。二人の戦いは終わりが見えなかった。最小限の動きで体力を温存できている集に元々レベルによる体力の底上げによる圧倒的持久力を持つオッタル、双方に明確な疲れの色が見えず只ダンジョンが悲鳴を上げるのみにとどまっている。

しかし此処でオッタルの猛攻にダンジョンの地盤が耐えきれず広場のいたる所に入って居た細かい亀裂がついに大きく広がり16階層の地面をぶち抜いた。厚さ数メートルはある地盤が砕け散った事に一瞬の動揺を見せる二人。

先に立ち直り反応したのは集だった。圧倒的思考能力で周囲の自身の足が崩れ切る前に周囲の崩れ落ちる地面の破片がどういった動きで落ちていくかを即座にシュミレートし、自身の足場がまだ残って居る間に別の足場になる瓦礫へ跳躍する。

一方のオッタルは。反応が遅れた事で完全に体が宙に投げ出されてしまっていた。集は此れを好機と捕え落下する瓦礫を縦横無尽に飛び回り、剣の届きずらい背後を回って斬撃を当てに行く。オッタルも必死に抵抗するが如何せん身動きが上手くとれない為、防ぐのが精一杯で反撃できない。次第に瓦礫を跳躍するコツをつかみ始めた集の移動速度が上がり始めた事で防ぎきれず細かな切り傷が増え始めた。本来であれば普段集の使っている第三戦級のガラクタではオッタルの耐久力を突破できずにかすり傷一つ付ける事は出来ない。だがしかし、今回持って来た武器は普段のガラクタでは無く第一戦級の高級品だった。そもそも30層クラスのモンスターにガラクタで対抗できる訳がない。だから貯めていた金を放出して優秀な武器に変えたのだ。不壊属性こそ付与されていないが切れ味、耐久共に今までの物の比では無い程の逸品だ。と言っても如何に一戦級の武器とは言えピンからキリまである。これは不壊属性が付与されていない事からも分かるように比較的下位の物だ。

そんな高級品を持っているからこそ集の斬撃はオッタルに届いて居るのだ。

集は下に落ちきる前に勝負を付けようと温存していた体力の全てをつぎ込む勢いで攻撃していった。しかし状況は芳しくなく着地までに倒しきれない事を悟り苦虫を噛み潰したような顔で攻撃を続けていった。

 

 

*******

 

 

オッタルは優秀な戦士であった。そして優秀な戦士であると同時に主神に忠誠を誓う駒でもあった。主神の喜びは自身の喜びと感じ、主神の為に自身を磨き続けた。何時からかオラリア最強と呼ばれ、事実レベルはオラリオ唯一の7となっていた。オッタルはそれを誇りに思っていたし、自身の主神の役に立てると歓喜していた。しかし、気づくとオッタルは渇きを感じるようになっていた。最強、それは並び立つ者がいない孤高の一の事である。レベル7になってから本格的なダンジョン攻略もせずちまちまとステータスを上げながらずっと主神の下僕として主神の願いを叶えてきた。もう一度言おう。彼は優秀な戦士である。優秀な戦士とはつまり戦いの中に生き、それをアイデンティティとする存在の事だ。今のオッタルには決定的に闘争が掛けていたのだ。自身に届き得る存在。追いつく可能性があるのはロキ・ファミリアの【勇者】(ブレイバー)だけだと思っていた。しかし彼はパウルム。レベル6に至った事は偉業であるがそこが限界だったようでもう何年もそれで停滞している。若い芽が育ち始め【剣姫】なども自身が抱えるその焦燥を打ち払う事が出来なら。自身に届くのではと思わせるが、ずっと先の事になるだろう。

渇く、どうしようもない程空虚に感じか始めた。日常、我らが主の喜ぶ顔だけでは満足できなくなっていた自分。渇く渇く渇く。

 

 

 

―――渇望していた

 

 

――――――――――――闘争を

 

 

 

 

―――――渇望していた

 

 

 

―――――――――自身に並び立つ強敵を

 

――――――――――――――――渇望していた

 

 

 

―――自身の全てをぶつけてなお喰らいついて来る英雄をッ…!!

 

 

 

彼は彼を睨みつける。

未だ若い年の頃の青年を睨みつける。

自身より圧倒的弱者であるはずの存在を睨みつける。

ステイタスの差を圧倒的技量で埋める冒険者を睨みつける。

全力の最強に今なお喰らい付き剣を届かせた英雄を睨みつける。

自身の無聊を慰める程の技量を誇る男を睨みつける。

 

 

 

そして、最強と言う名の孤独に捕らわれた自身と並び立った敵を彼は獰猛な笑みで睨みつける。

 

 

オッタルは今この時、目の前のシュウ・オウマと言う青年を明確な敵と認識し、強敵(ライバル)足り得る強者とし、己の存在を掛けて淘汰すべき指標と定めた。

この瞬間、燻っていたオッタルの魂は強い輝きを取り戻し、己の存在を示した。

 

―――俺は此処だ!

―――――――此処にいる!

―ここで戦っている!

―――俺を見ろ!

――――俺と戦え!

―――――――――俺がお前を倒す!!

 

 

 

「シュウ・オウマあああ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァ…ッ!!!!」

 

 

 

猛者オッタルは今此処に自身の半身たる闘争と言う存在意義を取り戻した。

 

 

 




唐突なオッタル戦、本来こんな展開は想定されて居なかったのですが、此処から先の事を考えて、もう少し強敵と戦わせておきたいと思った時に思いついてしまった話し。
書き手としては胸熱展開で気分が良かったですが、読み手としてはパワーバランスの崩壊かと思ってしまう暴挙、しかし後悔はしていない。
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