ネトゲ仲間と共にゾンビと戦いつつ荒廃していく世界を生き延びるそうです 作:秦霊
〜Aチーム・埼玉県さいたま市大宮区〜
「志乃さんは近くの高台からの周囲警戒と状況報告、俺とKUROZATOUさん、OGAは博物館内に入る、それじゃ行くぞ…」
「「「…」」」コクッ
埼玉県さいたま市の鉄道博物館へと来た飛颯達は各自別れての行動をとった。
〜鉄道博物館内・突入チーム〜
「この通路を抜けたらあとは転車台のある車両基地がある、目的地はそこだ。気を引き締めとけよ」
「「」」コクッ
(…妙だな…博物館内に入ってから奴らの気配すら感じない…なにかあるかもしれんな…)
飛颯達突入チームは二階の正面入口から入りクリアリングしながらゆっくりと1階にある
「…取り敢えずここまで来たな」
「そうね、取り敢えずチェックポイントかしら」
「……」
3人は一息つくまもなく作業に入る。
それぞれがカバーし合い仕事を始める。
飛颯は蒸気機関又はディーゼル機関の確認
響と結希は周囲警戒
「…ディーゼルは動くが…蒸気機関はこりゃちょいと厳しいな」
そう飛颯が話す。
「…じゃkouさんどうすんの?このままじゃ撤退だし」
「…いやまだディーゼルの方がある、そっちの方を見てみる」
飛颯はそう話すとディーゼル機関車の方へと歩みを進める。
「…おっ?これは行けそうだな…でもちょいと軽油が足りんな…」
ボソボソと話しているとそれを見かねた結希が声を掛けた。
「kouさんどうしたのー?」
「ん?あーちょいと軽油が足りんのよー、その辺にガソリン缶とポンプない?あったらここの隣の列車から軽油抜いて来てー」
「あーい」
結希は持っていたAKのスリングを肩にかけるとポンプを探し始めた。
数分して結希が持ってきたガソリン缶のようなものには軽油が入っていた。
「よし、これだけあれば動かせるはずだ…」
飛颯は機関室に乗り込むとエンジンを始動させ始める。
「KUROZATOUさん〜そこの転車台に載ったら回してくれ!その部屋にスイッチ類があるから多分出来るはず…まぁ出来ない時はみんなで押すか…」
「わかった!」
列車を転車台へと移動させ載せる。すると響があることに気づく。
「kouさん!これやばい…電気通ってない!」
(やっぱりかーそりゃそうか…館の照明落ちてたしなぁ)
そう心で思う飛颯だった。
「…仕方ねぇ、転車台押して回すぞ!」
「「ほーい(あい)」」
列車から降り転車台を押し始める。
ゆっくり、ゆっくりと回していく。そして列車を蒸気機関車と連結すると前にある門の施錠部を撃って破壊し扉を開ける。
「よし、外に出すぞ!乗れ!」
「「了解!」」
列車を外出すとそこには志乃の姿があった。
「志乃さん来たのか、ちょうど良かった。さぁ乗って!」
「おっけ!」
志乃は返事を返すとゆっくりと走行する列車側面の梯子をつかみ登ってきた。
「よし、今から前に出て隣の側線の貨車連結して一旦帰るぞ!」
「わかったけど、車はどうする?」
響がそう質問した。
「とりま貨車の一部に海外なんかの車運搬用の貨車があるはずだ、それを最後部に連結して車を載せるさ」
「なるほど…」
「理解したな、よし今から二半に分ける!OGAとKUROZATOUさんは車を、志乃さんは列車の上に登って上から周囲警戒を引き続き頼む、俺は連結と運転をやる。みんなよろしく頼んだ!」
「「「了解っ!」」」
その時だった…
プルルル…
「ん?なんだ?
…あい?…おん、は?本当か?…そうか…わかった、撤退してくれ。ああ、了解した。それじゃ」
「だれ?」
OGAがそう質問した。
「…ゾディさんからだよ、現状トレーラー回収は望ましくなく一度撤退するとの報告だよ」
「なるほど…」
響は納得した様子だった。
「…にしても
「あの人?」
結希は飛颯の発言が気になりそう質問した。
「あぁ、アヨナハさんだよ」
「あーあの人か、生きてたのか」
「みたいやね」
結希と響は あーあの人かー っと頷いていた。
「んじゃ俺らもやるぞ、各員取り掛かれ!」
「「「あいさー」」」
〜飛颯〜
(さてと、ポイントは切り替えたし連結するか)
飛颯は列車をゆっくりとバックさせて貨物車両を連結する。
ガコンッ と音を立て連結が完了すると飛颯はブレーキをフルに掛け機関室外へ出た。
機関室外へ出て再度連結の確認をした後機関室へと戻る。
〜結希・響〜
「さて、これかな?kouさんの言ってた車輌は…」
「見るからにそうみたいですね」
2人の目の前にはキャリアカーの荷台の様な車輌があった。
「んじゃなまぁ下ろしますか…」
「ですねー。あ、自分車取ってきます」
「あ、はーい」
結希がスロープを下ろし、響が車を取りに行く…
「車持ってきましたー」
「ほーい、それじゃ入れちゃってー」
「はい〜」
響は結希のsupraを荷台にゆっくりと積む。急な坂にブレーキとサイドブレーキの両方をかけ響は降りてきた。
「よしこの調子でもうじゃんじゃん行こー」
「はーい」
〜志乃〜
(…風が涼しいな、おっ?あれは結希じゃねぇか。おーおーやってるやってる)
そう思いながら俺はSR25を片手に機関室の真上に座っている。…ゆったりと座りながら自分の銃を弄っていると、ふと思うことがあった。
(…にしてもおかしい、おかしすぎる。今の今までゾンビを見ていない…それにここは結構大きな街のはずだ…それになのに何故こんなにも騒音を立てても来ないんだ?)
そう思いふと前を見るとそこには遠くに一人の人間が見えた。
(…もしや!)
そう思いSR25についているACOGを覗いた。
「…おいおい嘘だろ、冗談じゃねぇ!!」
ACOGを覗いた先にに居たのは…
…ワラワラと不意に湧いてきたゾンビの大群だった。
「kouさん!ヤバいスっよ!」
機関室に急いで駆け込んで来た。
「どうしたんすか?」
「や、奴らがワラワラと湧いてきましたよ」
「…マジかよ…志乃さんはOGA達に通達を!」
「了解っす!」
〜後部車輌〜
「あと一台だね、それ積み込んだら機関室に戻ろー」
「あーい」
結希の言葉に響がそう返した時だった。
「おい!まだ生きてるか!?」
不意に志乃の声が聞こえ二人とも上を見上げるとそこには貨物列車の上に乗った志乃がいた。
「どったのー?そんなに慌てて」
結希がそう志乃に返すと志乃は緊迫した様子で答えた。
「なっ!」
「わ、分かりました!これだけ積んだら終わりなんで少し待っててください!」
響は急いで車を積む、だがその頃には奴らがかなり近くまで寄ってきていた。
「よし!もう行きましょう!kouさんに通達を!」
「わかっている!お前達も早く機関室まで後退しろ!」
そう言い残すと志乃さんはスイスイと慣れたように連結された貨物列車の上を走って機関室まで戻っていく。
「私達も行くよ!」
「オッケ!」
結希と響も志乃に続き機関室まで後退する。
〜機関室〜
後ろからはドタドタと走ってくる足音が聞こえてきた…かと思えば突如として機関室の扉が開いた。
「kouさん早く出してください!奴らが周りをもう取り囲んでいる!」
「ッ!?わかった!」
飛颯はその報告を聞きブレーキの全解除、そしてディーゼルの機関出力を上げる。
その時だった。他にもドタドタと上から足音が聞こえてくる。
(まさか!)
そう思い扉に片手で93Rを向けていると入ってきたのは結希と響だった。
「ってなんだよ…お前らかよ」
「なんだってなによ!こっちだって、はぁ…急いできたんだから」
そう言う結希は確かに息切れを起こしていた。
ゆっくりと動き出した列車は目の前のゾンビ達を轢き殺しながら進む。だがあることに気づいた。
「…不味い」
「どうしたですか?kouさん!」
志乃がそう慌てたようで聞く。
「ポイントが切り替わってねぇ」
「えっ?ポイント?」
…そうポイント、ポイントは簡単に言ってしまえばレールの分岐だ。それが切り替わっていないということは、
「…あぁポイントだ、それが切り替わってねぇ。つーこった脱線する可能性が高い…」
「嘘でしょ!?周りにはゾンビ集まってきてんだよ!?今から列車停めて外出るき!?」
飛颯も苦虫を噛み潰した表情が出る。
「くそが…何かないか…ポイントを切り替えられる代物…」
飛颯はそう呟きながらあたりを見渡すとある物が目に入る…
「…一か八かだっ!志乃さんそのSR25ちょっと貸してくれ!」
「へっ!?あ、あぁ」
志乃は飛颯にそう言われ咄嗟に自分の銃を貸した。
「ってkouさんまさか!」
どうやら響は察したようだ。
「これしか方法はねぇ!」
飛颯はSR25を持って機関室の窓を開けるとポイントの切り替えレバーに照準を合わせる。
バンッ!
1発発砲下が少ししか動いていない。
「クソが!」
バンッ!
2発目を発砲、あと少しで下がるがもう列車がポイントに差し掛かるときだった。
「kouさん!退けて!」
響は不意にそう言い飛颯を押し退けると腰の苦無を投げた。
カコンッ!
と言う音ともにポイントが間一髪で切り替わった。
「よっしゃ!切り替わった!助かったぜKUROZATOUさん」
「ふぅ…当たって良かったよ」
そう安心したのも束の間だった。
「おい!奴らが上に登ってきてやがるぞ!」
「「「なに!?(なんですって!?)」」」
志乃にそう言われ飛颯はSR25を志乃に返すと自分のVSSのスコープを覗いた。
そこには
「グアアアッ」
ワラワラと列車上に登ってきたやつが居た。
「ちっ!クソが!応戦するぞ!」
「「「おう(あい)」」」
響が腰の刀を抜き走行中の列車上を走る、走っては切り走っては切りの繰り返し、まるでアニメを見てるようだった。
不安定な貨物の上で刀で首を切り落としていく。
だが、一瞬のうちに響の後ろに1匹回り込んでいた。
「しまっ!」
バンッ!
突然目の前のゾンビの頭が飛んだかと思えば、その後ろには機関室から少し頭を出しライフルを構える志乃がいた。
「おいおい…大丈夫かよ。あんまり1人で突っ走って死なないでくれよ!援護射撃してやっからよ!」
「分かってます!援護ありがとうございます!」
響は志乃の援護もあり奥へと更に進む
「オラッ!」
ダンッダンッダンッ!
後ろからはアサルトライフルの連射音が聞こえてくる多分OGAさんなのであろう。
「っ!数が多いなぁ!」
後部車輌に差し掛かった時だった。
「KUROZATOUさん!頭下げろ!」
「へっ!?」
その声を聞き反射的に頭を下げる。すると頭の数センチ上に橋があった。
「…危なかったー」
目の前から来ていたゾンビは一気に橋にあたって死んだ。…それに今の声がなかったら自分の死んでいたかもしれない。
そう思いながらゾンビの消えた走行中の貨物列車の上を機関室まで戻った。
〜機関室〜
「…あの人危なー」
OGAが隣でそう言っていた。多分さっきの橋の欄干の事だろう。
「…とりあえず岐阜まで線路経由して帰るぞ」
「あーい」
「kouさん俺らの寝るとこどうするんすか?」
志乃さんから聞かれた。
「とりあえず後ろの車輌に客車も引っ張ってきたけど…ここで寝たいならこっちでも構わんぞ」
「了解です」
さてと…岐阜まで帰るとするか。
〜岐阜・橘邸〜
「…んぁー暇っ!」
私はリビングのテーブルで突っ伏しゴロゴロしていた。
「しゃーないやろ儂らは留守番組やでー」
「んもーkumaさんなんか暇つぶしの案ないのー!」
「ないなーまぁ儂は音楽でも聞いて暇でも潰しとるで」
そう言ってkumaさんはイヤホンを耳に当て始めた。
「…むぅ、星璃亜ちゃんなにかやらない?」
「えっ!?えぇっと…」
突然話を振られて星璃亜は戸惑いを隠せなかった。そして戸惑いながら出した案が一つ。
「え、えーっとみんなで飛颯のゲームします?」
「kouさんの?」
「えぇ、色々持ってたので…」
「ほう!いいね!やろやろ!」
(…文さん凄くやる気になったなぁー)
…そう思う星璃亜だっだ。
どうもおはこんちにばんわ作者です。
最近…というか半年ほどメインの方を上げていたのでこっちに手が回りませんでした。もう申し訳ないです。
こっちの方はちょくちょく更新しますんでよろしくお願いします。