サードニクスのスーパー短編集   作:さわたり

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これまた天地優介さんの作品に送らせていただいたキャラのビギニングです


https://syosetu.org/novel/157741/
・・・ハーメルンでリンク貼るってできないんですかねえ


GOE外伝 ビギニング・スノウガール

「準備完了。第247回目の実験を開始する」

 

白衣の男がレバーを下げる。それに反応して、ベッドの上に縛り付けられた少女の体が跳ね、苦しむように声を上げ始める。

 

「Xーフォース適合性・・・良好。第一段階は通過だ・・・完全適合!!やったぞ!!」

 

『うう・・・ああああああああああああああああああああ!!!!!』

 

モニター越しの少女、カノン・ワイズマンは悲痛な叫び声を上げ、暴れまわるが突如その動きが止まる。

 

「・・・はあ、失敗だ。ここを越えれば成功すると思っていたのだが」

 

その脈が完全に泊まったことを確認し、拘束具を外す。部下に処理を命じ、248人目の被験者を拘束した。

 

 

 

 

「はあ・・・どうにかならんものか」

 

男はヴェノムの開発チームの残党。ヴェノム復活のために、日夜道を踏み外した努力をしている。

 

『使えそうな商品を仕入れたら優先的に売るさ。君たちがギリギリ買える高値でね』

 

ペストマスクの女、『マネージャー』。ブルーシャドウ&ブラックスター社の社長、クロート・ホリッドの闇の商人としての顔だ。

ノイズのかかった声でそう答え、ティーカップに手を伸ばす・・・が、すぐに置く。

 

「マスクつけてちゃ飲めないだろう。とにかく頼んだぞ!ヴェノムの再生には忠実な超能力を生みださなければ!」

 

『ああ、手に入ったらの話だがね』

 

 

 

 

「なあ兄貴・・・この死体ってマジで湖に捨てちまっていいのか?」

 

「ボスがやれっつったんだろ?責任は全部あいつだぜ」

 

刺青まみれのスキンヘッドとモヒカン。いかにもな見た目通りの犯罪者である。警察から逃げているところを拾われた彼らは、いつもこの遺体処理担当だった。湖に沈めるというなんとも雑な方法だ。

 

「よっこらせ」

 

鎖と青いビニールシートを巻かれた遺体を一つ一つ湖にぶち込んでいく。22人。実験の影響で腐敗しないため、ビニールシートの下でどいつもこいつも生きたような顔をしている。そんなものが湖底に沈んでいるのだ。聞く人が聞けば気持ち悪い話だ。

 

 

 

 

「そろそろ消えそうだな・・・奴ら」

 

クロートは商談を終えたため、マスクを外して今度こそ紅茶を嗜んでいた。

彼女の先を見通す目は、人間において右に出るものはいないと言われるほど。焦るあまり人を殺しすぎていた。これでは表に存在が知れるのは時間の問題。それに恨みも多く買う。

恨みの恐ろしさは凄まじい。悪側に身を沈める人間なら理解しておかねばならないことだ。

 

「消えたらまずは武器の回収だな。エージェントを準備せねば」

 

ゆっくり椅子から起き上がり、連絡をすべく通信機器を握った。

 

 

 

 

アメリカの冬は寒い。場所にもよるといえばそうだが、やはり赤道周りに比べてしまうと話は別だ。

 

凍りついた湖の下に、今日も遺体は眠っていた。

 

一人の遺体を除いて。

 

「ぶっはあ!」

 

Xーフォースはその活動を止めないエネルギー。変化を起こしやすいために、何が起こるか分かったものではない。人に注入すればなおのこと。

 

そして、完全に体に馴染んだ彼女の遺体を冷やすなど、何が起こっても本当に不思議ではなかった。

 

「どこだろう・・・ここ・・・メガネなきゃよく見えない・・・」

 

鎖をほどこうとするが、どうやら意味はなさそうだ。右腕に枷で止められている。鎖は諦め、ビニールシートを投げ捨てて適当に歩き始めた。

 

 

 

『・・・湖の麓で行方不明の少女が発見されました。証言によると死亡状態と勘違いされ、遺体を湖に・・・』

 

「だから言った。ド派手にしくじったものだな」

 

取引先が減った。ため息をつき、本格的準備をするようエージェントたちに通達した。

 

「武器回収の準備をしろ。貴重な資材だ。ロストは許さんからな」

 

そう残して受話器を置くと、ロングコートを羽織り、ペストマスクを装着。喉の変声装置を起動した。

 

『よし・・・私も向かっておくとしよう』

 

拳銃とライフルを準備し、その残党たちの研究所へと向かった。

 

 

 

警官に囲まれた研究所。残党たちはなすすべもなく中に残っていた。

 

「これ以上近づけば殺す!」

 

だが、あちらも人質を取っているらしい。警官は動くわけにもいかず、ただその動きを止めていた。

 

そんな中、マネージャーをセンターにしたスーツの男たちが警官の群れを割いて入っていく。止めようとする新米警部を後ろのベテランが止める。

 

「あいつらには手を出さんほうがいい」

 

 

そんな中、鎖のついた一人の少女が人混みを突っ切って飛び出る。こちらは警官の制止を振り切っての登場だ。

 

「私が・・・私が止めなきゃ!あいつらを倒すのは私じゃなきゃ!」

 

何やら使命感に駆られているようだ。興味深そうな顔でマネージャーが見ているのに気づくと、警官は少女を離した。

 

アッシュブロンドのカールツインテール。背の低さから見るに、実験を受けていた件の少女、カノンで間違いなさそうだ。

 

『ほーう。その特殊能力を活かしてヒーローになる気か。面白い』

 

「・・・え?」

 

『は?』

 

「ん?」

 

『・・・・・・・・・いや、特殊能力を活かすんだよな?』

 

「え?・・・・・・・・・えいやっ・・・・・・あああ!!なんか地面凍った!?」

 

二人はとぼけた顔で顔を合わせたのち、それぞれ驚愕と呆れの表情を見せた。

 

「えええ!?私も超能力者・・・あそっか。組織の実験だもんね」

 

『まさか正義感だけを信じて来たのか?私の視界に入らなきゃ今頃死んでたぞお前』

 

「は、ははは・・・ありがとうございます・・・」

 

『フッ。まあ利用させてもらおう。人質が死ぬとメディアが騒いで面倒だ。今から私が方法を教えるからそれを使って人質を救出しろ。我々が侵入したのち警官を向かわせる』

 

「わ、分かりました・・・」

 

 

 

 

 

「早く身代金を置け!!!100万ドルだ持って来ているだろうな!ヒーローが現れたらこいつを殺す!大人しく金を置け!」

 

スピーカーへと繋がるマイクへと怒号をあげる。ヴェノム復活のためにはここで潰れるわけにはいかない。

より強い焦りが彼らを蝕み始めた頃、突如としてスーツの男たちが現れる。

 

『さあ、我々に武器を返してもらおう。持っていてもなんの意味もないだろう?』

 

「近づいたらこいつを・・・いない!?おい!人質はどこだ!」

 

『静かにしろ。あいつならニンジャが連れてったよ。クールなニンジャがね』

 

男を蹴り上げ、黙らせる。軽く冗談を履いたのち、部下へと武器や物資の回収を命じた。

 

 

 

 

 

「ここまでくれば大丈夫・・・」

 

影の塊に色がつき、カノンの姿に変わる。温度低下はつまり運動低下。光の動きが止まれば、それはすなわち光を反射しない状態。影に隠れ放題だ。

 

「お姉さんは・・・」

 

「超能力者。とりあえず警察のところへ・・・」

 

「いや、今ここで・・・殺す!」

 

人質だった少年が突然攻撃を開始。空を舞い、空中からのキックを浴びせる。

 

「いでっ!」

 

吹っ飛ばされる。とっさに起き上がって放った蹴りが、少年のキックとぶつかる。

 

「なんで・・・!?」

 

「我らヴェノムがそう単純に人質を取ると思うか?救出されることまで想定済みさ!」

 

 

 

 

『ほーう。面白い作戦だ。これがあの少女の初陣となるわけだ』

 

「だから何をやっても無駄さ!警官をみんなぶっ殺すわけだからな!」

 

『アホか。そのぶっ殺される警官が部屋の前でスタンバってるんだぞ?よし、回収は終わったな?撤収だ!』

 

スーツ軍団がぞろぞろと出て行く。変わって入って来た警察たちに結局お縄。残る問題は少年だけであった。

 

 

 

 

「はっ!」

 

「くっ・・・」

 

空を飛ぶ能力はなんとも厄介だった。攻撃が当たらない。凍らせようとしてはみるが、触れないとどうもダメらしい。それに鎖が邪魔で動きづらい。警察の人にも取れなかったそれを今この瞬間で取るのも無理がある。

 

「あああもう!あたれ!」

 

多少ヤケクソ混じりでパンチを繰り出した。

その時に振られた鎖がぶつかり、少年が叩き落される。とっさに能力を発動し、服を凍らせて動きを止める。

 

「何・・・!」

 

「こいつ・・・使える!」

 

少年が完全に拘束されたことを確認。鎖をくくりつけ、引きずって警察に届けた。

 

 

 

「結局・・・あいつらは全員ブタ箱だ。私の読みが当たったな」

 

机での書類整理中のクロート。手を止め、背を伸ばして休憩。郵送物の資料を手に取った。

 

「搔きまわすための寸劇にはヒーローも必要だ。いい具合に生み出してくれよ・・・我が社の利潤を」

 

 

 

 

結局両親も実験に使われ死亡していたカノンは、自身の意思でメテオ・シティでの一人暮らしを決めた。新しく大学も決め、いつも通りのイケてない女子生徒としての生活へと戻った。

 

「ん?」

 

早朝のジョギングの帰り、ポストの中の何かを取り出す。どうやら布らしい。

 

早速開けてみると、水色のスーツが。

 

「なんだこれ!」

 

 

ーブルーシャドウ&ブラックスター社からのプレゼントだ。受け取ってくれ。無論タダだから安心してほしい。

 

「やったー!・・・名付けて・・・スノウガール!うんうん!」

 

イケてない女子生徒。その裏の顔たる新たなヒーロが、今ここに誕生した。




面白くないという不具合。武器の設定を追加しちゃいました!
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